訪問介護現場で行う身体介護の一つ【更衣介助】は必須です。訪問介護のヘルパーとして働いていると必ず更衣介助に出くわします。
在宅で行う更衣介助には必要とされている技術があります。
今回は在宅での更衣介助について、疾患・障害別に詳しく解説します!
とりあえずこの記事を読んでから更衣介助をしてみてくださいね!
更衣介助のポイントをチェック!
訪問介護現場では身体介護の中で更衣の際に必要とされる技術はいくつかあります。
下記にまとめてみました。
- 季節にあわせて寒い冬は室温を上げる工夫をする、または寒くないようムダな動きを極力なくす
- 例えばオムツや紙パンツをはいている場合はムレやすいので皮膚にかぶれがないか?褥瘡はできていないか?など確認しながら交換
- 介助者の手の温度があまり低いと不快な思いをさせてしまうので温めておく
- 介助者が異性の場合羞恥心があると思うのでテキパキ行う
- 身体の痛みが出ないように配慮する
- 寝たきりなど運動機会の少ない利用者さんにはベッドの上でしっかり体位変換する
- 更衣後はにおいがこもりやすいので換気をする
- できるだけ安心してリラックスできるように声掛けする
など、プロとしてのスムーズな更衣介助と声掛けとの両方が必要ですよね。
更衣介助の具体的な手順から技術を学ぶ!
2つの例から具体的な更衣介助の手順から技術を学んでいきましょう!
右片麻痺で右上下肢は拘縮状態の方への更衣介助の場合
右片麻痺で拘縮が強い場合は右側に柔軟性がありません。
そのため衣服を脱衣する時は左半身を大きく動かすことがポイントとなります。
更衣介助手順~上半身~
- 新しいパジャマをベッドに用意しておきボタンも外す。
- まずは可能な範囲で体位変換をし右側臥位の状態に介助。(左半身が上になっている状態です。)
- ボタンを外し胸がしっかり開ける。
- 左肩にパジャマを大きく外し、肘~手まで脱衣。(これで左側が脱げました。)
- 体位変換し左側臥位の状態に。
- さっき左半身を脱いだパジャマを右側にひっぱり肩~肘~手と脱衣。(これで上半身は脱衣できました。)
- 次に、新しいパジャマを右手~肘~肩へと着衣。
- 再び右側臥位に体位変換し、左手~肘~肩を入れてから仰臥位に体位変換。
- ボタンをはめる。
上半身の更衣介助はこのように行います。上半身が完了したら次は下半身へ。
更衣介助手順~下半身~
- 次に、ベッドに仰向けになっている状態でできれば立膝の状態。(足が真っ直ぐな状態よりも立て膝のほうがスムーズに介助できるからです。)
- まずウエストのゴムを臀部の下げられるとこまで下げる。
- 立てておいたヒザを左右に大きく動かしてズボンを下げて脱衣。
- 利用者の介助をする前に、新しいズボンの足先から介助者の手を入れてズボンのウエストの部位までズボンに手を通す。
- 通した手で利用者様の足先を掴んで足首までズボンを通す。
- 反対側の足も同様に。
- 両足首までスボンがはけたら膝を立てて上げられるところまでズボンを上げる。
- ヒザを左右に大きく倒しながらズボンのウエストゴムをお腹まで上げる。
- もう1度体位変換するか、膝を左右に大きく動かすかして背中のシワがないようにきれいにパジャマを整える。
〈まとめ〉
右半身麻痺の方の更衣介助では、脱衣するほうは麻痺のない左手からはじめます。反対に着衣介助では麻痺のある右手からはじめます。
今回は素早く行う手順でしたので、脱衣しながら同時に着衣もできる方法をあげました。
では次の例も見ていきましょう!
大きな麻痺はないが筋力があまりない方への更衣介助の場合
次はこの例から考えていきます。
糖尿病と褥瘡で皮膚の摩擦やちょっとした刺激で傷つきやすくなっています。
できるだけ本人の力も使いながら皮膚に刺激のすくないように更衣するのがポイントとなります。
~更衣介助手順~
- ベッド上で腕を動かしてもらい、脱ぎやすいほうの腕からパジャマを脱衣。
- 上半身の脱衣介助ができたら次は着衣介助。用意しておいたTシャツに両手を通してもらい腕の付け根まで袖を通す。
- Tシャツを引っ張って頭を入れる。
- 体位変換介助し、側臥位を保持してもらっている際に背中のシワがないように伸ばす。
- ベッド上で仰臥位になってもらい、立膝をする。
- 臀部の褥瘡を摩擦しないようにお尻を上げてもらいパジャマのズボンを下ろす。
- お尻を戻してもらったら、パジャマの足先まで脱いでもらって脱衣。
- 今度は着衣介助。踵が擦れないように足先を浮かせて動かしてもらい両足にズボンをはく介助。
- 膝上まで上げたらベッド端座位から立位保持してもらい、ズボンを腰まで上げて着衣介助。(ここでシワがないように切れているか確認)
〈まとめ〉
糖尿病で褥瘡のできやすい方の場合、皮膚をちょっとでも無理に引っ張ると簡単に皮膚がめくれて深い傷ができることがあります。
一度傷ついてしまうと健康な人の皮膚より治りが非常に悪いのでなかなか治りにくいです。できるだけ摩擦は避けたいところです。
まだ本人に残存機能が残されているなら、その力を普段の生活の中でできるだけ使うようにきっかけを作り、筋力をこれ以上落とさないように配慮します。
短時間でも日々使っていると維持されるもので、使わないとあっという間に筋力は落ちてしまうので。
また、褥瘡も動いていないと表層よりも深くなっていることがあるので、こまめな体位変換は大切になってきます。
最後に
今回は訪問介護現場での更衣介助で必要な技術を事例を用いて解説しました!
更衣介助の技術は利用者にとって上手い下手がすぐにわかる所でもあります。「あのヘルパーさんに着替えさせてもらったらいつも無理やりで痛い・・・」
なんて言われることもあります。
今回の記事が技術向上のための力になれば幸いです。