独身女性ヘルパーや男性ヘルパー特有の悩みがあります。
それは、孫や子供をお見合いさせたがる利用者です。
ヘルパーを気に入ってもらえることは有り難いのですが、利用者が本気で動き始めると対応に困りますよね。
独身女性・男性ヘルパー特有の悩み「子供をお見合いさせたがる利用者」の事例

利用者Aさん
- 68歳男性
- 脳梗塞後遺症
- 自力歩行可能だが半身空間無視のため物にぶつかるなど怪我や転倒が多い状態 妻と息子3人の生活
- もともと大きな会社の経営者で、現在は一人息子が代表をしている
- 自宅にはヘルパーの他、家政婦さんも雇っている
ヘルパーBが、週3回訪問介護で料理などの支援をしている。
ヘルパーBは32歳 女性 独身 おとなしい性格で自己主張できずに利用者さんのペースに巻き込まれるタイプ 決して先回りして仕事ができるわけではないがお年寄りによく可愛がられる
いつもヘルパーBが訪問すると、利用者Aさんはもちろん、妻もよく話題をふって可愛がってくれる状況です。
他のヘルパーが訪問した時は殆ど会話をふることはなく、好き嫌いがはっきりしている。
ある時から、利用者Aさんから独身の息子の話が出るようになった。「奥手でなかなか良い縁が見つからないのでヘルパーBさんにはどうか?」「Bさんに恋人はいるのか?」などと聞かれるようになった。
ヘルパーBは「恋人なんていません」と恥ずかしそうにやっと答えただけで、続きの家事援助をしていた。
それから、訪問するたびにヘルパーBの家庭の状況などを質問してくるようになり、Aさんの妻も一緒に会話に入ってくるようになった。
ヘルパーBは素直な性格なので、聞かれたままに「一人っ子で両親と暮らしている」「自分があとを見ないといけない」などと真面目に答えていた。
また、他のヘルパーが訪問した歳にも「ヘルパーBさんってどんな人?」「彼氏はいるのかな?」「住まいや学校は?」などとBさんの個人的なことを聞かれたので、つい他のヘルパーが答えてしまっていた。
1ヶ月ほどたったころ、ヘルパーステーションにAさんの妻から電話が入った。内容は「ヘルパーBさんと息子をお見合いさせたいと思っている。Bさんが一人っ子で親の面倒を見ることもかまわない。とってもいい子で気に入っているので息子の嫁にしたい」とかなり本気の内容でした。
電話を受けた管理者はびっくりして、ヘルパーBにも確認したかったのでその場は「本人から何も聞いていないので状況がわかりません」と電話を切った。
ヘルパーBとヘルパーステーションで話したところ、一方的にお見合いの話しをもちかけてきて、毎回言われるので困っていたということだった。
よく聞くと、はっきり断ることもなく、質問されるままに本人の家族構成など個人的なことまで詳しくしゃべった後だった。そ
れから本人より「実は付き合っている人がいて、将来結婚を考えている」と話しがあり。利用者様には恥ずかしくて「恋人はいない」と言ってしまったようです。
利用者Aさんはすっかり乗り気になっているので、気分を害さないようにお断りするしかない。
利用者AさんがBさんに期待しないように、断る理由を話し合って決めた。
その後、管理者がAさんの妻に折り返し電話をし、ヘルパーBの現状を伝えたうえで「曖昧にしてしまって申し訳なかった」と謝りました。
ヘルパーBはその後もサービスに入ったが、Aさんも妻も悪気はないがあまり話しかけてくれなくなったようです。
お見合い話しの前のようにはいかなくなり、行きづらい訪問先となってしまいました。
まず、なぜ利用者が本気でお見合いを設定しようとするまでになってしまったか?
- 恋人がいるのか聞かれた時に嘘で「恋人はいない」と言ってしまった
- 家族構成など聞かれた時に真面目に答えすぎた
- 他のヘルパーが聞かれた時、ヘルパーBのことをしゃべってしまった
- 最初にお見合いの話をもちかけられた時、管理者に相談すべきだった
この4点に問題があったようです。
では、期待させず気分を悪くしないで済む方法はどんなことがあるかというと・・・
- 恋人がいるかどうか、プライバシーのことなので正直に答える必要はありません。しかし、相手がいると言ったほうが、利用者も期待しないですみます
- 家庭環境を聞かれた時にも、全て事実を答える必要はありませんが「両親から一人っ子だけは絶対駄目と言われている」、「結婚する気はない」、「結婚相手はもう決まっている」などと傷つけない嘘も必要です
- サービスに入っている自分以外のヘルパーの個人的なことは、知っていても正直に話すのはタブーです
- 訪問先で困って自分で解決できないことは、上司に相談したり他のヘルパーにも共有する
このように、利用者へのサービスを1番に考えて、サービスと関係ないところでギクシャクしないように配慮することも大切です。
まとめ
独身女性ヘルパー、男性ヘルパー特有の悩み「孫や子供をお見合いさせたがる利用者」への対応事例を解説しました。
今回のようなことは、訪問介護経験がないと咄嗟には答えに困ることがしばしばあります。
1人で在宅へ訪問するヘルパーが困らないように、勉強会などであらかじめおこりやすいトラブルとして共有しておくべきでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!