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【障害福祉サービス】重要事項説明書の記載事項をわかりやすく解説|運営指導対策のポイント

障害福祉サービスは、事業者と利用申込者との間で契約を結ぶことでサービス提供をスタートします。

契約にあたって必要な書類は、契約書・重要事項説明書・個人情報使用同意書の3点。このうち、重要事項説明書は、基準省令(実際には条例)により記載すべき項目がある程度規定されているものの、運営指導でかなり指摘の多い書類です。

各自治体ホームページに重要事項説明書のひな形が掲載されていたり、当サイトでもテンプレートを提供していますが、取り扱いは指定権者によってさまざま。このため、単にひな形を使用していれば問題がないかというとそうではなく、事業者各々が、重要事項説明書に係る規定をきちんと理解しておくことが大切です。

そこで今回は、基準省令および解釈通知を読み解き、居宅介護など訪問系障害福祉サービスの重要事項説明書の記載事項をわかりやすく解説します。運営指導対策のポイントも各項で説明していますので、ぜひ最後まで読み、日々の業務の参考にしてください。

 

介護保険の訪問介護でも重要事項説明書は必須の書類で、ほぼ同じ規定なのですが、訪問系障害福祉サービスの重要事項説明書とは若干異なる点に注意が必要です。なので、訪問介護との違いも踏まえて読んでもらえれば理解が深まると思います。

 

注意

本記事は、厚生労働省令および解釈通知等を参考に作成しています。できる限り正確な記述に努めていますが、重要事項説明書等の取り扱いは、指定権者により異なる場合がありますのでご注意ください。本記事は、あくまで参考程度に捉えていただき、実務においては各自治体への確認等をお願いいたします。

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
「ヘルパー会議室」コラム内文章の引用ポリシー
コラム記事内の文章の引用については、著作権法第32条1項で定められた引用の範囲内であれば自由に行っていただいて構いません。ただし、引用にあたっては引用する記事タイトルを明記した上で、当該記事のリンクを必ず貼ってください。近頃、ヘルパー会議室コラム記事の無断転載や言い回しを変えただけの文章が散見されています。運営部により定期的にチェックを行っており、無断転載等が発覚した場合は厳正に対処いたしますのでご注意ください。

障害福祉サービスの重要事項説明書とは|基本的な考え方

障害福祉サービスの重要事項説明書とは、事業所の概要や提供するサービスの内容など、利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項が記載されている書類です。

(利用契約の申込み時の説明)
第七十六条 社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスの利用を希望する者からの申込みがあつた場合には、その者に対し、当該福祉サービスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努めなければならない。

社会福祉法より引用

(内容及び手続の説明及び同意)
第九条 指定居宅介護事業者は、支給決定障害者等が指定居宅介護の利用の申込みを行ったときは、当該利用申込者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、当該利用申込者に対し、第三十一条に規定する運営規程の概要、従業者の勤務体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該指定居宅介護の提供の開始について当該利用申込者の同意を得なければならない。

2 指定居宅介護事業者は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第七十七条の規定に基づき書面の交付を行う場合は、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をしなければならない。

指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準より引用

社会福祉法第76条および基準省令第9条に規定されているもので、サービス提供開始前に、利用申込者に対して重要事項説明書やパンフレット等の文書を交付して説明を行い、同意を得なければならないこととされています。

 

契約書と重要事項説明書の違い

契約書は、利用者と事業者との取り決めや基本事項について合意形成を図るもの、重要事項説明書は、事業所や提供するサービスなどの詳細について理解し、利用者が契約するかどうかの判断材料となる取扱説明書のようなものです。

このため、契約に際しては、重要事項説明書にて重要な事項について説明し、理解を得た上で、契約書を締結する流れになります。双方の書類は、重複する項目が多いものの役割が異なりますので、順番が前後しないように説明しましょう。

 

運営規程との整合

運営規程の内容と重要事項説明書の内容は、常に整合していなければなりません。

運営規程は、端的に言うと事業所の「法律」です。具体的には、次の項目を定めておくこととされており、重要事項説明書にもその概要を記載します。

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. 従業者の職種、員数及び職務の内容
  3. 営業日及び営業時間
  4. 指定居宅介護の内容並びに支給決定障害者等から受領する費用の種類及びその額
  5. 通常の事業の実施地域
  6. 緊急時等における対応方法
  7. 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類
  8. 虐待の防止のための措置に関する事項
  9. その他運営に関する重要事項

例えば、営業日・営業時間や通常の事業所の実施地域、交通費規定が双方で異なるなどが運営指導で指摘を受けやすいため、運営規程と合致しているかを確かめながら作成してください。

その他、何らかの事由で事業所の体制が変わって運営規程を変更したのであれば、重要事項説明書にも変更を加えるようにしましょう。

 

運営規程は、都道府県等への指定申請時に、一度確認を受けているかと思います。

とはいえ、普段の業務であまり目を通すことがなく放置されがちな書類ですので、注意してくださいね。

 

利用者の障害特性に応じた配慮が必要

障害福祉サービス事業者には、重要事項説明書等の説明にあたって、利用申込者の障害特性に応じた適切な配慮を求められています。これは介護保険の訪問介護にはない、障害福祉サービス特有の規定です。

障害福祉サービスは、障害者が自ら選び、自ら決定するという意思決定を重要視しており、利用申込者の意思決定を尊重するためには、説明段階で事業者側の配慮が必要になります。

例えば、目の不自由な方には点字版や録音テープ版、文字拡大版を、他にも漢字が読みづらい方にはルビ版を用いて説明するといったように、わかりやすい重要事項説明書等を準備しておくなど、その利用申込者に応じて工夫しましょう。

 

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重要事項説明書の記載事項

基準省令や解釈通知、その他関係法令を整理し、基本的な重要事項説明書の記載事項を下表にまとめました。

 

※下表|基準…基準省令(運営基準)、通知…解釈通知(通知障発1206001)

番号 記載事項 根拠法令等
1 事業者の概要(名称、所在地、連絡先など) ・基準第9条第2項
・社会福祉法第77条第1項
・通知第三-3-(1)
2 事業所の概要(事業の目的、運営の方針、事業所番号、名称、所在地、連絡先、事業の主たる対象とする障害の種類、営業日時など) ・基準第9条第1項
・通知第三-3-(1)
3 従業者の勤務体制 ・基準第9条第1項
・通知第三-3-(1)
4 提供するサービスの内容 ・基準第9条第1項
・社会福祉法第77条第1項
・通知第三-3-(1)
5 利用料金について(利用料金、その他の費用、支払い方法など) ・基準第9条第1項、第21条第5項
・社会福祉法第77条第1項
・通知第三-3-(1)、(11)-⑤
6 緊急時の対応方法 ・基準第9条第1項
・通知第三-3-(1)
7 事故発生時の対応 ・通知第三-3-(1)
8 苦情処理の体制(苦情解決の体制及び手順、苦情相談の窓口、連絡先) ・社会福祉法第77条第1項
・社会福祉法施行規則第16条第2項
・通知第三-3-(1)
・通知第三-3-(29)①,③,④
9 虐待防止について ・基準第9条第1項
・通知第三-3-(1)
10 提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況) ・通知第三-3-(1)
11 サービス提供開始年月日 ・社会福祉法第77条第1項
・社会福祉法施行規則第16条第2項
・通知第三-3-(1)
12 説明確認欄 ・基準第9条第1項
・通知第三-3-(1)

 

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重要事項説明書の項目ごとの詳細と注意ポイント

重要事項説明書の記載事項について、項目ごとの詳細や運営指導対策となるポイントを解説していきます。また、既出の事項に加えて記載を推奨する任意項目も「13:その他」で紹介していますので併せて参考にしてください。

大阪市提供の重要事項説明書ひな形を参考にしています。

 

1:事業者の概要

障害福祉サービスを運営する法人の概要を記載します。

  1. 運営法人の名称
  2. 本社所在地、連絡先
  3. 代表者の役職・氏名
  4. 法人設立年月日

など

 

2:事業所の概要

当該障害福祉サービス事業所の概要を記載します。

  1. 事業所の名称、所在地、連絡先
  2. 指定事業所番号
  3. 事業所が行っている他障害福祉サービス
  4. 事業の目的および運営の方針
  5. 事業所の通常の事業の実施地域
  6. 事業の主たる対象とする障害の種類
  7. 営業日、営業時間
  8. サービス提供が可能な日、時間帯

など

④~⑧は、運営規程と齟齬がないように注意しましょう。

※⑥は、身体障害者・知的障害者・精神障害者・障害児・難病等対象者のうち、主たる対象者とする障害の種類を定めない場合は、不要としている自治体もあります。
※⑧は、基準省令において定めがある項目ではないため、不要としている自治体もあります。

 

3:従業者の勤務体制

契約時点の従業者の勤務体制を記載します。

  1. 管理者の氏名
  2. 管理者、サービス提供責任者、ヘルパー等の職務内容
  3. 管理者、サービス提供責任者、ヘルパー等の人員数

など

②と③は、運営規程と齟齬がないように注意しましょう。

③は、常勤・非常勤の別や兼務状況を併記します。なお、人員数については、運営規程と重要事項説明書ともに、人員基準を満たす範囲で「○人以上」と記載することも可能です。

 

4:提供するサービスの内容

提供するサービス内容を具体的に記載します。

※記載例

サービス区分と種類 サービスの内容
居宅介護計画の作成 利用者の日常生活全般の状況及び希望等を踏まえて、具体的なサービスの内容等を記載した居宅介護計画を作成します。
身体介護

 

 

 

 

 

食事の介助 食事の介助を行います。
排せつの介助 排せつの介助、おむつ交換を行います。
衣類着脱の介助 衣服の着脱の介助を行います。
入浴の介助 入浴の介助を行います。
身体の清拭、洗髪 清拭(身体を拭く)、洗髪などを行います。
その他 その他必要な身体の介助を行います。
家事援助 調理 利用者の食事の用意を行います。
衣類の洗濯、補修 利用者の衣類等の洗濯、補修を行います。
住居等の掃除、整理整頓 利用者の居室の掃除や整理整頓を行います。
生活必需品の買い物 利用者の日常生活に必要な物品の買い物を行います。預貯金の引き出しや預け入れは行いません。
関係機関との連絡 必要に応じて、関係機関との連絡を行います。
その他 その他必要な家事を行います。
通院等介助 通院等又は官公署並びに指定相談支援事業所への移動(公的手続又は障がい福祉サービスの利用に係る相談のために利用する場合に限る)のための屋内外における移動等の介助又は通院先等での受診等の手続、移動等の介助を行います。
通院等乗降介助 通院等のため、ヘルパー自らの運転する車両への乗車又は降車の介助と併せて、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先での受診等の手続き、移動等の介助を行います。(移送に係る運賃は別途必要となります。)
重度訪問介護 入浴、排せつ、及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、外出時における移動中の介護並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。
同行援護 ・移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む)を行います。
・移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護を行います。
・排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助を行います。
行動援護 ・利用者が行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護を行います。
・外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護を行います。

運営規程の内容と相違がないように注意しましょう。例えば、通院等乗降介助を実施できない(届け出を行っていない)のに、通院等乗降介助について記載されている等はNGです。

 

5:利用料金について

利用料金について記載します。

  1. 利用者負担額の仕組み
  2. 基本料金(料金表)
  3. 加算、減算等について
  4. その他の費用
  5. 支払い方法

など

利用者負担額の仕組み

厚生労働省告示の単価による利用料が発生すること、そして、利用者負担は、1割の定率負担で所得に応じて負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないことを記載します。

 

基本料金(料金表)

サービス内容・提供時間ごとの利用料および利用者負担額(1割相当額)をまとめた料金表を記載する方法が一般的です。

利用料については、「基本単位」×「事業所所在地の地域区分に応じた1単位の単価(1級地:11.20円、2級地:10.96円など)」で算出、利用者負担額については利用料×0.1で算出します。(利用料、利用者負担額ともに1円未満の端数は切捨て)

また、わかりやすいように自事業所の地域区分と1単位の単価を併記しておきましょう。

※例|2級地で1単位の単価10.96円の場合

サービス種類・提供時間 利用料 利用者負担額
身体介護 30分未満 2,805円 280円
30分以上1時間未満 4,427円 442円

 

ちなみに利用者負担額の算出方法について、障害福祉サービスの場合は、利用料×0.1の金額を「切り捨て」て算出しますが、介護保険の訪問介護では、「切り上げ」て算出(正しくは「利用料-(利用料×0.9or0.8or0.7(1円未満切り捨て))した金額」となるため、実質的に切り上げ)します。

 

加算、減算について

加算項目等は、利用申込者に誤解を招かないように、基本的に算定する見込みがある加算等および指定権者に届出を行っている体制加算等の単位数や算定要件などを記載します。

初回加算と緊急時対応加算は、重要事項説明書にて説明・同意が必要な加算とされていますので、必ず記載してください。また、夜間・早朝・深夜加算や2人の従業者による場合、利用者負担上限額管理加算などは、どの事業所も必要になるかと思います。

その他、喀痰吸引等を実施可能な事業所であって、算定する可能性があるなら喀痰吸引等支援体制加算を、特定事業所加算や福祉・介護職員等処遇改善加算等を取得しているなら当該加算の区分を記載する、というように体制等に応じて追記します。

※例|2級地で1単位の単価10.96円の場合

加算項目 利用料 利用者負担額 算定回数 算定要件
初回加算 2,192円 219円 1月につき(初回月) 新規に居宅介護計画を作成した利用者に対して、初回のサービス提供と同月内に、サービス提供責任者が、自らサービス提供を行う場合または他のヘルパーがサービス提供を行う際に同行した場合に算定します。
緊急時対応加算 1,096円 109円 1回につき、月2回を限度 利用者やその家族等からの要請を受けて、居宅介護計画に位置づけられていない居宅介護を、要請より24時間以内に行った場合に算定します。(対象となるサービスは身体介護または通院等介助(身体介護を伴う場合)に限ります)
利用者負担上限額管理官 1,644円 164円 1回につき、月1回を限度 利用者の依頼により、利用者の負担上限月額を超えて事業者が利用者負担額を徴収しないよう、利用者負担額の徴収方法の管理を行った場合に算定します。

 

ただし、どの加算等を記載すべきかは指定権者により多少異なりますので、所管の自治体に確認しておきましょう。

 

その他の費用

その他の費用は、先の利用者負担額以外に利用者に求める次の費用を指します。

  • 交通費
  • キャンセル料
  • サービス提供記録等の複写等費用
  • 通院等介助等におけるヘルパーの公共交通機関等の交通費
  • サービス提供にあたり必要となる利用者の居宅で使用する電気、ガス、水道の費用

上記のうち、「交通費」については、基準省令第21条第3項により、通常の事業の実施地域以外の地域へのサービス提供を行う場合は、あらかじめ利用者の同意を得た上で受け取ることができるとされています。

交通費を徴収するか否かは事業所の自由ですが、運営規程に交通費について記載されているはずですので、相違がないように転記しましょう。

 

支払い方法

利用者負担額やその他の費用の支払いについて、次の項目を記載します。

  • 支払いの方法(口座振替、振込、現金支払いなど)
  • 請求書の発行および支払いの期日について
  • 支払い後に領収書を発行する旨
  • 市町村から介護給付費等の支払いを受けた場合に、代理受領通知書を渡す旨

⇒代理受領通知書とは?

 

6:緊急時の対応方法

サービス提供中に発生した緊急時の対応方法を記載します。

  1. サービス提供中に利用者の容態に急変があった場合やその他必要な場合に、速やかに主治医へ連絡する等の必要な措置を講じるとともに、緊急連絡先にも連絡する旨

など

他にも、医療機関の情報や主治医の氏名、家族等の緊急連絡先の情報を記載する欄を設けておくと良いでしょう。

 

7:事故発生時の対応

サービス提供により事故が発生した場合の対応を記載します。

  1. サービス提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じる旨
  2. 事故報告先の自治体窓口
  3. サービス提供により賠償すべき事故が発生した場合に、損害賠償を速やかに行う旨
  4. 損害賠償保険の概要

事故発生時の報告先自治体について、介護保険の訪問介護の場合は、基準省令上において市町村のみですが、障害福祉サービスの場合は、都道府県(指定権者)と市町村になります。指定権者のホームページに事故発生時の取り扱いが掲載されていますので確認しておきましょう。

 

8:苦情処理の体制

サービスに関する利用者やその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するための苦情処理体制を記載します。

  1. 苦情解決の体制および手順
  2. 苦情・相談窓口(事業者の窓口、市町村の窓口、運営適正化委員会の窓口)

など

①は、指定権者への指定申請時に提出している「利用者からの苦情を解決するために講ずる措置の概要」という書類に基づき記載します。

②は、介護保険の訪問介護とは異なる点に注意してください。訪問介護の場合は、事業者の窓口・市町村の窓口・国民健康保険団体連合会(国保連)の苦情受付窓口の3つ、障害福祉サービスの場合は、事業者の窓口・市町村の窓口・都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会の窓口の3つになります。

 

9:虐待防止について

虐待防止については、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」を遵守している旨と次の対策を実施していることを記載します。

  1. 虐待防止に関する担当者を選定している旨および担当者の職名と氏名
  2. 成年後見制度の利用を支援すること
  3. 苦情解決体制を整備していること
  4. 従業者に対する虐待防止を啓発・普及するための研修を実施していること
  5. 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図っていること

上記の対策は、運営規程にも記載がありますので齟齬がないように記載しましょう。

 

10:提供するサービスの第三者評価の実施状況

第三者評価の実施状況について記載します。

  1. 実施の有無
  2. 実施した直近の年月日
  3. 実施した評価機関の名称
  4. 評価結果の開示状況

第三者評価自体は、義務ではないため実施していなくても問題はありません。

ただし、実施の有無にかかわらず、第三者評価の実施状況の項目自体は必要ですので、削除せず実施していない旨を記載しておきましょう。

 

11:サービス提供開始年月日

サービス提供が可能な年月日(予定)を記載します。

 

12:説明確認欄

説明確認欄には、次の内容を設けます。

  1. 基準(基準省令でいうところの第9条)に基づいて利用者に対して説明を行った旨
  2. 説明を行った事業者の情報(法人名、所在地、代表者、事業所名、説明者)
  3. 説明年月日欄
  4. 利用者が事業者から説明を受け、同意した旨
  5. 利用者または代理人等の確認(同意)欄(住所、氏名)

①~⑤をすべて満たすことで、基準省令第9条に規定の「サービス提供開始に際する事業者から利用申込者に対する重要事項説明書等の交付・説明・同意」がなされていると判断されます。

たまに①と④を削除してしまう方がいますが、運営指導時にこの文言がないことで「利用者に説明を行ったことが不明確であった」「利用者から同意を受けたことが不明確であった」などと指摘を受けてしまう可能性があるため注意しておきましょう。

 

①は、「○○基準(都道府県等の条例)に基づき、利用者に本書面を交付して説明を行いました」とか「居宅介護の利用にあたり、利用者に対して本書面に基づいて重要な事項を説明しました」とかの文言のこと。

 

④は、「上記内容の説明を事業者から確かに受け、同意しました」とか「本書面により、これから受ける居宅介護サービスの重要な事項について、事業者から説明を受けました」とかの文言のこと。

 

こういう文言の有無は、運営指導において大事なポイントで、重要事項説明書に限らず居宅介護計画や訪問介護計画についても同様です。

 

 

13:その他

ここからは、基準省令および解釈通知等に規定がない任意の項目になります。自治体によっては必須としている項目もありますので、指定権者に確認しつつ記載するか否かを判断してください。

次表に各項目の例を示します。なお、主に訪問系障害福祉サービスのうち居宅介護の例を記載していますが、重度訪問介護等においてもほぼ変わりはありません。

項目 記載例
ヘルパーの禁止行為
  1. 医療行為
  2. 利用者又は家族の金銭、預貯金通帳、証書、書類などの預かり
  3. 利用者又は家族からの金銭、物品、飲食の授受
  4. 利用者の同居家族に対するサービス
  5. 利用者の日常生活の範囲を超えたサービス(大掃除、庭掃除など)
  6. 利用者の居宅での飲酒、喫煙、飲食
  7. 身体拘束その他利用者の行動を制限する行為(利用者又は第三者等の生命や身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除く)
  8. その他利用者又は家族等に対して行なう宗教活動、政治活動、営利活動、その他迷惑行為

上記は、居宅介護や重度訪問介護の例ですが、⑤については自治体により取り扱いが異なる場合があります。(居宅介護と重度訪問介護は、訪問介護に関する通知「老振第76号」を準用されないため)

市町村の支給決定内容等の確認(基準省令第14条) サービスの提供に先立って、受給者証に記載された支給量・支給内容・利用者負担上限月額を確認させていただきます。受給者証の住所、支給量などに変更があった場合は速やかに事業者にお知らせください。
居宅介護計画の作成(基準省令第26条第1項、2項) 確認した支給決定内容に沿って、利用者及び家族の意向に配慮しながら「居宅介護計画」を作成します。作成した「居宅介護計画」については、案の段階で利用者又は家族に内容を説明し、利用者の同意を得た上で成案としますので、ご確認いただくようお願いします。サービスの提供は「居宅介護計画」にもとづいて行ないます。実施に関する指示や命令はすべて事業者が行ないますが、実際の提供にあたっては、利用者等の訪問時の状況や意向に充分な配慮を行ないます。
居宅介護計画の変更等(基準省令第26条第3項) 「居宅介護計画」は、利用者等の心身の状況や意向などの変化により、必要に応じて変更することができます。また、サービス利用の変更・追加は、ヘルパーの稼働状況により利用者が希望する時間にサービスの提供ができないことがあります。その場合は、他の利用可能日時を利用者に提示するほか、他事業所を紹介するなど必要な調整をいたします。
担当ヘルパーの決定等 サービス提供時に、担当のヘルパーを決定します。ただし、実際のサービス提供にあたっては、複数のヘルパーが交替してサービスを提供します。担当のヘルパーや訪問するヘルパーが交代する場合は、あらかじめ利用者に説明するとともに、利用者及びその家族等に対してサービス利用上の不利益が生じないよう十分に配慮します。利用者から特定のヘルパーを指名することはできませんが、ヘルパーについてお気づきの点やご要望がありましたら、相談窓口等にご遠慮なく相談ください。
サービス実施のために必要な備品等の使用 サービス実施のために必要な備品等(水道、ガス、電気を含む)は無償で使用させていただきます。また、ヘルパーが事業所に連絡する場合の電話を使用させていただく場合があります。
身分証携行義務(基準省令第18条) 居宅介護従業者は、常に身分証を携行し、初回訪問時及び利用者または利用者の家族から提示を求められた時は、いつでも身分証を提示します。
心身の状況の把握(基準省令第16条) 指定居宅介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況、その置かれている環境、他の保健医療サービス又は福祉サービスの利用状況等の把握に努めるものとします。

※アセスメントのことです。

連絡調整に対する協力(基準省令第12条) 居宅介護事業者は、指定居宅介護の利用について市町村又は相談支援事業を行うものが行う連絡調整にできる限り協力します。
他の指定障がい福祉サービス事業者等との連携(基準省令第12条第1項) 指定居宅介護の提供に当り、市町村、他の指定障がい福祉サービス事業者及び保健医療サービスまたは福祉サービスの提供者と密接な連携に努めます。
サービス提供の記録(基準省令第19条)
  1. 指定居宅介護の実施ごとに、そのサービスの提供日、内容、実績時間数及び利用者負担額等を、サービス提供の終了時に利用者の確認を受けることとします。また利用者の確認を受けた後は、その控えを利用者に交付します。
  2. 指定居宅介護の実施ごとに、サービス提供実績記録票に記録を行い、利用者の確認を受けます。
  3. これらの記録はサービス完結の日から5年間保存し、利用者は、事業者に対して保存されるサービス提供記録の閲覧及び複写物の交付を請求することができます。(複写等にかかる費用は実費を負担いただきます。)
秘密保持と個人情報保護について
  • 事業者及び従業者は、サービス提供をする上で知り得た利用者及びその家族の秘密を正当な理由もなく、第三者に漏らしません。
  • 事業所は、従業者に業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を保持させるため、従業者でなくなった後においても、その秘密を保持するべき旨を、従業者と雇用契約の内容とします。
  • 事業者は、利用者からあらかじめ文書で同意を得ない限り、サービス担当者会議等で使用する等、他の障害福祉サービス事業者等に、利用者の個人情報を提供しません。また利用者の家族の個人情報についても、当該利用者の家族からあらかじめ文書で同意を得ない限り、サービス担当者会議で使用する等、他の福祉サービス事業者等に利用者の家族の個人情報を提供しません。
  • 事業者は、利用者及びその家族に関する個人情報が含まれる記録物(紙によるものの他、電磁的記録を含む。)については、善良な管理者の注意をもって管理し、また処分の際にも第三者への漏洩を防止するものとします。
身体拘束等について 事業者は、緊急やむを得ない場合を除いて身体拘束等を行いません。緊急やむを得ない場合とは、支援の工夫のみでは十分に対応できないような、一時的な事態に限定し、以下の⑴から⑶の要件を満たす場合とします。

  1. 切迫性|直ちに身体拘束等を行わなければ、利用者本人又は他人の生命・身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高い場合
  2. 非代替性|身体拘束その他の行動制限を行う以外に、代替する方法がない場合
  3. 一時性|身体拘束その他の行動制限が一時的である場合

やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由等必要な事項を記録します。また、適宜利用者本人や家族に十分に説明し、同意を得ます。また、身体拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じます。

  • 身体拘束等の適正化のための指針の整備
  • 従業者に対する身体拘束等の適正化のための研修の定期的な実施
  • 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会の設置
業務継続計画の策定等について
  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定居宅介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制での早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定し、当該業務継続計画に従って必要な措置を講じます
  • 従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施します
  • 定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行います
衛生管理について 事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行うとともに事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めます。また事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次に掲げる措置を講じます。

  • 事業所における感染症の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会を概ね6月に1回以上開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図る
  • 事業所における感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備
  • 従業者に対する、感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練の定期的な実施

 

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重要事項の掲示

(掲示)
第三十五条 指定居宅介護事業者は、指定居宅介護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。

2 指定居宅介護事業者は、前項に規定する事項を記載した書面を当該指定居宅介護事業所に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、同項の規定による掲示に代えることができる。

指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準より引用

訪問系障害福祉サービス事業者は、上記のとおり、重要事項説明書等を事業所の見やすい場所に掲示しなければなりません。重要事項を記載したファイル等を利用者またはその家族等が自由に閲覧可能な形で事業所内に備え付けることでも代替可能です。

なお、事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき利用者またはその家族等に対して見やすい場所のことを指します。

 

うちの事業所では、重要事項説明書をファイルに入れたものを相談室の机上に立てて置いています。

 

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重要事項説明書の記載内容を変更する場合

重要事項説明書の記載内容に重要な変更があった場合や新たに特定事業所加算等の体制加算を取得する場合、報酬改定により利用料が変わる場合などにおいては、重要事項説明書を再作成し、利用者へ交付・説明・同意の一連の流れを行う必要があります。

変更内容のみを記載した別紙変更同意書などにより同意を得る方法が一般的です。

 

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重要事項説明書に押印は必要か

問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。

  • 私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
  • 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

押印についてのQ&A|令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省より抜粋

上記、「押印についてのQ&A|令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省」によると、契約書や重要事項説明書への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要ではないとされており、基本的には署名等のみで問題はありません。(※訪問系障害福祉サービスの関係法令に押印が必要等の「特段の定め」はない)

このため自治体の様式例でも押印欄が削除されている場合が増えてきています。

ただし、自治体によっては、まだまだ押印が必要としている場合もありますので、所管の指定権者に確認しておくとよいでしょう。

 

うちの事業所では、押印はもらっていません。

署名のみで対応しています。

 

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さいごに

今回は、訪問系障害福祉サービスの重要事項説明書について解説しました。

重要事項説明書は、基準省令において規定されている必須書類です。故に運営指導時に必ず確認されますので、本記事を繰り返し読み、参考にしてもらえればと思います。

また、契約書類は、実際には、利用者と裁判等のトラブルになったときに記載内容が重要になることから、弁護士にチェックしてもらう等を検討してみるのもよいでしょう。

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