長時間の連続した支援を実現するサービスに重度訪問介護があります。
これは、重度障害の方の自宅でヘルパーが24時間の交代勤務による手厚い支援を行えるサービスですが、実際にヘルパーはどのような仕事を1日の中で行なっているのでしょうか??
あくまで1つの例ですが、今回は重度訪問介護を行うヘルパーのリアルな1日の仕事の流れを紹介していきたいと思います。

今回は
自宅で一人暮らしをされている進行性の四肢麻痺を持つ車椅子の利用者を想定します。
排泄は自立しており、言葉も話せて、手足も全く動かなくはないですが、立つことは難しい状態です。
家庭ごとのルールがあるので、その辺りを踏まえた上でお読みください。
重度訪問介護の仕事の流れ:例①「7:00〜15:00」サービス
重度訪問介護の仕事の流れ、例①は「7:00~15:00」の長時間サービスを例に流れを見ていきましょう!
利用者宅に起床前に訪問する
利用者が起床する前に訪問。
ナンバーロックの鍵をとって入る。
起床後、トイレ介助・朝の着替え・整容の支援
- ベッドから車椅子、車椅子からトイレへの移乗介助を行う。
- トイレの後は再びベッドへ。ホットタオルを渡してできる範囲をご自身で拭いていただき、難しい部分を代わりに清拭する。
- 着替えはご本人に何を着るか確認して服を選び、脱衣と着衣の介助を行う。
- 洗濯物の確認を行い、必要なら洗濯機を回す。
朝食作り・ゴミ出し
- ご希望のメニューや使用していい食材は確認しておくことが基本。
- 冷蔵庫の中身を確認・共有し、必要なものがないか確認したりする。
- 合間にゴミ出しの確認を行い必要ならゴミを集めて出しに行く。
朝食の食事介助
- ベッドから車椅子へ移乗する。
- できる範囲はご自身で食べていただき、お声がけがあれば食事のお手伝いをする。
- 食べ終わるまではそばで見守りしつつ、一緒にテレビなどを見て過ごす。
- 食前後の服薬の確認・見守り。
- 食後歯磨きの見守り。
昼食までの間
- 必要な声かけがあるまで見守り待機。一緒にテレビを見たり、会話して過ごす。
- 必要に応じて体勢変換したり、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへの移乗を行ったり、トイレ介助を行ったりする。
- 洗濯物が回り終わったら干す。衣類をハンガーにかけることなどできることは利用者と一緒に行う。
- 頃合いを見て昼食の準備に取り掛かる。
だいたい決まっている人がほとんどですが、何時頃昼食にするか確認する。
昼食作り
- ご希望のメニューや使用していい食材は確認しておくことが基本。
昼食の食事介助
- ベッドから車椅子へ移乗する。
- できる範囲はご自身で食べていただき、お声がけがあれば食事のお手伝いをする。
- 食べ終わるまではそばで見守りしつつ、一緒にテレビなどを見て過ごす
- 食前後の服薬の確認・見守り。
食材・日用品の買い出し
- 天候や体調次第で一緒に行くこともあれば、行かないこともある。
- 一緒に行かない場合、必要なものをヒアリングしてリストアップする。
- 決まったブランド、決まったスーパーなど利用者のご希望のものを購入し、分からないことがあれば利用者に電話して確認することもある。
- 買ってきたものを所定の場所へ片付ける。食材は必要なものは下処理して冷凍などする。
金銭の確認
- レシートと財布の中身の確認。
- ノートや出納帳に記載する。
その他
- 必要な声かけがあるまで見守り待機。一緒にテレビを見たり、会話して過ごす。
- 必要に応じて体勢変換したり、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへの移乗を行ったり、トイレ介助を行ったりする。
- 洗濯物の取り込み。たたみ物など、できるものは一緒に行う。
- 部屋の掃除機がけやトイレ掃除をする。
- サービス実施記録の作成をする。
- 次のヘルパーへの必要な引き継ぎ事項はをノートやサービス実施記録に残しておく。
- 日によって、銀行や携帯ショップ、ショッピング、カラオケなどの外出余暇の支援もある。
引き継ぎ
- 次のヘルパーと記録を確認しながら引き継ぎを行う。
- 退室する
重度訪問介護の仕事の流れ②:例②15:00〜23:00
次の重度訪問介護の仕事の流れは15:00~23:00です。例①の次の流れになりますね。これも長時間です。
訪問後、引継ぎを受けてサービススタート
訪問して前サービスのヘルパーから引き継ぎを受けてから業務に入ります。
利用者に声かけをし、バトンタッチします。
夕食まで
- 必要な声かけがあるまで見守り待機。一緒にテレビを見たり、会話して過ごす。
- 必要に応じて体勢変換したり、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへの移乗を行ったり、トイレ介助を行ったりする。
- 頃合いを見て夕食の準備に取り掛かる。
- だいたい決まっている人がほとんどですが、何時頃夕食にして、何時頃お風呂にするか確認する。
夕食作り
- ご希望のメニューや使用していい食材は確認しておくことが基本。
- 事前に前のヘルパーが伺って引き継ぎされることもある。
夕食の食事介助
- ベッドから車椅子へ移乗する。
- できる範囲はご自身で食べていただき、お声がけがあれば食事のお手伝いをする。
- 食べ終わるまではそばで見守りしつつ、一緒にテレビなどを見て過ごす。
- 食前後の服薬の確認・見守り。
- 食後歯磨きの見守り。
入浴の準備
- 何時頃入られるか確認して、丁度いい時間にお湯をはる。
- 着替えやバスタオル、必要に応じてマットなど用意する。
- 入浴前に必ずトイレへ行っていただく。
入浴介助
- お風呂場へ連れて行き、体の洗体の介助、浴槽への介助を行う。
- 障害の程度やお風呂場の構造上非常に難しい場合が多い。
スキンケア・塗り薬
- 保湿をし、ドライヤーで髪を乾かす。
- 体の傷等に薬を塗る。
掃除
- 風呂場の掃除をする。
- 使用したキッチンの掃除をする。
就寝準備
- ベッドメイキングを行う。
- 就寝までは必要に応じて体勢変換したり、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへの移乗を行ったり、トイレ介助を行ったりする。
- サービス実施記録を作成する。
- 次のヘルパーへの必要な引き継ぎ事項はをノートやサービス実施記録に残しておく。
就寝前介助
- 就寝前の服薬の確認・見守り。
- オムツへの履き替えを行う。
- ベッドへ移乗する。
- 消灯、火器確認、施錠、退室。
以上のような流れで1日が終わります。
今回の方は、まだ医療的ケアもなければ完全な寝たきりを想定していないので、深夜のヘルパーをつけない想定にしました。
深夜のヘルパーがつくときは、医療的ケアを行なっていて呼吸の心配がある方や夜間も発作の心配がある方などより状態の重たい人になる場合が多いです。

利用者と一緒にテレビを見たり、特に何かするわけでもなく見守りで過ごす時間もあれば、今回は流れに載せませんでしたが、利用者の爪切りや衣類・日用品の整理、修繕なども行うことがあります。
まとめ
今回は重度訪問介護のリアルな仕事の流れを例をもとに紹介しました。
利用者ごとに1日の過ごし方や大切にしていること求めていること、必要な支援は変わってきます。
なので、あくまで今回の流れは1つの例として参考にしていただければと思います。
とはいえ、実際の現場を見たことがない人にとっては、多少なりイメージを掴んでいただけたのではんないでしょうか??
流れを見るだけでは分かりにくいですが、重度訪問介護は、長時間利用者の自宅にお邪魔するサービスです。
そのため、その家の文化を理解する姿勢を持ち、1つ1つ丁寧に確認しながらご家庭ごとの文化に馴染むこと、その姿勢が一番大切だということを忘れないでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。