訪問介護の「掃除」の仕方ガイド。ヘルパーが注意すべき8つのポイント。

 

訪問介護 掃除の仕方

 

ヘルパーになって初めて掃除のサービスに入ることになった。

掃除の仕方に自信がいない・・・私にもできるでしょうか?

 

こんな悩みを抱えているヘルパーは多いです。

 

訪問介護の掃除では居室、トイレ、風呂などの掃除や整理整頓、ゴミ出しなどを行います。

掃除には特別な技術が必要ではないので、新人ヘルパーでも取っつきやすいサービスです。

とはいえ、右も左も分からない状態だと掃除って不安ですよね。

掃除のやり方を細かく教えてもらう機会も少ないですし・・・

 

そこで今回は訪問介護における「掃除の仕方」や「注意点」を網羅的に解説した『お掃除ガイド』を作成しました。

 

本記事を読むことでヘルパーが行う掃除の基礎をすべて理解することができます。

ぜひ参考にしてくださいね!

 

 

本記事の信頼性
  • 介護業界11年目、現役の管理者兼サービス提供責任者が執筆しています。
  • 保有資格:ヘルパー2級、基礎研修、社会福祉士、同行援護、全身性ガイドヘルパー、ほか
  • 制度などの解説は「厚生労働省の一次情報」をもとにしています。

 

  1. 【訪問介護の掃除の仕方】押さえておきたい4原則
    1. 原則1:利用者の「ルール」に合わす
    2. 原則2:「セカセカ」動き回らない
    3. 原則3:掃除に「自立支援」を取り入れる
    4. 原則4: 掃除から利用者の「情報収集」をしている
  2. 訪問介護の掃除には「できないこと」がある
    1. ① 家族との共有部分の掃除
    2. ② 日常で行う家事の範囲を超えている掃除
    3. ③ 普段使用していない部屋の掃除
    4. ヘルパーは「勝手な判断をしない」ことが大事
  3. 訪問介護の掃除でヘルパーが注意したい8個のポイント
    1. ① 掃除をしてほしい場所の「優先順位」を決めておく
    2. ② 掃除は「上から下へ」「奥から手前へ」
    3. ③ 掃除中にも利用者に気を配る
    4. ④ 物は壊さない
    5. ⑤「換気」をする際は利用者に確認を
    6. ⑥「物を動かす」際は利用者に確認を
    7. ⑦ 掃除後に利用者へ確認をしてもらう
    8. ⑧ 各掃除の注意点をしっておく
      1. 掃除機がけの注意点まとめ
      2. 拭き掃除の注意点まとめ
      3. 風呂掃除の注意点まとめ
      4. 台所掃除の注意点まとめ
      5. トイレ掃除の注意点まとめ
      6. 洗面台掃除の注意点まとめ
  4. 訪問介護の掃除で良くある「悩み」と「対策」をQ&A解説
    1. Q:「○○さんが盗んだ」と疑われた場合の対応はどうする?
    2. Q:「掃除をさせてくれない利用者」への対応はどうすべき?
    3. Q:「ゴミ屋敷」の掃除はどうしたら良い?
      1. ヘルパーが持っておくべき便利グッツ5選
  5. さいごに

【訪問介護の掃除の仕方】押さえておきたい4原則

訪問介護 掃除 原則

 

訪問介護の掃除は下記4つの原則をもとに行います。

新人ヘルパーは特に意識しておきましょう。

 

掃除4原則
  1. 利用者の「ルール」に合わす
  2. 「セカセカ」動き回らない
  3. 「自立支援」を取り入れる
  4. 掃除から利用者の「情報収集」をする

 

原則1:利用者の「ルール」に合わす

 

訪問介護の掃除は、利用者が「今まで行ってきた日常的な掃除」をヘルパーが代行します。

そのため利用者それぞれに「掃除の仕方」や「こだわり」があり、ルールに合わして掃除を行う必要があります。

 

例えば下記のように多種多様なルールがあります。

 

  • 掃除機を使用せずにモップやほうきで掃除する
  • 床の雑巾がけは二度拭きする
  • 風呂掃除の後に拭き上げをする

 

ヘルパーの価値観を押し付けてしまうとクレームやトラブルにつながります。

決して自分勝手に掃除を進めないように注意しておきましょうね。

 

 

原則2:「セカセカ」動き回らない

 

セカセカ動き回って掃除をするヘルパーは、たとえキレイに掃除ができていたとしても利用者からの評判が悪い傾向にあります。

 

  • 「あのヘルパーさんが来ると目が回って疲れる…」
  • 「私も急かされている気持ちになって落ち着かない…」
  • 「あのヘルパーさんとはゆっくり話もできない…」

 

利用者からこのような不満やクレームが来ることもしばしば。

セカセカと急ぐヘルパーを見てるだけで、利用者は悪い影響を受けてしまうものです。

ヘルパーからすると一生懸命頑張っていると思いますが、それはヘルパーの「自己満足」だということを良く理解しておきましょう。

 

ただし、利用者によっては一生懸命動き回って「やってる感」を出した方が良いこともあります。特に昔バリバリに働いてきた女性の利用者に多かったりしますが、臨機応変って難しいですね・・・

 

 

原則3:掃除に「自立支援」を取り入れる

 

訪問介護は自立支援を目的としたサービスです。

「行き過ぎた支援は、利用者の能力や可能性を奪っていくことと同じ」だと理解しておきましょう。

 

「できることは利用者自ら行う」、「できないことをヘルパーが代行する」または「ヘルパーと一緒に行い、できることを増やす」というように自立支援を行います。

 

例えば掃除では下記のように行うと良いです。

 

  • 身の回りの書類の整理をヘルパーと一緒に行う
  • 雑巾がけができないならモップ掛けをしてもらう
  • 掃除機をヘルパーがかけて、利用者に机の上を拭いてもらう

 

ヘルパーが単独で掃除をした方がキレイになるし早く終わります。

ですが、それでは家政婦と同じになってしまいます。

自立支援はヘルパーが専門職であることの証明なのです。

 

また自立支援を効果的に行うためにはアセスメントを的確に行う必要があります。

本来サービス提供責任者が行うことですが、ヘルパーも知識として持っておくと良いです。

参考:【訪問介護のアセスメント】3つの目的と実施フローを5stepで解説

 

 

原則4: 掃除から利用者の「情報収集」をしている

 

掃除は単にキレイにすることだけが目的ではなく、利用者の情報収集にも役立ちます。

 

訪問介護は施設介護とは違い、限られた日数・時間の中でサービスを提供します。

そのため利用者の普段の生活状況を「居室の汚れ具合など」から予測する必要があります。

例えば下記のとおりです。

 

  • トイレに付着している便の状態から排泄状況を把握する
  • ゴミや冷蔵庫内から利用者の食事状況を把握する
  • 床に複数の錠剤薬が落ちている→服薬時の飲みこぼしがある
  • 腐っている食べ物が放置されていることが増えた→認知症状の表出か?
  • 歩行器に埃がたまっている→外に出れていないのか?

 

もうほぼ探偵ですね。笑

ですが、優秀なヘルパーはこんな感じで生活状況を予測し、サ責に報告します。

結果的に利用者にとってより良いサービス提供につながるのです。

 

 

訪問介護の掃除には「できないこと」がある

掃除 ヘルパー できないこと

 

訪問介護の掃除は「できること」「できないこと」があります。

利用者に言われたからといって何をしても良いわけではありません。

 

掃除においては下記のことは「不可」だと理解しておきましょう。

 

  1. 家族との「共有部分」の掃除
  2. 日常で行う家事の範囲を超えている掃除
  3. 普段使用していない部屋の掃除

 

 

① 家族との共有部分の掃除

 

家族との共有部分とは同居している家族も使用しているスペースを指します。

例えば風呂、トイレ、玄関、リビングなど家族も使用しているなら掃除は原則不可です。

 

 

② 日常で行う家事の範囲を超えている掃除

 

訪問介護では日常的に行われている一般的な掃除を対象としています。

そのため下記のような掃除は不可となっています。

 

  • 大掃除
  • 家具などの移動して掃除をする
  • 畳をあげて掃除をする
  • 庭の掃除(草むしり)
  • 窓ガラス磨き(ピカピカに磨くレベル)
  • 床のワックスがけ

 

 

③ 普段使用していない部屋の掃除

 

訪問介護では利用者が普段使用しているスペースのみを掃除の対象としています。

 

「2階建ての家で、普段は1階のスペースのみを使用し、2階は使用していない」

 

このようなケースは原則、2階の掃除は認められません

 

①,②,③以外にも家事援助では「できないこと」がかなりあります。

下記に良くある25個をまとめてますので参考にしてください。

>>【全25個】生活援助の範囲をQ&A解説

 

ヘルパーは「勝手な判断をしない」ことが大事

 

訪問介護の「できないこと」は自治体によって判断が分かれることがあります。

利用者の状態・状況によっては「本来できないことが認められる」ケースもあります。

 

そのためヘルパーは勝手に「できる・できない」の判断をせず、一旦持ち帰ってサービス提供責任者に報告することを心がけてください。

サービス提供責任者から自治体やケアマネに相談し、検討することがベストです。

 

勝手な判断でOKとしてしまうと、利用者からすると「できるのが当たり前」になります。

訪問介護あるあるですが「○○さんはしてくれたのに○○さんはしてくれない」と利用者からの不満やクレームにつながります。

 

 

訪問介護の掃除でヘルパーが注意したい8個のポイント

掃除 ヘルパー注意点

 

ここではヘルパーが掃除する際に注意しておきたいポイントを8個紹介していきます。

リアルに役立つポイントを厳選しましたのでぜひ参考にしてくださいね。

 

8個のポイント
  1. 掃除をしてほしい場所の「優先順位」を決めておく
  2. 掃除は「上から下へ」「奥から手前へ」
  3. 掃除中にも利用者に気を配る
  4. 物は壊さない
  5. 「換気」をする際は利用者に確認を
  6. 「物を動かす」際は利用者に確認を
  7. 掃除後に「利用者へ確認」をしてもらう
  8. 「各掃除の注意点」をしっておく

 

 

① 掃除をしてほしい場所の「優先順位」を決めておく

 

訪問介護は限られた時間内でサービスを提供しなければなりません。

掃除だけではなく、買い物や調理、洗濯などの生活援助も同時に行いますので、時間内に利用者が求めることすべてを行えない可能性があります。

 

そのため、利用者にとって毎回絶対に掃除をしてほしい場所を聞いておくと良いです。

例えば

 

「屈むことができないので、トイレ掃除だけは必ず毎回してほしい」

 

など利用者の意向をくんだ上で掃除の優先順位をつけておくと時間に焦らず掃除ができます。

 

 

② 掃除は「上から下へ」「奥から手前へ」

 

掃除は「上から下へ」「奥から手前へ」を意識しましょう。

ホコリは上から落ちてくるので、上からスタートします。さらにフローリングや畳は、奥から手前に向かって掃除をしていきます。

こうすることで二度手間を防ぐことができ、効率的に掃除を進められます

 

 

③ 掃除中にも利用者に気を配る

 

掃除中の事故を防ぐために、できる限り利用者への見守りも行いましょう。

良くあるのが「ヘルパーが掃除中にベッドから起き上がろうとして転倒した」などです。

とはいえ、全時間帯に見守ることは不可能ですので、意識をもっておくことが大事だと理解しておいてください。

 

 

④ 物は壊さない

 

利用者宅にあるものは高価なものや思い出の品など、代替がきかないものがあります。

掃除機を使ったり、物を動かしたりする際に誤ってぶつけてしまわないように注意します。

もし、壊してしまった場合はすぐに利用者に謝罪し、サービス提供責任者に報告後、適切に対応しましょう。

 

 

⑤「換気」をする際は利用者に確認を

 

掃除をする際は窓を開けたりと換気をしたいところです。

ですが換気は利用者へ確認してから行うようにしましょう。

利用者によっては窓を開けることを嫌がる方もいます。

 

  • 防犯の意識が強い
  • 冬場は寒いので窓を開けてほしくない

 

などの利用者もいますので、勝手に窓を開けると「無神経な人」といったレッテルを張られてしまいます

 

 

⑥「物を動かす」際は利用者に確認を

 

利用者によっては私物を勝手に動かされることを嫌がる方も多いです。

その都度確認し、配慮するようにしましょう。

また物を動かしたら「もとに戻す」ことも忘れないようにしてください。

あとで「○○さんが動かしてから無くなってしまった」とあらぬ疑いをかけられる可能性があります。

 

 

⑦ 掃除後に利用者へ確認をしてもらう

 

掃除が終わったら掃除後の状態を利用者に確認してもらうと良いです。

理由としては、ヘルパーが帰った後に「掃除が全然できてない」とクレームにつながる可能性があるためです。

 

特にトイレ掃除などは行ったことを気づかれにくいです。

そのため「トイレ掃除を今からしますね」「トイレ掃除終わりましたので次は○○をしますね」などと声掛けをするとともに、動ける利用者なら直接確認をしてもらうとトラブルを防ぐことができます。

 

 

⑧ 各掃除の注意点をしっておく

 

掃除機掛け、拭き掃除、風呂掃除、台所掃除、トイレ掃除、洗面台掃除などメインどころの注意点をまとめました。

 

掃除機がけの注意点まとめ

  • 利用者が「コード」に足を引っかけないように注意
  • 掃除機のヘッドを床に強く押し当てない
  • 掃除機のヘッドはゆっくり動かした方がゴミが良くとれる
  • 掃除機の排気が利用者にかからないように配慮
  • 物はどかして掃除機をかける(イスなど)
  • 電動ベッドの下はリモコンでベッドをあげる
  • 畳は目の流れにそって掃除機をかける

 

拭き掃除の注意点まとめ

  • 水をくむ場所&水を捨てる場所の確認(台所or浴室からくむ?トイレor外に捨てる?など)
  • 洗剤を使用して水拭きをするのか確認
  • バケツを畳の上に置かない
  • 畳はできるだけ絞った雑巾でふく
  • 畳は「優しく」「目の流れにそって」ふく

 

風呂掃除の注意点まとめ

  • 洗剤の洗い残しをしない(転倒予防)
  • 熱めのお湯で掃除する(皮脂汚れを落としやすいため)
  • 水温を変更したら元に戻しておく
  • 浴室の吹き上げをするか確認(しないならカビ予防に冷水をかけておく)
  • 換気をしておくか確認
  • 排水口の確認

 

台所掃除の注意点まとめ

  • 床拭き用の雑巾は使用しない
  • 食器洗いのスポンジは使用しない
  • シンクはクレンザーを使うと良い
  • 排水口の確認
  • 生ごみは溜めないようにする

 

トイレ掃除の注意点まとめ

  • ゴム手袋を着用する
  • キレイなところから掃除する(ドアノブ・手すり→タンク→床→便器)
  • 便座の裏やスリッパの裏は見落としがちなので注意
  • カバーなどの備品類の交換をするか確認
  • トイレットペーパーの補充をするか確認

 

洗面台掃除の注意点まとめ

  • 「激落ちくん」などのメラミンスポンジが有効
  • ガラスは最後に乾拭きをする(水跡が残りやすいため)

 

 

 

訪問介護の掃除で良くある「悩み」と「対策」をQ&A解説

掃除 ヘルパー悩み

 

ここではヘルパーが掃除をする際に良くある悩みと対策を紹介していきます。

 

 

Q:「○○さんが盗んだ」と疑われた場合の対応はどうする?

 

  •  基本的に「利用者の目の届く環境」で掃除をおこなう必要があります。

 

『物取られ』には認知症からくる「せん妄」や「被害妄想」、または「単なる勘違い」などさまざまな要因があります。

物取られ発言をする利用者は多く、ヘルパーは頭を悩ませますよね。

とはいえ「掃除をするところを見ていてください」と率直に伝えると関係性が悪くなってしまいます。

別室の掃除をするなら、会話をしながら自然と一緒に移動してもらい掃除をすると疑いを掛けられずに済みます。

 

 

Q:「掃除をさせてくれない利用者」への対応はどうすべき?

 

  •  まず「キレイに掃除をしなければならない」といった考えを捨ててください。

 

掃除をしようにも「掃除はしてほしくない」「面倒だし止めてほしい」などと拒否されるケースも多いです。

この場合、掃除よりもまずは「心を開いてもらう」ことに重点を置くようにしましょう。

 

いきなり「掃除をさせてください」と言っても拒否されるだけです。

昔話や好きな物の話しなどを行い「話のしやすい人」だと認識されるようにかかわりを深めます。

そして「机の上を片付ける」「書類を整理する」などの簡単な整理を一緒に行うことから始めればOKです。

 

そうこうしている内に部屋がより汚くなっていくかもしれませんが、今は気にしなくて大丈夫。気長に支援していきましょう。

 

 

Q:「ゴミ屋敷」の掃除はどうしたら良い?

 

  •  ゴミ屋敷は通常の掃除ではキレイならないので、できる範囲で掃除するしかありません。

 

訪問介護でかかわるゴミ屋敷は足の踏み場もなく、衛生的にも悪い環境です。

通常の掃除ではキレイにできませんので、ヘルパーはできる範囲で掃除をしていくほかありません。

 

  • 布団に脚を伸ばせないほど散らかっている→布団の上だけ片付ける
  • シンクがカビやヌメリだらけ&洗い物が山積み→流しを使えるレベルまでの掃除
  • 玄関がゴミで山ずみ→玄関の床が見える程度の片づけ

 

ぐらいがヘルパーが行える掃除の妥当な範囲になります。

 

ヘルパーが持っておくべき便利グッツ5選

 

訪問介護で出会うゴミ屋敷は非常に不衛生臭いも強烈です。

ゴミ屋敷へのサービス提供前に準備しておくと良いものを5つ紹介しておきます。

 

  • マイスリッパ・・・足の踏み場もないほど汚れてるので、スリッパがないと靴下が汚れ放題です。
  • ゴム手袋・・・不衛生な物を触るので何枚か持っておくと良いです。
  • マスク・・・強烈な臭いを放っているお宅もあります。
  • 消毒用アルコール・・・不衛生なのでどのような菌が潜んでいるか分かりません。
  • 替えの衣服やエプロン・・・衣類が汚れたり、臭いがついて取れない場合があります。

 

 

さいごに

今回は訪問介護の掃除について網羅的に解説しました。

基本的なことは本記事で学ぶことができると思います。あとは実践の中で利用者に合わせて進めていってくださいね!

 

当サイトではホームヘルパー・サービス提供責任者の初心者向けに業務マニュアルを無料で公開しています。

良かったら下記から参考にしてみてください。

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※サービス提供責任者向けはこちら

 

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