服薬は生活をしていく上で非常に大切なことですが、高齢になり介護状態になってしまいますと自分で服薬を管理することは難しくなりますので注意が必要です。
自分で服薬が出来ない場合は、ヘルパーなどが介助をして服薬をしてもらうことになります。
ヘルパーが服薬介助を行う場合はどのような注意点があるのでしょうか?
服薬介助についての重要性もご紹介していきます。
服薬介助を行うために知っておきたいこと
通常服薬介助は医療行為となることもあり、看護師が行うことが基本です。
しかし、ヘルパーが服薬介助を行うことが出来るのです。ヘルパーが服薬介助を行うためにはどのような注意点があるのでしょうか?
介護士が服薬介助を行える状況としては、医師や看護師が容態を観察している場合です。つまり、定期的に受診をしていない方の服薬介助はできません。医師が処方していなかったり医師が指示していない市販の薬などを介護士が独自の判断で飲ますことはできませんので注意しておきましょう。また、誤嚥の可能性があったり、座薬などの場合で出血の可能性が考えられる場合もヘルパーは服薬介助することが出来ません。
服薬介助は一見誰にでも出来そうなものですが、こういった医療行為がどのラインなのか、ヘルパーがどこまで服薬介助をしても良いのかのラインをしっかりと把握しておくことが必要になります。
服薬介助のポイント
服薬介助を行う際は、どのようなポイントに気を付けていけばうまく服薬介助が出来るのでしょうか?
ポイント① 誤嚥が無いように気を付ける
薬は錠剤や粉ですので、嚥下力が弱っている高齢者にとっては誤嚥する可能性があります。誤嚥をしないためには口の中の水分が重要になります。水分が少ないとどうしても誤嚥の可能性が高くなりますので注意しておきましょう。
誤嚥をしないように口の中を湿らせたり、水と一緒に飲むことはもちろんゼリーなどと一緒に飲むことによって誤嚥を防止することが出来ます。
ポイント② 薬を飲む際の姿勢
姿勢にも気を付けるとうまく服薬が出来ます。人の体は座った状態で顔が上を向いている状態ですと気管が開いて、食堂が閉まっています。反対に頭が下を向いている状態ですと気管が閉まって、食道が開いている状態になります。
服薬介助をする場合は、やや下向きにしてもらって飲み込みやすい姿勢で服薬介助をするようにしましょう。
ポイント③ 飲み残しに注意する
薬を飲んでもらう際は、すべての薬を確実に飲んでもらう必要があります。特に片麻痺の方は、口腔内の感覚が鈍っている場合がありますので、飲み残しがないように注意しなければいけません。
例えば、右まひのの方の場合は口の中の右側の感覚がほとんどありませんので、右側の口に薬が残りやすいです。そのため、薬を飲む際はできるだけ左側から飲んでもらうようにしましょう。また、飲み終わった後にも口の右側をチェックしておっくことが大切です。
ポイント④ 認知症で拒否がある場合
認知症の方で薬を嫌がる方がいます。「なんでそんなん飲まないといけないの?」「これを飲んだら死んでしまう」などというように記憶違いをして服薬を拒否してしまうことがあります。
こういった場合は無理に飲ませると余計に拒否が強くなってしまいますので、食事の中に混ぜたり、気長に待って飲んでもらえるようにする事が必要となります。
また、薬自体が苦い可能性もありますので、甘いものと一緒に服薬するなどの工夫をしておきましょう。
服用する薬の知識をしっかりと知っておく
主治医からの指示通りに薬を服用できるように介助することや薬の保管に注意することはヘルパーの仕事になります。
が、例えば認知症の高齢者の場合、薬を飲んだことを忘れて2度同じ薬を飲んでしまったりと生命にかかわることになる可能性もあります。なのでヘルパーは薬に関して軽視することはできません。
利用者がどのような薬をどの程度(何種類)服用しているのか、そしてその薬をいつ服用するのかといった情報をしっかりと知っておく必要があります。
薬の飲み合わせに注意する
ヘルパーの場合は調理と食事介助、服薬介助がセットになっている場合があります。
その際、薬の効果を弱めたり、強めたりする食事を作ってしまいますと高齢者に負担をかけてしまいますので、配慮をしておきましょう。
例えば
牛乳などの乳製品は胃のpH値を上げることがありますので、薬の効き目が弱くなる可能性があります。
グループフルーツは血圧を下げる薬と一緒に飲んではいけませんし、様々な薬に対して効き目を弱めたりすることがありますので、できるだけ出さない方が無難であるといえるでしょう。
コーヒーやお茶に含まれるカフェインにも注意が必要です。認知症の薬などの場合はカフェインの興奮作用と相まって、興奮状態が強く出ることもありますので、できるだけ避けておきましょう。
また、アルコールをヘルパーが出すことはないかと思いますが、アルコールを飲んでいる状態で服薬をしようとする姿を見た場合は、止めましょう。特に精神薬などを服用している場合は、薬の効果が強く出すぎたり、通常であれば出ない副作用も出たりすることがありますので、一緒に飲もうとしていたら注意しておきましょう。
ヘルパーは食事を作りますので、薬の飲み合わせも注意しながら作ることが専門職として必要なのです。
薬の増減を利用者が勝手に決めいないように注意する
結構ありがちなのは、「もう病気は治ったから大丈夫」とか「最近調子が良いから薬は飲まない」と利用者が自身の判断で勝手に薬を減らしたりすることがあります。
利用者の判断で増減をしてしまうと、主治医の判断が狂ってしまうことになるので注意しておきましょう。
例えば
降圧剤を服用している利用者が、勝手に降圧剤の服用を中止してしまい、次回の診察時に血圧が高くなっていたとします。すると医師は「処方した降圧剤が効いていない」と判断し、さらに強い降圧剤が処方される可能性もあります。非常に怖いことだということが分かりますね。
薬の管理と保管方法も知っておく
ヘルパーは利用者が自身で薬の管理や保管が出来ない場合に代わりに行うことがありますので下記にまとめた基本的な知識は持っておきましょう。
- 薬はほこりや湿気などが入らないようする
- 直射日光が当たる場所や湿度の当たる場所にはおかないようにする
- 他の薬の空き袋などには移さないようにする(液剤の場合)
- 認知症の利用者の場合は手の届く場所にはおかないようにする
- 座薬や液剤は冷蔵庫に入れ保管する
まとめ
服薬は病気を持っている方にとっては非常に大切なものです。要介護状態になって自分で飲めない場合は、介助を行うことになりますが、介助を行う際はきちんと高齢者の状態を配慮して服薬介助をすることが専門家として必要な使命です。