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【報告書記入例文あり】訪問介護のモニタリング実践ガイド

 

  • 訪問介護のモニタリングって何をするの?
  • モニタリング訪問の頻度やタイミングが知りたい。
  • モニタリング報告書(サービス状況報告書)に時間がかかってしまい疲弊している。

 

当サイトではこんな疑問や悩みを解決すべく、訪問介護のモニタリング実践ガイドを作成しました。

本記事ではモニタリングの基礎的な知識から報告書の書き方まで余すところなく解説しています。

報告書の文例も多数紹介していますので、こちらも参考にしてください。

 

注意

※本記事は、厚生労働省の基準省令や解釈通知、ヘルパー会議室運営部の実体験および弊社関係事業所が実際に行っている運用方法を参考に作成しています。できる限り正確な記述に努めていますが、モニタリングおよび報告書等の運用方法(実施方法や記録の書き方等)は自治体によって異なる場合があるためご注意ください。本記事は、あくまで参考程度にお考えいただき、実際の運用にあたっては各自治体への確認をお願いいたします。

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
「ヘルパー会議室」コラム内文章の引用ポリシー
コラム記事内の文章の引用については、著作権法第32条1項で定められた引用の範囲内であれば自由に行っていただいて構いません。ただし、引用にあたっては引用する記事タイトルを明記した上で、当該記事のリンクを必ず貼ってください。近頃、ヘルパー会議室コラム記事の無断転載や言い回しを変えただけの文章が散見されています。運営部により定期的にチェックを行っており、無断転載等が発覚した場合は厳正に対処いたしますのでご注意ください。

訪問介護のモニタリングとは

 

訪問介護のモニタリングとは、ケアプラン・訪問介護計画に沿って提供しているサービスが「現在の利用者の状態に適しているか?」評価することを指します。

サービス実施『前』と実施『後』を比べて、どのように変化したのかを評価し、利用者の現状を測ります。

このモニタリングにおいてサービス提供責任者に求められるのは

  • 訪問介護計画の実施状況(計画に沿って実施されているか)
  • サービスの提供状況
  • 利用者の心身の変化や環境変化(家族状況の変化を含む)
  • 利用者・家族の意欲や意向、満足度
  • 援助目標の達成度

などを定期的に把握・確認することです。

そして、これらをもとに計画の見直しの必要性を判断し、利用者の現状と提供しているサービスに“ズレ”が生じているならば、ケアプラン・訪問介護計画書を適した内容に更新していきます。

 

モニタリングの実施方法

モニタリングというと、サービス提供責任者が利用者宅へ訪問し、直接ヒアリングする「モニタリング訪問」をイメージされる方が多いのではないでしょうか?

ですがモニタリングの実施方法は、モニタリング訪問だけではありません

普段からサービスを提供しているヘルパーや実施記録(訪問記録)から間接的にサービス状況を把握することもモニタリングのひとつです。

むしろモニタリングを効果的に実施するためには、この間接的なモニタリングの方が重要だと言えるでしょう。

なぜならモニタリング訪問だけで利用者の状態を完全に把握することは不可能だからです。事前情報を把握せず訪問して「どうですか?」と聞いても、返ってくる答えは“うわべ”だけのものになってしまいます

これではモニタリングの目的であるサービス評価を正しく行えません。

まずは日々の業務の中でヘルパーからの申し送りや記録をうまく活用し、情報を収集してください。そこから必要に応じて利用者宅へ訪問し、事前情報をもとにヒアリングしましょう。

 

モニタリング訪問の「頻度」は定められていない

モニタリング訪問は定期的に実施する必要がありますが、具体的な頻度は定められていません

一般的に初回訪問から1ヵ月後に1回、その後は1ヵ月~3カ月に1回のペースで実施します。

ただし利用者をとりまく環境や心身の状態は、日々刻々と変化していくもの。

  • 利用者の心身の状態や環境におおきな変化があった時
  • 利用者からの苦情クレームがあった時

などの場合は、あまり頻度にしばられず適宜モニタリング訪問を実施しましょう。

また、さほど変化のない利用者であれば、訪問介護計画に定めた長期・短期目標の更新時期に合わせてもOKです。

 

総合事業の場合は注意が必要

総合事業(介護予防訪問介護)については下記のように定めれているため注意してください。

  • 「当該介護予防型訪問サービス計画に記載したサービスの提供を行う期間が終了するまでに、少なくとも1回は、当該介護予防型訪問サービス計画の実施状況の把握(モニタリング)を行うものとする。」(大阪府堺市HPより引用)

このように提供期間中に最低でも1回のモニタリングを義務づけられています。

 

モニタリング訪問の進め方3ステップ

モニタリング訪問は下記3つのステップで進めます。

 

  • STEP1
    事前情報の収集

    事前にヘルパーや提供記録から情報を収集します。そして事前情報を集約・整理し、モニタリング訪問へ向けて重点的に把握・確認するポイントを明確にしておきます。

  • STEP2
    アポイントをとる

    利用者あるいは家族へ連絡し、モニタリング訪問の日時を調整します。

    なお、この際にはモニタリング訪問の趣旨をしっかり利用者・家族へ説明することが大切です。

    一般の方からすれば「モニタリング」と言われても意味がわかりません。

    例えば

    • 「お世話になっております。ヘルパーステーション○○の△△です。●●様の所にヘルパーさんが訪問するようになって1ヵ月が過ぎましたので、このあたりで一度●●様のお宅にお邪魔させていただき直接お話を伺いたいのですがよろしいでしょうか?モニタリングと言いまして、初めにお渡しした訪問介護計画書で立てた目標がどのくらい達成されているのか、○○さんの体調や環境にお変わりがないか、○○さんがヘルパーさんにどれくらい満足してもらえているのか、を話していただき、評価することを義務付けられていまして、、、」

    というように、できるかぎり利用者にわかりやすい平易な言葉で説明し、理解を促しましょう。

    また訪問の日時については、基本的にヘルパーが訪問している時間帯を避けて調整してください。サービス提供の妨げになりますし、苦情などがあった場合にヘルパーの手前では話しにくくなってしまいます。

  • STEP3
    利用者宅へ訪問してヒアリング

    利用者宅へ訪問し、事前に整理した情報を中心に確認、ヒアリングを行います。 ヒアリング時には、YES・NOで答えられる“閉じた”質問だけではなく、利用者や家族が自ら考えて答える“開いた”質問をあわせて活用しましょう。

     

    例えば、サービスの満足度についてヒアリングするとします。

    この際「ヘルパーさんのお仕事に満足していますか?」といった閉じた質問だけでは、満足しているか否かしか把握できず、なぜ満足or不満なのか?まで引き出すことができません

    ですので「ヘルパーさんにもっと行ってほしいことや、やめてほしいことはありますか?」といった開いた質問を投げかけることで「あのヘルパーさんはいつも元気で気が利くから、楽しんで一緒に料理をしています。これからも続けていきたい…」、「あのヘルパーさんの掃除がいつも雑なのでもう少し丁寧にしてほしい…」と、利用者がサービスに対してどのように感じているか真意を引き出すことができ、満足度に関する評価を適切に行えます

     

    他にも、援助目標に『自らできる家事を継続して行える』と位置付けている利用者の目標評価についてヒアリングするとしましょう。

    この際、「掃除や洗濯は変わらず自ら行えていますか?」といった閉じた質問だけでは、先ほどと同じように家事を続けているか否かしかわかりません。

    そのため、「家事面で以前と比べて大変になってきたことはありませんか?」「無理をしていませんか?」「逆にこれから挑戦してみたい家事はありますか?」といった具合に開いた質問を用いることで、援助目標を現状維持とするのか、それとも新たな目標を設定するのかを正しく評価できます。

     

    結局のところ、サービスの評価を適切に行うために必要なのは情報の「厚み」です。それは利用者や家族の表面化された情報を深掘ってヒアリングしていくことでしか得られません。閉じた質問と開いた質問をうまく組み合わせてモニタリング訪問に臨みましょう。

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訪問介護のモニタリング報告書(兼サービス状況報告書)とは?

これまで解説してきたモニタリングの結果は、モニタリング報告書(兼サービス実施状況報告書)に記録し、保管します。また、作成後はケアマネへ提出することになります。

一般的なモニタリング報告書の項目は下記のとおりです。

  • 居宅介護支援事業所と担当ケアマネの氏名
  • 訪問介護事業所と担当サ責の氏名
  • 利用者氏名
  • 認定有効期間
  • 介護度(要介護1~5、要支援1~2)
  • モニタリング報告書の作成日
  • ケアプラン&訪問介護計画の実施状況
  • 期待された効果に対しての状況
  • 心身、家族などの状況変化
  • 利用者本人、家族の意向や意欲、満足度
  • ケアプラン&訪問介護計画の見直しの必要性
  • サービス状況の詳細(特記事項)

 

事業所の書式によって多少の違いはあると思いますが、大体はこんな感じです。

ちなみに私の事業所で使用しているモニタリング報告書を下記からダウンロードできますので良かったらどうぞ。

>> モニタリング報告書テンプレはこちら

 

モニタリング報告書(兼サービス実施状況報告書)をケアマネに渡すタイミング

モニタリング報告書(兼サービス実施状況報告書)は、毎月作成し、月初1日~3日までにサービス提供票(実績記録)と一緒に提出します。

※サービス提供票って何?と思われた方は下記を参考にしてください。

参考【図解】訪問介護の介護保険請求マニュアル【専門家が0から解説】

 

なお、本来、毎月ケアマネに提出しなければならないものではありませんが、「介護サービス情報公表制度(インターネットに事業所情報を公表する制度)」により毎月の実施状況報告を求められている経緯もあり、ケアマネへの毎月の提出が一般化しています。

 

ただし要支援の総合事業は必須

総合事業(介護予防)については下記のように定められています。

  • 「サービス提供責任者は、介護予防型訪問サービス計画に基づくサービスの提供の開始から、少なくとも1月に1回は、当該介護予防型訪問サービス計画に係る利用者の状態、当該利用者に対するサービスの提供状況等について、当該サービスの提供に係る介護予防サービス計画等を作成した介護予防支援事業者等に報告する」(大阪府堺市HPより引用)

このように要支援については毎月の報告を義務づけられているので注意しておきましょう。

 

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【文例あり】モニタリング報告書(兼サービス実施状況報告書)の書き方

ここではモニタリング報告書の「サービス状況の詳細(特記事項)」に、なにをどのように書くべきか文例を交えて書き方を解説します。

 

「サービス状況の詳細(特記事項)」に書くべき3つの内容

「サービス状況の詳細(特記事項)」には基本的に下記3点を記入します。

 

3つの内容
  1. 冒頭は「キャンセル」や「日時変更」の有無を書く
  2. 心身状態・環境変化の詳細
  3. 目標達成度の詳細

 

内容① 文章の冒頭は「キャンセル」や「日時変更」の有無を書く

まず文章の冒頭は、「キャンセル」や「サービス日時の変更」があったかどうかを記入します。

これは自治体によって義務付けている所もありますので必ず記入してください。

 

【文例】

  • 『〇日は○○病院に受診、〇日は自宅に長女様が来るとのことでキャンセルされています。』

 

内容② 心身状態・環境変化の詳細を書く

その月の利用者の心身状態・環境変化の詳細を記入します。なお、平成30年度の介護報酬改定により「服薬状況」や「口腔機能」についてもサ責からケアマネへ報告すべきとされていますので、それらに変化があれば記載してください。

 

『良い変化』の文例

【文例①】

  • 『先月に比べて、居室内での歩行状態が安定してきているご様子です。トイレまでの歩行も何とかご自身でされているとのことでした。』

【文例②】

  • 『今月の中頃に古くからの友人と久々に会ったようで「楽しかった~やっぱり友達は良いね。今度お茶に行く約束もした」と仰っており、活き活きとされているご様子でした。』

 

『悪い変化』の文例

【文例①】

  • 『以前に比べ、何度も同じ話をしたりと認知機能の低下が見られます。』

【文例②】

  • 『近頃、家族様の体調がすぐれない様子で本人様も心配しておられます。家族様とお話ししたところ、介護負担が増えているとの事でストレスに感じているご様子でした。』

【文例③】

  • 『先月に比べて部屋にペットボトルが散らばっているなど荒れてきています。自身で片付けができなくなってきている様子です。』

 

『状態変化がない場合』の文例

【文例①】

  • 『特段の大きな変化なく落ち着かれています。』

【文例②】

  • 『日によって体調ムラはあるもののご自身のペースで過ごされています。』

 

「状態変化が無い人なんていないっ!」と怒られそうですが、大きな変化なく生活してる人は普通に多いです。とはいえ「特変なし」と書くわけにはいきませんので、そんな時はこの便利な文言を使ってください。

 

内容③ 目標の達成度を書く

ケアプランにもとづいた訪問介護計画の目標に対して、実際のサービスがどの程度達成できたのかを記入します。

 

【文例①】 目標「一人で調理が出来る」サービス内容「共に行う調理(調理補助)」

 

  • 『サービス中は積極的に調理をしてくださっています。「具材を切る、味付けをする」などの行為はほとんどご自身でされています。ただ長時間の立位は難しいため、椅子に座ったり休憩をはさみながら進めている状況です。』

【文例②】目標「1日1回はすこしでも外出する」サービス内容「買い物同行」

 

  • 『買い物は天候不良を除いて、毎回ヘルパーと一緒にスーパーへ出かけております。スーパー内ではカートをご自身で押して商品を選ばれたりと積極的なご様子です。また近頃は一人で自宅の前を散歩しているとのことで徐々に活動的になってきているように見受けられます。』

【文例③】目標「ヘルパーの一部介助により浴槽をまたぎ、湯船につかることができる」サービス内容「入浴介助」

 

  • 『入浴介助の際には、転倒に注意しつつヘルパーの一部介助にて浴槽をまたぎ、湯船につかることができています。ただ、まだ立位動作やまたぎ動作などが不安定であることからヘルパーによる一部介助が必要だと思われます。』

 

こんな感じで①,②,③を書いておけばOKです。テンプレ化して時短しちゃいましょう。

 

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モニタリング報告書の完成例はこちら

下記は先述した『書き方』を押さえたモニタリング報告書の完成例です。

実際に“つかえる”ものになっていますので参考にしてください。

※クリックすると拡大します。

モニタリング報告書 記入例 

 

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訪問系の障害福祉サービスのモニタリングは?

介護保険だけではなく障害福祉サービスも一体的に提供している事業所は多いですよね。

訪問系障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護)のモニタリングについては基本的に介護保険と同じ扱いと考えてOKです。

根拠省令は下記のとおり。

【第26条】

「サービス提供責任者は、居宅介護計画作成後においても、当該居宅介護計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該居宅介護計画の変更を行うものとする。」

(厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」より引用)

 

ちなみに障害福祉サービスの場合は、モニタリング報告書(兼サービス実施状況報告書)を「障害者相談支援専門員(ケアマネ)」に提出する必要はありません。(渡すと喜ばれると思いますが…)

 

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最後に

今回は訪問介護のモニタリングについて徹底解説しました。

忙しいサービス提供責任者にとってモニタリングは本当に大変です。

ぜひ本記事を参考にしていただいて業務の効率化を図ってもらえたらと思います。

 

また当サイトではサービス提供責任者の『初心者向けマニュアル』を無料で公開しています。

良かったら下記から参考にしてみてください!

※そのほかの帳票一覧を知りたい方は下記をどうぞ。

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