訪問介護で最もしてはいけない事の一つに「ケア抜け」があります。
訪問先に穴をあけてしまうことは
利用者様との信頼関係はもちろんですが
日常生活ができなくなってしまう恐れがあり命に関わることもあるのであってはならないことです。
今回は私の経験から実例をもとに解説していきます!
実例から学ぶ「ケア抜け」の対策方法
でも、ヘルパーだって完璧ではありませんから予定を間違えていることもあるでしょう。
ヘルパーが訪問先の予定日時に行けなかった例をあげてみます。
スケジュール変更の確認ミスから「ケア抜け」が起こったAさんのケース
Aさん
- 75歳女性
- 5年前に脳梗塞をしており要介護4
- 夫80歳と高齢なためおむつ交換の負担を減らすためバルーンで排尿ケア
- 認知症はなく会話も可能
- 介助すればベッドサイドのポータブルトイレで排便可能
- 息子は40歳でトラック運転手
- 夫は妻と会話することや食事などのコミュニケーションは好むが、身体介護を自分がすることは極力したくない
- 実費になってでもヘルパーに来てもらいたい
訪問介護サービス内容
ある時、訪問スケジュールに変更が重なり、もともと入っていたAさんの利用枠がすっぽり消えていた?!
常に夫が自宅にいるが、身体介護に関わることを夫には求められないので、ヘルパーがサービスに入れないと本人の介護は誰もしていない状況です。
ある時、訪問スケジュールに変更が重なり、もともと入っていたAさんの利用枠がすっぽり消えて印刷されてしまったのです。
いつも入っているヘルパーは「いつもこの曜日に行くのに今回は他の誰かが入るんだろうな」と思い、それ以上は追求しなかったようです。
サービスに入っているはずの時間に、本当なら開始のワンコールが入るはずが入らず。
普段ならそこで携帯をチェックする人が気づくのですが、たまたま事務所に来客があり確認できず。
30分後夫から電話があり「サービスに誰も来ないからどうなっているんだ!」とクレームが入る。
サービス提供責任者が駆けつけて謝り、すぐにサービスを実施。
しばらくAさんの家庭からは、不信感で「他の事業所に変えるぞ」と言われてしまいました。
1時間後に駆けつけたので命にかかわることではありませんでしたが、あってはならないことです。
なぜAさんの訪問にケア抜けが起こったのか?から対策を考える
Aさんの訪問になぜ穴があいてしまったのか?4つ考えられることがあります。
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度重なるスケジュール変更の際の確認ミス。1人だけでなく2人で変更前と後でチェックすべきだった。
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変更スケジュールを渡す際、ヘルパーに変更箇所を口頭で極力伝える。
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いつも入っているヘルパーが「いつもと違うな」と感じたら、確認すべきだった。
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ワンコールは必ず誰かがチェックするように決める。席を外す時は誰かに託す。
このAさんのようなケースはよく起こるケースです。このような場合はこの4つを守ることが大事です。
「ケア抜け」で食事の確保ができず家族の不信感をかってしまったBさんのケース
Bさん
- 60歳女性
- 糖尿病による緑内障で視力はほとんど失われており明るさ程度ならわかる状態
- 腎臓不全のキャリアあり年齢はまだ若いが立ち上がりに保持が必要で、歩行も伝い歩き
- 外出は1人では不可能で家事や料理もできない状態。デイサービスなどの利用がなく、自宅にずっといる状態
- 家族構成は、父子家庭である息子の家に本人が同居している状態で介護や料理を作る余裕がない
訪問介護サービス内容
「病院から帰るのが遅くなるから時間に家に戻れない」と利用者本人から連絡が・・・
昼の訪問介護時間は12時~13時でしたが、30分前にヘルパーステーションにBさん本人より「病院から帰るのが遅くなるから時間に家に戻れない」との連絡を受けました。
このとき担当予定だったヘルパーは
「家にサービス時間にいないなら、今日はキャンセルということだな」と解釈。
深く考えず、ケアマネージャーやサービス提供責任者にも特に報告しませんでした。
夕方になって利用者様の息子さんより電話が入り「母親は昼食を食べていないようだがどうなっているのか?」と言われました。
それから急いで本人宅に昼食を届けに行きましたが、本人もお腹がすいたままどうすることもできない状態で、息子さんからの不信感も買ってしまいました。
Bさんの食事を確保するためにこの「ケア抜け」は何が問題だったのか?から対策を考える
食事を確保するために何が問題だったのでしょうか?7つ考えられることがあります。
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本人から連絡があった時、お昼ごはんを利用者様が自分で病院帰りに準備できるのか?と考えるべきだった。
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息子や孫は日中家にいないので、本人は誰かに助けてもらえないと食事が取れない状態となることは想定できる。
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利用者様がどこまで自己判断できて、電話でその内容を伝えられるのか?と考えるべきだった。
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イレギュラーなことがあったら、上司、責任者に報連相すべきでは?
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サービスに入る前と、サービスに入った後に携帯でワンコールして切る、ということが実施されていたが、時間にサービスに入ったかを都度誰が確認するのか?
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ある程度サービスの内容はわかるにしても利用者の生活背景までは把握できないと想定する。
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担当のヘルパーが利用者の生活を支えているという責任感を持つ必要があった。
このように「ケア抜け」に対して何が問題だったのかを考え対策を積み重ねていくことで「ケア抜け」は防ぐことができます。
まとめ
訪問先に穴をあけないことは、「当たり前のことを当たり前にすること」です。
ケア抜けは
「誰かがやっているから」
「事務員から言われたから」
「報告するほどでもないか」
という、責任感の欠如から
「変更が重なる」
「イレギュラーなことがおきる」
「みんながバタバタしている」
時に限っておこります。
命をみんなで支えているとう思いが大切ですね!