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訪問介護の相談援助とは?実施内容、ヘルパーの基本姿勢をわかりやすく解説

訪問介護の相談援助 サービス内容

 

みなさんは、訪問介護のサービス指標である厚生労働省の通知「老計第10号」の中に“相談援助”と記載があるのをご存じでしょうか?

訪問介護では直接的な介助に限らず、この相談援助のように間接的な介助も求められます。

しかし、相談援助と言われても、どのような支援が含まれるのか疑問に思われた方も多いはず。

そこで今回は、訪問介護領域における相談援助とはなにか?を解き明かします。

加えてヘルパーが相談援助を行うにあたって必要な基本姿勢を示していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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この記事を書いた人

ヘルパー会議室編集部

くらたろう

30代男性。大阪府在住。東証一部上場企業が運営する訪問介護事業所に3年従事し、独立。事業所の立ち上げも経験。訪問介護の経験は11年目、現在も介護現場に自ら出つつサービス提供責任者として従事している。ヘルパー・サ責の学ぶ機会が少ないことに懸念を抱き、2018年に訪問介護特化型ポータルサイト「ヘルパー会議室」を設立。

【保有資格】 訪問介護員2級養成研修課程修了/介護職員基礎研修修了/社会福祉士/全身性ガイドヘルパー/同行援護従業者養成研修修了  
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訪問介護の相談援助とは

訪問介護の相談援助とは

 

訪問介護の相談援助とは、利用者の日常生活上の悩みや不安、疑問を受け付け、それらに対して必要な情報を提供したりアドバイスを行ったりすることを指します。

老計第10号によれば、これから行う支援の「事前準備」として位置づけられており、排せつ・食事・入浴介助などの身体介護や掃除・調理などの生活援助に付随して実施するサービスとなります。

参考:老計第10号とは?

 

ホームヘルパーはもっとも身近な相談窓口

訪問介護 相談先の入り口

訪問介護は、数ある在宅サービスの中でもっとも利用頻度が高く、訪問介護のみしか使っていないという方も少なくありません。加えて、私生活の場に介入していく訪問介護の特性上、利用者にとって一番身近な存在になりやすいと言えます。

これらの要因から、利用者がなにかしらの相談をしようと思ったとき、訪問介護は「相談先の入り口」としての役割を担うこととなります。

ですからホームヘルパーには、利用者の生活上における困りごとや悩み、疑問をいち早くキャッチアップし、適切な情報提供や助言、関連各所との連携調整などの対応を求められるのです。

 

例えば、

  • 身体の不調を訴えているのであれば、詳細な情報を収集した上で医療職へつなげたり
  • 「買い物に1人でいきたいけど、重い荷物をもつのがつらい」と相談があれば、福祉用具等の活用を提案しケアマネへつなげたり
  • 介護保険の疑問を受け付けたならば、わかりやすく制度の説明をしたり

といった具合に対応していきます。

 

情報の提供は、慎重に

ただし、利用者が悩んでいるときや困っているときに、あれもこれもとたくさんの情報を伝えてもかえって混乱を招いてしまいます。そのため、複数の情報があったとしてもあえて伝えず、必要なもののみに絞って提供するということも重要です。

訪問介護で出会う利用者の中には理解力が低下している方が少なくないはずです。情報の提供にあたっては「必要なときに必要な量の情報を伝える」ということを心がけておきましょう。

 

訪問介護の「できること」「できないこと」を知っておく

介護保険制度上、訪問介護にはできること・できないことが規定されており、例えば「庭の草むしりをしてほしい」「家族の分の食事も作ってほしい」などと利用者から相談を持ち掛けられることがあるかと思います。

しかし、この例は制度上「できないこと」に該当するため、こうした相談があった場合には、丁寧に制度の説明を行った上で自費サービス等の情報提供を行うことが必要です。

したがってヘルパーは、適切な情報提供を行うために制度知識を十分に備えておかなければなりません

以下に一覧表を作成しましたので、こちらから勉強しておきましょう。

参考:訪問介護の「できること・できないこと一覧表」

 

ただし、制度上の「できること」「できないこと」は自治体によっても解釈が異なる場合があるため注意が必要です。判断に迷うようであれば、その場で即答せず一旦持ち帰ってサービス提供責任者に報告してください。

 

ヘルパーの気づきから悩みや不安を引き出す

相談援助に必要な観察

いくらヘルパーは利用者にとって身近な存在であるとはいえ、「他人に迷惑をかけたくない」「他人に話すのは恥ずかしい」などの理由から悩みをなかなか口に出せない方もいます。

特に昔気質の方は、他人を頼ることに気兼ねしてしまう場合が多いようですが、いずれにしても悩みを抱えてこんでしまうのは、とてもつらいもの。

そこで、大切になるのがヘルパーの観察力です。利用者の表情や身なり、挙動、におい、部屋の様子などに変化はありませんか?

利用者から「相談がない=悩みがない」ではありません

ヘルパーは利用者宅に足を踏み入れた瞬間から五感を研ぎ澄まして観察しましょう。そこにはきっと言葉からは得られない気づきがあるはずです。

参考:【訪問介護の観察マニュアル】基本観察項目と気づく力を高める4の法則

 

悩みは解決できるものばかりではないから傾聴が重要

実際の介護現場では、利用者の悩みに対して助言や情報提供をしてすぐ解決、とすんなりいくケースばかりではありません。

深く大きい不安や悩みがある場合、現実的な解決策が見つからないことも多く、だからこそ利用者の抱える思いに寄り添う姿勢がとても大切になります。

みなさんも、悩みや不安を打ち明け、だれかに聞いてもらっただけで気持ちが落ち着いた経験が一度はあるのではないでしょうか。

たとえ解決策が見当たらなくても、利用者の話しを最後まで傾聴し、悩みや不安を共有してみてください

それにより一時的ではあれど少しホッとして、食欲が湧かない方が「少しでも食べておこう」と思えたり、外出が億劫な方が「外に出てみよう」と思えるようになるかもしれません。

 

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相談援助の基本原則「バイスティックの7原則」を理解しよう

バイスティックの7原則

 

バイスティックの7原則とは、アメリカのケアワーカーで社会福祉学者のフェリックス・ポール・バイスティックが提唱した相談援助技術の基本原則です。

これは、一般的に社会福祉士など相談援助業務に従事する専門職が学ぶものになりますが、これまで解説してきたとおり、ヘルパーも立派な相談援助職のひとつです。

ぜひ利用者と関わる際の基本的な姿勢としてバイスティックの7原則を押さえておきましょう。

 

①個別化の原則

個別化の原則は、利用者が抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても人それぞれの問題であり「同じ問題は存在しない」とする考え方を指します。

利用者一人ひとりに生活体験やパーソナリティ、能力、価値観があることを忘れてはいけません。

ヘルパーとしての経験年数が長くなると、どうしても過去のケースに当てはめた支援を行いがちです。

もちろん過去のケースを参考にするのは大事ですが、同一視してしまい一律的な支援とならないよう注意が必要です。

 

②意図的な感情表出の原則

意図的な感情表出の原則とは、利用者の自由な感情表現を認め、それを意図的に促していくという考え方です。

利用者の感情を自由に表に出させることで心の枷を取り払い、自らの置かれている状況を客観的に見つめ直すことができます。

また、怒りや悲しみといったマイナスな感情や否定的な感情は、とくに抑圧されてしまいがちです。

そのため楽しい、嬉しいといったポジティブな感情だけでなくネガティブな感情も含めて、自由に感情表現ができるような環境や雰囲気づくりを心がけることが大切になります。

 

③統制された情緒的関与の原則

統制された情緒的関与の原則とは、利用者の感情に呑み込まれることなく、ヘルパー自身の感情をコントロールして冷静に対処していこうとする考え方です。

利用者の抱える問題を解決するためには、表出された感情に寄り添い、共感を示すことが大切になります。しかし、利用者の怒りや悲しみが強ければ強いほど、それを受けたヘルパーはその渦中に吞み込まれやすく、注意が必要です。

利用者の感情に引きずられて客観的な視点を見失えば、冷静な判断はできません。これでは問題解決どころかかえって問題の複雑化を招いてしまいます。

ヘルパーはあくまでも支援者の立場であることを忘れず、意識的に感情をコントロールするよう心がけておきましょう。

 

④受容の原則

受容の原則とは、利用者の思考や感情、態度などを否定せずに受け止める、という考え方を指します。

利用者の考え方や価値観は、これまでの人生経験により培われてきたものであり、言い換えればその方の「個性」です。ですので、決して頭ごなしに否定せず、「なぜそのような考えに至ったのか」を理解することが受容の出発点になります。

利用者によっては私たちからすれば受け入れがたい考え方を持っていたり、問題行動を起こしたりすることもあるでしょう。しかし、まずは利用者の心理や価値基準がどのように作り上げられてきたのかを把握し、そのプロセスを受け入れることが大切です。

それにより問題行動や考え方の背景に隠された意味が見えてくるでしょう。

 

⑤非審判的態度の原則

非審判的態度の原則とは、ヘルパー側の価値観で利用者の行動や考え方に対して「善悪の判断」をしないとする考え方です。

利用者によって道徳感情や倫理的価値観はそれぞれ異なります。そのためヘルパーの価値判断で批判したり、否定追及したりしてはいけません。

また先のとおりヘルパーはあくまで利用者の生活を支えるサポーターであり、ヘルパーの価値判断を強制することがないように対応してください。

 

⑥自己決定の原則

自己決定の原則とは、何事においても自らの行動を決定するのは利用者である、という考え方を指します。

訪問介護サービスを利用する・しない、病院に受診する・しないなどあらゆる物事を決定するのはあくまで利用者自身です。当然ながら、利用者の生活をより良いものにするために適切な誘導等は必要ですが、ヘルパー側の意向を押し付けないようにしましょう。

自身の決断で道を切り開けるよう支援していくことは、自身の人生を自らの意思で生きるという主体性の保持につながります。

 

⑦秘密保持の原則

秘密保持の原則とは、利用者の個人情報やプライバシー情報を他方に漏らしてはならない、とする考え方です。

ヘルパーは利用者の私生活に足を踏み入れて色々なものを見て聞いて、意図せずともさまざまな個人情報やプライバシーに触れることとなります。

また、利用者となじみの関係になると「だれにも言えない内緒の話」をヘルパーにしてくることもあるでしょう。

こうした情報が他人に漏れてしまえば利用者との信頼関係は一気に崩れてしまいます。加えて、倫理的な問題のみならず、法規的な違反も問われますので、個人情報・プライバシー情報の取り扱いには十分注意してサービス提供に臨んでください。

参考:訪問介護のプライバシー保護取り組みマニュアル

 

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さいごに

今回は訪問介護の相談援助について解説しました。

繰り返しになりますが、訪問介護は利用者が悩みや不安を吐露したいとき、まっさきに思い浮かぶ相談窓口です。

だからこそヘルパーには適切な対応が求められ、とても重大な役割を担っていることを自覚しておきましょう。

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