生活援助のひとつである掃除。実際にヘルパーが居室の掃除をする機会は多いと思います。
しかし、すべての掃除が生活援助で認められているわけではありません。
そんななか、「仏壇の掃除をお願いしたい」と頼まれたら
- 仏壇の掃除はヘルパーがやっても大丈夫なの?
と疑問に思われた方もいるのではないでしょうか。
特に掃除はできることできないことが細分化しているので、わかりにくい部分ではあります。
今回は仏壇の掃除にフォーカスして解説していきます。
ヘルパーが仏壇の掃除をすることは認められていない
はじめに結論を伝えると
ヘルパーが仏壇の掃除をすることは認められていません。
掃除以外にも、
水やりや花の交換など、仏壇に関わることはすべて認められていないのです。
これには大きく分けて2つの理由があります。
①生活援助の範囲外
理由のひとつとして、生活援助の範囲外であるということが言えます。
仏壇の掃除は日常生活に支障が起きるとも考えにくく、普段行うべき家事の範囲外であるとみなされているため、ヘルパーが仏壇の掃除を行うことはできません。
②公的な制度での宗教的行為の禁止
理由のふたつめとして、公的な制度での宗教的行為の禁止が挙げられます。
日本国憲法には以下の条文が記載されています。
第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第八十九条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属さない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
簡単に説明すると、
「国や公的な財産は、特定の宗教団体のみに優遇してはいけない」
という内容です。
つまり
仏壇の掃除は特定の宗教の人にしか関係のない行為であり、公的な介護保険で支援することができないということです。
仏壇の掃除以外にも、仏壇に供えている花の交換や水やり、代わりにお線香をあげるなどの行為、通院等乗降介助の墓参りも同様の理由により、行うことはできません。
介護保険外で仏壇の掃除を検討
人によって仏壇の掃除は故人を尊ぶ大切な行為の可能性もあります。
介護保険で仏壇の掃除を行うことはできませんが、「仏壇の掃除をしたい」という要望は無視せずに共有をしましょう。
介護保険外での仏壇の掃除の対応はいくつかあります。
家族や知人にお願いする
家族や知人に頼ることのできる人がいる場合は、お願いするのも方法のひとつです。
「ヘルパーはなんでも掃除ができる」と思ってしまっている人も少なくないので、ヘルパーが仏壇の掃除をできない理由をしっかりと説明し、理解をしていただいた方が協力を得られるかもしれません。
ボランティアの活用
地域の社会資源でボランティア団体がある場合は活用するのも良いでしょう。
ボランティアというと無償のイメージもあるかもしれませんが、有償のボランティアも多くあるので、確認をしてからお願いをした方が安心です。
自費の訪問サービスの利用
介護保険制度で行えない支援を自費で行ってくれる訪問サービスがあります。
全額自費ということで割高になる可能性がありますが、痒い所に手が届くといったようなサービスを行ってくれる事業所もあります。
こちらも費用が発生するので、事前に問い合わせて確認をした方が良いでしょう。
まとめ
今回は仏壇の掃除について解説しました。
訪問介護の生活援助には「できること」「できないこと」の線引きが多くありヘルパーを悩ませますよね。
当サイトではリアルな現場でよくある25個をQ&A方式で解説した記事を公開しています。
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