訪問介護の知っておくべき運営基準とは?違反した場合の指導事例も紹介。

 

介護保険事業所を運営するには、それぞれの事業所の形態に定められた運営基準を守るのは絶対です。

新しく事業を始める人や、既に運営に関わっている人は運営基準を把握する必要がありますが、現職のヘルパーも把握しておく必要があります。

なぜなら、運営基準の中には直接ヘルパーに関わる内容もあり、運営基準を知らなかったために行政から指導を受ける可能性もあるからです。

 

そこで今回は・・・

 

定められている運営基準の項目

運営基準違反のした場合の指導事例

 

を解説していきます!ぜひ参考にしてみてください。

 

 

本記事の信頼性
  • 介護業界11年目のちょいベテランで現役の管理者兼サービス提供責任者が執筆しています。
  • 保有資格:ヘルパー2級、基礎研修、社会福祉士、同行援護、全身性ガイドヘルパー、ほか
  • 制度などの解説記事は「厚生労働省の一次情報」をもとにしています。

 

訪問介護の運営基準の各項目をチェック!

 

まずは訪問介護ではどのような運営基準が定められているのかを把握していきましょう。

保険者によって運営基準が異なることもあるので、注意をしてください。

 

①内容及び手続の説明及び同意

サービス開始前に利用者または家族に対し、運営規定の概要、重要事項を記した文書を交付して説明を行い、同意を得なければいけません。

同意は書面(契約書等)で行うことが望ましいとされています。

 

②提供拒否の禁止

正当な理由なくサービスの提供を拒んではいけません。

正当な理由としては、以下の2点です。

  1. 事業所の現員では、利用申込に応じきれない場合
  2. 利用申込者の居住地が通常の事業の実施地域外であり、適切なサービスが提供することが困難な場合

 

要介護度や所得の多寡を理由に拒むことは禁じられているので注意しましょう。

 

③サービス提供困難時の対応

サービス提供が困難であると認めた場合は、居宅介護支援事業者への連絡、他の訪問介護を紹介するなどの必要な措置を講じなければなりません。

 

④受給資格等の確認

利用申込者の介護保険被保険者証にて要介護度、認定の有効期間を確認し、認定審査会の意見が記載されている場合は配慮しなければなりません。

 

⑤要介護認定の申請に係る援助

要介護認定を受けていない者から利用申込があった場合は、状況を確認して申請等の必要な援助を行わなければなりません。

 

⑥心身の状況等の把握

ケアマネージャーが開催する担当者会議にて、利用者の心身の状況や置かれている環境、保険医療または福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければなりません。

 

⑦居宅介護支援事業者等との連携

サービスを提供するにあたっては、居宅介護支援事業者等と密接な連携に努めなければなりません。

 

⑧居宅サービス計画に沿ったサービスの提供

居宅サービス計画に沿ったサービスを提供し、計画に基づかない場合は、原則として介護報酬を算定することができません。

 

⑨居宅サービス計画の変更の援助

利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合は、連絡等の必要な援助を行わなければなりません。

 

➉身分を証する書類の携行

自宅へ訪問する際は身分を証する書類(事業所名と氏名が記載された名札)を携行し、利用者や家族から求められたときは提示するように指導しなければなりません。

 

⑪サービス提供の記録

サービスを提供した際には、提供した具体的なサービス内容を記録しなければなりません。

記録は介護報酬請求の根拠になる書類なため、とても大切です。

身体介護、生活援助の区分も必ず正しく記載してください。

 

⑫利用料等の受領

利用者負担として、1~3割の支払いを受けますが、利用者負担を免除することは、指定の取り消しにも繋がる基準違反になるので注意してください。

サービス提供の費用について領収書を交付しなければなりませんが、1~3割負担分とその他費用の額を区分して記載する必要があります。

 

⑬保険給付の請求のための証明書の交付

償還払いでの支払いは、提供したサービスの内容と費用、その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければなりません。

 

⑭訪問介護計画の作成

居宅サービス計画に沿って作成し、必ず具体的なサービス内容を位置づけ、サービスを行うのに要する標準的な時間を設定してください。訪問介護費は、訪問介護計画に明記された所要時間で算定するので、しっかりと把握しておきましょう。

 

⑮家族に対するサービス提供の禁止

ヘルパー等に、その家族である利用者に対するサービスの提供をさせてはなりません。

また、同居している家族のほか、同居していない二親等以内の親族のサービス提供も禁止となっています。

 

⑯利用者に関する市町村への通知

利用者が以下に該当する場合は市区町村に通知しなければなりません。

  1. 正当な理由なしにサービスの利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態の程度を増進させたと認められるとき
  2. 偽りその他不正の行為によって保険給付を受け、または受けようとしたとき

 

⑰緊急時等の対応

サービス提供時に利用者に病状の急変が生じた場合は、速やかに主治医へ連絡を行う等の必要な措置を講じなければなりません。

そのため、ヘルパーが主治医の連絡先を把握していることや、連絡方法のルールを決めておく必要があります。

 

 

運営基準の中には「➉身分を証する書類の携行」や「⑪サービス提供の記録」など、現職のヘルパーにも大きく関わる内容があるのでしっかりと把握しておきましょう!

 

運営基準を守らないと指導や指定取消処分も・・・

レットカード

 

 

運営基準を守らないと行政からの指導を受けたり、事業の指定取消処分になったりすることもあります。

指定取消処分は過去のケースをみると虚偽の届出や不正請求など悪質な場合に下されていますが、指導を受けてもなお運営基準の違反が続き、悪質と判断されると指定取消処分になることもあるので気を付けなければなりません。

 

実際にあった運営基準違反の指導事例をチェック!

 

ここでは、実際にあった指導事例の一部を紹介、それらを理解した上で運営基準を守ることができるように努めましょう!

 

「内容及び手続の説明及び同意」の指導事例

例)契約書しか作成されておらず、重要事項説明書を作成していなかった。

例)重要事項説明書を交付していなかった。(交付したことが記録等から確認できなかった)

 

契約書だけではなく、重要事項説明書が必要なことが理解できます。

重要事項説明書も交付したことがわかるように署名または記名と押印をもらいましょう。

 

 

「居宅介護支援事業者との連携」の指導事例

例)ケアマネージャーへ連絡しないまま、訪問介護事業所がサービス提供を開始する時間を居宅サービス計画に位置付けられていない時間へ変更していた。

 

連携という言葉は幅広くてわかりにくいかもしれませんが、この指導事例の場合は連絡を怠ったことと、居宅サービス計画に沿った計画を行えていない点で問題があると言えます。

 

 

「サービス提供の記録」の指導事例

例)サービス提供記録に実際のサービス提供時間ではなく、ケアマネージャーが作成した居宅サービス計画に記載された時間を記載。勤務していない時間にサービスを提供したように記録されていた。

例)身体介護1生活援助1のプランだったが、サービス提供記録は生活援助のみの記載であった。

 

正しい記録が本当に大切であることを痛感する事例かと思います。

記録に不備がある場合は、報酬返還になる可能性もあるので、訪問介護に携わる職員全員で意識する必要があると言えます。

 

 

「訪問介護計画の作成」の指導事例

例)訪問介護計画を作成しないまま、訪問介護を提供していた。

例)ケアマネージャーが作成する居宅サービス計画が変更になったにも関わらず、訪問介護計画の見直し・更新がされておらず、訪問介護計画が居宅サービス計画に則した内容になっていなかった。

例)訪問介護計画を利用者に説明していなかった。(説明したことが記録により確認できなかった。)

例)訪問介護計画の同意を得ていなかった。(同意を得たことが記録により確認できなかった。)

例)訪問介護計画を利用者に交付していなかった。(交付したことが記録により確認できなかった。)

 

訪問介護計画を作成しないというのは言語道断ですが、説明や同意、交付に関しては「記録により確認できなかった」という一文が記録の大切さを物語っています。

訪問介護計画を説明、同意、交付した証拠として署名捺印をいただいたことを記録し、一部を控えとして残しておきましょう。

 

 

指導事例からみる記録の大切さ

 

いくつかの指導事例を紹介しましたが、ほぼすべてに共通して言えることは、

「運営基準を守り、証拠として記録する」ということです。

運営基準を守っていたとしても、それを記録に残しておかなければなりません。

実地指導や監査のときに証拠として記録を差し出す必要があるので、正しく運営をして正しく記録をしましょう。

 

指導を改善して指定取消処分を防ぐ

本来であれば指導を受けることなく運営基準を守っての運営ができることが理想ですが、時には指導を受けてしまうこともあるかもしれません。

その際は指導を受けたことを受け止め、しっかりと改善をしていきましょう。

運営基準を日ごろから全員で把握しておくことが大切です。

 

まとめ

今回は訪問介護の運営基準について解説しました。

場合によっては指導や指定の取り消しになることも考えられるので、運営基準を把握し正しく事業を運営できるように全員で心掛ける必要があります。

 

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