訪問介護事業所で働くサービス提供責任者は、日々利用者を始め、ヘルパーやケアマネジャー(以下ケアマネ)とやりとりを行いますが、なかには利用者の担当ケアマネから「無理な要求」をされることも少なくないですよね。
例えば・・
- 「利用者の宝くじを買ってきてもらえないかと言われた・・・」
- 「いつも時間ギリギリで生活援助サービスを行っているけど、追加で買い物にも行って欲しいと言われた・・・」
- 「外の草がすごいからと草むしりを依頼された・・・」
などなど、サービス提供責任者ならそれぞれが思い当たる無理な要求があると思います。
訪問介護事業所としての、コンプライアンスの問題や利用者へのサービス提供時間を考えて、明らかに厳しい場合などがあります。

そこで今回は、
- なぜケアマネから無理な要求が起きてしまうのか?
- 無理な要求への対応方法
を解説していきます!ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネはなぜ、訪問介護に無理な要求をするのか?
無理だとわかっていて、訪問介護にわざと意地悪をしようなんてケアマネはそういません。
しかし訪問介護側からすると無理な要求をされているように感じます。
なぜそのようなことが起こってしまうのか、ケアマネの現状などを知ったうえで、理解する意識を持ちましょう。
ケアマネがそもそも、訪問介護を「理解していない」パターン
いわゆる訪問介護「未経験者」です。多種多様な介護サービスがあるなかで、在宅支援のサービスを経験したことがないまま、居宅のケアマネとして働く人も多いです。
「あのケアマネが全然わかっていない!」と見限るのではなく、丁寧に提案をする意識で、対応しましょう。
ケアマネの利用者に尽くしてあげたいという「想いが強い」パターン
利用者を大切に支援していきたいという想いが強いばかりに、制度上ダメだとわかっていても、「少しくらいなら大丈夫」と、お願いをしてくるケアマネもいます。
やはり、まずは共感をすることと、本当に要求されたサービスが必要なのであれば、なんとか要求に近い形でできることはないか、など一緒に考えること、地域の資源(インフォーマル)を活用できないかなど、事前に地域の情報収集をしておくことも大切です。
利用者側からの「要求が強い」または「切羽詰まっている」パターン
利用者側からの要求、または利用者の生活が切羽詰まっている状況など、どうしても対応して欲しいということもあります。
そういった場合は、「小規模多機能」や「定期巡回」など、別のサービスを提案してみるということもありです。
ただ、小規模多機能などはケアマネも変更しなければならないので、状況によって、慎重に提案する必要があります。
ケアマネから無理な要求がきてしまった際の対応方法
ケアマネからの無理な要求が起こってしまう要因を解説しましたが、実際にどのように訪問介護側は対応していくことが良いのでしょうか?
まず何よりも共感的な姿勢を示すことが大事
まず、なぜその対応が必要なのかを聞いたうえで「たしかにそれは必要なことですよね。」と共感することが大切です。
明らかに介護保険の制度上、ヘルパーが対応不可能な場合においても、あからさまに「制度上ヘルパーにはできないので」と突き放してしまうと、せっかく築き上げてきたケアマネとの関係性は崩れてしまいます。
ケアマネ同士のネットワークは思っているよりも広いです。
代替えを提案する
制度上できないことや時間的に厳しい場合であれば、まずは代替案をだしてみることです。
たとえば、
「前にも同じようなご相談を頂いたことがあったのですが、自治体に確認をしたところ、残念ながら訪問介護のサービスではできないそうなんです。代わりに、自費のサービスでとても安価なものがありましたのでどうでしょうか?。」
と伝えてみることや、
「私たちの今の力量では、どうしても時間がオーバーしてしまうため、時間の見直しをするか、もしくは利用者さんの、この課題が改善されてきているので、改善された支援はカットして、今回相談頂いた内容にあててみるのはいかがですか?」
など、無理な要求でも、共感をして一緒に解決策を模索するという姿勢が大事です。

こちら側が正論を述べていても「あそこの事業所はなにもやってくれない」「話を聞いてくれない」など、こちらが不利になってしまう噂が広がってしまう可能性があります。
間違っても「このケアマネはわかってないんだな」という意識でマウントを取らないように気をつけましょう!
無理な要求でもやらざるを得ない場合は・・・
ダメだとわかっていても、利用者やケアマネとの関係上、目をつぶってしまったこともありますよね。
解決が難しい場合や引きずってしまいそうな場合は、必ず管理者や上司に報告相談をして、適切な対応をとりましょう。自分たちの事業所を守るために必要なことです。
ケアマネが所属する事業所の管理者とやりとりをしてもらうなど、ケアマネ自身のためにも、そのままにしてしまうことが、自分たちの首を絞めてしまう可能性があります。
まとめ
ケアマネも、利用者のために、つい無理な要求をしてしまいます。
事業者側としてはあまり良い気もしないですし、対応に困ってしまうかもしれませんが、ケアマネは利用者の生活を守る最前線に立っています。その立場に寄り添って、一緒に考えるという気持ちを意識的に持っておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。