訪問介護では主に身体介護と、生活の支援を行う生活援助がありますが
身体介護の中には「見守り」というサービスがあります。
見守りはその名の通り、高齢者を見守ることですが、単純に見るだけではありません。

今回は
- 身体介護における見守りの定義
- 見守りサービスを行うための注意点
などについて解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください!
訪問介護での見守りサービスの基本的な考え方について
なぜ見守りサービスがあるのか知っておくと
「これは見守りサービスとして算定していいのか?」
といった疑問を解決することが出来ます。
見守りサービスの基本的な考え方とはどのようなものがあるのでしょうか?
重度化防止
訪問介護における見守りサービスは「見守り的援助」と呼ばれます。
見守り的援助の中で重要視されているのは重度化防止という考え方です。
重度化を防止するために見守りが必要なのです。
例えば、足の筋力が弱っており転倒のリスクがある方が買い物に行く際に転倒しないように見守る。といったのが一例として挙げられます。
つまり、転倒をしてしまうと骨折などのリスクが高く、もし骨折をしてしまうと重度化してしまうので
それを見守りによって防止するのが重度化防止という考え方になります。
共に行うことが必要
見守り的援助は高齢者とヘルパーが共に行って、高齢者の安全を確保することが目的として挙げられます。
つまり高齢者が単体で行って、ヘルパーが遠くから見ることは見守り的援助には含まれません。
高齢者が安全に行動が出来るように、ヘルパーがいつでも側で見守っておくことが大切になります。
ADLとIADLの向上
ADLは日常生活動作であり、IADLは手段的日常生活動作です。
見守り的援助はこの2つの動作の向上を目的としています。
例えば、
ADLの向上だと
一人で移動する際に杖が必要、杖の扱いに慣れていないくて転倒のリスクがある場合、ヘルパーが側についていれば転倒をしてしまう場合も防止することが出来ます。
IADLの向上だと
認知症の方で自分で商品を選択することが出来るが、お金の計算が出来ない場合はヘルパーがそばについて会計の時だけ支援をする。銀行の窓口の方とやり取りが難しいので会話だけを支援するというのも見守り的援助に含まれます。
訪問介護における見守りサービスの具体例について
見守り的援助についてはあいまいな部分が多かったので、厚生労働省が見守り的援助が明記されている
「老計10号」の見直しがありました。
老計10号には具体定期に見守り的援助がどのような行為を指すのが示されています。
身体機能の見守り的援助について
- ベッドで寝ている状態から椅子やポータブルトイレに移動する際に、転倒のリスクがある方に対して、転倒を防止する為に見守り、必要であれば介助を行うこと。
- 入浴時に行われる一連の動作(更衣や浴槽への出入り、洗髪や洗身)などに対して見守り、必要に応じて介助を行うこと。
- 移動時に歩行が不安定な場合、転倒しないように見守り、必要に応じで介助を行う。また、気分が悪くないのか確認を行うこと。
- 掃除や洗濯、調理など、高齢者が自分出来る範囲は見守り的援助で行う。また、一部の支援が必要であればその箇所だけは支援を行う。声掛けが必要な場合は手順などを声掛けして、スムーズに行えるように支援を行う。
(この場合は、基本的に行う主となるものは高齢者自身であり、あくまでもヘルパーは声掛けや一部の支援のみにとどめること。) - 買い物にいって、買いたいものは自分で選択をしてもらう。お店内での移動などで支援が必要な場合はヘルパーが車を押すなどの支援を行う。
認知症のサポートについて
認知症の方の場合は、様々な判断が出来なくなり軽度でも日常生活が送れなくなる場合もあります。
認知症のサポートこそ見守り的援助の中心的な役割となります。
- 服を着る手順が分からなくて服を着ることが出来ない方に対して、手順を側で声掛けをする。また、手順が分かるようにヘルパーが服を並べる。
- 薬を自分で服薬することが出来るが、何をいつ飲めば良いのかわからない方に対して、薬の飲む時間、飲む量、飲む種類を教えて、適切に服薬が出来るように支援をする。
- ゴミ捨てをすることは理解しているが、ごみの分別方法がわからなくて、近隣の方が迷惑を感じている。ヘルパーが分別をしたり、声掛けをすることできちんと分別できるように支援を行う。
見守り的援助に迷えば老計10号をチェック!
もし見守り的援助がどのようなものか分からない場合や、現在しているサービスが見守り的援助に含まれるのか気になる場合は、老計10号を確認するようにしましょう。
それでも判断がつかない場合は、役所へ確認をするなど、公的な機関の情報を見るようにして不正にならないように注意することが大切になります。
下記から今回解説した平成30年4月1日から適用(R2年7月20日現在最新)の老計10号見直しの変更箇所が確認できます。
まとめ
見守りサービスは非常に重要なものであり、日常生活に不安を抱えている高齢者や認知症高齢者にとっては必要不可欠なものです。
ヘルパーがすべてやってしまえば早く終わりますが、やはり介護保険の原則は自立支援ですので、自立できるように不安な部分だけ支援をして自立を促すようにしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!少しでも参考になれば幸いです。