訪問介護を含めた、介護保険サービスにおいて「割引」は可能なのか、あまり考えることはないですよね。
「介護保険の報酬は、国からもらうものなんだから割引なんてあるはずない」と思うかもしれません。

そこで、今回は訪問介護の「割引」についてわかりやすく説明していきます。
そもそも訪問介護は「割引」できるのか?
結論からいうと、割引はできます。
ですが、適用方法や条件などは一律決まっておりますので、事業所独自に割引率を設定することはできません。
各介護保険サービスの単位数は介護保険制度上で決まっていますが、この単位に対する100分率による割引率を設定します。(誤差がでないようにするためです)
利用者は割引いた単位を、他のサービスに回すことなどが可能となってきますが、
事業所側のメリットとすれば、「ヘルパー稼働が少ない時間帯(日中帯14時〜16時)」などを割引してサービスが提供可能など、外部に周知することが可能となります。
注意点として、「身体介助を割引する」「特定の利用者さんを対象に割引する」などはできず、時間帯、曜日、暦日などを指定して割引率を適用する、という流れになります。
詳しくは下記に厚生労働省の資料を添付してますので良かったら見てくださいね。
厚生労働省「指定居宅サービス事業者等による介護給付費の割引の取扱いについて」
訪問介護の割引率を設定するためには手順が必要
正直な話、訪問介護を含む介護保険の割引を設定している事業所はほとんどありません。
なぜなら、それ以上に手間がかかってしまうからです。
①自治体に必要書類を提出し、運営規定も変更をする必要がある
介護保険報酬に関わることなので、各自治体に必要書類を提出する必要があります。
割引率を適用させる「時間帯、曜日、暦日」を記載し、自治体によっては理由や変更した運営規程などを添付した状態で提出を求められます。
②WAMNETで情報の変更を行う
「WAMNET」とは全国のサービス事業者の情報が記載されているサイトですが、このWAMNETに割引率の設定を反映させなければなりません。
介護保険サービスが「どこに事業所があるのか」「どういったサービスなのか」を気軽にネットで検索ができる時代なので、適切な情報を忘れずに更新反映をさせる必要があります。
③地域のケアマネジャーなどに周知をしなければならない。
訪問介護の実績は、各事業所が利用者の担当ケアマネジャーに報告をして、ケアマネジャーが給付管理をします。
そのため割引率を適用するということは、訪問介護の実績単位数も変わってきますので、必ず報告が必要です。
一律に定められている単位数なので、割引率を設定した事業所に関しては、わざわざ確認をしなければならない手間が、担当ケアマネジャーにもでてきてしまいます。
割引率を適用されることは、一見良いことと捉えられるかもしれませんが、割引された単位数もわずかな違いにしかならないので、ケアマネジャーと訪問介護事業所の双方にそれ以上の手間と労力が必要になってしまいます。
利用者からの一方的な割引の要求は、対応できない
訪問介護において、利用者に対して「期待したサービスが提供されなかった」場合や、「訪問介護事業所に不手際が発生」した場合に、利用者から「その分安くしてくれ」または「ただにしろ」など、過度な要求を求められる場合があります。
が、こういった場合は介護保険料の割引を、事業所で定めて対応することはできません。
利用者が納得されなかった場合は、法人としてどう対応するか検討し解決ができなければ、担当ケアマネジャーや自治体などに報告して、対応方法を求めるようにしましょう。
独自に単位数を変えてしまうと、そのサービス自体、算定の実績にならず返戻になってしまいます。
まとめ
訪問介護には、条件が合えば「割引」を設定できることがわかりました。
ですが、それ以上の手間がかかることや、採算はあまり見込めないので、「介護保険サービスでも割引ができる」ということを知識のひとつとして抑えておきましょう。
今後は介護保険サービスを使う高齢者も増えてきます。この「割引」に関しても、何らかの改訂がある可能性もありますので、動向をみていきしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。