【初心者向け】ヘルパーの「調理」完全マニュアル【訪問介護の料理スキル】

 

訪問介護 調理 マニュアル

 

ヘルパーになって初めて調理をすることになった。

正直、私にできるか不安・・・

必要な料理スキルとか注意点を教えてほしい。

 

こんな悩みを抱えているヘルパーは多いです。

「調理」は掃除に並んでトップクラスに頻度の高いサービスで、ヘルパーとして働くなら避けて通れません。

とはいえ「今まで料理をしてこなかった」って方も多く、不安が募るばかり。

 

そこで今回は、訪問介護の調理でヘルパーに必要な料理スキルや注意点をまとめた「調理マニュアル」を作成しました。

初心者の方にも分かるように丁寧に解説していますので、ぜひお役立てください。

 

ヘルパー歴10年の私も、正直なところ料理は未だに苦手です。

ですが「調理」はあくまでも訪問介護の数多くある業務のひとつにすぎません。

得意・不得意はあっても全然OK。

大事なのは「苦手でも必要最低限の料理スキルを持っておく」ってこと。

 

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本記事の信頼性
  • 介護業界11年目、現役の管理者兼サービス提供責任者が執筆しています。
  • 保有資格:ヘルパー2級、基礎研修、社会福祉士、同行援護、全身性ガイドヘルパー、ほか
  • 制度などの解説は「厚生労働省の一次情報」をもとにしています。

訪問介護のヘルパーに求められる料理スキル【この5品作れたらOK】

ヘルパー 料理 スキル

 

前提としてヘルパーは調理の専門家になる必要はありません。

訪問介護における調理は、一般家庭で出されているような料理を作ることになります。

ですがヘルパーは訪問介護ならではのシチュエーションで調理をしなければならず、新人ヘルパーは苦戦します。

 

「限られた時間内で、冷蔵庫にある食材でパッと考えてササッと2~3品料理する」

 

こういった料理スキルが求められる場面に出くわします。

もちろん利用者によっては「あらかじめレシピが決められている」「レトルトで簡単に料理する」こともあります。

とはいえ、苦戦するであろうシチュエーションを想定しておいた方が良いでしょう。

では料理が苦手なヘルパーは何から習得すれば良いのか?

まず下記の5品を作れるようになっておくと良いです。

 

  • 米炊き(おかゆ含む)
  • 酢の物
  • お浸し
  • 煮物
  • みそ汁

 

この5品を作れれば、とりあえずヘルパーとして調理サービスをこなせます。

さらに習得した5品から派生させて料理スキルを向上させていくとgoodです。

特に酢の物、お浸し、煮物は汎用性が高いので、一種類でも作れるようになれば派生させやすいです。

 

例えば「ほうれん草のお浸し」が作れるようになったら「大根と白菜のお浸し」「春菊としめじのお浸し」を作ってみる

 

的なイメージで取り組んでいきましょう。

 

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訪問介護でおこなう調理の「4原則」

訪問介護 調理 4原則

 

実際にヘルパーが利用者へ調理をする提供するにあたり意識してほしい「4つの原則」があります。

この4原則は一方に偏るのではなくバランスが大事です。

 

 

調理4原則
  1. 栄養バランスを考える
  2. 利用者の「こだわり」や「好み」を尊重する
  3. 利用者の「健康状態」に応じた調理方法を
  4. 調理に「自立支援」を取り入れる

 

原則1:栄養バランスを考える

 

訪問介護の調理では栄養バランスを考えて料理する必要があります。

栄養バランスをとれた食事を摂取することは「フレイル」(虚弱状態)の予防に欠かせません。

 

目安は、農林水産省と厚生労働省が策定した「食事バランスガイド」を参考にします。

食事バランスガイドは1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いかを示してくれます。

食事バランスガイド 図

引用:「食事バランスガイド」について|厚生労働省

 

  • 主食・・・炭水化物(ごはん、うどん、パンなど)
  • 副菜・・・ビタミン・ミネラル・食物繊維(野菜・きのこ・海藻類など)
  • 主菜・・・タンパク質(肉、魚、卵、大豆など)
  • 牛乳・乳製品・・・カルシウム(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
  • 果物・・・ビタミン・カリウム(リンゴ、バナナ、みかんなど)

 

水分摂取を中心として、上記の食品をバランスよく摂取できるように調理しましょう。

 

 

原則2:利用者の「こだわり」や「好み」を尊重する

 

食事は「楽しみ」のひとつであり、生活の質を高める要因にもなります。

そのため利用者のこだわりや好みを無視した調理は、利用者からの不満・クレームにつながる恐れがあります。

ヘルパーの価値観を押し付けないように注意してください。

 

  • 野菜を昔から食べない
  • ベジタリアン
  • 牛肉のステーキを週に3回は食べたい
  • 味付けの濃いものが好き
  • 昔から決まったレシピを毎日食べている
  • 食材の産地は国産しか受け付けない

 

など利用者によって様々な「こだわり」や「好み」があります。

基本的には利用者の意思を尊重する必要があるので、栄養バランスを度外視した提供も時には必要です。

 

 

原則3:利用者の「健康状態」に応じた調理方法を

 

利用者によって健康状態は大きく違い、あわせて調理方法も検討しなければなりません。

そのためにヘルパーは下記項目を把握しておきましょう。

 

  • アレルギー
  • 疾患
  • 服薬状況
  • 咀嚼力(噛む力)
  • 嚥下力(飲み込む力)

 

疾患によっては水分、塩分、脂質などの制限があったり、内服薬によっては食べ合わせの悪い食品もあります。

また嚥下力が落ちている利用者にはとろみを使用したり、ミキサー食を提供することもあります。

このように利用者の健康状態を把握した上で、適した調理方法で提供しなければなりません。

 

 

原則4:調理に「自立支援」を取り入れる

 

訪問介護は自立支援を目的のひとつとしたサービスです。

行き過ぎた支援は、利用者の能力や可能性を奪うことと同じだと認識しておきましょう。

  • 「できることは利用者自ら行う」
  • 「できないことをヘルパーが代行する」
  • 「ヘルパーと一緒に行い、できることを増やす」

これが自立支援の原則です。

 

ヘルパーが調理で実施する自立支援の例は下記のとおり。

 

  • ヘルパーが食材を切って、利用者が味付けする
  • 献立をヘルパーと一緒に考える
  • 1品だけ得意料理を作ってみる

 

など利用者の能力を生かし、かつ維持・向上ができるサービスをしていきましょう。

 

 

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訪問介護の調理で「できないこと」

訪問介護 調理 できないこと

 

訪問介護の調理には「できないこと」があるのでヘルパーは注意してください。

利用者に要求されたからといって何でも料理して良いわけではありません。

例えば下記の料理はできないと考えておいてください。

 

  • 本人以外の料理(家族の分など)
  • 事前に作ったものを利用者宅へ持参する
  • 手の込んだ料理(おせち料理など)

関連記事:【すべて分かる】訪問介護の「できること」「できないこと」生活援助の範囲をQ&A解説

ヘルパーさんは「これって料理しても良いのかな?」と迷ったら一旦持ち帰ってサービス提供責任者に相談しましょうね。

 

 

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ヘルパーが調理で知っておきたい8つのポイント

訪問介護 調理 ポイント

 

ここでは訪問介護の「調理の実践編」としてポイントを8つ紹介します。

ヘルパーにとってかなり役立つであろうポイントを厳選していますので参考にしてください。

 

8つのポイント
  1. 「器具・食材・調味料」の置き場所を把握しておく
  2. 調理の下準備は「時間がかかるもの」から順番に
  3. 毎回食べるものは「作り置き」しておく
  4. 余った食材は「日付を記入」して保存する
  5. 前のヘルパーが作った料理と「かぶらない」ように
  6. 「調理用語」を知っておく
  7. 逆に「料理スキルが低い」ことを活かす
  8. 「嚥下能力」に合わせた調理のポイント

 

①「器具・食材・調味料」の置き場所を把握しておく

 

利用者のお宅は、自分の家とは勝手が違います。

特に初めて訪問する家の台所は、包丁やボウル1つ探し出すのに時間がかかります。

料理に使う器具・食材・調味料はだいだい決まっていますので、スムーズに調理を進めれるように、まず置き場所を把握するようにしましょう。

 

基本的に調理に使える時間は30分~45分程度だと考えておきましょう。

物品などを探している時間はロスになるのでなるべく省きたいところ。

 

 

② 調理の下準備は「時間がかかるもの」から順番に

 

ヘルパーが調理をする際には「お湯」を必ず使います。

「お湯を沸かすことを先決に始める」と段取りよく調理を進めれます。

 

例えば、下記のような流れで料理を行っていきます。

  • STEP1
    とにかく湯を沸かす
  • STEP2
    アクのあるものは早めに下処理をする
  • STEP3
    切るのもは1度に切っておく
  • STEP4
    時間のかかる煮物などは始めにとりかかる
  • STEP5
    和え物は下茹でさえしておけば隙間時間に可能
  • STEP6
    肉や魚などメインが冷めないほうが美味しいものは最後にとりかかる
  • STEP7
    手があいたスキに洗い物を少しずつ片付けていく
  • STEP8

    キッチンがスッキリしてきたら盛り付けを初めて並べる

 

ベテランのヘルパーさんは皆このような段取りで調理を行います。

 

 

③ 毎回食べるものは「作り置き」しておく

 

例えば「みそ汁」「お浸し」「ごはん(米)」は毎回食べる利用者が多いです。

そんな場合は1度に数回分作って、小分けにし冷凍or冷蔵保存しておきましょう。

レンジで温めるだけにしておけば時短になるので便利です。

 

ただし、作り置きをするのであれば利用者に了解を得るようにしてくださいね。

 

 

④ 余った食材は「日付を記入」して保存する

 

利用者宅の食材は、利用者のお金で購入したものなので余った食材の保存方法は配慮が必要です。

腐らすことがないように、ラップ・タッパー・ジップロックなどで保存します。

また、保存時は「賞味期限」や「〇月〇日に使用」などを記入し、他のヘルパーにも分かるようにしておきましょう。

 

日付が記入されていないと「いつ使用したものなのか」が分からないので、食品を無駄にしてしまう可能性があります・・・

 

 

⑤ 前のヘルパーが作った料理と「かぶらない」ように

 

利用者によっては複数のヘルパーが毎日訪問して調理をすることがあります。

この場合にありがちなのが「前のヘルパーが作った料理と同じものを作ってしまう」パターンです。

利用者宅の「連絡ノート」or「実施記録」を確認してから献立を立てるようにしましょう。

 

連絡ノートは利用者の様子やサービス内容、申し送りが記載されている共有ノートです。

事業所によっては連絡ノートが無い場合もありますが、基本的にはノートを確認してからサービスを開始したほうが良いです。

 

 

⑥「調理用語」を知っておく

 

利用者さんから「いちょう切り」にしといてって言われたけど、分からなくて呆れられてしまった・・

 

的なことがあります。利用者によっては「調理用語は当たり前に知っているもの」と考えている方もいます。

そのため、ある程度の調理用語を知っておくと良いです。

下記からチェックしておきましょう。

 

クリックするとタブが開きます


 

  • 「煮込み」

大きく切った食材をたっぷりの煮汁で長時間煮た料理(おでんなど)

  • 「煮つけ」

最小から少量の汁で甘辛く、煮汁が少し残るまで濃く煮た料理(煮魚など)

  • 「含め煮」

素材や色を生かし、中までしみこむようにゆっくりと弱火で薄めの汁で煮る料理(高野豆腐の含め煮など)

  • 「煮しめ」

野菜や乾物を日持ち良くするために濃い味で汁がなくなるまで煮る料理(お煮しめなど)

  • 「煮びたし」

薄味の汁でさっと煮てそのまま煮汁の中で食材を冷まして器に盛り、煮汁をかけて味をしみこませる料理(茄子の煮びたしなど)

  • 「煮きる」

みりん、酒などのアルコール分を飛ばすこと

  • 「煮詰める」

煮汁の水分を飛ばしつつ味を凝縮させる(ジャムなど)

  • 「煮転がす」

煮崩れしにくい食材を少量の煮汁で焦げない様に鍋をゆすりながら煮詰めていく調理法(里芋の煮転がしなど)

 

 


 

  • 「半月切り」

半月切り

大根、ニンジンなどを半月の形にように切る

 

  • 「いちょう切り」

いちょう切り

半月切りを半分にした切り方

 

  • 「さいの目切り」

さいの目切り

サイコロのような立方体に切る

 

  • 「輪切り」

輪切り

大根、キュウリなどを端から切る

 

  • 「短冊切り」

短冊切り

短冊にように長方形に切る。長さ4~5㎝、厚み1~2㎜

 

  • 「乱切り」

乱切り

ニンジン、ゴボウなど回しながら斜めに不規則な形で切る

 

  • 「千切り」

千切り

幅3㎜以下で端から細長く均等に切る

 

  • 「小口切り」

小口切り

ネギなどを端から切る

 

  • 「ささがき」

ささがき

包丁を寝かせて、鉛筆を削るように薄くそぐ切り方

 

  • 「みじん切り」

みじん切り

細かくみじん状に切る

 

  • 「細切り」

細切り

幅3㎜程度で細長く端から均等に切る

 

 

 

⑦ 逆に「料理スキルが低い」ことを活かす

 

料理スキルが低いのであれば、逆手にとって利用しましょう。

利用者の中には料理が得意な方が一定数いるので「利用者に教えてもらう」スタンスを取ると良いです。

例えば

 

「○○さん、実はわたし料理があまり得意ではなくて・・・良かったら味付けだけでも教えてもらえませんか?」

 

このように下からお願いすると、料理が得意な利用者は生き生きと教えてくれたりします。

教えてもらうことができたのであれば、しっかりと「お礼」を伝えることを忘れないでください。

 

人は「役割」があるということが人生の活力になります。

ヘルパーに教えることが、その利用者の「役割」となるわけですね。

 

 

⑧ 「嚥下能力」に合わした調理のポイント

 

利用者によって嚥下能力はさまざまです。

嚥下能力は、ざっくり言うと「飲み込む力」だと理解しておいてください。

例えば、嚥下能力が落ちている利用者に対しては下記を意識して調理します。

 

加熱して柔らかくする

基本的に煮る、蒸す、炒めると食材は柔らかくなります。

ただし「炒めすぎると逆に硬くなる」「熱すぎる料理は咽やすい」ので注意しておきましょう。

 

食べやすい形態にする

  • 一口大に切る
  • 厚みは8mm程度
  • 麺は5ミリ程度
  • 野菜は繊維を断ち切る
  • 肉、魚の皮は噛みにくいので取り除く
  • 肉は分厚いと嚙み切れない、繊維を断ち切る
  • 納豆はひきわりで卵を入れると良い

 

とろみをつける

例えばひき肉などの「バラけるもの」や「液体」は誤嚥しやすいです。

片栗粉やトロミ材を使用してみると良いでしょう。

 

 

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ヘルパーは「献立レパートリー」を増やすことを常に意識する

ヘルパー 献立 レパートリー

 

ヘルパーは献立のレパートリーを多く持っておくことに越したことはないです。

引き出しは多いほど「楽」に料理ができますし、何より楽しくなってくるもの

 

レパートリーを増やすためには「クックパッド 」「キユーピーやさしい献立」「クラシル」などのレシピサイトを活用すると良いです。

個人的にクラシルは動画でレシピを学べるので実践しやすくおすすめです。

 

またレシピは「電子レンジ」や「トースター」を使った時短レシピをまず調べておくとgoodです。

時間のない中で、あと1品作りたいって時に力になってくれます

 

使えそうなレシピは家でも作ってみましょう!

日々の積み重ねがヘルパーとしての幅を広げてくれます。

 

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さいごに

今回は訪問介護の「調理」について網羅的に解説しました。

調理は苦手意識のあるヘルパーが多いです。ですが、冒頭でもお伝えしたとおり得意・不得意はあって当然です。

たとえ料理が苦手でもヘルパーとして十分に活躍することはできます。

本記事を少しでも参考にしていただき、活躍できるサービスの幅を広げていきましょう!

 

当サイトではホームヘルパー・サービス提供責任者の初心者向けに業務マニュアルを無料で公開しています。

良かったら下記から参考にしてみてください!

※ホームヘルパー向けはこちら

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