在宅でのターミナルケア。訪問介護の2つ役割と6つのポイント。

 

今回のテーマはターミナルケアです。

ターミナルケアとはそもそも何か?

在宅におけるターミナルケアとは?

訪問介護の役割とポイント

について解説していきます!ターミナルケアは私のヘルパー人生の中で忘れられないケアの一つです。

ぜひ参考にしてみてください。

 

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本記事の信頼性

介護業界11年目のちょいベテランで現役の管理者兼サービス提供責任者が執筆しています。

保有資格:ヘルパー2級、基礎研修、社会福祉士、同行援護、全身性ガイヘル、ほか

制度などの解説記事は「厚生労働省の一次情報」をもとにしています。

ターミナルケアとは?

 

ターミナルケアとは、終末期の医療・看護・介護のことを指します。

日本医師会の定義は終末期とは「治療方針を決める際に、患者はそう遠くない時期に死に至る時期」と記載されています。

終末期は一般的に治療をしても回復する見込みがなく、おおむね余命よ6か月程度とされています。

ターミナルケアでは死期が近づいている方に対して、疼痛のコントロールや精神的症状(死への恐怖)を緩和しながら、残されている時間をその人らしく送れるように支援します。

 

余命6か月程度と言いましたが、実際には1年、2年とそれよりも長くなることもあれば、逆に2、3週間で亡くなられる方もいますので一概には言えないのです・・・

 

在宅でのターミナルケアはニーズが高くなっている

そもそも終末期の方が住み慣れた自宅で、残された時間を家族と一緒に過ごすことを望むことは多いです。

加えて、厚生労働省は2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築を推進していることもニーズが高まる要因となっています。

地域包括ケアシステムでは、できる限り自宅で生活をすることを目指しており、在宅医の増加、介護サービスの柔軟な対応が求められています。

そのため、今後さらに在宅でのターミナルケアは増加してくることが予想されます。

 

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在宅でのターミナルケアとは?

 

在宅でのターミナルケアは、病院でこれ以上の効果的な治療がないと判断され、本人・家族の希望で医師の許可がおりた場合に開始となります。

実際に私が経験した高齢者のAさんを例に、在宅でのターミナルケアはどのような流れで進み、最後を迎えていくのかを見ていきましょう。

 

在宅でのターミナルケアの流れ「Aさんの場合」

 

その① 病院から退院する

Aさんは自宅で息子夫婦と住んでいましたが、癌と診断されて病院で治療入院をしていました。

症状はある程度落ち着きましたが、余命は半年と宣告されており、Aさんは最後は自宅で過ごしたいという希望がありました。

息子夫婦も同意の上、自宅に退院することになったのです。自宅に退院するにあたって病院から在宅のケアマネジャーを紹介されました。

ケアマネジャーはAさんが少しでも快適に過ごせるように、息子夫婦の負担を出来るだけ軽減するために、訪問介護や訪問看護、福祉用具事業所などを呼んでサービスについて検討をしていきました。

Aさんは定期的な診察が必要でしたので、在宅医療を行っている往診医をかかりつけ医としました。

 

その② 終末期を迎える

自宅に帰ってからAさんは順調に過ごしていましたが、3か月ほど経ったぐらいから徐々に体が動かなくなりターミナル期を迎えるようになりました。

退院時は要介護3でしたが、ケアマネジャーが介護保険の変更申請を行い要介護5が出ていました。

ガン末期でしたので、訪問看護の手厚い看護を受けつつ、定期的な往診も受けていました。

そのころには常に介護が必要な状態でしたので、訪問介護も毎日訪問して出来るだけ息子夫婦に負担がかからないように支援されてました。

 

その③ 自宅で最期を迎える

Aさんは介護と看護、医療の支援を受けつつ、徐々に容態が悪化して、半年後にご逝去されました。

Aさんは最期まで「死ぬ時まで自宅におらせてくれてありがとう」と何度も息子夫婦やヘルパー、医師や看護師に話をしていました。

息子夫婦は仕事をしつつの介護で大変な思いをしていましたが、やはり最期まで自宅で看取れたということが心残りなく、良かったと言っていました。

 

このような流れでターミナルケアは進んでいき最期を迎えます。

すべてのケースが、このAさんのように穏やかに最期を迎えられるわけではありませんので一例としてとらえてくださいね。

 

 

ターミナルケアは家族の協力が必要

在宅でターミナルケアを行う場合は家族の協力が必要になります。在宅で過ごす方に対して医療や介護は24時間365日常に提供されるわけではありません。

その為、家族の介護は必須となります。(中には独居で在宅で終末期を迎える方もいますが)

基本的には医療や介護が足りない部分は家族が補う、ということによって在宅でのターミナルケアは成り立ちます。

独居高齢者の場合は、家族のケアが受けられませんので、誰にも気づかれないまま亡くなってしまうことも現実としてありえます・・・それもまた現実なのです。

 

 

ターミナルケアにおける医療の役割

ターミナルケアでは訪問診療や訪問看護による医療面でのサポートが非常に重要で、病気による疼痛や精神的不安に対して医療的管理が必要となります。

投薬での疼痛コントロールや食事摂取ができなくなれば点滴なども必要に応じて処置します。

急変時や状態変化時に24時間オンコール体制で対応していきます。

 

訪問看護の主な業務

  • バイタル測定、SPO2(酸素飽和濃度)測定
  • 状態の確認、変化時の対応
  • 医師への報告
  • 痛みの状況確認とコントロール
  • 家族などの介護者へのサポート
  • 呼吸停止後の死後の処置

 

 

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ターミナルケアにおける訪問介護の役割とポイント

 

在宅でターミナルケアを行う為には、家族のケアは必要ですが、家族だけではどうしようもできない部分があります。

先ほどのAさんの例を取ると、息子夫婦は共働きであり訪問介護が無ければ自宅で最期を迎えることはできなかったでしょう。

ここでは訪問介護の役割とポイントを解説していきます。

 

ターミナル期における訪問介護の2つの役割

ターミナルケア時の訪問介護の役割としては大きく2つの役割があります。

 

  1. 利用者の安楽を追求すること
  2. 家族など介護者の負担軽減

 

この2つは訪問介護の役割として非常に重要なものとなりますので是非覚えておいてください。

 

利用者にとって安楽とは?

安楽とは「心身に苦痛がなく、安らかで楽なこと」です。

ターミナル期に訪問介護はこの安楽を追求していきます。

例えば、寝返りを打てなくて褥瘡が出来たとしましょう。褥瘡は痛みが伴いますので、安楽とは言いません。

褥瘡が出来ないように体位交換をするのはもちろんですが、エアマットを導入して褥瘡が出来にくくしたり、皮膚を清潔にすることも対策の一つです。

 

心身の心の部分にも注意していかなければなりません。

殺風景な部屋でただただ介護を受けながら生活をしていくのは、安らかとは言い切れません。安らかで楽になるためには、安心して落ち着ける場所を提供するのも訪問介護の役割です。

例えば、思い出の写真を部屋に飾る、思い出の曲を流すなど、心に安らぎを与えることが大切になります。

介護施設などではターミナルケアを迎えれば家族に昔好きだった曲などを聞き取って、それを流すなどの工夫をしています。

 

安楽を目指すためには身体的な安らぎはもちろんですが、精神的な安らぎも大切になるのです。

 

家族の負担を軽減する

ターミナル期になるとほとんどの方は寝たきりになります。常に介護が必要な状態になるのです。

訪問介護は24時間365日、本人の側にいることはできませんので、家族が介護することが多くなります。

しかし、家族は介護に慣れていないですし、ターミナル期が長くなればなるほど家族に大きな負担がかかってきます。

そういった時に訪問介護が出来ることとしては、楽に介護が出来る方法を伝えるということです。

介護にはコツがありますので、ある程度コツをつかむことによって介護がしやすくなります。

訪問介護はただ単に介護を提供するだけは無く、介護をする人を指導することも含まれています。

 

他にも家族の介護を負担するために介護用品をオススメしたり、できるだけおむつ交換をしなくて済むように吸収力の高いおむつを当てたりなど、家族が介護疲れで倒れてしまわないように配慮することも大切になります。

 

 

ターミナルケアで意識したい6つのポイント

ターミナルケアで訪問介護が意識したいポイントは下記の6つがあげられます。

  1. チームケアを意識する
  2. 最期まで1人の人格を大切にする
  3. 無理をさせない身体介助を意識する
  4. ヘルパー自身の精神的負担にも注意する
  5. 状態変化や急変時はすぐに医療へ連絡を
  6. 危篤時の観察ポイントを知っておく

 

それぞれ見ていきましょう。

 

①チームケアを意識する

ターミナルケアで他職種連携が非常に重要になります。チームでケアをするということを意識しておかなければいけません。

訪問介護だけが先走りをして様々なケアを行ったとしても、それは連携できているとは言い切れず医師などに迷惑をかけてしまう可能性があります。

例えば、医師が状態が悪いのであまり動かさないように指示を出していたとします。

それにも関わらずヘルパーが体を動かすような支援をすれば、チームとしては方針がずれてしまうことがあります。

小さなズレですが、場合によっては余命に関わることがありますので注意が必要です。

チームケアは支援の方向性が統一する為にも必要なことなのです。

 

②最後まで1人の人格を大切にする

ターミナルケアは冒頭でも話したとおり、「最後までその人らしく余生を送る」ことが命題です。

そのため我々は決して押しつけがましくなく、その人の生活が最後まで豊かであるように考え支援していかなければなりません。

またターミナル期になると利用者の意識が無い中で介助をすることがありますが、必ず声かけをしてから介助するようにしましょう。

こういったことも1人の人格のある人間として尊厳をもって対応するということの一つです。

 

③利用者に無理をさせない身体介助を意識する

ターミナル期は身体機能が著しく低下していく一方ですので無理をさせず本人のペースに合わせて介助を行っていく必要があります。

例えば下記の通りです。

  • 嚥下機能が低下している場合はゼリーやアイスなど食べやすいものに配慮し、本人の希望を尊重しながら、必要な栄養や水分の補給を行う。
  • 入浴が難しい場合は清拭・足浴に切り替えて清潔の保持に努める。(状態に応じてベッド上で行う)
  • 嘔吐反応があって食事摂取が困難な場合は口腔ケアやうがい等をおこない気分が少しでも良くなるような配慮をする。
  • トイレに行けない場合はポータブルトイレや状況にあわせてパットオムツ等本人の希望も聞きながら対応する。

このように無理をせず、本人の意思を確認しながら進めていきましょう。

 

④ヘルパー自身の精神的負担にも注意する

ターミナルケアは介護職であるヘルパーにとって貴重な経験あると同時に、大きなストレスを抱えてしまうこともあります。

特に新人ヘルパーは1回の訪問が非常に重く感じることもあるでしょう。

そのため、ヘルパー自身も抱え込まないように同僚やサービス提供責任者、管理者に相談しながら自身の配慮もすることは重要です。

 

⑤状態変化はすぐに医療へ連絡を

状態変化など気になる事があれば医師・訪問看護師へ連絡をとるようにしましょう。ターミナル期の利用者は、いつ何時なにが起きてもおかしくありません。ヘルパー訪問時や訪問後すぐに亡くなることもあります。

そのため、少しの異変でも医療へ連絡しておくことがヘルパーの精神衛生上も良いです。

連絡せず利用者が亡くなってしまったら必ず後悔します。

 

⑥危篤時の観察ポイントを知っておく

死に近づくと体温・脈拍・呼吸・血圧に変化が見られます。

意識が減退し、体温、血圧は低下、手足は青白く冷たくなります。また肺の機能が低下し酸素の取り込みがすくなることで「下顎呼吸」(かがくこきゅう)という、あえぐような呼吸をし、呼吸回数が減少します。(エンドルフィンという麻薬物質が出ているため本人は苦しさを感じてはいないとされています。)

 

危篤時のケアは主に看護師・医師が行いますが、その場にすぐに医療スタッフが来れるわけではありません。

利用者の意識がもうろうとされていれば、無理に水分は与えずに窒息予防のため義歯があれば外し、水は唇に浸すなどの対応を行いましょう。

また体位について身体は苦しい部位を上側に向け、半坐位やセミファーラー位が安楽になりやすいとされています。(セミファーラー位とは上半身を15度~30度ほど起こした体位)

 

 

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まとめ

今回はターミナルケアについて訪問介護の役割とポイントを解説しました。

在宅でのターミナルケアは需要が多く、医療の進歩とともに在宅でも最期まで見れる技術が出来てきましたので、今後も増加することが予想されます。

住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考えている本人と家族の思いを実現させるために、介護職は重要な役割を担っています。

利用者や家族に「あなたがそばでサポートしてくれてよかった。心強かった。」と思っていただけたら最高ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。

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