訪問介護は、指定基準によりヘルパーに対する「研修」の機会を必ず確保しなければなりません。
いわゆるヘルパー勉強会とも呼ばれる研修は、ほとんどの事業所で月に1回開催し、そのテーマをサービス提供責任者が選定します。しかし、何度もヘルパー勉強会をしていると「ネタがない…」「同じようなテーマばかり…」といった悩みが起きがちですよね。
そこで今回は、実際に私の訪問介護事業所で行っている研修テーマを『38案』紹介します。さらに研修資料として使えるコラムや動画などのリンクも貼っていますので、ぜひご活用ください。

研修ネタは、随時追加していきます。
ヘルパー勉強会のテーマ38案【使える研修資料つき】
私の訪問介護事業所で行っているヘルパー勉強会のテーマ38案は以下のとおりです。
\ 勉強会テーマ38案/
※クリックすると読みたい所へジャンプします
- オムツ交換、陰部洗浄の実技研修
- ボディメカニクスを利用した移乗介助の実技研修
- 更衣介助の実技研修
- 古武術の動きを基にした介護技術研修
- 訪問介護の範囲についての研修
- 訪問系障害福祉サービスの範囲についての研修
- 2時間ルールについての研修
- 掃除の基礎についての研修
- 調理の基礎についての研修
- 調理実習
- サービス実施記録の書き方についての研修
- 高次脳機能障害についての研修
- 糖尿病についての研修
- サルコペニア・フレイルについての研修
- 認知症および認知症ケアに関する研修
- 障害の理解と支援の方法についての研修
- ターミナルケアについての研修
- 消費者被害についての研修
- 腰痛予防についての研修
- 利用者宅への移動時の安全運転講習
- 接遇マナー研修
- プライバシー保護の取り組みに関する研修
- 倫理及び法令遵守に関する研修
- 事故発生又は再発防止に関する研修
- 緊急時の対応に関する研修
- 感染症・食中毒の予防及び蔓延防止に関する研修
- ハラスメント研修
- 高齢者虐待防止に関する研修
- 障害者虐待防止に関する研修
- 身体拘束等の適正化のための研修(障害福祉のみ)
- 感染症および災害時に係る業務継続計画についての研修
- アンガーマネジメント研修
- サービス提供責任者業務についての研修
- 観察についての研修
- 自立支援についての研修
- 口腔ケアのついての研修
- 食事介助についての研修
- 洗濯の基本と洗濯表示記号についての研修
テーマ1.オムツ交換、陰部洗浄の実技研修
オムツ交換や陰部洗浄などの排せつ介助は、新人ヘルパーが特に不安や苦手意識を持ちやすい身体介護。
身体介護スキルは、実際の介護現場で「数をこなす」ことにより上達していきます。とはいえ、いきなり利用者を相手にオムツ交換をするとなるとハードルが高いですよね。
そこで、事前にオムツ交換や陰部洗浄をシュミレーションしておくことで、いざ実践となった際に段取りよくスムーズに行えます。
勉強会の実施方法としては
- おしり拭きや陰部洗浄用のボトルなど物品を準備する
- ストッキングに丸めた紙や綿を詰めて下半身の人形を男女2体分作る
- 人形にフラットタイプのオムツとパットを装着する
- 等身大の人形をモデルに、サービス提供責任者が実技を披露する
- 次に参加したヘルパー1人ずつ実技を行う
- サービス提供責任者がアドバイスやフィードバックを行う
このような流れで行うと良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室のコラムや新潟県社会福祉協議会のYouTubeチャンネルを参考にしてください。
テーマ2.ボディメカニクスを利用した移乗介助の実技研修
ボディメカニクスとは簡単に言うと「最小限の力で介助ができる技術」のこと。
力任せに移乗介助をしているヘルパーは多く、力に頼った身体介護を続ければ、いずれ体に支障をきたします。ボディメカニクスを習得することにより、ヘルパー自身の身を守れるだけでなく、利用者の負担軽減にもつながるため絶対に身につけておきたい技術と言えます。
※勉強会に取り入れるなら、以下、三幸福祉カレッジさんのYouTubeチャンネルとヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
参考: 三幸福祉カレッジちゃんねる 東海・北陸エリア – YouTube
テーマ3.更衣介助の実技研修
訪問介護では、入浴介助の前後やデイサービスの送り出し時など、さまざまな場面に付随して更衣介助を行います。介護技術としては目立たない存在かもしれませんが、正しい知識・手順を知っておかないと重大な事故につながりかねない身体介護です。
更衣介助の勉強会では
- ベッド上での更衣介助
- イスに座っての更衣介助
- 片麻痺の利用者への更衣介助
など、あらゆる場面を想定した実技を行うと良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下を研修資料の参考にしてください。
テーマ4.古武術の動きを基にした介護技術研修
古武術介護とは日本古来の武術、いわゆる古武術の技術を応用することで介護負担を減らすというもの。
そもそも、体の節々に負担が掛かるのは無理な動作をしているからで、人間本来の動作を身に付ければ大幅に負担は軽減できると古武術介護では提唱しています。
古武術介護は今まで習ってきた介護技術と大幅に違うため戸惑うかもしれませんが、実際に体験してみると驚くほど簡単に介護ができるのでおすすめです。
※勉強会に取り入れるなら、以下、古武術介護の提唱者「岡野慎一郎」さんのYouTubeチャンネルを参考にしてください。
テーマ5.訪問介護の範囲についての研修
訪問介護は、省令により「できること・できないこと」が定められている制限付きサービスです。しかし、この訪問介護の範囲について認識不足なヘルパーが少なくありません。
例えば、掃除ひとつをとっても「どこまでが大掃除なのか?」「窓ふきはアウトでは?」など疑問に感じているヘルパーは多いもの。
こうしたテーマは、ヘルパーにとって身近な話題ですので、ぜひ勉強会に取り入れましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ6.訪問系障害福祉サービスの範囲についての研修
みなさんの訪問介護事業所では、居宅介護や重度訪問介護、同行援護などの訪問系障害福祉サービスも一体的に運営しているところが多いかと思います。
訪問系障害福祉サービスは、訪問介護と制度体系が異なるため、サービスの範囲などにさまざまな違いがあります。例えば、居宅介護であれば、障害者本人の子供に対する育児支援というサービスを提供できたり、買い物同行をしても家事援助で算定したり、など。
テーマ5「訪問介護の範囲」とあわせて、双方を比較しながら勉強会を行うと良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ7.2時間ルールについての研修
2時間ルールとは、同じ利用者へ1日に複数回サービス提供する場合、サービス前後の間隔が『概ね2時間未満』であれば、前後のサービスを合算する規定のこと。
「2時間ルールなんてヘルパーが知る必要ある?」と思われたかもしれせんが、サービス提供責任者だけでなくヘルパーにも理解させておかねばなりません。
なぜなら2時間ルールは、ケアプラン・訪問介護計画の策定や介護報酬算定において重要な規定であり、ヘルパーが担う介護現場と密接に関わっているからです。
共通言語として2時間ルールを理解させておくことで、サービス提供責任者・ヘルパー間のコミュニケーションがより円滑になるでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:【図解】訪問介護の2時間ルールとは?算定方法と2つの注意点
テーマ8.掃除の基礎についての研修
掃除は主婦業との親和性が高いため、新人ヘルパーでも取っつきやすい業務です。しかし、それゆえに慣れてくると専門職としての視点がおろそかになりやすいサービスとも言えます。
いつのまにか自分本位のサービスになっていることも多いので、改めて掃除の基礎を学ぶ機会を作りましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:訪問介護の「掃除」の仕方ガイド。ヘルパーが注意すべき8つのポイント。
テーマ9.調理の基礎についての研修
調理についても掃除と同様の理由です。加えて「調理が苦手」「時間内に終わらない」といった悩みをヘルパーは抱えがち。以下、ヘルパー会議室が作成した調理の基礎を分かりやすく解説したマニュアルを研修資料の参考にしてください。
テーマ10.調理実習
テーマ9.「調理の基礎」にプラスして、調理実習を行うことでヘルパーの学びはより深まります。
例えば「時短レシピ」や「時短調理のコツ」、他にも「利用者に満足してもらえる制限食の作り方」などの実習テーマがおすすめです。
調理実習をするなら以下のレシピサイトから事前にピックアップしておきましょう。
※参考レシピサイト
テーマ11.サービス実施記録の書き方についての研修
サービス実施記録は、介護報酬請求の根拠となる超重要な書類です。また利用者や家族とトラブルに発展した際に、ヘルパー自身を守る証拠書類にもなります。
とはいえ重要な書類であるにも関わらず、サービス実施記録に対する意識が低いヘルパーは多いです。
ヘルパー勉強会に「サービス実施記録の書き方」を取り入れ、記録の重要性を理解させると良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ12.高次脳機能障害についての研修
高次脳機能障害とはケガや病気によって、脳に損傷を負うことで記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの症状が発生する障害です。
この障害は、一見すると認知症と混同してしまいかねないため、正しい知識をヘルパーは持っておかなければなりません。高次脳機能障害の知識は、サービスの質に大きく関わることですので、ぜひ勉強会に取り入れましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、国立障害者リハビリテーションセンターHPを研修資料の参考にしてください。
テーマ13.糖尿病についての研修
糖尿病は、体内のインスリンが十分に働かないことで血液中のブドウ糖が増え、様々な合併症を引き起こす危険な疾患です。訪問介護の利用者は糖尿病罹患率がかなり高いため、ヘルパーとしては必須知識と言えます。
※勉強会に取り入れるなら、以下、国立国際医療研究センターHPを研修資料の参考にしてください。
参考:糖尿病情報センター
テーマ14.サルコペニア・フレイルについての研修
廃用症候群とならび、近年で注目されているのがサルコペニア・フレイル。
フレイルとは加齢により、徐々に心身の活力が低下した状態を指します。「健康な状態」と「要介護状態」の中間的な状態だとイメージすると分かりやすいかもしれません。
ヘルパーがフレイルに対する知識を持つことにより、事前に気づける可能性もあるのでおすすめの研修です。
※勉強会に取り入れるなら、以下、公益財団法人長寿科学振興財団が運営する「健康長寿ネット」を研修資料の参考にしてください。
参考:フレイルとは
テーマ15.認知症および認知症ケアに関する研修
認知症については言うまでもありません。ヘルパーにとって必須中の必須。100%知っておかねばならない知識・技術が、認知症および認知症ケアです。
まだ認知症の勉強会を実施していないのであれば、まずは「認知症とはなにか」、そして認知症ケアの基礎について研修を行いましょう。
以下、ヘルパー会議室のコラムや厚生労働省が運営する『DCnet』を研修資料の参考にしてください。
すでに認知症の基礎的な勉強会を実施済みであれば、次は、事例検討を行いましょう。ある事例についてヘルパー同士で意見交換することで学びが深まり、現場で活かされます。
以下、厚生労働省が運営する『ひもときねっと』に71種の認知症事例とワークシートが紹介されていますので、研修資料の参考にしてください。
参考:ひもときねっと事例一覧
テーマ16.障害の理解と支援の方法についての研修
障害者への支援は、高齢者介護とは全く異なる考え方や視点が必要です。
これを知らず高齢者と同じような支援を提供すると、適切なサービス提供ができなかったり、ヘルパー自身が疲弊したりしてしまいます。
介護保険の訪問介護とあわせて障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護、同行援護などを提供している事業所が多いかと思いますのでぜひ勉強会に取り入れましょう。
※以下、ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ17.ターミナルケアについての研修
ターミナルケアとは、終末期の医療・看護・介護のことを指します。
その中の介護領域をヘルパーは担うわけですが、ターミナルケアにおける「訪問介護の役割」を理解しているヘルパーは少ないです。そもそもターミナルケアの経験がないヘルパーもいますので、正しい知識を学ぶ機会を作りましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、国立研究開発法人「国立がん研究センター」が提供している資料を参考にしてください。
参考:在宅終末期ケアにおける介護専門職と訪問看護師との連携について
テーマ18.消費者被害についての研修
消費者被害は高齢者が被害に遭いやすいという特徴があります。
特に独居高齢者への「訪問販売」は消費者被害の対象になりやすいため、在宅での生活を支えるヘルパーは消費者被害に対する知識を持っておかなければなりません。
被害を未然に防げる可能性もありますので、ぜひ勉強会に取り入れましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、消費者庁が提供しているガイドブックを研修資料の参考にしてください。
テーマ19.腰痛予防についての研修
腰痛というと身体介護に目がいきがちですが、生活援助にも原因は隠れています。
例えば、洗い物や掃除機がけ等、同じ姿勢で一定時間を過ごす動作は腰に負担がかかります。ヘルパーは普段から腰痛対策を実践することが重要です。
ひどい腰痛になる前に、腰痛予防のポイントや腰痛予防エクササイズを取り入れた勉強会を行っておきましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、研修資料の参考にしてください。
参考:厚生労働省「腰痛予防対策について」
参考:厚生労働省「介護業務で働く人のための 腰痛予防のポイントとエクササイズ」
テーマ20.利用者宅への移動時の安全運転講習
訪問介護では利用者宅への移動中に事故が発生する可能性があります。
そのため自動車・バイク・自転車など、どのような移動手段にせよ定期的な安全運転講習は必要です。
安全運転講習では
- 交通法規の確認(各利用者宅での駐車場所の再確認や標識を守って運転しているか?など)
- ヒヤリハット研修(教則本などを使用してディスカッション。実際の事例を挙げていただきながら共有)
- 季節や時間帯における人の増加(夏休みに子供が増える、登下校時間帯等)
- 運転するにあたっての心構え(体調の確認や精神状態など)
- 緊急時の連絡体制の確認(サービス延長による、次の予定が遅れそうなときの確認。実際の事故時の連等)
- 普段の車等のお手入れ(他人から見られることを意識した環境整備など)
- 事故多発場所の情報共有
などを組み込むと良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下を研修資料の参考にしてください。
テーマ21.接遇マナー研修
利用者や家族との信頼関係を構築する上で欠かせない必須スキルが「接遇」です。
施設介護と異なり、利用者の生活に入っていく訪問介護では、ヘルパー一人ひとりが適切な接遇マナーを身につけておくことを求められます。
実際の介護現場では、身体介護スキルが優れていても、接遇マナーが悪いことで利用者から良い評価を得られない、といったことが珍しくありません。
また、ベテランになるとどうしても接遇が疎かになりがちと言えます。そのため新人ヘルパーだけでなく、ベテランヘルパーに初心に戻ってもらい、自らのサービスを省みる機会として定期的に接遇マナー研修を取り入れましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:訪問介護の接遇マニュアル
テーマ22.プライバシー保護の取り組みに関する研修
ヘルパーは、利用者の個人情報やプライバシーに接する機会が多々あります。
介護現場で見聞きした利用者情報や訪問介護計画書、サービス実施記録など、こうした個人情報の取り扱いやプライバシーの保護には十分な注意が必要です。
知らず知らずに個人情報を流出していたり、プライバシーを侵害していたり、と言ったことがあってはなりません。個人情報やプライバシーにあたるものは何かを説明し、業務中はもちろん業務外においても注意しなければならないことをしっかり理解させる勉強会を行いましょう。
※なおプライバシー保護の取り組みに関する研修は、法定研修ですので年に1回必ず実施しなければなりません。以下、ヘルパー会議室のコラムと「care styles consulting」さんのYouTubeチャンネルを参考にしてください。
参考:「第1回:個人情報保護法、誤解なく適切に運用しよう」- YouTube
参考:「 第2回:介護現場における個人情報とプライバシー」- YouTube
テーマ23.倫理及び法令遵守に関する研修
訪問介護を含めた介護サービスは、介護保険法や障害者総合支援法、労働基準法、個人情報保護法、高齢者虐待防止法、道路交通法などさまざまな法律を土台とした社会サービスです。
そのためサービス事業者には、法律に則った適正な運営が求められます。
指定基準を守り、誠実にサービスを提供し、帳票書類を作成・保管する。そして不正なく介護報酬を受給する。こうした社会規範に反することなく、公正・公平に業務遂行する姿勢は、職員全員が持っておかなければなりません。
※なお、倫理及び法令順守に関する研修は、法定研修ですので年に1回必ず実施しましょう。以下、「care styles consulting」さんと「このいろ」さんのYouTubeチャンネルを参考にしてください。
テーマ24.事故発生又は再発防止に関する研修
基本、単独で仕事をするヘルパーは、そばで誰かからフォローを得られるわけではありません。加えて利用者の状態や自宅環境はさまざまですから、訪問介護という業態は事故が発生しやすい条件がそろっていると言えます。
そのため、いざ事故が発生した際に焦らず対応できるよう事故対応マニュアルの作成が必要です。そしてマニュアルをもとに勉強会で周知共有を図りましょう。
※なお、事故発生又は再発防止に関する研修は、法定研修ですので年に1回必ず実施しましょう。以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ25.緊急時の対応に関する研修
訪問介護における緊急時は、先のテーマ24で述べた介護事故、あるいは利用者の急な状態変化により発生します。「サービス中に利用者が急に嘔吐した」「訪問したら顔が青ざめて倒れている」など、身体機能が低下している利用者は、いつなんどき急病や事故が発生してもおかしくありません。
こうした予期せぬ事態にそなえ、「応急処置の方法」「緊急時の連絡フロー」「医療職への伝え方」「救急搬送の手順」などを勉強会で周知共有を図りましょう。
※なお、緊急時対応に関する研修は、法定研修ですので年1回の実施が必要です。以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ26.感染症・食中毒の予防及び蔓延防止に関する研修
さまざまなお宅へ出入りするヘルパーは、感染源を「持ち込まない、拡げない、持ち出さない」ことが重要です。加えて、調理サービス時は食中毒にも注意しておけねばなりません。
感染症・食中毒対策マニュアルを作成し、それをもとに勉強会を行いましょう。
※なお、感染症・食中毒の予防及び蔓延防止に関する研修は法定研修ですので、年1回の実施が必要です。厚生労働省が感染症対策の手引きを提供していますので、以下をご活用ください。
テーマ27.ハラスメント研修
令和3年度介護報酬改定により、介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策として必要な措置を講じることを義務付けられました。
ここで言うハラスメントは、職場におけるセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、利用者・家族から受けるセクシャルハラスメントや著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)を指します。
※厚生労働省が「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル及び研修の手引き」を公開していますので、以下をご活用ください。
テーマ28.高齢者虐待防止に関する研修
令和3年度介護報酬改定により、利用者の人権擁護、虐待防止の観点から、必要な体制の整備を行うとともに、ヘルパーに対して研修を実施するなどの措置を講じることを義務付けられました。
※勉強会にあたっては、以下、ヘルパー会議室のコラムや東京都福祉保健局HPを研修資料の参考にしてください。
テーマ29.障害者虐待防止に関する研修
令和3年の介護報酬改定により、障害者虐待防止をさらに推進させる観点から、虐待の発生またはその再発を防止するための研修の実施が義務付けられました。
※勉強会にあたっては、以下、全国社会福祉協議会が提供しているガイドブックを研修資料の参考にしてください。
テーマ30.身体拘束等の適正化のための研修(障害福祉のみ)
令和3年度の介護報酬改定により、訪問系障害福祉サービスに限って、身体拘束等の適正化の更なる推進のため、事業所が取り組むべき事項が追加されるとともに、減算要件(身体拘束廃止未実施減算)が追加されました。
具体的には、身体拘束等の適正化のための委員会の設置、指針の作成、研修を実施しなければ、基本報酬から1日につき5単位減算されます。
※なお身体拘束等の適正化のための研修は、テーマ29「障害者虐待防止に関する研修」とまとめて実施してもOKです。
テーマ31.感染症および災害時に係る業務継続計画についての研修
令和3年介護報酬改定により、感染症や災害が発生した場合であっても、継続的にサービス提供できる体制を構築する観点から、事業所における業務継続計画(BPC)の作成と研修が義務付けられました。
なお、準備期間として令和6年3月31日まで経過措置が設けられています。(令和6年度から義務化)
※業務継続計画の作成にあたっては、厚生労働省が研修動画を提供していますので、以下を参考にしてください。
参考:【介護保険サービス事業所用】業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画
参考:【障害福祉サービス事業所用】業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修動画
テーマ32.アンガーマネジメント研修
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。
ヘルパーとして働いていると職場内や、利用者・家族に対して怒りの感情がわくことってありますよね。
介護職と言えども人間です。イラつくことは当然あるわけですが、その怒りをうまくコントロールできず抱え込んでしまうヘルパーは少なくありません。
勉強会では、なぜ怒りの感情が起こるのか?その時の脳の仕組みは?うまくコントロールする手段は?など事例や体験談等をシェアしながら行うと良いでしょう。
※勉強会にあたっては、以下、ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:【訪問介護のアンガーマネジメント実践】怒りをコントロールしてうまく付き合う方法
テーマ33.サービス提供責任者業務についての研修
訪問介護は、サービス提供責任者とヘルパー相互の情報交換・共有により円滑に回ります。この連携において重要なのは、それぞれの立場や役割を理解し、お互いを尊重することです。
しかし、ヘルパーからすればサービス提供責任者が普段「どのような業務を担い、何を考えているのか」が、いまいち見えてこないもの。なんとなく理解していても、具体的な業務内容や思考までは知りません。
そこで、サービス提供責任者の業務をヘルパーに知ってもらう機会を作りましょう。それにより、ヘルパーからの報告内容が、一歩先を見た相手の立場にたったものに変わります。
※勉強会に取り入れるなら、以下、ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
テーマ34.観察についての研修
訪問介護は24時間をとおして利用者を見ているわけではありません。
そのため訪問介護では「観察力」や些細な変化にも「気づく力」がとても大切なスキルとなります。
とはいえ「なにをどう観察すれば良いかわからない」といったヘルパーも多いので、観察の必要性や基本的な観察項目、ポイントなどを研修に取り入れると良いでしょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下ヘルパー会議室コラムを研修資料の参考にしてください。
参考:【訪問介護の観察マニュアル】基本観察項目と気づく力を高める4の法則
テーマ35.自立支援についての研修
訪問介護の目的は、利用者がその人らしく自立した生活を送ってもらえるように支援することです。
しかし、そもそも自立とはなにか?そして自立支援とはなにか?を理解しているヘルパーは少なく、正しく学ぶ機会を設ける必要があります。
また介護保険の訪問介護だけでなく、障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護も一体的に提供している事業所では、双方の自立観の違いについても留意しておかなければなりません。
※勉強会に取り入れるなら、以下ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:訪問介護の「自立支援」実践ガイド【考え方と展開方法を4ステップで解説】
テーマ36.口腔ケアについての研修
口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防につながるとても大切な介助のひとつです。
しかしヘルパーには口腔ケアについて正しい知識を得る機会がほとんどありません。そのため、口腔ケアの仕方がよく分かっていないヘルパーは多く、勉強会で口腔ケアの基本や実践手順を学ぶ機会を設けましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:訪問介護の口腔ケアマニュアル【基本知識と実践手順を徹底解説】
テーマ37.食事介助についての研修
食事介助は、身体介護の中でも難易度が高く、ひとつ介助の方法を誤ると食塊をのどに詰まらせたり、誤嚥したり、といった介護事故のリスクが潜んでいます。
そのため、ヘルパーには食事時の基本姿勢や食事行為にかんするアセスメント方法、嚥下のメカニズムなどをきちんと理解させておかなければなりません。
※勉強会に取り入れるなら、以下ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:【訪問介護の食事介助マニュアル】9つの基本と実践手順をわかりやすく解説
テーマ38.洗濯の基本と洗濯表示記号についての研修
洗濯は、掃除や調理と並んで主婦業との親和性が高いため、新人ヘルパーでも取っつきやすい業務です。しかし、訪問介護の業務として行う洗濯は、注意点が多く、正しい知識を身につけておく必要があります。
また、みなさんは2016年から洗濯表示記号が変更になっていることはご存じでしょうか?洗濯表示記号を確認せずに洗濯をしてしまうと衣類を傷めてしまう可能性がありますので、勉強会にて洗濯の基本や洗濯表示記号について学ぶ機会を設けましょう。
※勉強会に取り入れるなら、以下ヘルパー会議室のコラムを研修資料の参考にしてください。
参考:【訪問介護の洗濯マニュアル】注意点やコツを初心者ヘルパー向けに完全解説
勉強会のテーマが決まったら研修計画を策定しましょう
これまで訪問介護のヘルパー勉強会テーマ38個を紹介してきました。次は、テーマが決まったら年間研修計画を策定しましょう。
年間研修計画とは、文字どおり年間に実施する研修項目と概要を記した計画書類です。実地指導でもチェックされますので必ず作成してくださいね。
なお、今回紹介したテーマ案のうち、
- 認知症及び認知症ケアに関する研修
- プライバシーの保護の取り組みに関する研修
- 接遇に関する研修
- 倫理及び法令遵守に関する研修
- 事故発生又は再発防止に関する研修
- 緊急時の対応に関する研修
- 感染症・食中毒の予防及び蔓延防止に関する研修
- ハラスメント研修
- 人権擁護・虐待防止に関する研修
- 身体拘束等の適正化のための研修(障害福祉のみ)(令和5年度から義務化)
- 感染症および災害時に係る業務継続計画についての研修(令和6年度から義務化)
上記11個は、介護保険法・障害者総合支援法・虐待防止法などの関連法、または情報公表制度により求められる必須研修項目です。これらはヘルパーとして働く上で欠かせない基礎知識ですので、基本的にこの11テーマを中心に年間研修計画を策定し、ヘルパー勉強会を開催しましょう。