【訪問介護の介護報酬】算定の仕組みと注意したい9個のポイント

 

訪問介護 介護報酬

 

訪問介護の介護報酬(以下、訪問介護費)とは、利用者に対するサービス提供の価格のことを指します。

サービス内容、時間によって基本となる報酬は定められていて、サービス提供責任者は利用者との契約時に訪問介護費について説明しなければなりません。

そのため、訪問介護費の基本的な知識を理解しておく必要があります。

 

そこで今回は

  • 訪問介護費の算定の仕組み
  • 訪問介護費の計算方法
  • 算定する上で注意したい9個のポイント

 

など訪問介護の介護報酬について初心者にも分かりやすく網羅的に解説していきます。

 

はやく算定する上での注意点を知りたい!って方は下記からジャンプしてください。

注意したい9個のポイントを見る 

 

 

本記事の信頼性
  • 介護業界11年目、現役の管理者兼サービス提供責任者が執筆しています。
  • 保有資格:ヘルパー2級、基礎研修、社会福祉士、同行援護、全身性ガイドヘルパー、ほか
  • 制度などの解説は「厚生労働省の一次情報」をもとにしています。

 

【仕組み】訪問介護の介護報酬は3つに分けられている

訪問介護費 3種類

 

訪問介護の介護報酬は身体介護中心型、生活援助中心型、通院等乗降介助の3つに分けられます。

※サービス単位は訪問介護のサービスコード(令和3年4月最新版)より抜粋しています。

 

 

【身体介護中心型】の介護報酬

 

サービス内容所要時間単位数
身体01、0220分未満の場合167単位
身体120分以上30分未満250単位
身体230分以上1時間未満396単位
身体31時間以上1時間30分未満579単位

(※身体3以降は30分ごとに84単位を加算した単位数)

 

身体介護中心型のサービス内容は下記のとおり。

 

  • 入浴、排せつ介助など利用者の身体に直接接触しておこなう介助とそれに伴う準備や後片付け
  • 自立支援・重度が防止のための見守り的援助
  • 専門的知識や技術をもっておこなうサービス

 

より具体的なサービス内容を知りたい方は下記を参考にしてください。

【全てわかる】ホームヘルパーの完全業務マニュアル【まとめ】

 

 

【生活援助中心型】の介護報酬

 

サービス内容算定項目単位数
生活援助220分以上45分未満183単位
生活援助345分以上225単位

 

生活援助中心型のサービス内容は下記のとおり。

 

  • 一般的な調理・配下膳、掃除、洗濯、買い物代行、薬の受け取りなど

 

より具体的なサービス内容を知りたい方は下記を参考にしてください。

【全てわかる】ホームヘルパーの完全業務マニュアル【まとめ】

 

 

【通院等乗降介助】の介護報酬

 

サービス内容単位数
通院等乗降介助(1回片道につき)99単位

 

通院等乗降介助のサービス内容は下記のとおり。

 

  • 病院への通院などのために、ヘルパー自らが運転する車両への乗車・降車に伴う介助、屋内外での移動介助、病院での受診手続きなどの介助など

 

より具体的なサービス内容を知りたい方は下記を参考にしてください。

【全てわかる】ホームヘルパーの完全業務マニュアル【まとめ】

 

 

身体介護と生活援助が「混在」する場合

 

サービス内容算定項目単位数
身体1生活120分以上30分未満の身体介護+20分以上45分未満の生活援助317単位
身体1生活220分以上30分未満の身体介護+45分以上70分未満の生活援助384単位
身体1生活320分以上30分未満の身体介護+70分以上の生活援助451単位

 

一連のサービスの中で身体介護と生活援助(20分以上)が含まれる場合は、身体介護の単位数に生活援助の単位数を加算する方式で算定します。

生活援助の所要時間20分から計算して、25分ごとに67単位加算していきます。

ただし所要時間70分が限度となるので注意しておきましょう。

 

 

訪問介護費の計算方法

訪問介護費 計算方法

 

訪問介護費は「サービスごとに算定した単位」に「1単位の単価」を掛けて算出します。

サービスごとに算定した単位は、1単位=10円を基本として事業所の所在地により異なります。

たとえば、東京都23区は1単位11.40円、大阪市は1単位11.12円というように地域による賃金の差を考慮したものです。

 

訪問介護費 計算方法

 

※地域区分表を張っておきますので参考にしてください。

参考:訪問介護の地域区分・地域単価表【最新版】

 

 

加算・減算で訪問介護費は大きく変わる

 

提供したサービス内容や事業所の体制によって加算・減算があります。

この加算・減算により所定単位数の〇%が増えたり減ったりするので、それに伴い訪問介護費も大きく変動します。

加算・減算については下記でまとめてますので参考にしてください。

参考:【全12種】訪問介護の「加算・減算」まとめ

 

 

訪問介護費の計算例

 

サービス内容サービス回数地域区分加算・減算
身体213回2級地
  • 介護職員処遇改善加算Ⅰ
  • 特定処遇改善加算Ⅱ

 

では、上記のサービス実績をもとに実際の訪問介護費を計算してみましょう。

 

この場合だと・・・

 

  • ①396単位(身体2)×13回=5148単位
  • ②5148単位×13.7%(処遇改善加算Ⅰ)=705単位
  • ③5148単位×4.2%(特定処遇改善加算Ⅱ)=216単位
  • ④5148単位×11.12(地域単価)=57,245円
  • ⑤705単位×11.12(地域単価)=7,840円
  • ⑥216単位×11.12(地域単価)=2,402円
  • ⑦57,245+7,840+2,402=67,487円

このように計算し、訪問介護費は67,487円となります。

※このうち7割~9割は保険給付、1割~3割は利用者負担となり、保険給付分を国民健康保険団体連合会に、利用者負担分を利用者にそれぞれ請求します。

参考:【訪問介護のレセプト】請求業務の「一連の流れ」と3つポイントを解説。

 

訪問介護費の算定で注意したい9個のポイント

訪問介護 算定 9のポイント

 

ここでは訪問介護費を算定する上で注意してほしいことを9個紹介します。

今回紹介する9個はサービス提供責任者として最低限知っておくべきことですので必ず把握しておきましょう。

 

9個の注意点
  1. 訪問介護は基本的に「1対1の支援」が対象
  2. 「利用者の不在時」は訪問介護費を算定できない
  3. 若干の生活援助を伴う身体介護の取り扱い
  4. 20分未満の身体介護の取り扱い
  5. 生活援助中心型の算定要件
  6. 算定する時間は「実際のサービス提供時間」ではない
  7. 2時間ルール
  8. 施設系サービスの利用者は訪問介護を利用できない
  9. 訪問系サービスの同時算定について

 

 

① 訪問介護は基本的に「1対1」の支援が対象

 

訪問介護は利用者とヘルパーが1対1で行うことが原則となっています。

そのため、1人のヘルパーが同時間帯に複数の利用者に対してサービスの提供はできません

 

唯一の例外は、1人の利用者に対して2人のヘルパーが同時にサービス提供する場合のみです。

この場合、要件を満たすことで「2人介助加算」の算定が可能となります。

参考:訪問介護の「2人介助加算」とは?算定要件と5つの注意点

 

 

② 「利用者の不在時」は訪問介護費を算定できない

 

訪問介護は「利用者の居宅において行われるもの」とされています。

通院介助などの外出介助は居室以外の場所でサービス提供をしますが、あくまでも居宅を起点としたものに限られます。

そのため、利用者が不在だった場合、たとえサービス提供を行ったとしても訪問介護費は算定できません。

参考:訪問介護でよくある「本人不在」。留守時はどうする?対応方法を解説。

 

 

③ 若干の生活援助を伴う身体介護の取り扱い

 

良くある例をあげて解説します。

 

「簡単な掃除(所要時間5分)の後に、排泄介助(所要時間25分)を行った」

 

上記のように身体介護中心型サービスの中で若干の生活援助を行うことは良くあります。

この場合、身体1生活1の算定ではなく、身体1での算定となりますので注意しておきましょう。

5分程度の生活援助を伴う身体介護は、基本的に身体介護中心型のみで算定すると覚えておいてください。

 

 

④ 20分未満の身体介護の取り扱い

 

身体介護中心型には20分未満のサービス提供で算定できる区分があります。

いわゆる身体01、身体02のことです。

簡単に説明すると、身体01、02には下記の違いがあります。

 

身体01
  • 2時間ルールが適用される20分未満の訪問介護
身体02
  • 2時間ルールが適用されない20分未満の頻回の訪問介護

 

「身体01」はすべての訪問介護事業所でサービス提供することができますが、「身体02」については複雑に算定要件が定められています。

下記で詳しく解説してますのでご参考ください。

参考:訪問介護の「身体01」「身体02」とは?算定要件と注意すべき2つのポイント

 

 

⑤ 生活援助中心型の算定要件

 

生活援助中心型の利用は前提として「サービスを受けないと日常生活に支障がある方」を対象としています。

算定要件としては下記のとおり。

 

  • 独居の利用者
  • 同居家族がいる場合は、家族が障害や疾病などの理由により家事を行うことが困難な場合

 

同居家族がいると生活援助サービスを提供できないと安易に考えている人も多いですが、そんなことはないです。

下記でより詳しく解説してますので参考にしてみてください。

参考:生活援助で「同居家族」がいる場合の取り扱いについて

 

 

⑥ 算定する所要時間は「実際のサービス提供時間」ではない

 

訪問介護費は「実際にかかった時間」ではなく、訪問介護計画に位置付けられたサービス提供に要する標準的な時間で算定します。

 

分かりにくいと思うので例をあげます。

 

「訪問介護計画に身体介護50分と位置付けられていて、ある日のサービスでいつもより時間がかかり、サービス提供に70分かかった」

 

この場合だと訪問介護計画に位置付けられている50分、つまり身体2で算定するということです。

実際のサービス提供に70分かかっているので身体3で算定すると思いがちですので注意しておきましょう。

 

 

⑦ 2時間ルール

 

2時間ルールとは、1日に複数回サービス提供する場合、サービスとサービスの間隔が概ね2時間未満であれば、それぞれの提供時間を合算して1回の訪問介護費として算定する規定です。

 

例をあげて解説すると…

 

「利用者Aに対して午前9時に身体1のサービス提供、その後、同利用者に対して午前10時に身体1でサービス提供を行った」

 

この場合、それぞれの所要時間を合算して「身体2」で算定となります。

 

ただし2時間ルールの対象外となるサービスもありますので下記を参考にしてください。

参考:訪問介護の2時間ルールとは?算定方法と例外ケース

 

 

⑧ 施設系サービスの利用者は訪問介護を利用できない

訪問介護費は下記のサービスを利用している利用者への算定はできません。

 

  • 短期入所生活介護、短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

 

たたし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護については通院等乗降介助のみ算定可能です。

 

 

⑨ 訪問系サービスの同時算定について

 

介護保険サービスでは原則、同一時間帯に1つの訪問系サービスしか利用できません。

ただし、例外として利用者の状態・状況、サービス内容によっては訪問介護と訪問看護、訪問リハを同一時間帯に算定することができます。

 

例えば…

 

「自宅での入浴介助において、アセスメントにより利用者の身体状況から同時に訪問看護の利用が必要と判断された」

 

このような場合は訪問介護と訪問看護の同時算定が可能となります。

訪問看護と同時にサービス提供を行うことは多く、下記でより詳しく解説してますのでご参考ください。

参考:訪問介護と訪問看護は同じ時間に入ってOK?同時算定について

 

訪問系の障害福祉サービスの場合は?

障害福祉サービスの場合

訪問介護と一体的に障害福祉サービスを行っている事業所は多いと思います。

 

訪問系の障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護など)についても介護報酬の計算方法は同じです。

ただし、サービス単位と地域区分が介護保険とは異なるので注意してください。

 

詳しくは下記でまとめて解説してますので参考にしてください。

 

 

最後に

今回は訪問介護の介護報酬について解説しました。

サービス提供責任者は訪問介護費の算定にかかる知識は必ず把握しておかなければなりません。

本記事では最低限知っておくべきことを網羅していますのでぜひ参考にしてみてくださいね。

当サイトではサービス提供責任者の初心者向けに現場にそった業務マニュアルを無料公開しています。

ぜひこちらも併せて読んでおきましょう!

タイトルとURLをコピーしました