訪問介護サービスの一つ「通院等乗降介助」とは?

 

訪問介護のサービスの一つである「通院等乗降介助」。聞いたことはあるけど、いざ説明するとなると難しいのではないでしょうか。

 

  • 「サービスを提供できる事業所の条件は?」
  • 「どんな人にサービスを提供できるの?」
  • 「具体的にどんなサービスを提供するの?」

などの疑問を感じている人もいるでしょう。

 

実際に私が介護の現場で働いている中でも

「通院等乗降介助ってなに・・・?」と聞かれることが多くあります。

今回はそんな通院等乗降介助について分かりやすく解説します。

 

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  

訪問介護の通院等乗降介助とは?

高齢者に説明している女性介護士

 

結論から言うと通院等乗降介助は訪問介護のヘルパーが自ら運転する車で送迎するサービスの事です。

 

目的地までの送迎だけではなく、乗車降車の支援、乗車前もしくは降車後の移動の支援、病院の受診の手続き等の支援を提供することができます。

 

通院等乗降介助のサービスを提供するためには、サービスを提供する訪問介護事業所が介護タクシーの許可を得ている必要があります。

介護タクシーの許可を得ていないと、通院等乗降介助のサービスを提供できないということになります。

 

介護タクシーは、介護保険法ではなく、道路運送法に基づき国土交通大臣の許可が必要です。

「福祉タクシー」というサービスがありますが、こちらは身体障碍者の方を対象としたサービスなので、混同しないように注意しましょう。

 

 

通院等乗降介助を利用するための要件は?

通院等乗降介助を利用するためには、要介護1以上の要介護認定を受けている必要があります。

軽度者(要支援1、要支援2)の方は利用することができません。

 

しかし、要介護1以上であれば誰でも利用できるわけではありません。通院等乗降介助は、介護保険サービスである訪問介護のサービスの一つであるため、ケアプランに記載していないと利用することができません。

従って、利用する必要がなければ利用できないということになります。

 

ケアプランは自分で作成することも可能ですが、現状ケアマネジャーが作成していることがほとんどです。利用者から通院等乗降介助を利用したいという希望が聞かれた時は、担当ケアマネジャーに相談しましょう。

 

 

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訪問介護の通院等乗降介助で「できること」「できないこと」

ビジネスウーマン

 

訪問介護の通院等乗降介助は介護保険サービスのひとつですので、算定「できること」と「できないこと」があります。

今回は、例をあげて解説していきます。

 

通院等乗降介助の対象となる6つの例

 次のような例は通院等乗降介助の対象となります。

 

医療機関への通院

通院等乗降介助を利用する際、恐らくこちらの目的が大半を占めると思います。送迎の支援だけではなく、医療機関での必要な手続きの支援も提供可能です。

 

公共の施設への送迎

市役所などの公共の施設に行く必要がある場合に利用可能です。例えば、選挙の投票のための利用も対象になります。

 

介護保険施設への見学

介護保険施設と言えば特別養護老人ホームや老人保健施設のことを指しますよね。入所を検討している施設への移動手段として利用可能です。

 

預貯金の引き出し

郵便局や銀行への移動手段として利用可能です。但し、あくまで日常生活を送るうえで必要な預貯金の引き出しになります

 

日常生活を送るうえで必要な買い物

日用品や食材などの買い物は対象となりますが、趣味や嗜好品を購入するための買い物は対象外となります。又、家族や近隣の方に買い物を頼める状況にあるようであれば利用が認められないことがあります。

 

「病院から病院への移送」、「デイやショートから病院への移送」

これは令和3年の介護報酬改定により可能となりました。

下記を参照ください。

通院等乗降介助について、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便性の向上の観点から、目的地が複数ある場合であっても、居宅が始点又は終点となる場合には、その間の病院等から病院等への移送や、通所系サービス・短期入所系サービスの事業所から病院等への移送といった目的地間の移送に係る乗降介助に関しても、同一の事業所が行うことを条件に、算定可能とする。

(例)

厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における確定事項について」より抜粋

 

居宅が始点または終点である必要がありますので注意してくださいね!

 

入退院に伴う送迎

入院時、退院時の送迎も、令和3年の介護報酬改定により可能となりました。

 

 

通院等乗降介助の対象にならない具体例

次のような理由では通院等乗降介助は利用できませんので確認しておきましょう。

 

デイサービスやデイケアへの送迎

デイサービスやデイケアへの送迎は、その事業所が送迎する役割を担っています。

 

仕事に関わる送迎

仕事は介護保険の目的とは相異があるため、対象外となります。

 

冠婚葬祭やお墓参り

大事なことではありますが、日常生活を営むうえで必要だとは言えないので対象外になります。

 

病院で待ち合わせて、院内介助のみを行う

通院等乗降介助は、「自宅から出発するか」「居宅に到着するか」のどちらかでなければ算定できません。

 

通院等乗降介助は、日常生活を送るうえで支障が出た際、第二の手段がない場合に利用していただくサービスであることを頭にいれておきましょう。

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まとめ

今回は訪問介護の通院等乗降介助について解説しました。

通院等乗降介助は、利用するにあたり様々な条件があるため、気軽に利用できるサービスとは言い難いですが、必要な人にとっては大変便利はサービスだと思います。

利用を検討している方がいる場合、前述したようにまずは担当ケアマネジャーに相談することをおすすめします。

 

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