
どうもくらたろうです。
今回は日常生活の中で頻度が高い「立ち上がり」に着目しようと思います。
起立動作の介助は基本中の基本。ですが奥が深いものです。
この記事では
- 起立動作の解説
- 起立介助のポイント
- 在宅でできる簡単なリハビリ
の3点を解説していきます!ヘルパーさん必見ですよー。
ヘルパーは知っとくべき起立介助のポイントと解説
起立介助を理論的に理解していくためには
まず立ち上がり動作そのものについて知っておく必要があります。
動作を分析すると
立ち上がり動作を左右する要因は大きく3つに分けることができます。
今回はこの3つの要因から介助のポイントを見ていきましょう!
要因① 前方への重心移動
まず起立動作について最初に考えることが重心移動についてです。
特に重要なのが前方への重心移動となります。
多くの人の座り方は、姿勢が【仙骨座り】【ずっこけ座り】【滑り座位】になっていることを知っていますか?
知らない人は、それぞれについて下記で解説していますのでそちらをまずチェックしてください!
で、まずこの座り方では いざ立とうとしても困難です。
ほんまかね??と思っている読者の方は、とりあえず仙骨座り→起立に挑戦してみてください!
足の力が強い人は可能かもしれませんが、座骨座りと比較すると、難しい事が実感できるはずです。
起立動作に上手く繋げるための重心移動とはどのようなものなのか?
答えは
【頭部と体幹・骨盤に注目する事】
が重要になります。
座位→立位になる際には意外かもしれませんが、膝~足部の位置の移動はほとんどありません。
つまり
起立動作に関しての重心移動を行うポイントは上半身が主になるということです。
重心移動のポイント
起立動作を見るときに、特に注目してほしいのは【頭部】です。
イメージとしてはしっかりとお辞儀をするような姿勢になることです。
目安として【頭部が膝よりも前に行く】ことになります。
こちらも実際にやってみましょう!
どうですか?
頭部が膝よりも前に行くと、自然とお尻が浮いてくる感覚や足の裏に体重がかかってくる感覚があるでしょう?
重心移動を考慮した起立介助のポイント
ここまで説明した様に、起立動作にはこれだけ大きい重心移動が必要になります。
なので
介助者が前方に位置してしまうと介助される方は起立動作が難しくなります。
以上の事から起立介助をする際には
介助者は側方または後方に位置を取り介助しましょう。
スムーズな介助が可能になりますよ。
ヘルパーさんは、この記事のトップ画像のように前方から介助しがちなのですが、好ましくはないのです。しっかり覚えておきましょうね!
要因② 膝関節の曲げ方
人が立つ時には膝関節を曲げる必要がありますよね。そこを上手く利用します。
前述した重心移動に加えて
重心移動の前から膝関節をしっかりと曲げることで起立動作が容易になります。
具体的な目安としては【膝関節が90°以上曲がっている状態】であることが大切です。
膝が曲がっていない状態で起立を促しても、体重移動が上手くいかず前方にお尻や足が滑ってしまいます。
また、
前方に滑ってしまう事を止めようとすることで介助者の負担がより大きくなることに繋がってしまいますので注意しましょうね!
膝関節屈曲を考慮した起立介助のポイント
介助を行う際のポイントとして
起立介助を行う前に身体を起こし、膝関節を90°以上曲げた状態に誘導する事が大切になります。
介助前の姿勢を立ちやすい様に工夫する事で介助量が減るだけでなく、
介助される方の残存機能を活かすことが出来るため双方にとって良い影響があります。
要因③ 環境設定
起立介助のポイントになる3つ目のポイントは環境設定です。
ここでいう環境設定は
- 椅子の高さ
- 床などの材質
- 靴の選定
にあたります。
以下で1つずつ解説していきますね。
椅子の高さ
まず初めに椅子の高さについてです。
一般的な椅子の高さはおおよそ40~42㎝に設定されています。
ただし海外製の家具ですと外国人の体格に合わせて設計されているため高く制作されている事がありますので注意が必要です。
日本の一般的な椅子の高さは約40㎝程度ですが、これは健常者に合わせて制作されているものです。
なので、高齢者や筋力が低下している方にとっては少し立ちづらい高さになってしまいます。
ここで問題になるのが「わざわざ椅子を買い替える必要があるのか?」という問題点が出ますが、その必要はありません!
椅子の座面に市販の低反発クッションを敷く等の工夫で座面の高さを上げることに加え
クッションをひくことで、褥瘡になりやすい仙骨部の除圧にもつなげることが出来るため一石二鳥になります。
ぜひ起立介助が難しく悩んでいる方は自宅の椅子等に活用してみてくださいね!
床などの材質
次に足が接する床の材質についてです。
立ち上がる際の唯一の接地面は足底だけになりますので床の材質も非常に大切な要因です。
主な材質は畳かフローリングになると思いますが、机や椅子を設置している家屋ではフローリングが多いと思います。
フローリングは滑りやすく起立動作が難しくなる特徴があります。
そのため、滑りにくい素材の滑り止めを足元に設置することで起立動作が容易になります。
滑り止めはホームセンターや100円ショップなどでも売っているため容易に手に入れる事ができ
購入後すぐに使用できるため効果を実感しやすいです。
靴の選定
次に靴の選定についてです。
靴は様々な種類がありますので個人に合わせた選定が必要になります。
具体的には「軽くてフィット感のある靴」です。
最近では高齢者向けの軽くて歩きやすい靴も販売されており
一般販売されている靴の中から合うものを探すよりも確実かつオススメです。
もし足の痛みが強く、歩くのもままならない状態であるなら
一度病院受診し足底版(靴の中に入れるクッション)を作成することも可能です。
足底版に関しては技師装具士によりオーダーメイドで作成することや、一般的に販売されているもの等様々な種類があります。
外反母趾の方や膝変形性関節症、偏平足がひどい方等は下肢全体や腰部への衝撃を緩和してくれるため長い目で見た際に作成をオススメします!
自宅で出来る簡単な起立動作のリハビリをチェック!!
起立介助のポイント・解説を説明してきましたのでここからは自宅で安全性を考慮して自宅であるもので可能なリハビリについて解説していきましょう!
非常に簡単でオススメできるリハビリですので是非訪問介護現場で実践してみてくださいね!
足の指の動きと筋力を良くするリハビリ
足の指の機能は起立動作だけではなく、歩行動作に関しても重要な要素となります。
起立動作時にはしっかり足の指を曲げて力を入れることで踏ん張る事ができ、起立が容易になります。
歩行動作においても足を蹴りだす動作時に足の指の機能が重要になります。
機能改善のためのリハビリとして有名なもので【タオルギャザー】という方法があります。
これはタオルを足の指で掴み、足の指の動きのみで手前に引っ張るという方法です。
画像①、②のように行います。
タオルギャザーはリハビリの現場でも良く活用されており、効果も検証されておりオススメの方法ですよ!
また、安全面を考えた際にも座った状態で可能であり、更にリハビリ未経験者が行っても同じ効果を期待出来るといった再現性も高い方法です。
更に更に、介助者が付きっきりで行う必要はなく自主トレーニングに近い形で導入しやすいため、リハビリのために時間を割く必要がありません。
ちなみに、中には足趾の変形や可動域制限により、タオルギャザーが困難な方もいると思いますが
そのような方にはお手玉等比較的掴みやすいもので代用する事も可能です。

タオルギャザーは
足の指(特に母趾)がしっかりと動いているのか
が何より大切ですよ!
またタオルだけでは簡単という方には、タオルの先端に500mlのペットボトルを置くことで更に効果的なリハビリを行う事も出来ます。
足関節の動きを良くするリハビリテーション
起立動作に関して上記でも説明していますが、膝を90°以上曲げることが大切になります。
膝関節を曲げるという事は同時に足関節を上に曲げる=つま先上げの動きも必要になります。
タオルギャザーの前後に
タオルの上に足を置いた状態で膝を曲げ伸ばしする事で自然と足関節背屈運動を促す事が出来ます。
ここでポイントになることが膝を曲げてくる時に踵が自然と浮いてくると思いますが
なるべく浮かないように曲げることが大切です。
また、しっかりと曲げて筋肉が伸びてきた状態で15秒程度止めるようにしましょう。

筋肉を伸ばすには少し時間がかかります。
なのでゆっくりと無理をしない様に行っていきましょうね!
まとめ
今回は、起立動作介助や自宅で出来るリハビリテーションについてまとめました。
起立介助のポイントはしっかりと意識することで大きく介助量減少に繋がりますし、介助される側にとっても楽かつ快適な感覚を得ることが出来ます。
さらに過介助を防止できることで残存機能を維持・改善することも可能です。
そして、今回紹介した起立動作のリハビリに関しても一部ですが、自宅にあるもので出来ますし、かつ安全性や再現性が高いものをご紹介しています。非常にオススメですよ!
リハビリは薬とは違いますので、すぐに効果が出るものではありません。しかし、長い目で見た際には必ず効果が出ますので【継続は力なり】です。
このページが介護に携わっている皆様にとって少しでも役立つ事や、介助方法に悩む方の一助になれば幸いです
最後までお読みいただきありがとうございました!