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【令和8年度障害福祉サービス等報酬改定】期中改定のポイント総まとめ!訪問系障害福祉サービスへの影響は?

 

令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定は、定期改定を待たずに行われる特例的な「期中改定」となります。今回の改定は、障害福祉分野で働くスタッフの処遇改善を軸としつつ、一部サービスにおける臨時的な報酬見直しや適正化が盛り込まれているのが特徴です。

本記事では、厚生労働省・こども家庭庁の資料をもとに、令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の全体像と詳細をわかりやすく解説していきます。

 

令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定はあくまで期中改定ですので、居宅介護や重度訪問介護等の訪問系障害福祉サービスの基本報酬や既存の加算、制度等に変更はありません。訪問系サービスで関係あるのは、処遇改善加算関係と国庫負担基準の見直しのみです。

 

福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充(令和8年6月施行)

令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定の最大の目玉が、処遇改善加算の拡充です。

主に以下の措置が講じられます。

対象者の拡大とベースアップ 処遇改善加算の対象について、福祉・介護職員のみから「障害福祉従事者」に拡大され、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置がとられます。
上乗せ区分の新設 生産性向上や協働化に取り組む事業者を評価するため、現行の加算Ⅰ・Ⅱの上に「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」という区分が新設。この上乗せにより、対象となる福祉・介護職員に月0.3万円(1.0%)の賃上げ措置が実施され、これらを合計すると、定期昇給(0.6万円)を含め、最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する計算となります。
対象サービスの新設 これまで処遇改善加算の対象外だった「計画相談支援」「地域相談支援」「障害児相談支援」の3サービスにも、新たに加算(加算率5.1%)が新設されます。

 

改定後の加算率

生産性向上や協働化に取り組む事業者を評価するため、これまでの加算Ⅰ・Ⅱに上乗せする形で「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」という新しい区分が設けられます。(従来の加算Ⅰ・Ⅱはそれぞれ「加算Ⅰイ」「加算Ⅱイ」)

訪問系障害福祉サービスの加算率は以下のとおり。

サービス区分 Ⅰイ Ⅰロ Ⅱイ Ⅱロ
居宅介護 44.6% 45.6% 43.1% 44.1% 37.6% 30.2%
重度訪問介護 37.2% 38.2% 35.7% 36.7% 30.2% 24.8%
同行援護 44.6% 45.6% 43.1% 44.1% 37.6% 30.2%
行動援護 41.1% 42.1% 39.6% 40.6% 34.1% 27.7%
重度障害者等包括支援 25.2% 26.2% 19.1% 16.7%

 

上乗せ区分(Ⅰロ、Ⅱロ)を取得するための「令和8年度特例要件」

上位区分である「加算Ⅰロ」や「加算Ⅱロ」を算定するためには、令和8年度特例要件を満たす必要があります。これは、単なる賃上げだけでなく、「業務の効率化(生産性向上)」や「法人間の連携」を求めるものです。

算定には、以下の要件「ア」または「イ」のいずれかに加えて、「ウ」を満たす必要があります。

要件「ア」 職場環境等要件の生産性向上に関する取組を5つ以上(⑱㉑必須)
要件「イ」 社会福祉連携推進法人に所属していること
要件「ウ」 加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を月給賃金(毎月支払われる基本給や手当)で配分

 

令和8年度の職場環境要件

 

処遇改善加算の対象サービス拡大

先のとおり、これまで処遇改善加算の対象外だったサービスに、新たに加算が設けられました。

「計画相談支援」「地域相談支援」「障害児相談支援」すべて5.1% 、です。なお、これらのサービスは、Ⅰ~Ⅳのように段階評価されておらず単一の区分となります。

新たに対象となる計画相談支援、地域相談支援、障害児相談支援の算定要件は以下のとおり。

以下のいずれかの要件を満たすこと。

  • 加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ及び職場環境等要件)(※)
  • 令和8年度特例要件

※)加算Ⅳに準ずる要件は、は令和8年度中の対応の誓約で可。

 

処遇改善計画書の提出期限について

通常、計画書の提出は算定開始月の前々月末日までを原則としていますが、今回は特例として以下のスケジュールが適用されます。

令和8年4月・5月分から算定する事業者 令和8年6月以降の申請に係る処遇改善計画とあわせて令和8年4月15日まで
令和8年6月以降分から算定する事業者 加算新設事業所(計画相談支援、地域相談支援、障害児相談支援)のみが所属する事業者など、令和8年4・5月分は算定せず、令和8年6月以降分から算定する事業者は、令和8年6月15日まで

 

訪問系障害福祉サービス事業所のみなさんは、基本的に4月15日が提出期限です。

処遇改善計画書等の様式は、各指定権者のホームページからダウンロードしてくださいね!

 

処遇改善加算に係る厚生労働省通知を確認しておこう

介護職員等処遇改善加算の考え方や算定要件、事務処理手順、取り扱いなどについては、厚生労働省から通知が発出されていますので、しっかり確認しておきましょう。

「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

 

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訪問系サービスの「国庫負担基準」の改正(令和8年6月施行)

処遇改善加算の拡充されることに伴い、サービス事業所へ支払われる報酬総額も増えます。これに合わせて、国庫負担基準(市町村が国から受け取れる補助の上限(基準額))も連動して改正されます。

国庫負担基準は、端的に言うと、障害者総合支援法に基づき、サービス費用のうち国が市町村に対して補助する金額の上限を定めたルールのことです。国と自治体の役割分担を前提に、限られた予算を公平に配分し、地域によってサービスの提供量に大きな差が出ないようにするために設けられています。

変更単位数は下記のとおり。

 

国庫負担基準は、訪問系サービス事業所に直接影響はありませんが、実務上、市町村が利用者に対して決定する支給量に関わってくるものです。

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その他の改定事項

その他、就労移行支援体制加算や就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しなどが行われます。

 

ここからは訪問系サービスには関係ありませんので把握していなくても大丈夫です。

 

就労移行支援体制加算の見直し(生活介護、自立訓練、就労継続支援A型、就労継続支援B型)

本来の制度趣旨に沿った運用が行われるよう、就労移行支援体制加算について、一事業所で算定可能となる年間の就職者数に上限(定員数まで)を設定するなど、適正化されました。(令和8年4月施行)

これは、同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で離職・転職を繰り返し、その都度事業所が加算を取得するという、本来の「一般就労への定着」という制度趣旨から外れた不適切な運用が一部で報道されたためです。

  • 就労移行支援体制加算について、一事業所で算定可能となる年間の就職者数は、当該事業所の定員数を上限とする。
  • また、同一事業所だけではなく、他の事業所において過去3年間で算定実績がある利用者について、ハラスメントなどやむを得ない事情で退職した者など市町村長が適当と認める者を除き、算定不可であることを明確化する。

 

基本報酬区分の基準の見直し(就労継続支援B型)

令和6年度の報酬改定で「平均工賃月額の算定方式」が見直された結果、平均工賃月額が全体で約6千円も上昇し、想定以上に高い報酬区分の事業所の割合が増加してしまったため基準の見直しが行われます。(令和8年6月施行)

  • 基本報酬区分の基準額をそれぞれ3千円引き上げる。
    ※基準額の引き上げ幅は、平均工賃月額の上昇幅(約6千円)の1/2である3千円に留める
  • 併せて、下記の配慮措置を講じる。
    ・令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所については、見直しの適用対象外とする。
    ・今回の見直しにより区分が下がる事業所について、基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう、中間的な区分を新設する。
    ・令和6年度改定で単価を引き下げた区分七と八の間の基準については引き上げず、据え置く。

 

応急的な報酬単価の特例(就労継続支援B型、共同生活援助(包括型・日中支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービス)

障害福祉サービス全体の費用が増加し、人材確保も課題となる中、収支差率が高く、かつ事業所が急増している特定のサービスについて制度の持続可能性を確保するため、新規事業所に限り、臨時応急的な見直しが行われます。(令和8年6月施行)

  • 対象サービス
    ・就労継続支援B型、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービス
  • 対象事業所
    ・令和8年6月1日以降に新規指定された事業所(既存事業所については従前どおり)
  • 応急的な報酬単価
    ・対象サービスにおける平均収支差率や給付費に占める基本報酬の割合等を踏まえ、一定の収支差率を確保できる水準となるよう、それぞれの基本報酬単価の特例を設ける。なお、受入れニーズが特に高い重度障害児者やサービスが不足している地域については、一定の配慮を行うため、従前の報酬単価を適用する(詳細下表)。
サービス種類 単位数 算定要件等(配慮措置)
就労継続支援B型 所定単位数の1000分の984 配慮措置として、以下の基本報酬については従前の報酬単価を適用する。
<重度障害者への配慮>
・医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する利用者に係る基本報酬
・視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所に係る基本報酬
<地域への配慮>
・離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
・自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所に係る基本報酬
→公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所
→自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型) 所定単位数の1000分の972 配慮措置として、以下の基本報酬については従前の報酬単価を適用する。
<重度障害者への配慮>
・重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、医療的ケア対応支援加算、医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する利用者に係る基本報

・視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所に係る基本報酬
<地域への配慮>
・離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
・自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所に係る基本報酬
→公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所
→自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所
児童発達支援 所定単位数の1000分の988 配慮措置として、以下の基本報酬については従前の報酬単価を適用する。
<重度障害児等への配慮>
・主として重症心身障害児を通わせる事業所に係る基本報酬
・基本報酬医療的ケア区分(1~3)、強度行動障害児支援加算、人工内耳装用児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、視覚・聴覚・言
語機能障害児支援加算を算定する利用者に係る基本報酬
<地域への配慮>
・離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
・自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所に係る基本報酬
→公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所
→自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所
放課後等デイサービス 所定単位数の1000分の982 配慮措置として、以下の基本報酬については従前の報酬単価を適用する。
<重度障害児等への配慮>
・主として重症心身障害児を通わせる事業所に係る基本報酬
・基本報酬医療的ケア区分(1~3)、強度行動障害児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言
語機能障害児支援加算を算定する利用者に係る基本報酬
<地域への配慮>
・離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
・自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所に係る基本報酬
→公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所
→自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所

 

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まとめ

令和8年度障害福祉サービス等報酬改定は、処遇改善など令和8年6月から施行されるものが大半で、訪問系サービスに関係があるのでは処遇改善加算と国庫負担基準のみです。

また、訪問系サービスは関係ありませんが、就労移行支援体制加算の適正化などは「令和8年4月」から先行して施行されています 。訪問系サービス以外の事業者は、施行時期の違いに注意し、特に新規で事業所を立ち上げる予定の法人は、応急的な特例単価の影響をしっかりシミュレーションしておきましょう。

 

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
ヘルパー / サービス提供責任者の仕事管理者 / 経営者の仕事

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