身体の状態によっては利用者本人が薬を受け取りに行けないこともありますが
訪問介護を利用してヘルパーが薬を受け取りに行くことは可能なのでしょうか。

- 「大事な薬をヘルパーが受け取りに行っていいの?」
- 「どんなことに気を付ければいいの?」
今回はこのような疑問を解決するために、薬の受け取りについて説明します。
この記事を読むことにより、薬の受け取りの基本的な考えを理解することができるようになりますので、ご一読お願いいたします。
薬の受け取りは生活援助にて算定できる
結論から言うと、薬の受け取りは訪問介護の生活援助にて算定することができます。
ケアプランに位置づけられていることが前提となるので、確認しましょう。
薬の受け取りは行うことができますが、代理で受診することはできないので気を付けてください。
原則として本人が受診していなければいけません。
仮に利用者にお願いされたからといって、ヘルパーがかかりつけの病院へ行き、「本人は変わりないので、前回と同じ薬を処方してください」などと言ってはダメです。
病院へ受診することが難しい場合は、別の介護保険のサービスで検討することができるので、ケアマネジャーへ相談しましょう。
通院等乗降介助でも薬の受け取りは可能
通院等乗降介助で受診後に薬を受け取る場合は、通院等乗降介助のサービスの範囲内になるので可能です。
薬局が病院外で、移動を要する場合もサービスの範囲内なので、理解しておきましょう。
薬の受け取りの際の持ち物
ヘルパーが薬の受け取りを行う際に持っていくものを説明します。
基本的な話になりますが、スムーズに薬の受け取りを行うことができるように覚えておきましょう。
処方せんの原本
処方せんの原本がないと薬の受け取りはできないので、忘れないように気を付けてください。
ヘルパーの待ち時間を減らすために、事前にFAXで処方せんと情報を渡す場合があるかもしれませんが、その場合でも受け取りのときに処方せんの原本が必要になります。
保険証(受給者証)
薬の処方は医療保険に基づいて行われますので、医療保険の保険証が必要になります。
初診のときは必ず提示しなければなりませんが、変更時に再度提示を求められることがあるので、毎回持っていく方がよいでしょう。
生活保護を受けている人は医療保険の保険証がないので、代わりに受給者証を持っていくようにしましょう。
お薬手帳
お薬手帳を持っていなくても、薬を受け取ることは可能です。
しかし、お薬手帳は、利用者に関わる人たちが利用者の体調を確認するための大切なツールになるので、毎回持っていくことをオススメします。
特に医療の課題があり、訪問看護などのサービスを利用している場合は、お薬手帳の情報を重宝するので、薬の処方があるたびに更新できるようにしましょう。
事例からみる「こんなときはどうする?」
訪問介護ではイレギュラーな対応をお願いされることも多々あるかと思います。
そこで、薬の受け取りを実施した際に
「こんなことをお願いされたら、どう考えればよいのだろうか」
という事例を用意しましたので、一緒に考えてみましょう。
事例① 受け取った薬を「お薬カレンダーにセットして」と頼まれたら?
この場合、薬が分包されているかがポイントになります。
分包されていない場合、バラバラの薬をお薬カレンダーにセットする行為は服薬の管理になってしまうので、行うことはできません。
分包されている場合、お薬カレンダーにセットすることはヘルパーでも可能です。
しかし、介護保険制度は自立支援に基づいているので、「利用者が自分で薬をセットすることはできないのか?」という観点を持たなければいけません。
自分で薬をセットできる場合は自立支援に反するので、支援するべきではありません。
また、自分で薬をセットできない場合は、セットをしたとしても自分で内服できる状態なのでしょうか。
このような場合は、身体介護の服薬介助を検討したり、居宅療養管理指導を検討したりと、他の支援の必要性も考えられるので、自己判断をせずに事業所やケアマネージャーへ相談をしたほうがよいでしょう。
事例② 同居家族がいるのに薬の受け取りを頼まれたときは?
この場合、薬の受け取りは生活援助であることがポイントです。
生活援助は家族の対応を優先するので、薬の受け取りも同様です。
家族が就労していて日中独居の場合は算定することもできますが、例えば、家族が18時には家に帰ることができ、薬を受け取る薬局が20時まで開いているとします。
この場合は、家族でも就労後に薬の受け取りに行くことができるので、生活援助で算定することが難しくなります。
このように、状況によって支援できるできないが異なるということを理解しておきましょう。
まとめ
訪問介護では生活援助として薬の受け取りを行うことができます。
しかし、代理の受診や薬の管理は行うことができないので注意が必要です。
持ち物は処方せんの原本や保険証が必要ですが、お薬手帳も持っていくようにして、利用者の体調の把握に努めましょう。
特に、医療の課題がある人のお薬手帳は、多職種連携を行う際の大切なツールになるので、みんなで理解をしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!少しでも参考になれば幸いです。