重度訪問介護サービスは、その名前の通り重度の障害者を支えるサービスです。
そのため、「重度訪問介護は大変だ・・・」というイメージが付いているサービスでもあります。
確かに他のサービスにはない難しさや大変と思われることはもちろんあります。
しかしながら、実際はとてもやりがいのある仕事内容ですし、社会的意義がたくさんある仕事です。

今回は現役訪問介護職の私が、そんな重度訪問介護における「やりがい」について考察してみます。
現役介護職が考える重度訪問介護の5つのやりがい
利用者との関わりの中で感じる重度訪問介護のやりがいをいくつか挙げてみます。
① 「暮らしの文化」の中に入れる
暮らしの中に短時間だけ入る居宅介護と違い、重度訪問介護は1人のスタッフが最長8時間ほどご自宅での支援を行います。
その時間は、その人の生活に非常に密着する時間です。
それぞれの暮らしのペースも違えば、服のたたみ方や食事の傾向も様々です。
私たちでも食事の前にお風呂に入る人もいれば、寝る前にお風呂に入る人もいますよね。
それぞれの家庭でそれぞれのルールややり方といった文化が異なってくるのです。
家庭それぞれの文化の中に入るというのは普通ではできない貴重な体験であり、それだけ繊細なものです。
支援スキル以前に、相手のことを理解し、尊重する気持ちが必須であり、そのような難しい現場に携われるということ自体が、実に誇らしいことだと支援を通して気付かされます。
② 普段の暮らしとお出かけ時との「表情の違い」がわかる
普段の暮らしを見ているからこそ、外出時に利用者が心からに楽しんでいるんだということをその表情から気付くことができます。
これは日々の暮らしで長い時間その利用者と関わり続けた人にしか分からない実感と喜びです。
日常的には自分で体を思い通りに動かせず、しんどい想いをしている部分を知っているからこそ、趣味やレジャーを心から楽しまれている姿を見た時に、私たちは心を打たれるものを感じるはずです。
この笑顔を見られてよかったと思うことができることも重度訪問介護のやりがいの一つと言えます。
③ 家族のような「何気ない時間」を過ごすことができる
暮らしの中で、トイレ介助等の身体介助、痰吸引などの医療的ケア、買い物や同時などの家事援助など様々な支援がある重度訪問介護。
その中には見守りという時間も多くあります。
見守り時間は、人によっては一緒にテレビを見たり、世間話をしたり、家族や友人のように何気ない時間を過ごすことが少なくありません。
利用者の自宅で何気ない時間を過ごす、ただそれだけのことかもしれませんが、そんな時間に「支援する人される人」を超えた関係を感じることがあります。
もちろんあくまで支援者であることは変わりなく、見守りも含めて支援には違いありません。
しかし、直接的な支援だけが福祉の醍醐味ではなく、家族と過ごしているように感じるくらい自然な時間を利用者と過ごせることにも福祉の醍醐味を感じるのです。
④ 障害のある方の「地域生活を支える」
重度の障害をお持ちの方やその家族は、往々にして暮らしの多くを諦めていることがあります。
例えば毎日のお風呂に入ることや、トイレに行きたい時に行くこと、外食をしに行くこと、街中でウインドウショッピングしたり、お茶したりすること。
そのような、自分たちにとっての当たり前と思うようなことでも、重い障害を持つ方にとっては当たり前ではありません。
家族や本人が頑張ってそのような暮らしを目指したとしても段々とお互いに疲弊していき、部分部分で諦めが生じることもあるでしょう。
しかし、重度訪問介護という24時間サービス提供を前提としたサービスがあれば、家族も安心して子どもを任せられますし、本人も一人暮らしをしたり、買い物をしたり、好きなタイミングでトイレに行ったり食事をとったりと自分の臨む暮らしを叶えることができます。
家族の中だけではどうにもならなかった課題が、重度訪問介護というサービスによってかなり解決できることは障害のある方の地域生活の幅を広げる大きな意味を持っているのです。
⑤ 重度障害者と「社会の接点」を作る
私たちの日常生活の中で、重度の障害者を見かけることがどれくらいあるでしょうか?
地元のスーパーでもあまり見かけませんし、栄えた街ならなおさら見かけないと思います。
それは結局、障害が重たいが故に、家族のマンパワーだけでは当たり前に外に出たり遊びに行ったりすることができないからです。
そうすると、多くの人が社会の中でそのような重度の障害をお持ちの方に出会うことなく暮らすことになり、障害のある方との接点がなくなります。
本人にとっても社会経験が乏しく、閉じこもった生活になってしまいがちです。
しかし、重度訪問介護を使って、当たり前に地域の中で外食したり、ショッピングしたり、買い物したりすることで、社会と障害のある方の接点が増えます。
それによって、利用者は楽しい経験をしたり、新しいことに興味を持ったりして生き生きとしてきますし、社会の側もバリアフリー意識やどのような配慮が必要かということを考えるようになります。
障害のある方と社会との接点が多くなればなるほど、障害のある人ない人の隔たりも緩まってきますし、当たり前のこととして障害のある方が地域で暮らすことを社会が考えるようになるでしょう。
重度訪問介護で外出支援や地域生活をサポートすることは、利用者のためだけでなく、長い目で見たら社会のためにもなる大切な意味合いが含まれているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
やはり、重度の障害者を支えるサービスなので、そのやりがいも大きいと言えます。
特に、支援している側は忘れがちですが、社会的な意義の大きいサービスなので、そのような意識を持つことで自分たちの仕事に誇りを持てるのではないでしょうか?
ぜひ、あなた自身でも重度訪問介護のやりがいを考えてみてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。