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訪問介護の令和6年度報酬改定まとめ|変更内容と事業所がやるべきことを解説

訪問介護 令和6年度報酬改定 内容

 

令和6年度の報酬改定で、訪問介護は何が変わったのでしょうか?

忙しくて調べる時間がありません…。

 

2024年4月1日に施行された令和6年度の介護報酬改定。

訪問介護においても厚生労働省より数多くの改定事項が示されました。ですが、日々の業務に追われて厚生労働省の資料を調べ、読み解く時間がない方も多いはず。

そこで、今回は、令和6年度の介護報酬改定のうち、訪問介護のみに絞って改定事項をまとめました。

訪問介護において何がどう変わったのかを詳しく紹介し、併せて事業所としてすべきことを解説していきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

 

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
「ヘルパー会議室」コラム内文章の引用ポリシー
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訪問介護における令和6年度介護報酬改定の内容まとめ

訪問介護における令和6年度介護報酬改定の内容は、以下の17個です。

それぞれきちんと確認しておきましょう。

 

 

 

①:人員配置基準における両立支援への配慮

  • 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
  • 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

資料と仕事の両立ガイドラインのダウンロードはこちら

 

従前より「母性健康管理措置による短時間勤務」や「育児・介護休業法による短時間勤務制度」については週30時間以上の勤務で常勤および常勤換算での計算上も1として取り扱いことが認められていましたが、令和6年度より「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合も認められるようになりました。

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②:管理者の責務及び兼務範囲の明確化等

  •  提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。

解釈通知の変更内容

2024年4月以前 2024年4月以降
1人員に関する基準(3)管理者 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。 同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定訪問介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合(施設における勤務時間が極めて限られている場合を除く。)、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定訪問介護事業所又は利用者へのサービ
ス提供の現場に駆け付けることができない体制となっている場合などは、管理業務に支障があると考えられる
3運営に関する基準(17)管理者及びサービス提供責任者の責務 管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に居宅基準第2章第4節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を、サービス提供責任者は、指定訪問介護に関するサービス内容の管理について必要な業務等として、居宅基準第28 条第3項各号に具体的に列記する業務を行うものである。 管理者の責務を、介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者
へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該指定訪問介護事業所の従業者に居宅基準第2章第4節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととし、サービス提供責任者は、指定訪問介護に関するサービス内容の管理について必要な業務等として、居宅基準第28条第3項各号に具体的に列記する業務を行うこととしたものである。

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③:いわゆるローカルルールについて

  •  都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。

厚生労働省Q&A

質問 回答
問183 人員配置基準等に関するいわゆるローカルルールについて、どのような取扱いとするべきか。
  • 介護保険法上、介護事業所・施設等が介護保険サービスを提供するためには、自治体が条例で定めた基準を満たすものとして、都道府県等からの指定を受ける必要がある。自治体が条例を制定・運用するに当たっては、①従うべき基準、②標準、③参酌すべき基準に分けて定められる国の基準(省令)を踏まえる必要がある。
  • このうち人員配置基準等については、①従うべき基準に分類されている。したがって、自治体は、厚生労働省令で定められている人員配置基準等に従う範囲内で、地域の実情に応じた条例の制定や運用が可能である一方、こうしたいわゆるローカルルールについては、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要がある。
  • そのため、いわゆるローカルルールの運用に当たり、自治体は、事業者から説明を求められた場合には、当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにする必要がある。
  • また、いわゆるローカルルールの中でも特に、管理者の兼務について、個別の事業所の実態を踏まえず一律に認めないとする取扱いは適切でない。

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④:「書面掲示」規制の見直し

  •  運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。

令和7年度(令和7年4月1日)から義務となります。

 

ちなみに上記の重要事項等とは、

  • 運営規程の概要
  • 訪問介護員等の勤務体制
  • 事故発生時の対応
  • 苦情処理の体制(体制及び手順等)
  • 提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)

などの利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を指します。

簡単に言うと、「重要事項説明書」を事業所内に掲示することに加えて、インターネット上に掲載することが義務化されるということです。

 

⑤:基本報酬の見直し

サービス内容 算定項目 2024年4月以前 2024年4月以降
身体介護中心型 (1)20分未満 167単位 163単位
(2)20分以上30分 250単位 244単位
(3)30分以上1時間未満 396単位 387単位
(4)1時間以上 579単位に30分増すごとに84単位を加算 567単位に30分を増すごとに82単位を加算
(2)~(4)に引き続き生活援助を行った場合 所要時間が20分から起算して25分を増すごとに+67単位(※201単位を限度) 所要時間が20分から起算して25分を増すごとに+65単位(※195単位を限度)
生活援助中心型 20分以上45分未満 183単位 179単位
45分以上 225単位 220単位
通院等乗降介助 1回につき(片道) 99単位 97単位

【令和6年度改定対応】訪問介護の「単位数」一覧|基本報酬・加算・減算をまとめて紹介

 

⑥:地域区分

  • 令和6年度以降の級地の設定に当たっては、現行の級地を適用することを基本としつつ、公平性を欠く状況にあると考えられる自治体については特例を設け、自治体に対して行った意向調査の結果を踏まえ、級地に反映する。また、平成27年度介護報酬改定時に設けられた経過措置については令和5年度末までがその期限となっているが、令和8年度末までの延長を認める。

※令和6年度~令和8年度までの間の地域区分の適用地域については以下を参考にしてください。

【令和6年度改定対応】訪問介護の地域区分・地域単価一覧まとめ

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⑦:訪問介護における特定事業所加算の見直し

訪問介護における特定事業所加算について、看取り期の利用者など重度者へのサービス提供や中山間地域等で継続的なサービス提供を行っている事業所を適切に評価する観点等から以下の見直しを行う。

  • ア:看取り期における対応を適切に評価する観点から、重度者対応要件として、「看取り期にある者」に関する要件を新たに追加する。
  • イ:中山間地域等において、地域資源等の状況により、やむを得ず移動距離等を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない場合があることから、利用者へ継続的なサービスを行っていることについて新たに評価を行う。
  • ウ:重度要介護者等への対応における現行要件について、実態を踏まえ一部の現行区分について見直し等を行う

単位数

2024年4月以前 2024年4月以降
特定事業所加算(Ⅰ) 所定単位数の20%を加算 特定事業所加算(Ⅰ) 所定単位数の20%を加算
特定事業所加算(Ⅱ) 所定単位数の10%を加算 特定事業所加算(Ⅱ) 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅲ) 所定単位数の10%を加算 特定事業所加算(Ⅲ) 所定単位数の10%を加算
特定事業所加算(Ⅳ) 所定単位数の5%を加算 特定事業所加算(Ⅳ) 所定単位数の5%を加算 廃止
特定事業所加算(Ⅴ) 所定単位数の3%を加算 特定事業所加算(Ⅳ) 所定単位数の3%を加算 変更
特定事業所加算(Ⅴ) 所定単位数の3%を加算 新設

算定要件等

※厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より抜粋

 

⑧:業務継続計画未策定減算の新設

  • 感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。

算定要件・単位数

項目 算定要件 単位数
業務継続計画未策定減算 以下の基準に適合していない場合

  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
  • 当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること
所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算(1%)

業務継続計画未策定減算は、令和7年度(令和7年4月1日)から適用されます。

厚生労働省Q&A

質問 回答
問164 業務継続計画未策定減算はどのような場合に適用となるのか。
  • 感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、かつ、当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合に減算の対象となる。
  •  なお、令和3年度介護報酬改定において業務継続計画の策定と同様に義務付けられた、業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない。
問166 行政機関による運営指導等で業務継続計画の未策定など不適切な運営が確認された場合、「事実が生じた時点」まで遡及して当該減算を適用するのか。
  • 業務継続計画未策定減算については、行政機関が運営指導等で不適切な取り扱いを発見した時点ではなく、「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡及して減算を適用することとなる。(中略)
  •  また、訪問介護事業所が、令和7年10月の運営指導等において、業務継続計画の未策定が判明した場合、令和7年4月から減算の対象となる。

 

QAに示されているとおり、業務継続計画未策定減算は、BCPの周知や研修、訓練を実施していなくても減算対象となりません。ただし、減算対象にならないだけであって、これらは基準省令により義務付けられているものですから実施しておいてください。

 

また、減算要件に「業務継続計画に従い必要な措置を講ずること」とされていることから、BCPの発動基準に適合した状況が発生した場合、正しくBCPが実行されているか否かを確認されることになるはずです。ですので、その証明として記録を残しておくことが重要になります。

 

加えて、業務継続計画は、「感染症発生時」と「自然災害発生時」の2つを作成する必要があり、一方のBCPしか策定されていない場合は、令和7年度以降減算対象となりますので注意しておきましょう。(双方を一体的にまとめて作成することは可)

 

 

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⑨:高齢者虐待防止措置未実施減算の新設

  • 利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービス事業者(居宅療養管理指導及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。

算定要件・単位数

項目 算定要件 単位数
高齢者虐待防止措置未実施減算 虐待の発生またはその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合

  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、そ
    の結果について、従業者に周知徹底を図ること。
  • 虐待の防止のための指針を整備すること。
  • 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
  • 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと
所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算(1%)

厚生労働省Q&A

質問 回答
問167 高齢者虐待が発生していない場合においても、虐待の発生又はその再発を防止するための全ての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)がなされていなければ減算の適用となるのか。
  •  減算の適用となる。
  •  なお、全ての措置の一つでも講じられていなければ減算となることに留意すること。
問168 運営指導等で行政機関が把握した高齢者虐待防止措置が講じられていない事実が、発見した日の属する月より過去の場合、遡及して当該減算を適用するのか。
  • 過去に遡及して当該減算を適用することはできず、発見した日の属する月が「事実が生じた月」となる。
問169 高齢者虐待防止措置未実施減算については、虐待の発生又はその再発を防止するための全ての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)がなされていない事実が生じた場合、「速やかに改善計画を都道府県知事に提出した後、事実が生じた月から三月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、入居者全員について所定単位数から減算することとする。」こととされているが、施設・事業所から改善計画が提出されない限り、減算の措置を行うことはできないのか。
  • 改善計画の提出の有無に関わらず、事実が生じた月の翌月から減算の措置を行って差し支えない。当該減算は、施設・事業所から改善計画が提出され、事実が生じた月から3か月以降に当該計画に基づく改善が認められた月まで継続する。

 

高齢者虐待防止措置未実施減算は、業務継続計画未策定減算とは異なり、過去にさかのぼって減算が適用されることはありません

 

運営指導で未実施の事実が発見された日の属する月の翌月から減算措置が開始され、改善計画にもとづく改善が認められた月まで継続することとなります。

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⑩:身体的拘束等の適正化の推進

  • 訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。

解釈通知の変更内容

2024年4月以前 2024年4月以降
3運営に関する基準(13)指定訪問介護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針 ③ 指定訪問介護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。

 

記録の保管期間は、基準省令上は2年間ですが、自治体によっては条例により5年間としている場合が多いため確認しておきましょう。

 

ちなみに、訪問介護については身体拘束廃止未実施減算は適用されませんが、訪問系障害福祉サービスについては令和5年度より適用が開始されています。

 

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⑪:認知症専門ケア加算の見直し

  • 訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算について、認知症高齢者の重症化の緩和や日常生活自立度Ⅱの者に対して適切に認知症の専門的ケアを行うことを評価する観点から、利用者の受入れに関する要件を見直す。

算定要件・単位数

項目 算定要件 単位数
認知症専門ケア加算(Ⅰ)
  • ア:認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が利用者の2分の1以上
  • イ:認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が20人未満の場合は1以上、
    20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
  • ウ:認知症高齢者の日常生活自立度以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
  • エ:当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催
3単位/日

※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護(Ⅱ)については、90単位/月

認知症専門ケア加算(Ⅱ)  

  • ア:認知症専門ケア加算(Ⅰ)のイ・エの要件を満たすこと
  • イ:認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上
  • ウ:認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
  • エ:認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
  • オ:介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定

 

4単位/日

※定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護(Ⅱ)については、120単位/月

 

認知症専門ケア加算については、単位数の変更はありませんでしたが、算定要件に変更が加えられています。(赤文字の部分)

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⑫:口腔連携強化加算の新設

  • 訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護において、職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、事業所と歯科専門職の連携の下、介護職員等による口腔衛生状態及び口腔機能の評価の実施並びに利用者の同意の下の歯科医療機関及び介護支援専門員への情報提供を評価する新たな加算を設ける。

算定要件・単位数

項目 算定要件 単位数
口腔連携強化加算
  • 事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て、歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果を情報提供した場合に、1月に1回に限り所定単位数を加算する。
  • 事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。
50単位/回
※1月に1回に限り算定可能

報酬告示の留意事項通知

通知内容
(23) 口腔連携強化加算について
  • ① 口腔連携強化加算の算定に係る口腔の健康状態の評価は、利用者に対する適切な口腔管理につなげる観点から、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。
  • ② 口腔の健康状態の評価の実施に当たっては、必要に応じて、厚生労働大臣が定める基準における歯科医療機関(以下「連携歯科医療機関」という。)の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士に口腔の健康状態の評価の方法や在宅歯科医療の提供等について相談すること。なお、連携歯科医療機関は複数でも差し支えない。
  • ③ 口腔の健康状態の評価をそれぞれ利用者について行い、評価した情報を歯科医療機関及び当該利用者を担当する介護支援専門員に対し、別紙様式6等により提供すること。
  • ④歯科医療機関への情報提供に当たっては、利用者又は家族等の意向及び当該利用者を担当する介護支援専門員の意見等を踏まえ、連携歯科医療機関・かかりつけ歯科医等のいずれか又は両方に情報提供を行うこと。
  • ⑤ 口腔の健康状態の評価は、それぞれ次に掲げる確認を行うこと。ただし、ト及びチについては、利用者の状態に応じて確認可能な場合に限って評価を行うこと。
    イ 開口の状態
    ロ 歯の汚れの有無
    ハ 舌の汚れの有無
    ニ 歯肉の腫れ、出血の有無
    ホ 左右両方の奥歯のかみ合わせの状態
    ヘ むせの有無
    ト ぶくぶくうがいの状態
    チ 食物のため込み、残留の有無
  • ⑥ 口腔の健康状態の評価を行うに当たっては、別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)及び「入院(所)中及び在宅等における療養中の患者に対する口腔の健康状態の確認に関する基本的な考え方」(令和6年3月日本歯科医学会)等を参考にすること。
  • ⑦ 口腔の健康状態によっては、主治医の対応を要する場合もあることから、必要に応じて介護支援専門員を通じて主治医にも情報提供等の適切な措置を講ずること。
  • ⑧ 口腔連携強化加算の算定を行う事業所については、サービス担当者会議等を活用し決定することとし、原則として、当該事業所が当該加算に基づく口腔の健康状態の評価を継続的に実施すること。

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⑬:介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化

  • 介護現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率の引上げを行う。
  • 介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行う。

新加算の「介護職員等処遇改善加算」は令和6年6月~になります。

 

算定要件

  • 一本化後の新加算全体について、職種に着目した配分ルールは設けず、事業所内で柔軟な配分を認める。
  • 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。

※それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。

詳しい算定要件および事務手続きについては以下の厚生労働省ホームページを確認してください。

厚生労働省「介護職員の処遇改善」

 

2024年4月~2024年5月

算定項目 算定内容
介護職員処遇改善加算Ⅰ 1月につき+所定単位×137/1000(13.7%)
介護職員処遇改善加算Ⅱ 1月につき+所定単位×100/1000(10%)
介護職員処遇改善加算Ⅲ 1月につき+所定単位×55/1000(5.5%)
介護職員等特定処遇改善加算Ⅰ 1月につき+所定単位×63/1000(6.3%)
介護職員等特定処遇改善加算Ⅱ 1月につき+所定単位×42/1000(4.2%)
介護職員等ベースアップ等支援加算 1月につき+所定単位×24/1000(2.4%)

※所定単位とは、基本サービス費に各種加算減算を加えた総単位数のこと。(介護職員処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算、介護職員等特定処遇改善加算を除く)
※処遇改善加算は、支給限度額管理の対象外の算定項目です。

2024年6月以降

算定項目 算定内容
介護職員等処遇改善加算Ⅰ 1月につき+所定単位×245/1000(24.5%)
介護職員等処遇改善加算Ⅱ 1月につき+所定単位×224/1000(22.4%)
介護職員等処遇改善加算Ⅲ 1月につき+所定単位×182/1000(18.2%)
介護職員等処遇改善加算Ⅳ 1月につき+所定単位×145/1000(14.5%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(1) 1月につき+所定単位×221/1000(22.1%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(2) 1月につき+所定単位×208/1000(20.8%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(3) 1月につき+所定単位×200/1000(20%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(4) 1月につき+所定単位×187/1000(18.7%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(5) 1月につき+所定単位×184/1000(18.4%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(6) 1月につき+所定単位×163/1000(16.3%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(7) 1月につき+所定単位×163/1000(16.3%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(8) 1月につき+所定単位×158/1000(15.8%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(9) 1月につき+所定単位×142/1000(14.2%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(10) 1月につき+所定単位×139/1000(13.9%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(11) 1月につき+所定単位×121/1000(12.1%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(12) 1月につき+所定単位×118/1000(11.8%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(13) 1月につき+所定単位×100/1000(10%)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(14) 1月につき+所定単位×76/1000(7.6%)

※上記のうち、介護職員処遇改善加算Ⅴについては、令和7年3月31日まで算定可能。
※所定単位とは、基本サービス費に各種加算減算を加えた総単位数のこと。(介護職員等処遇改善加算を除く)

※介護職員処遇改善加算は、支給限度額管理の対象外の算定項目です。

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⑭:同一建物減算の見直し

  • 訪問介護において、同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて、訪問件数は増加し、移動時間や移動距離は短くなっている実態を踏まえ、同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新たな区分を設け、更に見直しを行う。

算定要件・単位数

2024年4月以前 2024年4月以降
①10%減算 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②に該当する場合を除く) ①10%減算 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②及び④に該当する場合を除く)
②15%減算 上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合 ②15%減算 上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合
③10%減算 上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合) ③10%減算 上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合)
④12%減算(新設) 正当な理由なく、事業所において、前6月間に提供した訪問介護サービスの提供総数のうち、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②に該当する場合を除く)に提供されたものの占める割合が100分の90以上である場合

報酬告示の留意事項通知(12%減算に関する部分)

通知内容
⒃ 指定訪問介護事業所と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物若しくは指定訪問介護事業所と同一の建物(以下「同一敷地内建物等」とい
う。)等に居住する利用者に対する取扱い
⑥ 指定訪問介護の提供総数のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者(指定訪問介護事業所における1月当たりの利用者が同一敷地内建物等に50 人以上居住する建物に居住する利用者を除く。以下同じ。)に提供されたものの占める割合が100分の90以上である場合について

  • イ 判定期間と減算適用期間
    指定訪問介護事業所は、毎年度2回、次の判定期間における当該事業所における指定訪問介護の提供総数のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者に提供されたものの占める割合が 100 分の 90 以上である場合は、次に掲げるところに従い、当該事業所が実施する減算適用期間の同一敷地内建物等に居住する利用者に提供される指
    定訪問介護のすべてについて減算を適用する。

    a 判定期間が前期(3月1日から8月31日)の場合は、減算適用期間を10月1日から3月31日までとする。
    b 判定期間が後期(9月1日から2月末日)の場合は、減算適用期間を4月1日から9月30日までとする。

    なお、令和6年度については、aの判定期間を4月1日から9月30 日、減算適用期間を11月1日から3月31日までとし、bの判定期間を10月1日から2月末日、減算適用期間を令和7年度の4月1日から9月30日までとする。

    ロ 判定方法
    事業所ごとに、当該事業所における判定期間に指定訪問介護を提供した利用者のうち、同一敷地内建物等に居住する利用者の占める割合を計算し、90%以上である場合に減算する。
    (具体的な計算式)
    事業所ごとに、次の計算式により計算し、90%以上である場合に減算
    (当該事業所における判定期間に指定訪問介護を提供した利用者のうち同一敷地内建物等に居住する利用者数(利用実人員))÷(当該事業所における判定期間に指定訪問介護を提供した利用者数(利用実人員))

    ハ 算定手続
    判定期間が前期の場合については9月15日までに、判定期間が後期の場合については3月15日までに、同一敷地内建物等に居住する者へサービス提供を行う指定訪問介護事業所は、次に掲げる事項を記載した書類を作成し、算定の結果90%以上である場合については当該書類を都道府県知事に提出することとする。なお、90%以上でなかった場合についても、当該書類は、各事業所において2年間保存する必要がある。

    a 判定期間における指定訪問介護を提供した利用者の総数(利用実人員)
    b 同一敷地内建物等に居住する利用者数(利用実人員)
    c ロの算定方法で計算した割合
    d ロの算定方法で計算した割合が 90%以上である場合であって正当な理由がある場合においては、その正当な理由

    ニ 正当な理由の範囲
    ハで判定した割合が90%以上である場合には、90%以上に至ったことについて正当な理由がある場合においては、当該理由を都道府県知事に提出すること。なお、都道府県知事が当該理由を不適当と判断した場合は減算を適用するものとして取り扱う。正当な理由として考えられる理由を例示すれば次のようなものであるが、実際の判断に当たっては、地域的な事情等も含め諸般の事情を総合的に勘案し正当な理由に該当するかどうかを都道府県知事において適正に判断されたい。

    a 特別地域訪問介護加算を受けている事業所である場合。
    b 判定期間の1月当たりの延べ訪問回数が200回以下であるなど事業所が小規模である場合
    c その他正当な理由と都道府県知事が認めた場合

 

今般新設された12%減算については、4月1日からいきなり適用されるわけではありません。

上記、留意事項通知のとおり前期・後期のそれぞれの判定期間において90%以上である場合に、都道府県等へ必要書類を提出⇒減算適用開始の流れです。

 

令和6年度のスケジュールとしては

  • 前期の判定期間:4月1日~9月30日
  • 前期の適用期間:11月1日~3月31日
  • 後期の判定期間:10月1日~2月末日
  • 後期の適用期間:令和7年度の4月1日~9月30日

となっていますので、現時点で12%減算に該当する事業所は、4/1~9/30の判定期間に90%以上であれば都道府県等に書類を提出、11/1~12%減算が適用されることになります。

 

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⑮:特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

  • 過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用することとされている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化する。

算定要件・単位数

項目 算定要件 単位数
特別地域加算
別に厚生労働大臣が定める地域(※1)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合 所定単位数に15/100を乗じた単位数
※1:①離島振興対策実施地域、②奄美群島、③振興山村、④小笠原諸島、⑤沖縄の離島、⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域
中山間地域等における小規模事業所加算
別に厚生労働大臣が定める地域(※2)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合 所定単位数に10/100を乗じた単位数
※2:①豪雪地帯及び特別豪雪地帯、②辺地、③半島振興対策実施地域、④特定農山村、⑤過疎地域
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算
別に厚生労働大臣が定める地域(※3)に居住する利用者に対し、通常の事業の実施地域を越えて、サービス提供を行った場合 所定単位数に5/100を乗じた単位数
※3:①離島振興対策実施地域、②奄美群島、③豪雪地帯及び特別豪雪地帯、④辺地、⑤振興山村、⑥小笠原諸島、⑦半島振興対策実施地域、⑧特定農山村地域、⑨過疎地域、⑩沖縄の離島

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⑯:特別地域加算の対象地域の見直し

  • 過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。

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⑰:テレワークの取扱い

  • 人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示す。

※テレワークの取り扱いについては、厚生労働省より別途通知が出ていますので、以下を確認してください。

介護サービス事業所・施設等における情報通信機器を活用した業務の実施に関する留意事項について

 

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令和6年4月以降に事業所がやるべきこと

令和6年度の報酬改定に、訪問介護事業所がすべきことを紹介します。

 

17の改定内容

  1. 運営規程の変更
  2. 重要事項説明書の変更
  3. 処遇改善計画書等の提出
  4. 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表等の提出
  5. 業務継続に向けた取組の実施
  6. 感染症の予防及びまん延の防止のための措置の実施
  7. 虐待の防止のための措置の実施
  8. 身体的拘束を行う場合の記録の整備
  9. その他

 

運営規程の変更

運営規程は、訪問介護事業所の法律にようなもので、以下の項目を記載することとされています。

  • 一 事業の目的及び運営の方針
  • 二 従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 三 営業日及び営業時間
  • 四 指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
  • 五 通常の事業の実施地域
  • 六 緊急時等における対応方法
  • 七 虐待の防止のための措置に関する事項
  • 八 その他運営に関する重要事項

このうち、令和6年度より虐待防止措置において義務化されている内容がありますので、これらを「虐待の防止のために措置に関する事項」に追記してください。

従前より虐待防止措置に関する事項には、虐待の防止に係る、組織内の体制(責任者の選定、従業者への研修方法や研修計画等)や虐待または虐待が疑われる事案が発生した場合の対応方法等を指す内容を記載することとされており、令和6年度以降は以下の内容を追記しておきましょう。

  • 虐待防止担当者の設置
  • 虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図る
  • 虐待防止のための指針の整備
  • 従業者に対して、虐待を防止するための定期的な研修(年1回以上)の実施

 

その他については、自治体の取り扱いにもよるかと思いますが、令和6年度より義務化となった事項を追記しておくと良いでしょう。

業務継続計画の策定について

  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定し、当該業務継続計画に従って必要な措置を講じる
  • 従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的(それぞれ年1回以上)に実施する
  • 定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行う

衛生管理等について

  • 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね6月に1回以上開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底する
  • 感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備
  • 従業者に対し、感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練を定期的(それぞれ年1回以上)に実施する

身体拘束等の適正化について

  • 利用者または他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行なわない
  • 身体的拘束等を行う場合には、その態様および時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録する
  • 身体拘束等に係る記録は2年間保管(都道府県等によっては5年)すること

 

運営規程を変更した場合に、自治体への届け出は必要か?については、自治体によるため確認をお願いします。ただ、令和6年度の改定に係る部分のみの変更であれば、届け出は不要としている自治体が多いです。

 

重要事項説明書の変更

重要事項説明書は、先の運営規程と相違がないように作成しなければなりません。

ですので、運営規程に追記した内容は重要事項説明書にも追記してください。(虐待防止措置については必須)その他、訪問介護費や加算・減算等に変更が加えられていますので、料金表や加算・減算の単位数および算定要件等の追記・修正を行いましょう。

 

※令和6年度版の重要事項説明書のひな形を作成していますので、以下を参考にしてください。

令和6年度対応版の「重要事項説明書」ひな形ダウンロードはこちら

※既存の利用者に対しては、重要事項説明書の変更となった個所を明記した別紙同意書を作成し、説明後に交付する必要があります。以下のひな形を参考にしてください。

「令和6年度報酬改定に伴う重要事項説明書の変更に係る同意書」ひな形ダウンロードはこちら

 

厚生労働省Q&Aより「本来、改定に伴う重要事項(料金等)の変更については、変更前に説明していただくことが望ましいが、4月施行の見直し事項については、やむを得ない事情により3月中の説明が難しい場合、4月1日以降速やかに、利用者又はその家族に対して丁寧な説明を行い、同意を得ることとしても差し支えない。」とのこと。

 

処遇改善計画書等の提出

処遇改善加算を取得している事業所がほとんどかと思いますので、処遇改善計画書等を提出しましょう。

都道府県等のホームページに提出スケジュール等が示されていますので確認してください。(4月15日まで)

 

介護給付費算定に係る体制等状況一覧表等の提出

令和6年度の報酬改定に伴い、都道府県等に「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」および「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」の提出が必要です。

都道府県等は、この書類にもとづき事業所異動連絡票を国保連に提出することとなります。ですから、不備があると請求時に返戻や報酬返還等が生じる可能性がありますので、間違いのないよう作成してください。

特に、「高齢者虐待防止措置実施の有無」の欄について、未記入の場合「減算型」が適用されてしまうため注意しておきましょう。なお、介護給付費算定に係る体制等状況一覧表等の提出期限は4月1日です。(都道府県等によっては15日としている場合もあるため確認してください。大阪市は15日です。)

 

業務継続に向けた取組の実施

令和6年度よりBCP(業務継続計画)の策定及び研修・訓練の実施が義務化されました。

取り組み内容としては、先の運営規程に追記する事項で説明したとおりです。

  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定し、当該業務継続計画に従って必要な措置を講じること
  • 従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的(それぞれ年1回以上)に実施すること
  • 定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うこと

 

以下の書類を整備しておきましょう。

  • 業務継続計画(感染症・災害発生時)
  • 業務継続計画に定めた発動基準に適合する事案が発生した場合に、適切に業務継続計画に定めた対応・対策等が実施されているとわかる書類(経過記録等)
  • 研修・訓練計画
  • 研修・訓練の実施記録

など

 

感染症の予防及びまん延の防止のための措置の実施

令和6年度より感染症の予防及びまん延の防止のための措置の実施が義務化されました。

取り組み内容としては、先の運営規程に追記する事項で説明したとおりです。

  • 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね6月に1回以上開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底すること
  • 感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備すること
  • 従業者に対し、感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練を定期的(それぞれ年1回以上)に実施すること

 

以下の書類を整備しておきましょう。

  • 委員会の名簿
  • 委員会の開催記録
  • 感染症・食中毒の予防およびまん延防止のための指針
  • 感染症・食中毒の予防およびまん延防止のための研修・訓練の実施記録

など

 

虐待の防止のための措置の実施

令和6年度より虐待の防止のための措置の実施が義務化されました。

取り組み内容としては、先の運営規程に追記する事項で説明したとおりです。

  • 虐待防止担当者の設置すること
  • 虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること
  • 虐待防止のための指針の整備すること
  • 従業者に対して、虐待を防止するための定期的な研修(年1回以上)の実施すること

 

以下の書類を整備しておきましょう。

  • 委員会の開催記録
  • 虐待防止の指針
  • 研修計画、研修実施記録
  • 担当者を設置したことがわかる文書

など

※担当者を配置したことがわかる文書とは、例えば「職務分担表」を別途作成する等が考えられます。その他、指針や委員会名簿等に役職や氏名、役割等を記載しておき、担当者である旨を明記しておくと良いでしょう。

 

身体的拘束を行う場合の記録の整備

身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、基準省令第23条「指定訪問介護の具体的取扱方針」に身体拘束等についての規定が加えられました。

取り組み内容としては、先の運営規程に追記する事項で説明したとおりです。

  • 利用者または他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行なわないこと
  • 身体的拘束等を行う場合には、その態様および時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること
  • 身体拘束等に係る記録は2年間保管(都道府県等によっては5年)すること

 

事業所内で身体拘束等を行わない場合であっても、記録の様式は整備しておきましょう。

 

また、身体拘束等を行う場合は、上記のとおり記録を作成するとともに、「緊急やむを得ない理由については、切迫性・非代替性・一時性の3つの要件を満たすことを組織として慎重に確認等の手続きを行ったことがわかるように記載してください。

 

その他

特定事業所加算や同一建物減算など、今般の報酬改定で算定要件および加算・減算割合に変更があったものについて、自事業所が適合しているか否かをきちんと確認してください。

また、先のとおり同一建物減算のうち12%減算は、すぐに適用開始ではありませんので、該当する事業所については判定期間や適用期間等を把握しておきましょう。

 

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さいごに

今回は、訪問介護における令和6年介護報酬改定の内容について徹底解説しました。

かなり長文になってしまいましたが、繰り返し読み、適正な事業所運営に努めましょう。

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