私の訪問介護事業所は同一建物減算の対象に入るのか知りたい。
そもそも「同一建物」の定義ってなに?
と疑問に思う方は多いです。
一般的な訪問介護事業所では同一建物減算の対象となることは考えにくいですが
サービス付き高齢者向け住宅に併設している訪問介護事業所や、集合住宅に住んでいる利用者に対してサービス提供している訪問介護事業所は注意が必要です。
そこで今回は
- 同一建物減算とはどういった減算なのか?
- 減算対象となる建物の定義
- 対象利用者の計算方法
- 厚生労働省のQ&Aまとめ
- 障害福祉サービスにおいての取り扱い
について分かりやすく解説していきます。
訪問介護の同一建物減算(集合住宅減算)とは?
同一建物減算(集合住宅減算)では、同一建物などに居住する利用者へサービス提供を行った場合に訪問介護費が減算されます。
事業所と同一建物に居住する利用者へのサービス提供は、ヘルパーの移動時間がほぼ無いため、このことを適正に評価するために創設された減算となっています。
同一建物減算の減算率は下記のとおり、利用者数等により異なります。
要件 | 減算率 |
「同一敷地内建物等」にサービス提供した場合 | 10% |
「同一敷地内建物等」に50人以上の利用者が居住していてサービス提供した場合 | 15% |
「同一の建物」に20人以上の利用者が居住していてサービスを提供した場合 | 10% |
「同一敷地内建物等」と「同一の建物」の違いに注意してくださいね。
「同一敷地内建物等」の2つの定義
同一敷地内建物等の定義は下記の2つです。
- 訪問介護事業所と構造上または外形上、一体的な建物
- 訪問介護事業所と同一敷地内または、隣接する敷地にある建物のうち効率的にサービス提供できるもの
① 訪問介護事業所と構造上または外形上、一体的な建物
例えば下記のとおり。
- 建物の1階に訪問介護事業所がある
- 建物と訪問介護事業所が渡り廊下でつながっている
② 訪問介護事業所と同一敷地内または、隣接する敷地にある建物のうち効率的にサービス提供できるもの
例えば下記のとおり。
- 訪問介護事業所と同じ敷地内にある別棟の建物
- 訪問介護事業所と幅の狭い道路をはさんで隣接している建物
この①②に該当する建物に、利用者が1人でもいれば10%減算、利用者が50人以上いれば15%減算となります。
「同一敷地内建物等」に該当しないもの
同一建物減算は訪問介護によるサービス提供を「効率的に行えるかどうか」がポイントになります。
そのため下記の建物は減算対象外となります。
- 同一の敷地内であっても広大な敷地に複数の建物が点在する場合
- 隣接する敷地であっても道路や河川などにより隔てられていて、横断するために迂回しなければならない場合
「同一の建物」の定義
「同一の建物」とは、前述で解説した「同一敷地内建物等」以外の建物すべてを指します。
つまり訪問介護事業所と同一敷地内になく、隣接もしていない建物ということです。
同一の建物に利用者が20人以上いれば10%減算となります。
- 「訪問介護Aが併設するサービス付き高齢者向け住宅に居住する25人の利用者に対してサービス提供を行っていた。ある日訪問介護Aが閉鎖し、別の区にある訪問介護Bに利用者25人を移管し、訪問介護Bがサービス提供することになった。」(訪問介護Bは同一敷地内建物ではない)
この場合は「同一の建物に利用者が20人以上居住している」に該当するため、訪問介護Bは同一建物減算の対象となります。
同一建物減算の対象となる利用者の計算方法
同一建物減算の対象となる利用者数は、1ヵ月の利用者数の平均値を計算します。
その月の1日ごとの建物に居住する利用者の合計を、その月の日数で割って算出します(小数点以下は切り捨て)
「利用者数」は「サービス契約数」で計算する
賃貸住宅などでは月の途中で入退室が起こることも考えられるため「サービス契約数」を利用者数として計算します。
その月に1日でも利用しているなら「日々1人」で数えます。
また契約している利用者であっても、その月に一度もサービスを利用していない場合は省いてOKです。
同一建物減算に関する3つの注意点
訪問介護における同一建物減算については下記の3つに注意してください。
- 「建物」はサ高住に限らず、すべての建物が対象
- 両者の「運営法人」が異なっている場合も減算対象
- 利用者数には「総合事業」も含める
①「建物」はサ高住に限らず、すべての建物が対象
同一建物減算の対象となる建物は「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」だけではなく、すべての建物が対象となります。
例えば普通のマンションも対象ということです。
② 両者の「運営法人」が異なっている場合も減算対象
「建物の運営法人」と「訪問介護事業所の指定訪問介護事業者」が異なる場合も、同一建物減算の対象となります。
③ 利用者数には「総合事業」も含める
訪問介護事業所が総合事業も一体的に行っている場合は、総合事業の利用者も含めて計算します。
ただし、総合事業の訪問型サービス(介護予防訪問介護に相当するサービス)の利用者のみが対象となりますので注しておきましょう。
同一建物減算(集合住宅減算)の厚生労働省Q&Aまとめ
ここでは厚生労働省が発表している同一建物減算のQ&Aを訪問介護に関する部分のみまとめています。
※本記事の内容と重複する部分は省いてます。
悩みがちな質問ばかりですのでぜひ参考にしてみてください。
- 集合住宅減算についてはどのように算定するのか。
- 集合住宅減算の対象となるサービスコードの所定単位数の合計に対して減算率を掛けて算定をすること。
なお、区分支給限度基準額を超える場合、区分支給限度基準額の管理に際して、区分支給限度基準額の超過分に同一建物減算を充てることは出来ないものとする。 - 月の途中に、集合住宅減算の適用を受ける建物に入居した又は当該建物から退居した場合、月の全てのサービス提供部分が減算の対象となるのか。
- 集合住宅減算については、利用者が減算対象となる建物に入居した日から退居した日までの間に受けたサービスについてのみ減算の対象となる。
月の定額報酬であるサービスのうち、介護予防訪問介護費、夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護費については、利用者が減算対象となる建物に居住する月があるサービスに係る報酬(日割り計算が行われる場合は日割り後の額)について減算の対象となる。
なお、夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)の基本夜間対応型訪問介護費については減算の対象とならない。また、(介護予防)小規模多機能型居宅介護費については利用者の居所に応じた基本報酬を算定する。 - 「同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物」に該当するもの以外の集合住宅に居住する利用者に対し訪問する場合、利用者が1月あたり20人以上の場合減算の対象となるが、算定月の前月の実績で減算の有無を判断することとなるのか。
- 算定月の実績で判断することとなる。
障害福祉サービスにおける同一建物減算の取り扱い
私の訪問介護事業所では障害福祉サービス行っているんだけど・・・
障害福祉サービスにも同一建物減算はあるの?
結論としては障害福祉サービスでは「居宅介護のみ」同一建物減算があります。
減算要件は、本記事で解説した介護保険の訪問介護と同じ取り扱いでOKです。
その他、重度訪問介護や同行援護、行動援護には同一建物減算は存在していません。
まとめ
今回は訪問介護の同一建物減算について解説しました。
サービス提供責任者は加算に関する知識は必須です。
下記で訪問介護の『加算・減算』をわかりやすくまとめてますので合わせてチェックしてみてください。
※サービス提供責任者の仕事内容が知りたい方は下記をどうぞ。