訪問介護で働きだして間もない初心者ヘルパーです。
今度、はじめて排泄介助をすることになったけど、一人でうまく介助できるか不安…
注意点やコツがあれば教えてほしい。
ヘルパー会議室では、こんな悩みを解決すべく「訪問介護の排泄介助マニュアル」を作成しました。
本マニュアルは、初心者ヘルパー向けに排泄介助の基礎知識や実践手順をわかりやすく解説した入門書です。
本マニュアルを読むことで、訪問介護における排泄介助の進め方が理解でき、実際の現場で利用者それぞれに合わせた介助を行う際の一助となります。
ぜひ新人ヘルパーの方々は、本マニュアルを日々の業務にご活用ください。
本マニュアルは、介護サービス情報公表により求められている排泄介助マニュアルや事業所内で行う研修の資料としても使えます。管理者やサービス提供責任者の方々も参考にしてくださいね。
研修テーマ集:【研修資料つき】訪問介護のヘルパ-勉強会テーマ38案
訪問介護の排泄介助とは
訪問介護の排泄介助とは、一人での排泄が難しくなった利用者に対して、ヘルパーが排泄に係る介助を提供する身体介護サービスです。
訪問介護では、主に
- トイレ利用での排泄介助
- ポータブルトイレ利用での排泄介助
- ベッド上でオムツ交換や陰部洗浄を行う排泄介助
の3つに分けられ、利用者の身体機能や疾患などに応じて必要な介助を行います。
排泄介助の重要性
高齢になると尿意・便意を感じる器官が衰え、自覚なく失禁してしまうことが増えます。
こうした不衛生な状態が長時間つづくと皮膚疾患や尿路感染のリスクが高まり、抵抗力が落ちた高齢者であれば命に関わるケースも少なくありません。
これが介護施設のように数時間おきに排泄確認・介助を行えるならリスクを軽減できます。しかし、限られた訪問回数・時間の中でサービスを提供する訪問介護では、頻繁に排泄確認・介助を行うことはできません。
だからこそ訪問介護では、1回の訪問をおろそかにせず、排泄介助をとおして入念に清潔の保持に努めることがとても大切になります。
排泄介助は、利用者の日常を守るために必要な介護の「基本」です。命に関わる重要なケアであることを十分に認識した上でサービス提供に臨みましょう。
利用者にとってオムツをすることは負担が伴う
排泄介助に際して理解しておいてほしいのは、利用者にとってオムツをすることは精神的・身体的・経済的な負担が伴うということ。
ヘルパーには、これらの負担に寄り添い、軽減できるように支援することを求められます。
- 精神的苦痛
排泄を失敗してしまう自身に対する、劣等感や羞恥心、情けなさ、他人の世話になる申し訳なさ。排泄の失敗を恐れて外出を避けてしまう方もおり、尊厳を損なう言動は避けるなど精神的なフォローが必要です。 - 身体的苦痛
オムツを長時間使用することによる湿疹やかぶれ、皮膚炎などの皮膚トラブル。またオムツ交換の際に介助者から体を動かされ、関節やその他の身体的な痛みを伴う場合もあります。利用者に苦痛を与えないよう、丁寧かつ適切な介護技術を身につけておく必要があります。 - 経済的苦痛
オムツや備品類を購入することによる経済的な負担。オムツやパッド類はサイズや吸収量によって金額は異なりますが、24時間使用して随時交換するものですからオムツ代金が家計を圧迫する可能性があります。オムツ費助成の制度がある市町村もありますので、うまく提案・活用すると良いでしょう。
訪問介護の排泄介助9つ基本
訪問介護の排泄介助は、以下9つの基本にもとづき実施します。
\ 排泄介助9の基本 /
- 排泄最優先の原則
- できる限りトイレで排泄を促す
- 利用者に適したオムツの選定
- 排泄物の観察
- 陰部洗浄による清潔の保持
- 自立支援を取り入れた介助方法の実践
- プライバシーへの配慮
- 声かけ
- 排泄を急かさない
基本①:排泄最優先の原則
自然な排泄を促すために大切なのは、タイミング。
サービス中に利用者から尿意や便意の訴えがあった場合は、他の介助をしていても基本的に排泄介助を優先してください。
とくに排便はタイミングが大事です。
消化によって便が直腸にやってくると、排便反射がおきて大脳から直腸に「便を出す」という指令がだされます。その指令に従って、腹筋や肛門周囲の筋肉が収縮し、肛門が開くことで排便します。
しかし、食事など他の介助を優先し排泄介助を後回しにしてしまうと、利用者は排便を我慢しなければなりません。排便を我慢すると便意は一時的に消失しますが、何度も繰り返されると直腸に便が溜まっても便意を感じにくくなります。
そうなると、排便反射が起きにくくなり、慢性的な便秘症に移行してしまいます。
便秘は、不快感や体調不良、認知症の周辺症状の悪化などを引き起こす原因となりますので、排泄の希望があるときには、排泄最優先を念頭において対応するよう心がけましょう。
基本②:できる限りトイレで排泄を促す
「テープ式のオムツやパットを着用してベッド上で排泄介助を行う」のは、排泄ケアにおける最終手段です。
もちろん致し方ないケースもありますが、できる限りトイレに座ってもらい排泄を促しましょう。
なぜトイレでの排泄が重要なのか?というと
- 足を地面につけて前かがみになることで腹圧をかけやすい
- 直腸と肛門の角度が開き、便の通り道ができる
ことによりスムーズに排泄を行えるからです。
寝たままの姿勢では、腹圧をかけられず便の通り道がふさがっているためうまく排泄ができません。
1日の中で少しでもトイレに座って排泄する習慣ができれば、便意を取り戻し、自力で排泄できるようになる可能性が高まります。寝たきりの方であっても、座位姿勢がとれるならポータブルトイレなどを活用し、できるだけ座って排泄を促していきましょう。
基本③:利用者に適したオムツの選定
排泄の介助にあたっては、漏れがないようにオムツをあてたいものです。
排泄物の漏れは、利用者が不快感を感じるだけではなく、羞恥心や情けなさなどの精神的な苦痛につながります。また衣類やシーツが汚れることでヘルパーにとっても負担が増えるでしょう。
しかし、テープ式のオムツを装着して何枚もパットを重ねる、といった重装備を24時間するのも、かえって不快感や動きにくさが増し、コスト面の観点からも良いとは言えません。
そこで重要になるのが、オムツの種類を理解した上で、利用者の状態や状況に適したオムツを選定することです。
オムツの種類
オムツは、紙パンツ(リハビリパンツ)やテープ式オムツ等の「アウター」と尿取りパッド等の「インナー」を適宜組み合わせて活用します。
以下に代表的なものをまとめました。
失禁用下着 |
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---|---|
紙パンツ(リハビリパンツ) |
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テープ式オムツ |
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軽失禁パッド |
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長方形型パッド |
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ひょうたん型パッド |
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フラットシート |
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※排尿1回分を150mlとして計算しています。
利用者の体形に合うオムツを選ぶ
利用者の体形に合っていないサイズのオムツを装着している場合、尿漏れが発生しやすくなります。
オムツが大きすぎれば、体とオムツの間に隙間ができてしまい、そこから尿が漏れますし、逆に小さすぎると、テープが適切な位置で止められず、隙間ができて尿が漏れます。
基本的には「ウェスト部分や足回りに軽く指1本が入る」程度を目安としてオムツを選定しましょう。
尿量に合わせてパッドを使い分ける
尿量に対して小さすぎるパッドを使うと、尿を吸収しきれずに漏れてしまいます。
その利用者の排泄周期やヘルパーの訪問回数に応じて、例えば、日中は小さいパッドを使用して、夜間に大きなパッドをあてるなど、時間帯によって吸収量の異なるパッドをうまく使い分けましょう。
また、利用者が眠っているときの体位によって、尿の流れる方向が変わることにも留意してください。
例えば、片麻痺の利用者が右側臥位で眠るのであれば、右側方向に尿が流れやすくなると予測できます。したがって、この場合は、右側に広く吸収量の多いパッドをあてるなどで対応していきます。
基本④:排泄物の観察
排泄物は、利用者の健康を示すバロメーター。
尿や便からその方の健康状態を把握することができます。
ヘルパーは単に排泄介助を行うだけでなく、
- 色
- におい
- 形状
- 回数・量
- 排泄時の痛みや違和感がないか
- 陰部、臀部、仙骨部、腸骨部などに発赤や湿疹、傷等がないか
などをきちんと観察しましょう。
状態によっては病気が隠れているケースもありますので、異変があれば速やかに医療職へ報告してください。
また実際の介護現場では、多職種との連携や病状管理につなげることを目的として、排泄チェック表を用いて連携を図るケースがあります。
以下からヘルパー会議室が作成したものを無料でダウンロードできますので、必要な方はご活用ください。
参考:【訪問介護の観察マニュアル】基本観察項目と気づく力を高める4の法則
利用者の便を観察する際には、以下ブリストルスケールを参考にすると良いでしょう。
ブリストルスケールとは、人間の大便の形態を7つのカテゴリーに分類する指標を指し、下痢や便秘の診断項目ツールです。上記のType3(やや硬い便)からType5(やや軟らかい便)までが正常な範囲の便とされています。
基本⑤:陰部洗浄による清潔保持
陰部は、排泄物で汚染する度合いが高い部位です。
とくに寝たきりの方であれば入浴の機会が少なくなるため、より不衛生に。
そのため定期的に陰部洗浄を行い、汚れを落とす必要があります。微温湯(38℃~39℃、人肌より少し熱めのお湯)で丁寧に陰部を洗い流して清潔の保持を図りましょう。
ただし1日に何度も洗浄をすると皮膚が乾燥して傷つきやすくなってしまうため注意が必要です。
基本的には、排便があった場合を除き1日1回を目安に実施してください。
基本⑥:自立支援を取り入れた介助方法の実践
介護保険の基本理念は、自立支援。
利用者自らできることを減らさず、可能であれば増やしていけるよう支援するのがヘルパーの役割です。
自立支援を適切に実践するためには、利用者の身体機能をアセスメントし「できる行為」と「できない行為」を明らかにする必要があります。
排泄という行為は、以下12動作の連続で成り立ちます。
- トイレに行きたいと感じる
- トイレの場所を認識する
- トイレに向かって移動する
- トイレの扉を開けて中に入る
- 便器を認識する
- ズボンをおろして座る
- 排泄する
- 陰部や肛門を拭く
- 立ち上がりズボンを上げる
- トイレを流す
- 手を洗う
- 次の目的地へ移動する
これらの動作に対して利用者の現有能力を照らし合わせ、その方の「できる行為」と「できない行為」を把握します。そしてできる行為は利用者自ら行ってもらい、できない行為はヘルパーが介助する、というように自立支援を展開していきます。
例えば「排泄後のパッドをあてるところはヘルパーが介助し、ズボンを利用者自らあげる」といった具合に。
ベッド上で排泄介助を行う方であっても、すべての機能が失われているわけではなく、何かしらの機能は残っているはずです。
体位交換の際にベッド柵を掴んだり、ズボンを上げる際に腰を浮かしたり、など残存機能をうまく活用して自立支援を実践していきましょう。
参考:訪問介護の「自立支援」実践ガイド【考え方と展開方法を4ステップで解説】
基本⑦:プライバシーの配慮
排泄介助では、他人にデリケートゾーンをさらすという私的な領域に立ち入ることになります。
認知症があっても羞恥心はあり、「排せつ音を聞かれたくない」「見られたくない」「くさいと思われたくない」と思うのは人として当然のこと。
また「下の世話だけはされたくない」と、誰しもが他人の手を借りることに抵抗したくなるものです。
排泄介助では、こうした利用者の心情に寄り添い、プライバシーへの十分な配慮を求められます。
例えば
- カーテンやパーテーションを使用する(可能であれば)
- トイレでの排泄中はその場を離れ、ドア越しに見守る(※)
- 手早く行い、肌の露出時間をできる限り少なくする
- できる限り肌の露出部位を減らす
- 面倒くさそうな態度をとったり、失敗を責めたりしない
- 「汚い」「くさい」などプライドを傷つける発言をしない
- 身体や排泄物をじろじろ観察しない
など羞恥心に配慮し、尊厳を保持する心遣いを忘れないようにしましょう。
※安全は確保しなければなりませんので、座位が安定しているか、その他事故の原因になるようなものがないかの確認が必要です。
基本⑧:声かけ
声かけは排泄介助に限らず、すべての介助の基本です。
「食事の前にお手洗いに行きましょうか」などと利用者へ声をかけ、同意を得てから実施します。
またオムツやパットと表現せずに「下着を交換しますね」と声かけするなど⾃尊⼼・羞恥心への配慮も必要です。
加えて、開始時のみならず介助中も「お部屋は寒くありませんか」など環境に配慮するほか、「体を横に向けますね」「ズボンをおろしますね」と動作ごとに予告しましょう。
基本⑨:排泄を急かさない
訪問介護は、限られた時間の中で排泄介助だけでなく他の業務も行います。
そのため、時間に追われることも多く、ついトイレを急かしてしまいたくなりがちです。しかし、高齢になると膀胱括約筋の衰えやいきむ力の低下によりスムーズにトイレを終わらすことができません。
そんな状況で、トイレを急かすと排尿・排便を途中でやめてしまって膀胱炎や便秘を誘引してしまいます。
前提として「高齢者のトイレは時間がかかるもの」と考えておき、ゆっくり見守りましょう。
もし排泄介助の時間が十分にとれないのであれば、他の業務を短縮する、あるいはサービス提供責任者に相談し計画自体を見直すなどを検討してください。
訪問介護の排泄介助の必要物品
ここでは排泄介助を実施するにあたり準備すべき物品を紹介します。
必要物品の準備ができていないと、介助中に取りにいかなければなりません。その間に利用者が転倒したり、汚物でベッド周辺を汚したりする原因になり、利用者とヘルパー双方の負担が増えてしまいます。
またプライバシーに配慮するために手早く介助を行う必要もあります。しっかり準備できるようあらかじめ確認しておきましょう。
オムツ類 | テープ式オムツ、紙パンツ、パッド類。 |
清拭用タオル | 2~4枚程度。陰部洗浄時の清拭時に使用する。 |
陰部洗浄用ボトル | 陰部洗浄時に使用する。簡易的なプラスチック製の入れ物やペットボトルのキャップに穴をあけた物で代用可。 |
石鹸、洗浄剤 | 便汚染がある場合など必要に応じて陰部洗浄時に使用。低刺激のものを選定する。 |
ポリ袋、新聞紙 | 排泄によって汚染したオムツやパッド等を新聞紙に包み、ポリ袋に入れて捨てる。 |
ディスポーサブル手袋 | 2~3セット程度。排泄物に触れた後や軟膏塗布前に都度新しいものに替えて使用。 |
トイレットペーパー | 排泄物を拭き取るために使用。 |
着がえ(必要時) | 衣類への汚染がある場合に準備。 |
バスタオル | バスタオルをかけてプライバシーを保護するために使用。 |
軟膏(必要時) | 医師から処方軟膏がある場合に使用。介助時に臀部や仙骨部など必要個所に塗布する。 |
飛散防止シート (ポータブルトイレ) |
ポータブルトイレ利用時の飛散を防ぐために敷くシート。 |
暖房器具 (トイレ) |
冬場にトイレ内と室内の寒暖差をなくし、ヒートショックを防ぐために使用。 |
ポータブルトイレは座面のサイズと高さ、安定性、肘かけなどから利用者に合ったものを選定します。
設置場所については、基本的にベッドの足側に置くのが良いでしょう。頭側、つまり顔の方にポータブルトイレを置くとにおいを感じますし、衛生面の観点から考えても適切ではありません。
ただし、頭側に置いた方が移乗しやすいなど本人の意向もありますので、相談しながら決めてください。
訪問介護の排泄介助の実践手順
ここからは、訪問介護における排泄介助の実践手順を「ベッド上」「トイレ」「ポータブルトイレ」と場面ごとに分けて解説していきます。担当している利用者をイメージしながら確認してみてください。
ベッド上での排泄介助の手順
- STEP1声かけ・説明
- 利用者へこれから排泄介助を行う旨を説明し、同意を得る。
- STEP2物品準備、環境整備
- 必要物品を参考に、オムツ類等を準備する。
- 陰部洗浄ボトルに38℃~39℃のお湯を入れておく。
- 清拭用に温かい濡れタオルと乾いたタオルを準備する。
- ディスポーザブル手袋を着用する。
- 部屋のカーテンを閉めて外から見えないようにする。
- 布団は足元側へたたみ、よけておく。
- ヘルパー側にサイドレールがある場合は、はずし邪魔にならない場所へ移す。
- 極度な前傾姿勢での介助にならないようベッドの高さを調整する。
MEMO
介助中のあわてないように、どこに何を置くと効率よく介助できるかを考え設置してください。
基本的に必要物品は、ヘルパーの手の届く範囲に置いておきます。また、あらかじめ新聞紙を床に敷いておいたり、新しいオムツをパッドと一緒にすぐにあてられるようセットしておいたりすると、スムーズに介助を進められるでしょう。 - STEP3下衣をおろし、オムツを開く
- 腰を上げられる場合は、腰を上げてもらい下衣をおろす。
- 腰を上げられない場合は、側臥位になり、下衣をおろす。
- オムツを開け、排泄物を確認する。(排泄物の残りがないか、出し切れているかをあわせて確認)
- 量や匂い、性状などを観察する。
- 腰から大腿部の付け根あたりまでの露出に留め、他の部分はバスタオルをかける。
- STEP4陰部・臀部の洗浄
- 【女性の場合】
①トイレットペーパー等で排泄物を取り除く。
②陰部の上方から微温湯をかけて濡らす。
③泡立てた石鹸、洗浄剤を陰部に塗布する。
④陰部の上方から微温湯をかけて洗い流す。
⑤陰部の上方から下に向かって濡れタオルで拭く。
⑥乾いたタオルで軽く押さえて水けを拭き取る。
⑦側臥位になり、臀部に微温湯をかけて洗い流す。
⑧臀部を濡れたタオルで拭く。
⑨乾いたタオルで軽く押さえて水けを拭き取る。
⑩古いオムツをたたみ、取り除く。
⑪処方軟膏等がある場合、洗浄・清拭後に適宜塗布する。
女性の場合、尿路感染や炎症を防ぐため、「前から後ろ(上から下)」へ陰部から肛門へ向かって一方向で洗い流します。また、大陰唇・小陰唇に汚れや泡の残りが溜まりやすいため丁寧に洗い流して拭きましょう。なお、排泄物を触った後や軟膏塗布の前にはディスポーザブル手袋を裏返しになるように外し、新しいものを装着してください。
- 【男性の場合】
①トイレットペーパー等で排泄物を取り除く。
②尿道口にお湯が入らないよう陰部に微温湯をかけて濡らす。
③泡立てた石鹸、洗浄剤を陰部に塗布する。
④亀頭⇒陰茎⇒陰嚢の順に微温湯をかけて洗い流す。
⑤亀頭⇒陰茎⇒陰嚢の順に濡れタオルで拭く。
⑥乾いたタオルで軽く押さえて水けを拭き取る。
⑦側臥位になり、臀部に微温湯をかけて洗い流す。
⑧臀部を濡れたタオルで拭く。
⑨乾いたタオルで軽く押さえて水けを拭き取る。
⑩古いオムツをたたみ、取り除く。
⑪処方軟膏等がある場合、洗浄・清拭後に適宜塗布する。
男性の場合は、亀頭⇒陰茎⇒陰嚢の順に肛門へ向かって洗い流します。また陰茎のしわに汚れが溜まりやすいため、しわを伸ばし間を丁寧に洗い流して拭きましょう。なお、排泄物を触った後や軟膏塗布の前にはディスポーザブル手袋を裏返しになるように外し、新しいものを装着してください。
- 【女性の場合】
- STEP5オムツをあてる
- 側臥位の状態で、縦半分に折った新しいオムツの上端を腸骨部にあて、利用者の体の下に差し込む。
- ゆっくり仰臥位に戻り、差し込んだオムツを体の反対側へ広げる。
- パッドとオムツを鼠蹊部に沿わせながらギャザーをフィットさせる。
- オムツの左右の下側にあたるテープを斜め上向きにとめ、上側のテープを斜め下向きに止める。
- 股関節の部分と腹部が圧迫されすぎていないかオムツの具合を確認する。
- 腰を上げられる場合は、腰を上げてもらい下衣をあげる。
- 腰を上げられない場合は、側臥位になり、下衣をあげる。
- 衣類を整えて布団をかける。
- 気分不快や体調不良がないか確認する。
MEMO衣類やベッドシーツに汚染があった場合は、step4内で同時に交換しましょう。
- STEP5排泄介助後の後処理
- ベッドの高さをもとの位置に戻す。
- サイドレールをもとに戻す。
- その他、使用物品を所定の位置へ戻す。
- ヘルパー自身の手洗い消毒をする。
- オムツやパッド等の汚物を新聞紙で包み、ポリ袋へ入れて処理する。
- 部屋のカーテンを開け、室内の換気を行う。
- 排泄物や皮膚等の状態を記録用紙に記入する。
トイレでの排泄介助の手順とコツ
- STEP1トイレまでの導線確保、安全確認
- 居室からトイレまでの道中に、滑りやすくなっている個所がないか、つまづきそうな障害物が置かれていないか、トイレなの手すり等にぐらつきがないか、などを確認する。
- STEP2物品準備
- 必要物品を参考に、オムツ類等の物品を準備する。
- 紙パンツやパッド、清拭などは、あらかじめトイレ内に置いておく。
- STEP3声かけ、説明
- 利用者へ便意・尿意を確認し、これからトイレへ行く旨を説明し、同意を得る。
- STEP4トイレへ移動する
- 利用者の身体機能やペースに合わせて歩行介助や見守りにてトイレへ移動する。
- トイレ内に入る際は、ヘルパーは後方から骨盤付近を支え介助し、利用者を先に入室させ手すりまで誘導する。(トイレ内が狭い場合、後からヘルパーと利用者の位置を入れ替えれないため)
- STEP4下衣をおろし、便座へ座る
- トイレ内の手すりを掴んでもらう。
- ヘルパーが後方から衣類、下着をおろし、体の向きを変えて便座へ座る。
- 着座後に足が地面にしっかりついているか、座位保持が安定しているかを確認する。
- バスタオルを腹部から大腿部にかけ、陰部の露出を最低限に留める。
- 座位保持が可能な場合は、「終わったら大きな声で呼んでください」などと利用者へ伝え、一旦その場を離れ外で待機する。
- 座位が不安定な場合は、左右、前方への転倒に注意しつつ体を支える。
- STEP4後始末
- 排泄後は、手すりを掴み腰を浮かせてもらい、トイレットペーパー等で拭き取る。
- 必要に応じて清拭、陰部洗浄を行う。(前から後ろへ向かって行う)
- 姿勢が不安定であればヘルパーが腰を支える。
- 排泄物を確認し、量や匂い、性状などを観察する。
- STEP4下衣をあげ、居室へ移動する
- 手すりを掴み、立位になってもらう。
- ヘルパーが後方から衣類、下着をあげ、体の向きを変えて移動する。
- 利用者に手を洗ってもらう。
- 利用者の身体機能やペースに合わせて歩行介助や見守りにて居室へ移動する。
- 気分不快や体調不良がないか確認する。
- STEP5トイレ介助後の後処理
- 使用物品を所定の位置へ戻す。
- ヘルパー自身の手洗い消毒をする。
- オムツやパッド等の汚物を新聞紙で包み、ポリ袋へ入れて処理する。
- 排泄物や皮膚等の状態を記録用紙に記入する。
ポータブルトイレでの排泄介助の手順とコツ
ポータブルトイレは「排泄の機能や動作は保たれているが、トイレまでの移動が難しい方」「認知症で場所がわからずにトイレまで辿り着けない方」などに使用します。
日中はトイレに行き、夜間だけポータブルトイレを使用するケースもありますので、その方がポータブルトイレをどのように使用するかを事前に確認しておきましょう。
- STEP1声かけ・説明
- 利用者へ便意・尿意を確認し、これからトイレへ行く旨を説明し、同意を得る。
- STEP2物品準備、環境整備
- 必要物品を参考に、オムツ類等を準備する。
- 飛散防止シートを敷き、その上にポータブルトイレを設置、ポータブルトイレの蓋を開けておく。
- 部屋のカーテンを閉めて外から見えないようにする。
- ポータブルトイレの座面に合わせてベッドの高さを調整する。
注意ポータブルトイレがずれて動かないか安定性を必ず確かめてください。
- STEP3下衣をおろし、便座へ座る
- ベッドの端にて端坐位になってもらう。
- 手すりを掴んでもらい立位へ、下衣、下着をおろす。
- 体の向きを変えて便座へ座る。
- 立位保持が難しい場合は、端座位の状態で利用者の足の間にヘルパーの足を入れ、腰に手を回して引き寄せるように便座へ移乗する。
- 着座後に足が地面にしっかりついているか、座位保持が安定しているかを確認する。
- バスタオルを腹部から大腿部にかけ、陰部の露出を最低限に留める。
- 座位保持が可能な場合は、「終わったら呼んでください」などと利用者へ伝え、一旦その場を離れ外で待機する。
- 座位が不安定な場合は、左右、前方への転倒に注意しつつ体を支える。
MEMOポータブルトイレに座る際は、後方に少し隙間ができるように座ってもらいましょう。
背もたれに密着するほど深く座るといきみにくく、浅く座ると立位はしやすくなりますが前方へ転倒する危険性があります。
- STEP4後始末
- 排泄後は、手すりを掴み腰を浮かせてもらい、トイレットペーパー等で拭き取る。
- 必要に応じて清拭、陰部洗浄を行う。(前から後ろへ向かって行う)
- 姿勢が不安定であればヘルパーが腰を支える。
- 排泄物を確認し、量や匂い、性状などを観察する。
- STEP5下衣をあげて、ベッドへ戻る
- 手すりを掴んでもらい立位へ、下衣、下着をあげる。
- 体の向きを変えてベッドへ座る。
- 立位保持が難しい場合は、端座位の状態で利用者の足の間にヘルパーの足を入れ、腰に手を回して引き寄せるようにベッドへ移乗する。
- 気分不快や体調不良がないか確認する。
- STEP6ポータブルトイレ介助後の後処理
- ポータブルトイレ内のバケツを取り出し、フタをしてトイレまで運ぶ。
- 排泄物の量や色、匂い、性状などを確認した後トイレ内へ破棄する。
- バケツを洗浄し、もとのポータブルトイレ内に戻す。
- オムツやパッド等の汚物を新聞紙で包み、ポリ袋へ入れて処理する。
- 飛散防止シートやトイレットペーパーなどの使用物品をもとの位置に戻す。
- 清潔なタオル等で利用者に手を拭いてもらう。
- ヘルパー自身の手洗い消毒をする。
- 部屋のカーテンを開け、室内の換気を行う。
- 排泄物や皮膚等の状態を記録用紙に記入する。
さいごに
訪問介護の排泄介助マニュアルは以上となります。
訪問介護における排泄介助の基本は、すべて本マニュアルに盛り込んでいますですので、新人ヘルパーの方々は、ぜひ繰り返し読み参考にしてくださいね。
当サイト「ヘルパー会議室」では、ホームヘルパー・サービス提供責任者の初心者向けに業務マニュアルを無料で公開しています。
この機会にあわせてチェックしておきましょう。