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【障害の理解】障害種別ごとの特性と支援のポイント【研修資料につかえる】

障害種別ごとの特性と支援ポイント

 

はじめて障害をお持ちの方の支援に入ることになりました。

高齢者介護の経験はありますが、障害者支援の知識がなく不安です。

支援のポイントを教えてほしい。

 

今回は、こんな悩みや不安にお答えすべく

  • 障害者の定義
  • 身体・知的・精神の三障害ごとの種類と特性
  • 障害の種類ごとの支援のポイント

を初心者ヘルパーにも分かりやすく解説します。

介護保険の訪問介護だけでなく、訪問系障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護など)も一体的に運営している事業所は多いかと思います。

本記事は、事業所内で行う研修の資料としても使えますので、ヘルパーの方に限らずサービス提供責任者や管理者の方々もぜひご活用ください。

 

本記事は、各障害ごとの特性や関わり方のポイントを解説するものとなっています。

障害福祉サービスにおける支援の在り方や基本姿勢については、以下コラムで解説していますのでこちらを参考にしてください。

⇒「ヘルパーが押さえておくべき障害福祉サービス提供の基本姿勢」(※準備中です)

 

研修テーマ集:【研修資料つき】訪問介護のヘルパ-勉強会テーマ38案

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
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【障害者の定義】そもそも障害者とは?

 

まず、そもそも障害者とはどういった方のことを指すのか定義を明らかにしておきます。

日本の障害者施策の根幹的な法令である「障害者基本法」に障害者の定義が明記されており、以下、抜粋文のとおりです。

 

第二条(定義)
「障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」

障害者基本法より抜粋

 

上記のとおり障害者基本法では、障害を身体障害・知的障害・精神障害の3つに分類しており、かつその障害や社会的な制度、慣行などにより日常生活上の困難が生じているものを「障害者」と定義しています。

 

ちまたでよく聞く「三障害」とは、この身体・知的・精神障害のことです。

あれ?発達障害は?と思われたかもしれませんが、発達障害は法令上、精神障害に含まれる位置付けとなっています。

 

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各種障害の特性と支援のポイント

 

ここからは各種障害の特性と支援のポイントをそれぞれ紹介していきます。

※先に発達障害は精神障害に含まれると言いましたが、本項では便宜上双方を分けて記載しています。

 

本記事で紹介する支援のポイントは、あくまでも基本的な内容にとどめています。

 

実際の支援では同じ障害や疾病を抱えていても、利用者ごとに支援の方法や関わり方はさまざまです。きちんと利用者ごとにアセスメントを実施した上で、その方に適した支援を提供するよう心掛けてください。

 

身体障害の特性と支援のポイント

身体障害者福祉法では、身体障害者を次のように定義づけています。

 

第四条(身体障害者)
「この法律において、『身体障害者』とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」

身体障害者福祉法より抜粋

 

この条文にある「別表に掲げる身体上の障害」ってなんだろう?

 

身体障害者福祉法において明記されている「別表に掲げる身体上の障害」は、

  1. 視覚障害
  2. 聴覚・平衡機能障害
  3. 音声・言語・そしゃく機能障害
  4. 肢体不自由
  5. 内部障害

の5つです。各障害の程度にもよりますが、これらの障害があり、かつ身体障害者手帳の交付を受けている18歳以上の方が「身体障害者」ということになります。

 

1つずつ見ていきましょう。

 

 

視覚障害

身体障害者福祉ほうでは、視覚を司る「視力」「視野」「色覚」「光覚」のうち、視力または視野に障害があり、かつ永続する場合を視覚障害者としてあげています。

また視覚障害には、全く見えない場合や見えづらい場合などさまざまなケースがあり、主に以下4つがあります。

  • 全盲…全く見えない
  • 視力障害…矯正しても視力が基準以上にならない
  • 視野障害…視野が狭いあるいは欠けている
  • 夜盲…暗い場所や夜に著しく視力が低下する

なお、色覚(色を識別する機能)や光覚(光の強さを感じる機能)に障害がある場合も視覚障害者とみなされますが、法律上は身体障害者とされていません。そのため、身体障害者手帳の交付対象とならないとされています。

 

視覚障害の支援POINT

視覚障害の方の支援は、まずその利用者の見え方や見えづらさに応じた支援が必要です。点字や、拡大鏡、スマホ・パソコンの音声読み上げ機能、外出時の白杖など、視覚障害の度合いに応じてさまざまな用具を活用するため、その方がどのような補助具を用いているのかをあらかじめ確認しておきます。

また家事支援の場面では、調理や掃除、片付けの際に物を動かすことがあるかと思います。このとき、ヘルパーがいつもと違う場所に移動させてしまうと本人自ら見つけることができません。物品等を使ったら元の位置に戻すのはもちろんのこと、場所を変える場合は必ず利用者と相談するようにしましょう。

※ガイドヘルプ(外出支援)を行う場合は、以下コラムで解説していますのでこちらを参考にしてください。

同行援護でガイドヘルパーが注意したい7つのポイント

同行援護サービスで買い物に行くときの手順と注意点

 

 

聴覚・平衡機能障害

聴覚機能障害

音が聞こえない、または聞こえにくい障害です。

生まれつきの場合と、後天的な要因によるものがあり、加えて、耳介・外耳道・鼓膜・中耳に障害が起こる伝音系難聴と、内耳から脳までに障害が起こる感音系難聴があります。

聴覚障害の度合いはをデシベルという単位で表しますが、0デシベルを正常値として数値が大きくなるほど聴力に問題があるとされます。

 

聴覚障害の支援POINT

聴覚障害の方の支援では、コミュニケーションの方法に配慮しなければなりません。

例えば、聴力が残存している方には補聴器の使用を検討します。補聴器の必要の可否は医師の診断が必要となるため耳鼻科の医師に相談しましょう。

聴力が低下した方で補聴器の適応外の方は、手話や単語カード、筆談などを用いてコミュニケーションを行います。筆談はスケジュールを調整するなど意思決定を伴うときによく用いられます。日常生活では、単語カードを使用したほうがスムーズにコミュニケーションをとることが可能です。

 

平衡機能障害

四肢や体幹には問題がないのに、起立姿勢の保持や歩行に何らかの異常が見られる障害です。

目を閉じての起立姿勢が維持できなかったり、歩行中数メートルで転んだり、よろめいたりします。

平衡機能障害は身体のバランスを司る耳の三半規管の障害が大きく影響している場合が多く、めまいや耳鳴りを引き起こします。

 

平衡機能障害の支援POINT

平衡機能障害のある方は、転倒や事故のリスクが高まるため、安全対策を十分に行わなければなりません。

四肢・体幹に異常がない利用者であっても、立位時や歩行時には見守りや一部介助にて対応するなど転倒防止に努めましょう。

その他、手すりや滑り止めマットを設置したり、歩行器や杖を使用したり、など利用者の状態に応じた生活環境の整備にも気を配る必要があります。

 

 

音声・言語・そしゃく機能障害

音声機能障害

音声を発することができない、または難しい状態を指します。

原因として、喉頭摘出や先天的な計上異常、発生筋の麻痺などがあります。

 

言語機能障害

音声や言語による意思疎通が困難・不可能な状態です。

脳内出血や脳梗塞などによる失語症、ろうあなどが原因としてあげられます。

 

そしゃく機能障害

経口摂取が困難なため経管栄養での摂取を行ったり、食べる物に関する制限(飲み込みやすいゼリーなど)を設けられていたりする状態です。神経や筋疾患、延髄機能障害、咽頭や喉頭の欠損などが原因としてあげられます。

 

言語障害の支援POINT

聴覚障害の方と同様に手話や筆談、単語カードを用いてコミュニケーションをします。失語症がある方は長文での会話が苦手な場合もあるため、端的に話しかけることを心掛けます。

言語障害の方は、必死の思いで自分の言葉を発しようとされる方がいるため、「最後まで相手の話を聞く」、「曖昧な理解はしない」など聞き手の態度が大切です。

最後まで話を聞かずに、話を途中で終えようとするスタッフがいれば、利用者から良いイメージが持たれなくなりますので注意しなければなりません。

 

 

肢体不自由

病気や怪我により四肢や体幹に姿勢や運動の障害または欠損があり、日常生活に困難をきたす状態をいいます。その原因は事故や先天性疾患などさまざまで、症状も筋力低下や麻痺、さらには全身に障害が及ぶものもあります。

 

肢体不自由者の支援POINT

肢体不自由者は、運動麻痺などの影響により上手く体の動きをコントロールできなかったり、関節可動域に制限を認める方が多いです。

そのため、日常生活では特殊な形をしたスプーンやフォーク、書字用のペンを改良したものなどの自助具を使用します。自助具は使用する人に応じて選定、調整しなければなりません。自助具のことで相談をする場合は、福祉用具に関する知識がある専門職種に相談をしましょう。

また、全身のフィジカルアセスメントをすることも大切です。肢体不自由者は、中枢神経系(脳や脊髄など)の問題を抱えている方が多く、体温調節やバイタル調整が難しい方もいます。そのため「体温調節が上手くできない方」、「血圧が変動しやすい方」の支援を行うときは、利用者の状態を常にチェックすることを心掛けます。

 

 

内部障害

内部機能障害は内臓機能の障害を指し、以下のように分類されています。

 

心臓機能障害

狭心症、心筋症、不整脈などがあります。ペースメーカーを埋め込んでいる場合もあり、電磁波の影響に注意が必要な人もいます。

 

腎臓機能障害

腎臓の機能が低下すると、老廃物や水分を排出するのが難しくなります。そのため身体に有害な物質が溜まり、健康に影響を及ぼします。人工透析が必要なケースも少なくありません。

 

呼吸器機能障害

呼吸器系疾患により肺機能が低下すると、酸素と二酸化炭素がうまく交換できなくなります。こうした呼吸器機能障害を持つ人の中には、酸素ボンベを携帯したり人工呼吸器を使用したりする人もいます。

 

肝臓機能障害

肝臓は症状初期だと気付きにくく、進行するにつれ倦怠感や黄疸、むくみなどが表れます。肝機能が低下すると体内の毒素を解毒できず、肝硬変などに発展する場合があります。

 

膀胱・直腸機能障害

膀胱や直腸の機能低下によって、排泄物を自分の力で体外に排出できない障害を指します。人工肛門や人工膀胱を増設している人(オストメイト)もいます。

 

小腸機能障害

小腸の切除や病気によって働きが妨げられる障害です。栄養の吸収消化が十分に行えないため、経口摂取での栄養維持が難しい状態を指します。

 

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害

HIVウイルスは白血球の一種、リンパ球を破壊し、これにより免疫機能が低下します。

発熱や下痢、倦怠感や体重の減少など様々な症状が生じ、あらゆる感染症にかかりやすくなります。

 

内部障害の支援POINT

内部障害の中には、体内に特殊な医療機器(例:ペースメーカーなど)を埋め込んでいる方がいるため、医療機器が誤作動を起こさないように注意しなければなりません。例えば、ペースメーカーを埋め込んでいる方の近くで、スマートフォンや電磁波が出る機械を使用しないなどの配慮が必要です。

また、内部障害の方は内臓系の機能が低下しているため、過負荷に注意します。日常生活で重い物を運んだり、長時間移動をするなどの行為は、内部障害者にとってハードな時もあるので負担をかけない支援が大切です。支援をするときは、疲労の有無を確認しながら行いましょう。

 

 

知的障害の特性と支援のポイント

知的障害 特定

知的障害者への援助や社会参加の促進を目的とした法律として、知的障害者福祉法が存在します。

知的障害者福祉法において知的障害者の定義は明言されていませんが、厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」にて以下のとおり示されています。

 

※厚生労働省が示す知的障害者(児)の定義
「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」

※知的障害の判断基準
(a)「知的機能の障害」について
標準化された知能検査(ウェクスラーによるもの、ビネーによるものなど)によって測定された結果、知能指数がおおむね70までのもの。
(b)「日常生活能力」について
日常生活能力(自立機能、運動機能、意思交換、探索操作、移動、生活文化、職業等)の到達水準が総合的に同年齢の日常生活能力水準(別記1)の a, b, c, d のいずれかに該当するもの。

厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」より抜粋

 

上記(a)(b)いずれにも当てはまる場合知的障害と診断されますが、その重症度は軽度・中度・重度に分類されています。

 

軽度知的障害

軽度知的障害の特徴は次のとおりです。

  • IQ51~70
  • 日常生活動作には支障がない
  • 言語の発達に遅れが見られる
  • 集団行動や友人と関わることはできる
  • 大人になっても小学生程度の学力に留まる
  • 簡単な文章の理解や表現ができる

軽度の場合、適切な支援によって、ある程度自立した生活を送ることが可能です。

 

中度知的障害

中度知的障害の特徴は次のとおりです。

  • IQ36~50
  • 言語や運動能力に遅れがある
  • 更衣や入浴などの生活動作は一部介助や指示を要する
  • 金銭の概念が理解しづらい
  • ひらがなでの読み書きができる

中度の場合、自分でできることもありますが、ある程度指示したり不十分なところを補ったりする必要があります。生涯支援を要する人がほとんどで、能力の発達遅滞はあるものの、監督の下仕事をしたり他者と簡単なコミュニケーションを図ったりするのは可能です。

 

重度知的障害

重度知的障害の特徴は次のとおりです。

  • IQ21~35
  • 生活全般において支援を要する
  • 単独での移動が難しい
  • 簡単なあいさつ程度のコミュニケーションは可能

重度知的障害の場合、内臓疾患や身体障害を併せ持つケースが多く見られます。

これを重度心身障害といい、出生前の胎内感染症や染色体異常、分娩異常や低酸素など様々な原因があります。

 

知的障害の支援POINT

知的障害の方は、知的能力や適応能力に低下を認めているため、難しい言葉を理解することが苦手です。そのため、利用者の理解力にあわせて「わかりやすい言葉を使う」、「ゆっくり話す」、「イラスト付きの図を用いて話をする」などの対応を行うと理解しやすくなるでしょう。

また中には、理解できていなくても「分かった。」と話される方もおり、その方の自尊心を傷つけないような配慮も必要です。

その他、一つの行動に時間がかかるのも知的障害の特徴のひとつです。決して急かしたり、イライラしたりしてはいけません。時間がかかるといって、本人ができることをヘルパーが代わりに行うなどの過度な支援は、本人の生活能力を奪います。本人ができることは、できるまで暖かく見守る姿勢が大切です。

 

 

精神障害の特性と支援のポイント

 

精神保健福祉法では、精神障害者を次のように定めています。

 

第五条(定義)
「この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する者をいう。」

精神保健福祉法より抜粋

 

平成5年障害者基本法の施行および平成7年法改正による精神保健福祉法の施行に伴い、精神障害者は「障害者」として初めて法的に位置付けられ、認知されることとなりました。これは3障害の中でもっとも遅く、それゆえにまだまだ精神障害に対する偏見もあり、差別的扱いをされることも少なくない障害と言えます。

 

主な精神障害は、以下の5つです。

  1. 統合失調症
  2. 気分障害(うつ、双極性障害)
  3. てんかん
  4. 依存症
  5. 高次脳機能障害

1つずつ見ていきましょう。

 

統合失調症

人口の約1%が発症すると言われており、10代後半から30代までに発症する人が多いのが特徴です。

統合失調症は何らかの原因でさまざまな情報や刺激に過敏になりすぎてしまうと、脳が対応できなくなり、感情や思考をまとめる機能が失調している状態を指します。そのため、社会生活に関わる機能に障害を受け、自分で振り返ることが難しくなります。

原因は明らかにはなっていませんが、進学・就職・独立・結婚・死別等のライフイベントにおける環境の変化が、発症の契機となることが多いようです。

統合失調症の症状には陽性症状・陰性症状・認知機能障害があり、以下のようなものが見られます。

 

陽性症状 陽性症状は主に幻覚、幻聴、妄想があげられ、年数が経るにつれて症状の程度は穏やかになる傾向があります。

  • 誰もいないのに人の声が聞こえる、他の音に混じって声が聞こえる
  • 実際にはないものが感覚として感じる
  • 他の人に見えないものが見える
  • 普通なら感じないような身体の症状を感じる
  • するはずのない匂いを感じる
  • 食べ物に変な味が付いていると感じる、実際には口には入っていないが、様々な味を感じる
  • 本来であればあるはずのないことをあると思い込む
  • 幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったりする
  • 幻聴との対話でブツブツ言ったりする
  • 考えが急に中断されて、突然何も言葉が出てこなくなる
  • 考えにまとまりがなくなり、一つの話題から全く別の関連性のない話題へ話が飛ぶ、辻褄が合わないことを話す
  • 自分の考えが他人に知られてしまうと感じる
  • 人に考えや衝動を吹き込まれていると感じる
  • 考えを他人に吸い取られてしまうと感じる
  • 実際に誰かに操られていると感じる
  • 同じ行動を繰り返す
  • 激しい興奮
  • 奇妙な行動
陰性症状 陰性症状は病気の発症後、年数を経るにつれ、次第に目立ってくる傾向があります。

  • 喜怒哀楽等の感情表現が乏しくなる
  • 他者と視線を合わせなくなり、動きのない表情をする
  • 他者の気持ちに共感したりすることも少なくなる
  • 関心を失っているように見える
  • 興味の喪失
  • 意欲や気力がない
  • 会話の量が少ない、または答えない
  • 集中力の低下
  • 一度に多くの物事に対処できない
  • 他の人との関わりを避ける
  • 1日何をすることもなく過ごし、社会性が低下する
認知機能障害 認知機能の障害により生活・社会活動全般に支障をきたします。

  • 情報や刺激を選んで、注意を向けることができない
  • 周囲の情報や刺激に対して、必要なものだけに注意を集中することができない
  • 過去の記憶の情報に適切に判断することができない
  • 細かなことに拘って全体を把握できない
  • 言葉に隠された意味や比喩などを理解しにくい
  • 過去の類似の体験に基づいての対応ができない
  • 日常生活において適切な会話や行動が難しい時がある
  • 症状が強い時は自分が病気であることが認識できない

 

 

統合失調症の支援POINT

統合失調症は、薬物療法と精神療法やリハビリテーション等の心理社会的な治療を組み合わせて行うことが有効とされており、幻覚や妄想が強い急性期には、薬物療法をきちんと行うことが不可欠です。

ですので、統合失調症の方へのサービス提供の際には、前提として処方薬の服用や定期通院をきちんと行えているかを必ず確認します。薬を飲めていない、または飲み過ぎている、通院できていない、などがあれば訪問看護や主治医など医療職へ報告し、連携を図りましょう。

その他、基本的な関わり方として以下を心がけて対応にあたります。

  • 話を聴いて解決策を一緒に考える
    話を聴いて関わる姿勢を持つこと、解決策について一緒に考えることで信頼関係の構築につながります。
  • 強い感情表出をしない
    統合失調症の人は対人関係に敏感になっており、ストレスが再発のきっかけとなる場合があります。「批判的な言動」「非難している言動」「過度な気遣い」には気を付けましょう。
  • 妄想や幻聴を否定しない
    妄想や幻聴などの症状が出ている方に対して、症状を否定するような言葉を発してはいけません。否定も肯定もすることなく、本人の言葉を受け止める態度が必要です。
  • 小さなことでも良い面を見つけ、認めていることを言葉で表現する
    自己肯定を少しずつしていけるような関わりをすることで自信の回復につながります。
  • 生活のしづらさを理解して、本人ができることをサポートする
    統合失調症になっても病気はあくまでも本人の一部分にしかすぎません。病気によって生じた生活のしづらさを正しく把握して、本人が無理なくできることを理解しながらサポートしていくことが大切です。

 

 

気分障害(うつ、双極性障害)

気分障害とは、文字とおり気分の変動により生活に支障をきたす障害をいいます。

うつ状態が継続する場合はうつ病、躁状態とうつ状態を繰り返す場合は双極性障害に分類されます。

それぞれの症状例は以下のとおりです。

 

うつ
  • 鬱陶しい気分が一日中、何日も続く、抑うつ気分がある
  • 悲観的な考え以外の感情、興味や喜びの喪失、無気力
  • 早朝覚醒
  • 食欲の減退または亢進
  • 体重の増減
  • 精神的に疲れやすい
  • 身体がだるい、不調を訴える
  • 眠れないが1日中眠い
  • 自責感
  • 自殺念慮
  • 話さない、むしろ話せない
  • 動かない、むしろ動けない
  • 思考力、記憶力の低下
  • 日中や明るいのが苦手で暗闇や夜が好きになる
  • 涙もろくなる
  • 身だしなみに無頓着になる
  • 性欲がない
  • 反応が遅い
  • 落ち着かない
双極性障害 うつ状態の相互に躁状態が表れます。

躁状態に見られる症状には以下のようなものがあります。

  • 睡眠時間が少なくても平気で動き回る、多弁で喋り続ける
  • 衝動買いや高額な買い物、ギャンブルをしてしまう
  • いろんなことに積極的に取り組むが、計画なしに次々と手を出して行動してしまう
  • 誇大妄想(例:自分は天才だと思い込む等)を持つ
  • 気分爽快
  • 興味や話題が次々と変わる
  • 思い通りにいかないとイライラする
  • 人の意見に耳を貸さなくなる
  • 話し続けてしまう
  • 初対面の人に話しかける
  • 性的に奔放になる
  • 自分の状態に関する自覚がないことが多く、周囲の困惑に気づかない

 

気分障害の支援POINT

気分障害の治療は、薬物療法や精神療法を併用して行います。そのため先の統合失調症と同様に、サービス提供の際には服薬確認と定期通院の確認を必ず行いましょう。(問題があれば医療職へ報告連携を図る)

その他、基本的な関わり方として以下を心がけて対応にあたります。

※うつ状態の場合

  • 焦らない、急かさない
    心身の休息がとても大切です。1日の中でも気分の浮き沈みがあったり、日によってできること、できないことが変わることもあります。決して急かしたり無理強いしたりせず、本人のペースを尊重しながら気長に見守りましょう。また、季節の変わり目に過敏に反応することがあるため、気候変動による体調変化にも注意します。
  • 希死感情による身辺整理は要注意
    自殺を考えている人は身辺整理のような行動を行うことがあります。また、焦燥感や自己肯定感が低い言動が続いている時は、自殺リスクが高まっている可能性があるため注意が必要です。
  • 言葉の選択に配慮する
    「励ます」「支援者の主観的な意見ばかりを話す」「責める」「無理に行動を強いる」などのような言動は、本人の精神状態を悪くしてしまうことがあるため控えましょう。ヘルパーにはこうした意識した言葉の選択が求められ、本人が自身の意思を引き出せるように見守りながら支援するアプローチが大切です。

※双極性障害の場合

  • 客観的視点を持って対応する
    ヘルパーが感情的にあると言い合いのような形になり、双極性障害の方をよりヒートアップさせる結果になってしまいます。躁状態に巻き込まれずに客観的視点を持って対応するよう心がけましょう。
  • 責めたり、強く指摘したりしない
    繰状態の時は行動の自覚はありませんが、記憶が無いわけではありません。繰状態の時にしてしまった行動に後悔や罪の意識を感じて、自分自身を責めてしまうことも想定されます。責めたり、強く指摘したりといった言動は控えましょう。

 

 

てんかん

脳の一部、または全体が興奮しやすくなっているために、ちょっとした刺激やきっかけから脳が興奮状態に陥り、意識障害やけいれん等の発作を起こす疾患です。

発作には、急に意識が消失して全身が硬直したのち全身がガクガクとけいれんするものや、体の一部分のみけいれんを起こすもの、意識消失はないが認知の変化を伴うものなど、さまざまなタイプのものがあります。

 

てんかんの支援POINT

発作時に大声で呼びかけたり、ゆさぶったりしてはいけません。慌てず周囲の安全を確保し、発作が治まるまで待ちます。発作が10分以上たっても治まらない場合は救急を要請しましょう。

発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の生活を送ることができますので、過剰に活動を制限する必要はありません。ただし、内服薬により発作をコントロールしているため、継続してきちんと服薬できているかを忘れず確認してください。

参考:厚生労働省「精神障害の特性」

 

 

依存症

ギャンブルや薬物、アルコールなどに過度に依存し、それらを常に求めてしまう症状です。

  • 内臓に影響が出ているのに飲酒をやめられない
  • 飲酒によって暴力的になると分かっていても断酒できない
  • ギャンブルに負けてもすぐ取り返そうとお金をつぎ込む
  • 逮捕など社会的問題に直結すると分かっていながら薬物を摂取する

このように欲求を自分で抑制できず、また心身への障害に至るケースもあります。

依存対象が優先順位のトップにくるため他のことがおろそかになり、仕事や学業、家族との生活や社会的活動に大きな悪影響を及ぼします。

 

依存症の支援POINT

依存症は、本人に病識がなく、また自分でコントロールすることが難しいため周囲の理解と協力が欠かせません。

まずは、家族などと共に依存症専門病院など適切な専門家へ相談しましょう。しかし、一度依存対象を断っても、繰り返してしまうことも多く、本人を責めることなく根気強く見守っていく姿勢が必要です。

また断酒会AA(アルコホーリクス・アノニマス)など自助グループにつなぐことも重要になります。同じような悩みを抱えている方々と互いに支え合い、共有することで日々の困難さを乗り越える一助となるでしょう。

参考:厚生労働省「精神障害の特性」

 

 

高次脳機能障害

事故や脳疾患により脳がダメージをうけることで、認知機能や行動面に異常をきたす障害です。

外見からは分かりにくく、周囲の人々に理解されにくい障害の1つです。

高次脳機能障害の症状には、以下のようなものがあげられます。

 

記憶障害
  • 新しいことを覚えられない
  • すぐに忘れてしまう
注意障害
  • 集中できない
  • 障害物に気付かずぶつかってしまう
  • 2つのことを並行して行えない
遂行機能障害
  • 物事の優先順位がつけられず順序立てて進められない
  • 効率良く処理できない
社会的行動障害
  • イライラしやすい
  • 我慢ができなくなる
  • 暴力的になる

 

他にも言葉が出にくくなる失語症、片麻痺などの障害が表れる場合があります。

 

高次脳機能障害の支援POINT

高次脳機能障害は、脳の損傷部位によって症状が異なり、症状が幅広いため、その人に適した支援を心掛ける必要があります。

例えば、記憶障害の方へは、物を覚えることが苦手なケースがあるのでメモを書く習慣を取り入れるなどの支援が必要です。遂行機能障害によって物事を段取りよく進めることが難しい方は、順番を一緒に確認する、工程を単純にするなどの支援の工夫が求められます。

高次脳機能障害の場合、本人の病識の有無も支援をする上で重要になります。病識が無ければ、ヘルパーがいくら伝達しても聞き入れてもらうことができないこともあります。そのため、課題を一緒に確認しながら取り組む支援が必要です。

 

発達障害の特性と支援のポイント

 

発達障害者支援法では、発達障害および発達障害者を以下のように定義づけています。

第二条(定義)
この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。

発達障害者支援法より抜粋

 

発達障害は、脳の機能が何らかの原因で未発達であるために社会生活に支障をきたす障害です。

一見身体的にも異常はなく、また知的障害を伴わないケースも多いためになかなか周囲に理解されにくいという背景があります。また、他者とのコミュニケーションが苦手という側面があり、変わり者と思われることも少なくありません。

 

発達障害の種類には以下の4つがあげられます。

  1. 自閉スペクトラム症(ASD)
  2. 注意欠如/多動症(ADHD)
  3. 学習障害(LD)
  4. 発達性協調運動障害(DCD)

1つずつ見ていきましょう。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

遺伝的な要因によって生じる脳機能障害です。

こだわりが強く、他者の考えを推察したり自身の考えを表現したりするのが苦手な傾向にあります。

下記は症状の一例ですが、人によって特性の表れ方は様々です。

  • 視線が合わない
  • 感覚過敏
  • 言語の発達遅滞
  • 共感性に乏しく、相手の心情を読み取れない
  • 一つの事に強くこだわる

ASDは1%が発症すると言われており、決して珍しい障害ではありません。特に男性に多く、発症率は女性の約4倍とされています。

知的障害を伴わない場合もあり、困難が目立ちにくく周囲になかなか理解されない人も多いのが現状です。

 

注意欠如/多動症(ADHD)

ADHDの特徴は不注意、衝動性や多動性です。

落ち着きのなさや自己抑制が難しく、日常生活に支障をきたします。また気が散りやすく、1つのことに集中するのが困難な傾向にあります。そのため約束事や必要な物を忘れてしまうなど、対人関係にも問題が生じるケースも少なくありません。

具体的な症状は以下のとおりです。

  • 不注意…タスク管理や時間管理が難しい、細部に注意を払えずミスが多い
  • 多動性…相手がいるのに一方的に話し続ける、じっとしていられず離席したりそわそわと手を動かしたりする
  • 衝動性…他人の発言を遮って話す、許可を待たず他人の物を使う、順番を待たずに割り込む

ADHDの原因は現在もはっきりしていませんが、遺伝的要因や生まれつき脳の発達が偏っていることが要因と考えられています。

ADHDの症状は年齢を重ねても残ることが多く、近年は大人の発達障害も注目されています。

 

学習障害(LD)

知的発達に遅れはないのに、読み書きや計算、推論など、特定の学習能力に障害が生じている状態です。

学習障害は以下の3つに分類され、それぞれに多く見られる特徴があります。

  • 読字障害…文章の意味理解が難しい、文字を読むのがたどたどしく読み間違えが多い
  • 書字障害…書く文字のバランスが悪い、書き写すのが遅い、考えを文字で表現するのが難しい
  • 算数障害…数字や記号の理解が難しい、文章題が解けない、数の概念を理解できない

症状は人によって様々で、特定の分野だけに障害が表れます。

全体的に発達の遅れが出ているわけではないので、単に努力不足、勉強不足と捉えられてしまう場合もあります。

 

発達性協調運動障害(DCD)

知能や身体的な異常はないものの、協調運動がその年齢の水準値に満たない状態をいいます。

小脳に異常をきたし、筋肉のコントロールが難しいため、動きがぎこちなくなったり身体のバランスが取りづらかったりと、日常生活に支障をきたす障害です。

協調運動とは、五感や自身の身体の動きなど複数の情報を脳内でまとめて行う一連の動作で、以下の運動もその一例です。

  • ボールを目で追いキャッチする、蹴る
  • 手足を交互に出して歩く
  • 片手に箸、片手に茶碗を持ってご飯を食べる

発達性協調運動障害は、脳のCTやMRIで明らかな異常は見られませんが、脳内の小さな障害がいわゆる不器用さに関係しているとの推測がなされています。

ADHDやLDの場合、協調運動障害も併発していることが多いと言われており、大人になってからも多くの場合症状は残ります。

 

発達障害の支援POINT

発達障害の方の支援では、基本的な関わり方として以下を心がけて対応にあたります。

  • 環境調整
    大きな音が聞こえる環境だと、勉強や仕事などに集中できなかったりパニックになったりする方もいるため、本人が心地よいと感じる環境を調整します。
  • 具体的な言葉で伝達する
    抽象的な表現は理解できません。ですから具体的な言葉、例えば「あれ、これ」ではなく名称を伝える、「昼ごろに連絡します」ではなく「12時に連絡します」と伝える、などの配慮が必要です。また、いわゆる暗黙のルールも理解が難しいため、ヘルパー側の尺度でわかっているだろうと判断せず、きちんと言葉で伝えるようにします。
  • 適切な距離感を意識する
    人と上手く適切な距離で関わることや、自分の感情をコントロールすることなどが苦手な方もいますので、利用者とほどよい距離感で接する態度が必要です。
  • 急な予定変更をしない
    急な予定変更がとても苦手です。基本的には決定したスケジュールは変更せず、どうしても変更が必要な場合は本人が納得するまで順序立てて丁寧に説明しましょう。なじみのヘルパーを変更する場合や、サービス日時を変更する場合は特に注意してください。

 

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さいごに

今回は、障害種別ごとの特性と支援のポイントを解説しました。

本記事では取り上げなかった障害もまだまだありますが、基本的な部分は押さえていますので繰り返し読んで学んでくださいね。

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