訪問介護は住み慣れた自宅で利用者の生活を支える介護サービスですが、その意義や目的をしっかりと理解していますか?
なんとなく利用者のところへ訪問してなんとなく介護をしているかもしれません・・・

そこで今回は訪問介護の社会的な意義と6つの目的を解説します。
新任のヘルパーやサービス提供責任者の方はぜひこの機会に理解しておきましょう!
訪問介護の社会的な意義とは?
人生100年時代と呼ばれるようになりましたが、日本で超高齢化社会も現実的に迫ってきました。
老々介護による介護負担や、介護する側・される側の怪我など年々増加の一途をたどっています。そして、介護離職も増加していきています。
そうならない為に、施設に預けたくてもすぐに入れないといった現実があります。最近では介護保険以外の宿泊施設も増えてはきましたが、入居条件が厳しかったり、値段が高くて在宅で見ざるをえないなどの問題もあります。
また、家族は介護が大変で施設等に入ってほしいと思っても、本人は最後まで住み慣れた家で過ごしたいという方も大勢います。
実際に内閣府が行った40歳以上の男女に「どこでどのような介護を受けたいか」調査をした結果によると下記の図のように70%が自宅で介護受けながら生活をしたいと回答しています。
※「平成30年高齢社会白書(内閣府)」より抜粋
さらに介護サービスをうける方々は年々増加傾向にあり、介護サービス利用者の約80%は訪問介護を含む居宅サービスを利用しています。
そんな数あるサービスの中で在宅での生活を直接支えるものの一つに訪問介護サービスがあります。
基本的には一人暮らしの高齢者(家族が同居でも可能な場合あり)の自宅に訪問し、身体介護・生活援助・通院介助といった3種類のサービスを実施し、在宅での生活が維持できるように支援します。
このサービスなしでは在宅での生活が維持できない高齢者は数多くいます。
また要介護者の家族の多くは、大変な不安や介護疲れを感じています。
家族の負担を軽減することもでき、高齢者の在宅生活を支える為に必要不可欠なサービスが訪問介護なのです。
訪問介護サービスの6つの目的とは?
訪問介護の目的は挙げるときりがないのですが、どうしても理解しておいてほしい6つの目的をお伝えします。
①利用者の生活習慣や価値観を尊重した生活基盤を支えるため
高齢者は買い物に簡単には行くことが出来ません。歩行が困難であったり、認知症があり何をすれば良いのかわからなかったり。
私達が普段当たり前のように食べている3度の食事も高齢者にとっては当たり前ではないのです。
ですが、そんな高齢者も以前は当たり前にできていたのです。
この当たり前にできていたことの連続が生活習慣や価値観を作ります。
そこで訪問介護では利用者の状態や状況に適したサービスを提供し在宅での生活を支えていきます。
②利用者に自立した生活をおくってもらうため
訪問介護では高齢者の「できること・できないこと」を見極め支援していきます。
できることはご自身でやっていただき、見守りをすることもあります。
できることを増やしてよりQOL(生活の質)を上げていけるように本人含め、ケアマネジャーや家族と相談していきます。
生活の質を高めることは今よりも介護度をあげないようにする為の予防にも繋がります。
③健康状態を観察し、異常の早期発見をするため
完全に寝たきりの高齢者等には、時間ごとに体位変換を行い褥瘡の予防をしていきます。
一度褥瘡になってしまうと、治りずらく本人も痛くて苦しい思いをしてしまいます。
そうならい為にも身体の全身状態をしっかり観察し、異常の早期発見に努めていきます。
褥瘡以外にも、普段と違うところがないか、認知症はすすんでいないかなども併せて確認することで、病気の進行に早く気付くことができます。
利用者の状態を観察し、異常の早期発見をすることが、結果的に利用者の生活の質を維持することにつながるのです。
気が付いたことは家族やケアマネジャーに報告・相談し医療に繋いでいきます。
④利用者の身体を清潔に保ち日常生活を快適にする
訪問介護の目的として利用者様の身体を清潔に保つことが求められます。上手く排泄の後処理ができない高齢者も数多くいます。
もしそのまま、処理ができなければ不衛生なまま過ごさなくてはなりません。それでは悪臭の原因にもなってきてしまいますし、他者との交流の際にも支障がでてきます。
利用者様も失禁等をしたくてしているわけではありませんので、羞恥心に配慮し、快適に生活ができるように支援していきます。
⑤多職種が連携し在宅での生活を維持していく
在宅生活を支えるサービスの中には訪問介護の他にも様々な種類のサービスがあります。
どれもが専門性を持った職種ですが、単一のサービスだけでは在宅での生活を支えることは極めて困難です。
利用者の支援は一人で行うものではなく、ケアマネ・訪問介護・デイ・福祉用具・リハ職・医療職などがチームとして提供されて初めて利用者にとって最適なサービスが提供できるといえます。
その中で、訪問介護は一番利用者に近いところで介護を行います。またサービス回数も他に比べて多いです。
それ故に訪問介護は在宅生活を支えるサービスとして、とても重要な役割を担っていることを念頭に置いておきましょう。
⑥安否確認を行うため
現代では孤独死が社会問題になっています。独り暮らしの高齢者が病気や事故などで例れて、そのまま何日も発見されず死亡するということです。
孤独死にならないためにはやはり安否確認が必要になります。
本来であればそういったことは家族や近隣住民が行うことが一般的ですが、家族がいなかったり、居たとしても遠かったり、仕事をしていたりなど様々な理由で安否確認ができない場合もあります。
また、近隣住民も関係が希薄であったり、関係があったとしても近隣住民自体が高齢者であったりなど安否確認を行うことが難しいケースも多々あります。
その点、訪問介護は定期的に利用者の自宅を訪問するので、サービスを提供すると同時に安否確認ができるためこれも大きな目的のひとつです。
まとめ
今回は訪問介護の社会的な意義と目的について解説しました。
高齢者や、その家族が共に安心して在宅での生活を維持していくには訪問介護はなくてはならない存在です。
住み慣れた家や家族のもとで、安らかに暮らしたいという高齢者は大勢います。そんな高齢者の気持ちを少しでも叶えるために欠かせないサービスが訪問介護だということを理解しておきましょう。
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