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【緊急時訪問介護加算】5つの算定要件と算定例、留意点を完全解説

緊急時訪問介護加算 算定要件 注意点

 

利用者さんから要請があって緊急訪問したのですが、緊急時訪問介護加算をつけてもいいのでしょうか?算定要件が難しくてよくわかりません…。

今回は、こんな疑問や悩みにお答えします。

緊急時訪問介護加算は、どういったケースが算定対象となるのか判断が難しい加算のひとつです。

算定要件が複雑であるため、みなさんの中には「要件を満たしているが算定をしなかった」というケースも多いのではないでしょうか?

とはいえ、日々の忙しい業務の中で緊急訪問しているわけですから、できれば加算算定をしたいものです。

そこで今回は、緊急時訪問介護加算の算定要件を読み解き、留意点を交えてわかりやすく解説します。

加えて、解釈通知やヘルパー会議室運営部による独自調査をもとに緊急時訪問介護加算を算定できるであろう例を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
「ヘルパー会議室」コラム内文章の引用ポリシー
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  1. 緊急時訪問介護加算とは
    1. 単位数
  2. 緊急時訪問介護加算の5つの算定要件
    1. ①:居宅サービス計画に位置づけられていないサービスであること
    2. ②:身体介護中心型であること
    3. ③:利用者・家族等の要請を受けてから24時間以内にサービス提供を実施していること
    4. ④:ケアマネが「緊急訪問の必要性」を認めていること
    5. ⑤:緊急時訪問介護加算の算定にかかる記録を残していること
  3. 緊急時訪問介護加算における留意点
    1. 1回の要請につき1回を限度に算定
    2. 加算対象となる訪問介護の所要時間は、標準的な時間をケアマネが判断する
    3. 安否確認、健康チェック等のみでは算定対象とならない
    4. 2時間ルールは適用されない
    5. サービス提供時の状態急変等による緊急対応は算定対象とならない
    6. 単なる日時変更は算定対象とならない
  4. 緊急時訪問介護加算の「算定例」を3パターン紹介
    1. 算定例①
    2. 算定例②
    3. 算定例③
  5. 緊急時訪問介護加算に関する厚生労働省Q&Aまとめ
    1. Q:緊急時訪問介護加算の算定時における訪問介護の所要時間はどのように決定するのか
    2. Q:緊急時訪問介護加算の算定時において、訪問介護計画及び居宅サービス計画の修正は必要か
    3. Q:ヘルパーの訪問時に利用者の状態が急変した際等の要請に対する緊急対応等について、緊急時訪問介護加算の対象とはなるか
    4. Q:緊急時訪問介護加算及び初回加算を算定する場合に、利用者の同意は必要か
  6. さいごに

緊急時訪問介護加算とは

緊急時訪問介護加算とは

 

緊急時訪問介護加算とは、利用者・家族等からの要請を受け、サービス提供責任者がケアマネと連携した上で、居宅サービス計画(ケアプラン)に位置付けられていない身体介護中心型サービスを、要請受付から24時間以内に提供した場合に算定する加算です。

単位数

1回につき100単位。

 

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緊急時訪問介護加算の5つの算定要件

緊急時訪問介護加算 5つの算定要件

 

緊急時訪問介護加算は、以下5つの要件すべてを満たすことで算定できます。

これらのうち、1つでも欠けている場合は算定できませんので、しっかり押さえておきましょう。

 

5つの算定要件

  1. 居宅サービス計画に位置づけられていないサービスであること
  2. 身体介護中心型であること
  3. 利用者・家族等の要請を受けてから24時間以内にサービス提供を実施していること
  4. ケアマネが「緊急訪問の必要性」を認めていること
  5. 緊急時訪問介護加算の算定にかかる記録を残していること

 

①:居宅サービス計画に位置づけられていないサービスであること

緊急時訪問介護加算を算定するためには、ケアマネが作成する居宅サービス計画にあらかじめ位置づけられていないサービスである必要があります。

 

ケアプランに位置づけられていないサービスってどういう意味?

 

と思われたかもしれませんが、これは居宅サービス計画に位置づけられたサービス提供の日時以外の時間帯のサービス提供を指します。

要は、ケアプラン第3表「週間サービス計画」に載っていない時間帯の緊急訪問。

緊急時訪問介護加算 ケアプラン

例えば、上記のケアプラン第3表のとおり、火木金14:00~15:00で訪問介護が位置づけられているとすると、この日時以外に緊急で訪問してサービス提供を行った場合に緊急時訪問介護加算の対象となります。

 

②:身体介護中心型であること

緊急時訪問介護加算は、身体介護中心型のサービスのみが算定対象です。(生活援助中心型のみは対象外)

所要時間が20分未満であっても、20分未満の身体介護中心型(いわゆる身体0)の所定単位数+緊急時訪問介護加算を算定できます。

なお、生活援助中心型のみのサービス提供では加算算定できませんが、例えば

  • 緊急要請により排泄介助(25分)を実施、トイレが汚染されていたためトイレ掃除等(20分)もあわせて行った

などの状況であれば、身体介護中心型に引き続いて生活援助を実施した場合として身体1生活1+緊急時訪問介護加算の算定が可能です。(20分未満の身体介護中心型においても同様)

 

③:利用者・家族等の要請を受けてから24時間以内にサービス提供を実施していること

緊急時訪問介護加算を算定するためには、利用者またはその家族等から要請を受けて24時間以内に緊急訪問を行いサービスを提供する必要があります。

そのため、例えば6月1日AM9時に要請があり、6月2日AM10時に緊急訪問した、などの状況では緊急時訪問介護加算の算定はできません。

 

④:ケアマネが「緊急訪問の必要性」を認めていること

緊急時訪問介護加算を算定するためには、緊急訪問を行う前にサービス提供責任者が担当ケアマネと連携を図り、ケアマネが緊急訪問の必要性があると判断していることが必要です。

原則としてサービス提供責任者とケアマネの連携は、サービス提供の『事前』に行うものとされています。

そのため、利用者やその家族等から直接、訪問介護事業所へ緊急要請の連絡があった場合は、勝手な判断をせず、まずは担当ケアマネへ連絡を入れるようにしてください。

ただし「やむを得ない事由により、事前の連携が図れない場合」は、緊急に身体介護中心型のサービスを提供し、『事後に』ケアマネに必要性があったと判断された場合は、加算算定が可能です。

 

⑤:緊急時訪問介護加算の算定にかかる記録を残していること

緊急時訪問介護加算を算定するためには、

  • 要請のあった時間
  • 要請の内容
  • 緊急で提供した訪問介護サービスの時刻
  • 緊急時訪問介護加算の算定対象である旨

などを記録しておく必要があります。

これらの記録は、加算算定が適切になされていることを証明する根拠書類です。

実地指導(運営指導)時にも必ず確認されますので確実に作成しておきましょう。

なお、緊急時訪問介護加算の算定にかかる記録様式は定めらていませんので、専用の様式を準備する、あるいは支援経過記録に記載する、のいずれかの方法で記録を残します

支援経過記録を活用する場合は以下コラムもあわせて参考にしてください。

参考:訪問介護の「支援経過記録」書き方ガイド【記入例あり】

 

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緊急時訪問介護加算における留意点

緊急時訪問介護加算 留意点

 

緊急時訪問介護加算を算定するにあたり、留意しておくべき点をいくつか紹介します。

 

1回の要請につき1回を限度に算定

緊急時訪問介護加算は、1回の要請につき1回を限度として算定します。

そのため、例えば

  • 6月5日AM9時に緊急要請があり、①同日AM11時に緊急訪問した後に②PM18時にも緊急訪問した

といったケースでは①のみしか算定対象となりません

 

ただし緊急時訪問介護加算は、1日当たりおよび1月当たりの回数制限はありませんので、例えば

  • ①6月5日AM9時に緊急要請があり、同日AM11時に緊急訪問した
  • ②同日PM16時に緊急要請があり、同日PM18時に緊急訪問した

などのケースでは、①②ともに緊急時訪問介護加算の算定が可能だと考えられます。(あくまでヘルパー会議室運営部の解釈による見解です。)

 

ただ基本的に、1日や1月に何度も緊急時訪問介護加算を算定することは想定されていません。

緊急訪問が度重なる、あるいは今後も続く可能性があるのなら居宅サービス計画と訪問介護計画を見直し、必要に応じて変更してください。

 

加算対象となる訪問介護の所要時間は、標準的な時間をケアマネが判断する

加算の対象となるサービスの所要時間は、その内容に応じた標準的な時間をケアマネが判断します。

ただし、緊急要請の内容からは想定できない事態が発生することも考えられますので、実際に行われたサービス内容に応じた所要時間に変更することも可能です。

 

安否確認、健康チェック等のみでは算定対象とならない

緊急訪問によるサービス提供内容が、安否確認や健康チェック等のみであった場合は、緊急時訪問介護加算の算定対象となりません。またこの場合、緊急時訪問介護加算だけでなく訪問介護費(基本報酬)の算定もできません。

ただし、安否確認の要請があり、緊急訪問して安否確認+身体介護を行ったケースであって、ケアマネが必要性を判断している場合は、訪問介護費と緊急時訪問介護加算の算定が可能であると考えられます。(あくまでヘルパー会議室運営部の解釈による見解です。)

 

2時間ルールは適用されない

緊急時訪問介護の対象となる訪問介護と、その前後の訪問介護の間隔が2時間未満であっても、2時間ルールは適用されません。

したがって、前後のサービスを合算せず、それぞれの所要時間に応じた所定単位数を算定することができます。

2時間ルールについては以下コラムで詳しく解説していますので、こちらを参考にしてください。

参考:【図解】訪問介護の2時間ルールとは?算定方法と2つの注意点【例外ケースあり】

 

サービス提供時の状態急変等による緊急対応は算定対象とならない

サービス提供時に利用者の状態が急変した際の緊急対応は、緊急時訪問介護加算の対象となりません。

加えて、それに伴いサービス提供時間が延長することもあるかと思いますが、この延長時間についても加算の算定対象になりません。

 

単なる日時変更は算定対象とならない

予定していた訪問日時の単なる変更は、緊急時訪問介護加算の算定対象となりません。

これには例えば、

「毎週火曜日17時~18時に入浴介助が位置づけられているケースで、訪問予定日に家族から、急遽利用者本人を連れて出かけることになったため午前中に訪問してほしいと要請連絡があり、11時に訪問して入浴介助を行った。」

などのケースが該当します。

基本的に、日時変更や先述した訪問時のサービス内容の変更については、これまでどおりケアプランの見直しにより対応すべきものと理解しておきましょう。

 

 

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緊急時訪問介護加算の「算定例」を3パターン紹介

緊急時訪問介護加算 例

 

ここでは、厚生労働省の解釈通知およびヘルパー会議室運営部の実体験や各自治体への電話調査等にもとづき、緊急時訪問介護加算を算定できると考えられる例を3つ紹介します。

※本項で紹介するのはあくまで例あり、自治体によって解釈が異なる場合があります。実際の運用にあたっては管轄の自治体へ確認を行ってください。

 

算定例①

【ケアプランに位置づけられている訪問介護】

  • 毎週月・水・金10:00~11:00で掃除、調理等(生活援助)
  • 隔週火9:00~11:00で定期通院の介助(身体介護)

 

【緊急訪問の状況】

金曜日16時ごろに利用者から自宅で「体調不良なったため病院に連れて行ってもらえないか」と要請がある。サービス提供責任者から担当ケアマネへ連絡報告、担当ケアマネが緊急訪問による通院介助の必要性があると判断。同日17時ごろにヘルパーが緊急訪問し、○○病院へ通院の介助を行った。

 

このケースは、訪問予定日時以外のサービス提供であり、他の算定要件も満たしているため緊急時訪問介護加算を算定できると考えられます。(※記録の作成は必要です。)

 

算定例②

【ケアプランに位置づけられている訪問介護】

  • 毎週月・木・土16:00~17:00で入浴介助(身体介護)

 

【普段の状況】

  • 普段は、同居の妻の見守りにて利用者を居室からトイレまで誘導し排泄を行っている。

 

【緊急訪問の状況】

日曜日12時ごろ同居の妻より「トイレまで移動しようとベッドから立ち上がる際に力が入らず、床に座り込んでしまい失禁している、ベッドへ引き上げれられず排泄の処理もできないため助けてもらえないか」と要請がある。サービス提供責任者から担当ケアマネへ連絡するも休日のためつながらなかったため、やむを得ずサービス提供責任者の判断で同日13時30分ごろにヘルパーが緊急訪問。状態確認、ベッドへの引き上げおよびベッド上にて排泄介助を実施した。その後、担当ケアマネに状況を報告し、事後にて緊急訪問の必要性があったと判断してもらった。

 

このケースは、ケアプランに位置づけられていないサービス内容であって、訪問予定日時以外のサービス提供であり、他の算定要件も満たしているため緊急時訪問介護加算を算定できると考えられます。(※記録の作成は必要です。)

 

算定例③

【ケアプランに位置づけられている訪問介護】

  • 毎週月・火・水・木・金・土・日17:00~17:30で排泄介助(身体介護)

 

【普段の状況】

  • 普段は、同居の長女が食事の準備および食事介助を行っている。

 

【緊急訪問の状況】

月曜日AM8時ごろ同居の長女より「私自身(長女)の体調が悪く病院にいくため、食事の介助を行えなくなってしまった。朝食の準備はしておくので食事介助をお願いできないか」と要請がある。サービス提供責任者から担当ケアマネへ連絡報告、担当ケアマネが緊急訪問の必要性があると判断。同日9時30分ごろにヘルパーが緊急訪問し食事介助を実施した。

 

このケースは、ケアプランに位置づけられていないサービス内容であって訪問予定日時以外のサービス提供であり、他の算定要件も満たしているため緊急時訪問介護加算を算定できると考えられます。(※記録の作成は必要です。)

 

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緊急時訪問介護加算に関する厚生労働省Q&Aまとめ

これまで厚生労働省から出された緊急時訪問介護加算に関するQ&Aをまとめました。

 

Q:緊急時訪問介護加算の算定時における訪問介護の所要時間はどのように決定するのか

要請内容から想定される、具体的なサービス内容にかかる標準的な時間とする。したがって、要請内容については適切に把握しておくこと。

また、本加算の特性上、要請内容からは想定できない事態の発生も想定されることから、現場の状況を介護支援専門員に報告した上で、介護支援専門員が、当初の要請内容からは想定しがたい内容のサービス提供が必要と判断(事後の判断を含む。)した場合は、実際に提供したサービス内容に応じた標準的な時間(現に要した時間ではないことに留意すること。)とすることも可能である。

なお、緊急時訪問介護加算の算定時は、前後の訪問介護との間隔は概ね2時間未満であっても所要時間を合算する必要はなく、所要時間20分未満の身体介護中心型(緊急時訪問介護加算の算定時に限り、20分未満の身体介護に引き続き生活援助中心型を行う場合の加算を行うことも可能)の算定は可能であるが、通常の訪問介護費の算定時と同様、訪問介護の内容が安否確認・健康チェック等の場合は、訪問介護費の算定対象とならないことに留意すること。

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問16より引用

 

Q:緊急時訪問介護加算の算定時において、訪問介護計画及び居宅サービス計画の修正は必要か

緊急時訪問介護加算の算定時における事務処理については、次の取扱いとすること。

①指定訪問介護事業所における事務処理
・訪問介護計画は必要な修正を行うこと。
・居宅サービス基準第19条に基づき、必要な記録を行うこと。

②指定居宅介護支援における事務処理
・居宅サービス計画の変更を行うこと(すべての様式を変更する必要はなく、サービス利用票の変更等、最小限の修正で差し支えない。)

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)問31より引用

 

Q:ヘルパーの訪問時に利用者の状態が急変した際等の要請に対する緊急対応等について、緊急時訪問介護加算の対象とはなるか

この場合は、緊急時訪問介護加算の対象とはならない。

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)問32より引用

 

Q:緊急時訪問介護加算及び初回加算を算定する場合に、利用者の同意は必要か

緊急時訪問介護加算及び初回加算はいずれも、それぞれの要件に合致する指定訪問介護を行った場合に、当然に算定されるものである。

したがって、その都度、利用者からの同意を必要とするものではないが、居宅サービス基準第8条に基づき、事前にそれぞれの加算の算定要件及び趣旨について、重要事項説明書等により利用者に説明し、同意を得ておく必要がある。

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)問34より引用

 

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さいごに

今回は緊急時訪問介護加算について解説しましたが、訪問介護には他にも多数の加算・減算が設定されています。

サービス提供責任者にとって加算に関する知識は必須です。

以下のコラムで訪問介護の『加算・減算』をわかりやすくまとめてますので、この機会に合わせてチェックしてみてください。

 

※サービス提供責任者の仕事内容が知りたい方は下記をどうぞ。

 

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