令和6年度の介護報酬改定により、重要事項等の書面掲示規制が見直され、これまで求められてきた事業所内での書面掲示に加えて、ウェブサイト上にも掲載・公表することが義務化されました。1年の経過措置が設けられていましたが、すでに終了しており、対応していない介護保険サービス事業所は運営基準違反となります。
このため、訪問介護事業者は、ウェブサイト上で自事業所の重要事項等を誰もが閲覧できるようにきちんと整備する必要があるわけですが、そもそも「どのような情報を掲載しなければならないの?重要事項「等」でなに?」と疑問に思われている方は少なくないはず。
そこで、今回は、ウェブサイトに掲載・公表する「重要事項等」とは何かを明らかにし、公開の方法や注意点などをわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

今回のコラムは、ヘルパー会議室にたくさんの問い合わせが寄せられたため作成しました。
ちなみに、弊社では、介護事業者向けのホームページ制作サービスを提供しています。重要事項専用掲載ページの作成や更新サポートなども格安で承っていますので、この機会に自社ホームページの制作を検討してもらえると嬉しいです。
ウェブサイトに掲載・公表しなければならない「重要事項等」とは
今般、見直された書面掲示規制は、運営基準(基準省令)第32条第3項に規定されているものになり、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項をウェブサイトに掲載しなければならないとされています。
具体的には、当該事業所における次の6項目の掲載・公表が必要です。
項番 | 項目 |
① | 運営規程の概要(※1) |
② | 訪問介護員等の勤務体制 |
③ | 事故発生時の対応 |
④ | 提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)(※2) |
⑤ | 相談窓口、苦情処理の体制および手順など当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要 |
⑥ | 都道府県(または指定都市または中核市)への届出事項(※3) |
■補足
※1)運営規程に定めておく規程は、「a:事業の目的及び運営の方針」「b:従業者の職種、員数および職務の内容」「c:営業日および営業時間」「d:指定訪問介護の内容および利用料その他の費用の額」「e:通常の事業の実施地域」「f:緊急時等における対応方法」「g:虐待の防止のための措置に関する事項」「h:その他運営に関する重要事項」の8つがあげられます。 ※2)第三者評価を実施しているか否かに関わらず記載が必要です。 ※3)例えば、特定事業所加算や認知症専門ケア加算などの加算等、都道府県等の指定権者に介護給付費に係る届出を行った事項を指します。 |
介護サービス情報公表制度における報告義務対象外の場合
介護サービス情報公表制度における報告義務の対象ではない事業所(都道府県知事等が定める介護サービス情報の報告に関する計画の基準日前1年間において、提供を行った介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下の事業所等)は、ウェブサイトへの重要事項等の掲載は行うことが望ましいものの義務ではありません。
なお、新規に指定を受けた事業所は、すべて報告義務の対象となるため、ウェブサイトへの重要事項等の掲載は必ず行う必要があります。

例えば、介護保険の訪問介護と重度訪問介護等の訪問系障害福祉サービスの指定を併せて受けていて、重度訪問介護等をメインに運営している場合などは、次年度以降、訪問介護の年間売上が100万円以下になる場合があるかと思います。
こうした介護サービス情報公表制度の報告義務対象外の訪問介護事業所も、もちろんウェブサイトに重要事項等を掲載しておいた方がよいですが、義務ではないということですね。
結論:重要事項説明書を掲載・公表しよう
先にあげた掲載・公表が求められている6項目は、重要事項説明書にすべて記載されているものです。
ですので、ウェブサイトに重要事項説明書を掲載しておけば基本的に問題ないと考えられます。

基準省令や解釈通知等を読む限り、運営規程と重要事項説明書を別々に掲載する必要はないと思います。自事業所の重要事項説明書に、先の6項目がきちんと記載されているか確認しておきましょう。
特に、苦情処理の体制および手順、第三者評価の実施状況などの記載がないケースが結構多いので注意してください。
重要事項等の公表の方法は「法人ホームページ等」または「介護サービス情報公表システム」のいずれか
ウェブサイトへの重要事項等の掲載・公表は、法人ホームページ等または介護サービス情報公表システムのいずれかを用いて行います。
法人ホームページ等
自社ホームページを持っている場合は、サイト内のどこかに重要事項説明書のPDFをアップロードするか、テキストで転記するか等の方法により掲載・公表しましょう。
なお、法人ホームページ等にSNSは含まれますか?とよく質問をいただくのですが、現時点では、SNS(X、Facebook、Instagram)での公表は適当ではないと考えられます。

個人的には、重要事項専用ページを設けて掲載するのが、ユーザーの利便性の観点から考えて一番よいかなと思います。
介護サービス情報公表システム
介護サービス情報公表制度は、利用者が介護サービスを適切に選ぶための情報を介護サービス情報公表システムというサイト上に公表する制度を指し、訪問介護事業者は、毎年度、介護サービス情報報告システムを通じて都道府県等に報告することを義務付けられています。(先の報告対象外の事業所を除く。)
介護サービス情報公表システムにより重要事項等を掲載・公表する場合は、介護サービス情報報告システムにログインし、重要事項説明書のPDF等をアップロードします。
なお、掲載方法等は、都道府県等ごとに委託している指定情報公表センターによって多少異なりますので、当該情報公表センターが公開している事業所向け操作マニュアルを確認しましょう。

このシステムを使うのは年に1回程度となじみのない方が多く、またIDやパスワードを忘れてしまうなどということもあって結構面倒です…。
重要事項等を掲載・公表する際の注意点
さいごに、ウェブサイトに重要事項を掲載・公表する際の注意点を2つお伝えしておきます。
更新作業・管理が大変
重要事項説明書は、報酬改定時や運営規程を変更した場合、新たに体制加算を取得する場合など、その都度変更を加えていくものです。
それに伴い、ウェブサイトに掲載・公表している重要事項説明書の内容も更新することとなりますが、煩雑な業務の中で行うのは、中々に骨が折れる作業かと思います。
どこまで最新の情報を保たなければならないかは不明ですが、少なくとも一度掲載したら終わりというわけにはいきません。このため、適宜更新・管理を行うウェブ担当者を置くなどの対応が必要でしょう。
ホームページ制作会社の選定
ウェブ担当者を置くといっても、人員不足の事業所からすると現実的ではありません。
こうした事業所では、更新作業やウェブサイト自体の保守などを行ってくれるホームページ制作会社への依頼を検討しましょう。
ただし、ホームページ制作会社によって料金体系はさまざまで、選定には注意が必要です。例えば、追加変更テキスト1文字に対して〇円、ページ1枚に対して〇円など作業工数に応じて従量課金される等、色々あります。
コスト面から考えると、従量課金制より月額定額制で更新作業等を行う制作会社を選ぶ方がよいでしょう。
弊社が提供しているヘルパー会議室のホームページ制作では、小規模事業者向けに「初期製作費0円・月額保守等費用5,500円(税抜)プラン」も設けており、過度な負担にならない料金体系にしています。
重要事項の掲載・公表についても、重要事項説明書をご提出いただければ弊社で行いますので丸投げでOKです。
以下のサービスページリンクより、ご依頼やご相談を承っていますので、ぜひこの機会に弊社への依頼をご検討ください。

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