
利用者さんから緊急で呼ばれて訪問介護サービスを提供しました。
これって緊急時訪問介護加算を算定しても良いのかな?
算定の要件を分かりやすく教えてほしい。
こんな疑問を感じている方は多いですよね。
ですが、「単なる緊急訪問」では緊急時訪問介護加算を算定できません。
簡単に考えて算定してしまうと不正請求になりかねませんので注意が必要です。
今回は
- 緊急時訪問介護加算とは?
- 具体的な6つの算定要件
- 良くある質問と答え
など緊急時訪問介護加算について網羅的に分かりやすく解説していきます。
訪問介護の「緊急時訪問介護加算」とは?
緊急時訪問介護加算は、利用者やその家族等からの要請によりケアマネと連携した上で、あらかじめ計画された予定外のサービス提供を行った場合に算定される加算です。(1回につき100単位加算)
緊急時訪問介護加算の「6つの算定要件」
緊急時訪問介護加算の具体的な算定要件は下記の6つです。
- 利用者、その家族等からの要請があった事実を記録している
- ケアプランに位置付けられていないサービスのみが対象
- ケアマネが「緊急訪問の必要性」を認めている
- 1回の要請につき1回のみ
- 緊急要請から24時間以内にサービス提供している
- 身体介護中心型のみが対象
① 利用者、その家族等からの要請があった事実を記録している
緊急時訪問介護加算は利用者、その家族等からの要請によるサービス提供が前提となります。
そのため要請があった事実を記録に残しておく必要があります。
- 緊急要請があった時間
- 緊急要請の内容
- 提供したサービス内容
- サービス提供時間
- 緊急時訪問介護加算の算定要件である旨
などを記録しておきましょう。記録は算定の根拠となりますので必須です。
② ケアプランに位置付けられていない場合のみ
「緊急」ですので、ケアプランに日常的に必要な介助として位置づけられているサービスは対象外となります。
例えば、ケアプランに排泄介助が位置付けられている場合、緊急要請があり排泄介助を行ったとしても原則算定はできないということです。
他にも単なる時間・曜日の変更も緊急時訪問介護加算の対象外と考えておきましょう。
③ ケアマネが「緊急訪問の必要性」を認めている
原則、緊急訪問の前にサービス提供責任者とケアマネが連携を図り、必要性を判断する必要があります。
ただしやむを得ない場合は、事後、ケアマネに報告し必要性が認められればOKです。
緊急時訪問の所要時間は、ケアマネが緊急要請の内容から訪問介護に要する標準的な時間を判断します。
この場合「2時間ルール」は適用されないため、前回の訪問介護からの間隔が2時間未満でも、それぞれの
所要時間に応じて算定できます。
④ 1回の要請につき1回のみ
緊急時訪問介護加算の算定は1回の要請につき1回が限度となっています。
⑤ 緊急要請から24時間以内にサービス提供している
要請から24時間を超えての訪問は、たとえサービスに入ったとしても算定できませんので注意をしておきましょう。
⑥ 身体介護中心型のみが対象
緊急時訪問介護加算は身体介護中心型サービスのみが対象となります。
生活援助サービスのみの緊急訪問は算定できません。
ただし身体介護に引き続いて生活援助を行う場合は算定可能です。
例えば
- ケアプランに排泄介助が位置付けられていない利用者から緊急要請があり排泄介助を行った。その際トイレ掃除も必要だったため生活援助も行った。
などの場合は身体1生活1+緊急時訪問介護加算として算定してOKです。(身体1生活1は例です)
他にも20分未満の身体介護でも算定可能となっています。
「頻回な緊急訪問」が続く場合は計画の見直しを行う
計画外の緊急サービスを求められることは、時として続くことがあります。
- 転倒、床から起き上がれない、予測できない失禁
- 急な体調の変化(発熱やケガ、不穏)
などにより緊急訪問が頻回になっている場合は、サービス自体の見直しを検討しましょう。
同じような求めが2回以上短期間で続くのであれば、ケアマネに相談しサービス担当者会議を開くと良いです。
ケアプランの変更、訪問介護計画の修正を行い、現時点での利用者の状態に合わせることが大切です。
計画外の加算算定が多発すると、予定していた単位数をオーバーする可能性もあります。ケアマネからするとそれだけで給付管理上のリスクが増えますので、やはりきちんとサービスの調整をするための相談はすべきだと言えます。
そもそも訪問介護が適しているのかどうか
緊急訪問が頻回になるケースは、訪問介護サービスが適していない可能性もあります。
- 例えば、認知症により家族が疲弊して緊急時訪問介護加算を頻繁に使う場合は、単発でサーピスを提供する訪問介護よりも、長時間見守りが出来るデイサービスなどが望ましいかもしれません。
- 寝たきり独居によって緊急時訪問介護加算を頻繁に使う場合は、常に介護を提供できる施設への入所やショートスティ、デイサービスなどが望ましいかもしれません。
このように、緊急訪問が増えるということは、在宅での生活が限界に近付いている可能性もあるのです。
緊急時訪問介護加算で良くある疑問と答え
ここでは緊急時訪問介護加算について良くある疑問と答えを紹介していきます。
(※厚生労働省:介護サービス関係Q&Aを参考に作成しています)
- ヘルパーの訪問時に利用者の体調急変により、ケアプランに位置付けられていないサービスを提供した場合は算定できる?
- 算定できません。この場合、ケアプランの見直しで対応するべきとされています。
- ヘルパーの利用日にケアプランに位置付けられてない時間に訪問依頼があり、時間変更後、予定していたサービスを提供した場合は算定できる?
- 単なる時間・曜日変更では算定できません。この場合もケアプランの見直しで対応するべきとされています。
- 利用者から自宅で体調不良になったから病院に連れて行ってほしいと要請があった。訪問予定日外にケアプランに載ってない通院介助を行った場合は算定できる?
- 算定できます。ケアプランに位置付けられていない身体介護中心型なのでOKと考えられます。
- 緊急時訪問介護加算を算定する場合「利用者の同意」は必要?
- その都度、利用者から同意を得る必要はありません。ただし契約時などに重要事項説明書にて加算についての説明を行い同意を得る必要はあります。
障害福祉サービスにおける「緊急時訪問介護加算」の取り扱い

私の事業所では障害福祉サービスも行っているんだけど
緊急時訪問介護加算ってあるの?
と疑問に感じる方も多いと思います。
障害福祉サービスの居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護では「緊急時対応加算」という同一の加算があります。
緊急時対応加算は1回100単位、算定要件は介護保険とほぼ同じです。
算定要件は下記のとおり。
- 介護計画に位置付けられていないサービス提供であること
- 利用者または家族からの要請が前提
- 要請から24時間以内にサービス提供を行うこと
- 一回の要請につき1回が限度(計、月に2回まで)
- 記録をしておく(要請があった時間、要請内容、サービス提供時間、緊急時対応加算の算定要件である旨など)
緊急時対応加算の場合、ケアマネ(障害福祉の場合は計画相談員)に「緊急訪問の必要性」を認めてもらう必要はありません。
最後に
今回は緊急時訪問介護加算について解説しました。
サービス提供責任者は加算に関する知識は必須です。
下記で訪問介護の『加算・減算』をわかりやすくまとめてますので合わせてチェックしてみてください。
※サービス提供責任者の仕事内容が知りたい方は下記をどうぞ。