訪問介護ではヘルパーと利用者が仲良くなってくると、「今度ご飯食べに行こう!」と誘われ困る事がありますよね。
声をかけてもらえること自体は、ヘルパーを気に入ってくれているという事なので嬉しいことではありますが。
またヘルパーの中には利用者と一緒にご飯を食べに行ったり、出かけたり、お茶をすることぐらい簡単にできると思ってしまっているヘルパーもいます。
気をつけなければならないのは、「介護保険や障害区分を使って訪問介護を利用している」利用者宅に、支援に行っているということです。

そこで今回のテーマは
- 利用者から「今度ごはん食べに行こう!」と誘われた時の対処法を事例から学ぶ
です!実際にあった事例なので新人ヘルパーさんは特に参考にしてみてくださいね!
ヘルパーが悩みがちな「利用者から食事に誘われた・・・」への対応方法を事例から学ぶ
ヘルパーさんがどのように断ったら良いのか悩みがちな「利用者からの誘い」についての事例を見ていきましょう!

利用者A
- 男性70歳
- 独居生活
- 糖尿病あり、インスリン注射をしている
- 人工透析患者でもある
- ヘルパーとの会話の中で、近くにコロッケの美味しい店があることを知り、Aさんはすごく食べたくなってしまった。

ヘルパーB
- 女性30歳
- よく家族や友人とコロッケのお店に食事に行っており、Aさんにコロッケの話題を提供した本人。
ある日ヘルパーBはいつも通り利用者Aさん宅に訪問していました。
ヘルパーBとAさんの会話の中で、食べるものについて話題になった時、近くにコロッケの美味しい店があることを知ったAさんはすごく食べたくなってしまいました。
Bさん、そのコロッケ食べたくなったから今度一緒にコロッケ食べに行こう!連れていってくれたらおごるから!
会社から利用者さんと個人的に会って出かけることは禁止されているんです。
そんなことは黙っていたらわからないじゃないか、わしも黙っておくから内緒でいこう!
Aさん、ご病気があるから揚げ物とかだめでしたよね
わしだってたまには好きなもん食べたい・・・ちょっと1個食べるくらい大丈夫だ!
ごめんなさい、行きたい気持ちはあるけど、何かあったら責任問題だし・・・
それならコロッケだけお金渡すから買ってきてくれ
介護計画に買い物を予定していないので、計画にないことはできないんです、ごめんなさい・・・
そんなもん黙って来る途中買ってきてくれればばれないだろうに・・・
このような利用者Aさんからの要望に対してのヘルパーBさんの応対がありました。
利用者Bさんは少し不満げですね。
結局この後、ヘルパーBが今度家事援助で料理をするので揚げないコロッケを作ってみることを提案し、なんとかおさめることができました。
ヘルパーBの発言に問題点と、良い点をまとめると・・・
問題があった点
- Aさんに糖尿病があり、透析患者であることをよくわかっていたらコロッケの話題は出さないほうが良かった。
- 「ご病気があるから揚げ物とかだめでしたよね」という内容は間違っていませんが、コロッケを食べたい気持ちがピークになっている時に言っても、伝わりにくい。
- 介護計画を持ち出すタイミングは、もう少し落ち着いてからがベスト。
良かった点
- 「会社から利用者様と個人的に会って出かけることは禁止されているんです」と言った
- 「行きたい気持ちはあるけど、何かあったら責任問題だし」と言った
- 今度家事援助で料理をするので揚げないコロッケを作ってみることを提案したこと
Aさんの心情を考慮したもっと良い伝え方があったのではないでしょうか?
糖尿病や透析で食事制限をされている利用者様は、普段から我慢をたくさんしています。
時には誰かと外食をして羽目を外したいものです。
Aさんに伝えるべきポイントとして、真っ向から否定しないことが大切です。
まず、コロッケを一緒に食べに行きたい気持ちや、コロッケを買って来てほしい気持ちに共感することです。
下記の4項目を参考にしてみてくださいね!
- Aさんとプライベートで食事に行くことで怪我をさせてしまったり、体調の悪化などがあってはいけない。だから会社から止められている。それは利用者様を守るためにある決まり。
- 一緒に行きたい気持ちはあるけど、何かあったとき責任を問われてしまう。仕事ができなくなってしまい、結局Aさん宅へも訪問できなくなる。ヘルパーもAさんに訪問できないとそれは困る。
- 外食したい、コロッケが食べたい気持ちはよくわかる。コロッケは家で油を使わず工夫して作りましょう。と、違う楽しみを提案する。
- もし外出したいのなら、サービス提供の計画に外出介助を入れられるかケアマネさんに相談してみましょう。と気分転換も考慮する。
まとめ
このように「一緒にカラオケに行こう」「お酒飲みに行こう」「コーヒー飲みに行こう」など、内容は違っても利用者から誘われることは本当に良くある話です。
ヘルパーの中には気にせずコロッケを買って行ったり、一緒に外出するヘルパーもいると思います。
しかし、プロとして個人的に出かけることはタブーですし、リスクしかありません。
その背景には、どんな思いがあるのかをくみ取ることがヘルパーの仕事でもあります。
サービスの計画書は、あくまで計画であり、介護保険に基づいてできることもたくさんあります。本来の計画を少し変更して、利用者様の困っていることを解消できるきっかけになるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました!少しでも参考になれば幸いです。