移動支援サービスと同行援護サービスはどちらも障害を持った方への外出の支援を行うサービスですが、対象者や、支援内容は大きく異なります。
今回は移動支援と同行援護について、
- 具体的なサービス内容の違い
- 二つのサービスが重複した場合にどちらが優先されるのか?または併給は可能か?
を解説していきます。
※こちらも併せて参考にしてみてください。
移動支援
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
大きな違いは「サービス対象者」と「サービス制度体系」
この項目では、それぞれのサービス利用対象者の違いと、運営元の違いについて解説していきます。
移動支援の対象者は主に「知的・精神・身体障害者」
移動支援は主に知的障害や精神・身体障害のある人たちを対象にしたサービスです。
障害区分や障害者手帳も必要なく、市町村に申請をして、適当と認められればサービスを利用することができます。
同行援護の対象者は「視覚障害」に特化している
同行援護の最大の特徴は利用対象を視覚障害に限定していることです。
支給決定においても、同行援護を利用するにあたって必要なアセスメント調査があり、一定の点数を越えなければ利用することができません。
また、同行援護の提供に必要な資格(同行援護従業者養成研修)については、一般過程と応用過程があり、実際に支援を行うだけであれば一般過程を修了することで従事できますが、サービス提供責任者になるためには応用過程まで修了する必要があります。
移動支援も同行援護も同じように自力での外出や移動が困難な人に対して行う外出支援のサービスですが、具体的にどこがどう違うのか?と聞かれると答えられる人は少ないかと思います。
では一体何が違うのでしょう?
移動支援と同行援護ではサービス制度体系が違う
障害者総合支援法において、移動支援は「地域生活支援事業」に、同行援護は「自立支援給付」に該当します。
地域生活支援事業は実地主体が市町村で、独自に行っているため移動支援のサービス内容は市町村によって違います。
その為、地域の実情や本人の事情に合わせてある程度柔軟に対応することもできますし、細かな外出先の取り決めや、報酬単価の取り決めも各市町村区によって異なります。
一方で自立支援給付は国が定めているため同行援護は全国でサービス内容は原則統一されています。
余談ですが平成23年の障害者自立支援法の改正で同行援護は自立支援給付に導入されるようになりました。
それ以前は視覚障がい者の外出支援は、地域生活支援事業である移動支援を使っていたんです。
移動支援にはグループ支援型があり複数人同時の外出が可能
同行援護と移動支援のサービス内容の明確な違いと言えばグループ支援ができるかできないかです。
移動支援のグループ型支援では複数人で一緒に外出をすることができます。
反対に同行援護サービスにはグループ支援型はありません。
同行援護は個人に対するサービスという特性があり、マンツーマンでの支援サービスとなります。
移動支援と同行援護は併給できるのか?どちらが優先される?
例えば、知的障害や精神障害と視覚障害が重複している人にはどちらのサービスが優先されるのか、併給はできるのかを解説してきます。
同行援護が優先とされ、併給は不可。
理由は2点あります。
- 移動支援は市町村区が提供しているのに対し、同行援護は国が提供しているサービスという事で、提供元が違うため
- 同行援護は視覚障害を理由に外出が難しい方を対象にしている為、移動支援にはない支援も必要になると想定されているため
この2つの理由から同行援護が優先され併給は不可とされています。
またここでいう移動支援にはない支援とは、具体的には読み書きや情報の伝達など、視覚障害を持つ人ならではのサービスになります。
介護保険制度とはどちらも併給が可能
移動支援、同行援護共に介護保険制度と併用することは可能となっております。
移動支援と同行援護はどちらも障害者総合支援法に基づいた事業である為、介護保険制度とは別枠の制度となっています。
その為、中には優先順位は決まっているサービス内容もありますが、移動支援、同行援護を利用しつつ、介護保険制度を利用することは可能です。
まとめ
移動支援と同行支援では同じ移動支援事業でありながら、事業を行っている運営元が違う事。サービス内容もかなり違いがあると感じて頂けたのではないでしょうか?
どちらも専門的な知識が必要な事には変わりありませんが、しっかりとそれぞれの特徴を整理・理解して支援を行いたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。