

重度訪問介護の夜勤で働いてみたいけど、どんな仕事なんだろう…
日勤と仕事内容に違いはあるのかな?夜勤って仮眠とれるの?
今回は、こんな疑問に答えます。
障害福祉サービスのひとつである重度訪問介護は、長時間かつ利用者宅に泊まりこむ夜勤業務があることが最大の特徴です。これは介護保険の訪問介護(高齢者介護)とは大きく異なる部分であり、それゆえに、重度訪問介護の夜勤は、実際に何をするのかイメージしづらい仕事と言えます。
そこで本記事では、重度訪問介護における夜勤の仕事内容をわかりやすく解説し、あわせて具体的にイメージできるようタイムスケジュールを紹介します。
さらに、夜勤で働くにあたって「ここだけは押さえてほしい」注意点を5つお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

本記事を読めば、スムーズに重度訪問介護の夜勤を始めれます。
スタートダッシュを切りたい方は、最後まで読んでみてくださいね。
重度訪問介護とは

重度訪問介護とは、重度の肢体不自由または知的障害、精神障害により行動上著しい困難がある方に対して、身体介護や家事援助、外出支援、見守りなどの支援を、長時間にわたって総合的かつ断続的に行うサービスです。(※参照:厚生労働省)
もともと重度障害者が、24時間継ぎ目なく支援を受けれるように設計されたサービスなので、日勤・夜勤のいずれの場合も、1回の訪問で8~12時間程度の仕事になります。
また、介護保険の訪問介護(高齢者介護)であれば、1日複数件の利用者宅へ短時間訪問することになりますが、重度訪問介護の場合は、1日に1件の長時間訪問が基本です。
見守りを含めた「超」生活密着型サービス
重度訪問介護のもっとも特異な点は、身体介護や家事援助などの介護実務を常に行うわけではないところです。
トイレ介助や食事介助、掃除、調理、洗濯、こういった介護実務の間に発生する時間についても、ヘルパーが利用者のそばで待機して見守ります。
例えば「利用者がテレビを見て過ごす時間」など、日常の生活にある何気ない時間を共有し、そばで見守ることもヘルパーの仕事に含まれます。この介護実務だけではない『見守り』の時間も含めて、利用者の生活に“超”密着するマンツーマンサービスが重度訪問介護です。

一方で介護保険の訪問介護(高齢者介護)は、基本的に介護実務のみの仕事です。短時間の仕事なので時間に追われたり、利用者さんとコミュニケーションをとる時間がなかったりします。
その点で重度訪問介護は、時間に追われることがないですし、しっかりコミュニケーションをとりながら仕事を進めれます。
【慣れたら楽】重度訪問介護の夜勤の仕事内容

前提として重度訪問介護の夜勤の仕事内容は、利用者によって異なります。ですが、日勤と比べて見守りの時間が多い傾向にあるのが夜勤の特徴です。
食事介助や就寝・起床介助、排せつ介助(オムツ交換)、2~4時間おきごとの体位交換などを行い、その他は、利用者のそばで待機する時間がほとんど。また、利用者が寝ている時間は、基本的にヘルパーも仮眠をとれます。
逆に、日勤は利用者が起きて活動する時間ですので、掃除・洗濯・調理などの家事援助や入浴介助などの身体介護、外出介助などヘルパーに負荷がかかる仕事内容になりがち。そのため双方を比較すると、夜勤の方が仕事内容的にかなり「楽」だと言えます。

もちろん夜間という普段寝ている時間帯に仕事をするわけですから、そういった意味での大変さはあります。しかし、私の経験上、慣れてしまえば苦に感じることはありません。
【実例】夜勤のタイムスケジュール

みなさんに、重度訪問介護の夜勤の仕事内容をよりイメージしてもらえるようタイムスケジュールの実例を紹介します。
以下は、私の事業所で実際に行っている19時~7時までの夜勤スケジュールです。(※利用者によって仕事内容は異なりますので、あくまで参考程度にお考えください。)
- 19時訪問
利用者宅に訪問、本人に挨拶して仕事をスタート。この際に日勤帯のヘルパーが在宅している場合は、日中の利用者の様子や体調変化などの引継ぎをうけてから開始します。
- 19時10分~夕食の準備
利用者と相談しながら夕食の準備に取りかかります。嚥下力(飲み込む力)が低下している方の場合は、トロミ食やキザミ食を提供することも。また、日勤帯のヘルパーが作り置きしている食事を温めるだけのパターンやレトルト品を使用するパターンもあります。
- 20時~配膳・食事介助
準備した夕食とお茶などの水分を利用者が指定する場所へ配膳します。利用者によって食べやすい食器の位置がある場合もありますので、基本的に相手の指示に従いましょう。自力で食事をとれない方にはヘルパーが介助を行います。
- 21時~服薬介助、下膳・後片付け、口腔ケア
大抵の利用者は、なにかしらの処方薬を服用していますので、食事と服薬はセットです。自力で服薬できない方には、ヘルパーが薬を口まで運び飲んでもらいます。(ただし、一包化された薬のみ。また食前薬があれば、食事の前に服用してもらう。)
その後、食器類を下膳、洗い物などの後片付けや歯磨き・うがいなど口腔ケアを行います。
- 21時30分~見守り
利用者が好きなテレビ番組を見るなど、余暇の時間をくつろいで過ごします。この際、ヘルパーは利用者のそばで待機(見守り)し、呼ばれたらその都度対応します。
- 22時30分~排せつ介助、就寝介助
ポータブルトイレを使用してトイレ介助を行ったり、ベッド上でオムツ交換を行ったりと、就寝前に排せつを済ませます。排せつ介助を終えたらベッドへ移乗し、安楽な体位に調整します。
- 23時~就寝
利用者が就寝したことを確認したら、基本的にヘルパーも仮眠をとります。就寝中は、利用者からの声かけや事前セットしたアラームで、数時間おきに体位交換(場合により排せつ介助や水分補給)を行います。
なお仮眠をとる場所は、利用者と同室か別室かはケースによって様々です。同室で仮眠をとる場合は、いびきや歯ぎしり、スマホの明かり、物音などクレームにつながりやすいマナーに注意を払いましょう。
- 6時~起床介助、排せつ介助
決まった時間になったら、利用者に声かけし起床してもらいます。その後、必要に応じて排せつ介助や更衣介助、整容などを行います。
- 6時50分~7時記録簿の記入・退室
記録簿(サービス提供記録)に行ったサービス内容や利用者の状態を記入し、利用者から印鑑をもらって退室します。この際、日勤帯のヘルパーが訪問してくる場合は、夜間の利用者の状態を引き継いで夜勤業務の終了です。
※記録簿(サービス提供記録)は、入社時に事業所から配布されます。

夜勤は、開始時間によっても仕事内容が大きく異なります。例えば21時~の夜勤だと食事準備・介助などの業務は基本的にありません。就寝・起床介助、排せつ介助、体位交換、見守りがメインの仕事になります。
重度訪問介護の夜勤で注意すべき5つのこと

ここからは、重度訪問介護の夜勤で働くにあたって注意すべきことを5つ紹介します。
働き始めてから「思ってたのと違うっ!」となってしまわないよう、下記の注意点を理解しておいてください。
\ 5つの注意点 /
- 指示介護が基本スタイル
- 医療的ケアが必要な利用者もいる
- 緊急時の対応方法をあらかじめ確認しておく
- シフトは基本的に固定
- 性格的に気難しい利用者が一定数いる
注意1:指示介護が基本スタイル
重度訪問介護は、利用者の指示を受けてからヘルパーが介助を行うスタイルが基本です。
というのも、重度訪問介護の利用者は、筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)、脳性マヒ、脊椎損傷などを抱えている方が多く、これらの難病や障害は、『自分の思いどおりに体を動かせないが、意思ははっきりしている』特性があります。
ですから、日常生活に発生する自力でできない困難さ、例えば、「トイレに行きたい」「テレビを見たい」「お茶を飲みたい」「ベッドで休みたい」といった利用者の意思を、その都度解消していくのが重度訪問介護の立ち位置になります。
もちろん、度を超えた指示に従う必要はありません。しかし、ある意味で自分の手足となるヘルパーが重度訪問介護においては求められます。決してヘルパーの都合で仕事を進めるのではなく、まず利用者に「何をしてほしいのか」を確認することが大切です。
注意2:医療的ケアが必要な利用者もいる
重度訪問介護の利用者の中には、医療的ケアを必要とする利用者が一部います。
医療的ケアのうち、実施する可能性があるのは下記の2つです。
- 喀痰吸引(かくたんきゅういん)…鼻やのどに溜まった痰をチューブで吸い出す
- 経管栄養(けいかんえいよう)…胃ろう・腸ろうをされている方への栄養注入
喀痰吸引は、例えば、人工呼吸器を使用している方の場合、自力で痰を吐けないためヘルパーが吸引チューブで吸い出します。また、喀痰吸引が必要なケースでは夜間帯にも適宜行うことになります。
経管栄養は、食事をのどから摂取できないことから造設された胃ろうや腸ろうに、ヘルパーが栄養剤を投与します。
字面だけ見ると、医療的ケアを「恐い」と感じるかもしれませんが、どちらも高度な技術レベルが求められるケアではありません。また、医療的ケアを行うためには、一定の研修を受講する必要があり、さらに看護師から実地指導を受けれますので不安なく取り組めます。

医療的ケアは、すべての利用者に必要なわけではありませんし、ヘルパーの中でも医療的ケアを行ったことがない方も多いです。
そのため逆に言えば、医療的ケアの経験値は、事業所内の評価や転職時の評価において高ポイントになります。なので、できれば医療的ケアを行うための資格(研修)を取得しておくと良いでしょう。
資格(研修)については後で解説していますので、こちらを参考にしてみてくださいね。
注意3:緊急時の対応方法をあらかじめ確認しておく
重度訪問介護は、マンツーマンの仕事ですので、利用者に急変が起きたら基本的にヘルパー1人で対応しなければなりません。ですから、緊急時の対応方法をあらかじめ確認しておくことがとても重要になります。
具体的には下記8項目を確認しておきましょう。
- どのような疾患や障害をもっているのか
- どのような薬を服用しているのか
- 想定される病状の変化
- のどに食べ物を詰まらせた時や転倒した時の対処方法
- 緊急時にどこに連絡するのか(事業所なのか、119番なのか、医療職なのか、家族なのか)
- 緊急時の連絡順序(上記のうち、どの連絡先を優先するのか)
- どの程度のレベルで救急搬送すべきなのか
- 搬送先の病院の指定はあるか
これら8項目を把握しておけば、いざ緊急事態に見舞われてもスムーズに対応できます。なお、上記のうち①,②,⑧は、仮に救急搬送するとなった場合に、救急隊員へ伝える必要がある項目です。

研修期間中に先輩ヘルパーや責任者と同行訪問することになりますので、その際にこの8項目を確認してください。
注意4:シフトは基本的に固定
正社員・パートいずれの雇用形態で働くにせよ、重度訪問介護の夜勤は、基本的に固定シフトです。
例えば「月曜日は19時~7時、利用者A」「水曜日は21時~9時、利用者B」「金曜日は20時~6時、利用者C」というように曜日固定のシフトが組まれ、この固定シフトを毎月繰り返していきます。
なお、固定シフトだと休みが取りずらいと感じるかもしれませんが、事業所へ申告すれば問題なく休めますので、心配はいりません。

ちなみに「何人くらいの利用者さんの所に訪問するの?」とよく質問を受けますのでお答えしておきます。受け持つ利用者数については、週の稼働日数にもよるため一概には言えませんが、2~3人程度の利用者を担当すると思っておけばOKです。
注意5:性格的に気難しい利用者が一定数いる
正直な話、重度訪問介護の利用者の中には、性格的に気難しい方が一定数います。
「排せつ介助のやり方が違う」「更衣介助の順番が違う」「食器の置く位置が違う」とヘルパーに小言を言ってきたり、時には怒ってくる方も少なからずいることは否定できません。
これは重度訪問介護ならではと言えますが、実は利用者の性格が気難しくなってしまうのにも原因があります。
というのも、重度障害を抱えた利用者が“生きる”ためには、常に誰かの手を借りなければならず、日常で必要な行為をとても細かいレベルまで『ルーチン化』した生活を送っています。
例えば、「〇時にテレビを見る、〇時に××に行く、〇時に朝食を食べる」といったスケジュールから、「コップはこの位置にセットする、移乗介助は○○の方法で行う」といった介助方法まで。
基本的に同じことを繰り返すことで生活が成り立っています。ですから、利用者が“生きる”ために、文字どおり自分の手足となってくれるヘルパーを求めますし、自分の思ったとおりに動いてくれないヘルパーに不満を感じるわけです。
ただ、ルーチン化された生活は、簡略化されているとも言え、大抵の場合1ヵ月程度で求められる介助方法や手順にヘルパーも慣れてきます。慣れさえすれば、小言を言われることはありません。むしろ心を開いてくれて信頼関係を構築できるようになるでしょう。
重度訪問介護の夜勤は稼げる

これまで、重度訪問介護の夜勤の仕事内容や注意点について解説してきましたが、いざ働くとなると給料について気になっている方は多いのではないでしょうか?
先に結論からお答えすると、重度訪問介護の夜勤は、介護業界の中でもトップクラスに稼げる職種です。
以下に、夜勤専従(専門)正社員・パートそれぞれの平均給与をまとめました。
【正社員の平均給与】
- 月25万~33万円程度(夜勤手当含む)
【パートの平均給与】
- 時給1,600円~2,300円程度(夜勤手当含む)
※東京都23区とその他の地域をあわせた平均給与です。より詳しい給与相場を知りたい方は重度訪問介護の正社員・パート・日勤・夜勤別の給料相場をチェックしてください。

ご覧のとおり正社員・パートともに、介護保険の訪問介護(高齢者介護)と比べて高い給料が設定されています。
特に、夜勤専従(専門)パートヘルパーは効率的に高給与を稼げるのでオススメです。週3日出勤するだけで20万円以上稼ぐことができます。これだけ少ない稼働日数で稼げるヘルパー職は中々ありませんよ。
ただし、事業所によって夜勤の給料はピンキリ
ただし、夜勤の給料は、働く事業所によって大きく異なるため注意してください。
同じ地域であっても、正社員であれば月給5~6万円程度、パートであれば時給500円以上の差がある求人もあります。さらに、中には利用者宅へ訪問する際の交通費を支払ってくれない事業所もあるので、職場選びに注意が必要です。
研修制度が充実していない劣悪な職場環境の事業所もある
また、給料面に限らず、ヘルパーに対する研修制度が充実していない事業所を選ばないよう気を付けなければなりません。通常、新人ヘルパーは、先輩ヘルパーや責任者と一緒に訪問し、介護現場を通じた研修を一定期間うけてから一人立ちとなります。
いわゆる同行訪問と呼ばれるもので、この研修制度があるからこそ、いざ一人で訪問した時に焦ることなく仕事を進めれるのです。
しかし、研修期間を設けず、いきなり一人で訪問させる悪質な事業所も存在しているのが現実です。こういう事業所を選んでしまうと、ケアの手法をしっかり学べず、長く働き続けることはできません。
とはいえ、転職の素人には、高待遇の求人を見つけ、悪質な事業所を見抜くことは極めて難しいでしょう。なぜならハローワークでは教えてくれませんし、同行訪問をしてくれるかどうかは求人票にのっていないからです。
当サイト「ヘルパー会議室の求人」では、高待遇の求人はもちろんのこと、同行訪問等の研修をきちんと行っている場合は求人ページにご記載いただいております。ぜひ一度覗いてみてください!
重度訪問介護の夜勤で働くための資格2選
重度訪問介護の夜勤で働くためには、
- 介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)
- 重度訪問介護従業者養成研修
のいずれかの資格が最低でも必要です。
両者は、取得までの期間や費用、医療的ケアの実施可否が異なります。
以下にそれぞれの違いをまとめました。
- 取得期間…1ヵ月~6ヵ月程度
- 費用…5~10万円程度
- 介護保険の訪問介護でも働ける
- 医療的ケアを行うためには、別途、喀痰吸引等3号研修の受講が必要(費用2~5万円程度)
- 取得期間…2~3日程度
- 費用…1万5000円~5万円程度
- 介護保険の訪問介護では働けない
- 基礎課程・追加課程・統合課程の3つの課程に分けられ、統合課程を修了すると医療的ケアが行える
一番理想的なのは、両方の資格を取得しておくことですが、スケジュール・金銭面を考えると介護職員初任者研修は少しハードルが高いかもしれません。
その点、重度訪問介護従業者養成研修であれば、安価かつ短期間で取得できますし、なにより統合課程まで修了すれば医療的ケアが実施できるため、まずはコチラの取得を目指すと良いでしょう。
また現時点で、無資格の方であっても、会社負担で資格を取得させてもらえる求人もあります。こういった求人も当サイト「ヘルパー会議室の求人」では取り扱っていますので、ぜひ以下のリンクからチェックしてみてください!
重度訪問介護の夜勤で働き始めてから読んでほしいヘルパー会議室の記事
本記事では、重度訪問介護の夜勤の仕事内容や注意点を解説してきました。
重度訪問介護の夜勤は、日勤と比べて内容的に慣れたら楽ですし、金銭的にも稼ぎやすい仕事です。
しかし、働き始めてからは、仕事が長時間であることや利用者が重度障がい者であることにより、「きつくて辞めたい」と感じる場面がどこかで訪れるかもしれません。また、あなたがキャリアップを目指し責任者として働きたいなら、求められる制度的知識の多さに疲れてしまうかもしれません。
そんなときは、当サイトが公開している以下の2記事を読んでください。重度訪問介護をストレスなく続けるコツや重度訪問介護の制度的知識を網羅的に解説しています。
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