訪問介護で支援する利用者には様々な人がいます。
中には理不尽な要求をする人や粗暴な人がいて、苦労されているヘルパーもいるかもしれません。
いくら福祉・介護の仕事をしているとはいえ、あまりにも酷い扱いを受けたら

もうサービスを中止したい・・・
と考えるのも当然かと思います。

理由は様々かと思いますが、今回は既に訪問介護を利用されている人のサービスを中止するときに知っておきたいことを解説していきます!ぜひ参考にしてみてください。
訪問介護を含めた介護保険サービスは「提供拒否の禁止」が定められている
まず知っておきたいこととして、介護保険サービスには「提供拒否の禁止」が定められています。
そのため簡単に訪問介護サービスを中止することはできないことになっています。
全文を確認してみると、
(提供拒否の禁止)
第九条 指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない。
このように記載されています。
では、「正当な理由」とはどのような状況を言うのでしょうか?
厚生労働省の示す「正当な理由」は3つ
サービスの提供拒否、つまりサービスを中止するための「正当な理由」として、厚生労働省は以下の3つを明示しています。
- 事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合
- 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の実施地域外である場合
- その他利用申込者に対し自ら適切なサービスを提供することができない場合
1と2は利用を中止というよりは新規契約時に断る場合の理由になるかと思います。
3に関しては契約をされて利用している人のサービスを中止する場合にも理由となりますが、非常に曖昧な書き方で、具体的にどのような状況なのかがわかりにくいです。
訪問介護サービスの中止をする際は行政に直接確認をするのが確実
上記の通り「正当な理由」というのは非常に曖昧な書き方をされているため、行政に直接確認をするのが間違いないです。
というのも、「正当な理由」になるには利用者の状況や環境の影響が大きく関わっており、それらを細かく要件として明示するのは現実的ではありません。
例えば、利用者がヘルパーに対して暴力行為が続いているため、適切なサービスを提供できないと判断し、サービスの中止を検討した場合を仮定すると
- そもそも利用者は暴力行為を行っているという自覚はあるのか。
- 反社会的行動に対する判断能力はあるのか。
- 認知症や精神疾患の有無、有った場合の受診等の対応の可否。
- 暴力行為の内容。
- ヘルパーが受けた被害の大きさ。
- 暴力行為が続いている期間
…などなど。
一つのケースで考えてみても「正当な理由」として該当するのかどうなのか様々な観点で判断する必要があり、これらを一つひとつ要件として明示するのは難しいというのは理解できるかと思います。
そのため、ケースとして行政に相談し、確認することが確実であると言えます。
詳細な記録がカギになる
行政に直接確認する場合、記録をもとに事実確認を行う可能性があり、その場合は詳細な記録がカギになります。
先ほどの暴力を再度例に挙げますが、
もしも行政に相談する場合、①②どちらの記録の方が「正当な理由」として認められる可能性が高いでしょうか。
もちろんこれは例なので、実際にこれが「正当な理由」として認められるかはわかりません。
が、判断をする行政も簡単に認めるとは考えられないため、事業所は如何に適切なサービスを提供できないのかを伝える必要があり、そのためにも記録は大切になります。
サービス中止は居宅介護支援事業所や地域包括支援センターと検討する
訪問介護を利用している以上、ほとんどの場合で居宅介護支援事業所のケアマネジャーか、要支援の場合は地域包括支援センターの担当者がついていると思います。
まずはサービスを中止したい旨と「正当な理由」にあたると思われる要因を伝えましょう。

ここを飛ばしていきなり行政へ相談・確認をしてしまうと、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターとの関係性に影響が出てしまう恐れがあるので、まずは伝えて検討しましょう!
まとめ
今回は訪問介護サービスを中止する際に知っておきたいことを解説しました。
一度契約をした後にサービスを中止する場合、「提供拒否の禁止」があるため簡単にはいきません。
まずは「正当な理由」として厚生労働省が明示している内容を確認しましょう。
具体的にサービスの中止を検討せざるを得ない場合は、詳細な記録を基に行政へ確認することが確実です。
ただし、現在担当している居宅介護支援事業所のケアマネージャーや地域包括支援センターの担当者へまずは報告し、一緒に検討するところから始めることをお勧めします。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。