利用者の中には訪問介護だけではなく、他の訪問サービスも合わせて利用している人も多いかと思います。
医療ニーズの高い利用者は訪問看護も導入しているケースも多いです。
そんな中で
✓訪問介護と訪問看護は同じ時間に入ることはできるの?
✓介護保険の同時算定に対する考えを知りたい
と思った方がいるはず。
そこで今回は「訪問介護と訪問看護を同じ時間に入ることはできるのか」という疑問について
厚生労働省の考えをもとに解説していきます!
原則、訪問介護と訪問介護の同時算定は「不可」
まず結論を言うと、原則として同じ時間に入れるサービスはひとつと決まっています。
そのため、訪問介護と訪問看護は同じ時間に入ることができず、複数のサービスを使いたい場合は、時間をずらす必要があります。
また、訪問看護は利用者の心身の状況によって介護保険と医療保険の2種類に分かれますが、どちらも訪問介護と同時に入ることは想定していません。
ただし利用者の心身の状況によっては認められる
原則として同じ時間に入れるサービスはひとつだけですが
利用者の心身の状況によっては認められることもあります。
この見解について、厚生労働省では以下のような例を挙げています。
例えば、家庭の浴槽で全身入浴の介助をする場合に、適切なアセスメント(利用者について、その有する能力、既に提供を受けている指定居宅サービス等のその置かれている環境等の評価を通じて利用者が現に抱える問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することをいう。以下同じ。)を通じて、利用者の心身の状況や介護の内容から同一時間帯に訪問看護を利用することが必要 であると判断され、30 分以上1時間未満の訪問介護(身体介護中心の場合)と訪問看護(指定訪問看護ステーションの場合)を同一時間帯に利用した場合、訪問介護については394 単位、 訪問看護については 816 単位がそれぞれ算定されることとなる。
このような場合は同じ時間に訪問介護と訪問看護が入ったとしても、同時に算定できるということです。
ただし、仮に同じような状況であったとしても、原則として同じ時間に入れるサービスはひとつだけなので、保険者へ相談をして了承を得てくださいね。
同じ時間に複数の訪問サービスが必要な場合は
利用者の心身の状況によっては認められるということですが、厚生労働省の例では入浴の場面しか載っていません。
では、その他の状況で同じ時間に複数の訪問サービスが必要な場合はどうしたら良いのかを考えてみましょう。
関わっている多職種と相談する
利用者と関わっている多職種と相談することが必要になります。
訪問介護の視点で訪問看護と同じ時間にサービスに入る必要性を感じたとしても、訪問看護も同じように必要性を感じているとは限りません。
ケアマネージャーを中心として多職種で集まり、利用者にどのような課題があるのか、それを解決するためにどのようなサービスが必要なのかをしっかりと話し合ったうえで、同じ時間にサービスに入る必要性を全員で確認しましょう。
必要性を保険者へ伝える
多職種と話し合ったうえで、同じ時間に訪問介護と訪問看護が入る必要性が合致した場合は、それを保険者へ伝えましょう。
厚生労働省では例外として同時にサービスへ入ることが認められていることを伝えたうえで、その方法以外は難しいということを伝えられると良いでしょう。
保険者からの許可が出た場合、万が一監査などで指摘をされたときのためにも、保険者とのやりとりを記録しておきましょう。
時間をずらして同日の利用はOK
同じ時間の訪問介護と訪問看護が認められなかった場合、時間をずらしての対応などを検討する必要があります。
訪問介護では、次の訪問介護のサービスまで2時間空けなければいけないルール(緊急時対応加算や20分未満のサービス等を除く)がありますが、訪問介護と訪問看護の間を空けなければいけないルールはありません。
決められた制度の中で利用者の課題を解決することは大変ですが、多職種と協力しながらより良い選択を検討しましょう。
さいごに
今回は訪問介護と訪問看護の同時算定について解説しました。
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