訪問介護計画書を作ったんだけど、ケアマネに渡した方が良いのかな?
いちおうケアマネから言われたら訪問介護計画書を渡してるけど、提出を求めてこないケアマネもいるし、実際どうなんだろう・・・。
今回は、こんな疑問にお答えします。
サービス提供責任者をしている方であれば、訪問介護計画書をケアマネに渡すべきかどうかで悩んだことが一度はあるはず。現時点でモヤモヤされている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、訪問介護計画書をケアマネへ提出する義務があるか否かを、指定基準(省令)と照らし合わせて解き明かします。
加えて、本記事の後半で、訪問系障害福祉サービス(居宅介護や重度訪問介護など)においてはどうなのかも解説していますので、ぜひ最後まで読んでください。
訪問介護計画書とは
訪問介護計画書とは、訪問介護サービスにおける個別援助計画書のことで、「どのような援助目標のもと、どのような支援を、いつ、何回提供するのか」を具体的に示した書類を指します。
この訪問介護計画にもとづき実際の支援を提供しますので、いわば訪問介護サービスの土台となるものです。
なお、訪問介護計画書の作成は、サービス提供責任者の責務であり、ケアマネから交付されたケアプランに沿って訪問介護計画を立案・策定することとされています。
訪問介護計画書の作成方法について知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。
参考:【つかえる文例】訪問介護計画書の作成ガイド【書き方の完全版】
訪問介護計画書はケアマネに渡すべき?【義務はないが提出すべき】
結論からお伝えすると、訪問介護事業所には、訪問介護計画書をケアマネに渡す義務はありません。
厚生労働省通知によれば、ケアマネから求められれば訪問介護計画書を提出することに協力するよう努めるものとされており、「努力義務」の扱いです。そのため、仮にケアマネに提出していなかったとしても基本的には基準違反になりません。
ただし、当サイトヘルパー会議室では、以下2つの理由から訪問介護計画書をケアマネに提出することを強く推奨しています。
\ 2つの理由 /
- ケアマネ側には、訪問介護計画書の提出を求める義務があるから
- 自治体によっては、訪問介護計画書の提出を義務化しているから
順に解説していきます。
①ケアマネ側には訪問介護計画書の提出を求める義務がある
以下、居宅介護支援事業所の指定基準(省令)に示されているとおり、ケアマネは、ケアプランに位置付けているサービス事業所に対して個別サービス計画の提出を求める義務があります。
指定居宅介護支援の具体的取扱方針
第十三条 指定居宅介護支援の方針は、第一条の二に規定する基本方針及び前条に規定する基本取扱方針に基づき、次に掲げるところによるものとする。
十二 介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して、訪問介護計画(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号。以下「指定居宅サービス等基準」という。)第二十四条第一項に規定する訪問介護計画をいう。)等指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする。
つまり、訪問介護事業所側には訪問介護計画書を提出する義務はないが、ケアマネ側には訪問介護事業所に対して訪問介護計画書を提出するよう求める義務があるということ。
なんともちぐはぐ感が否めない構造となっていますが、ケアマネから提出を求められているのに訪問介護計画書を渡さないとなると信頼関係が崩れてしまいます。
書類関係がずさんな訪問介護事業所をケアマネは信頼しませんし、そんな事業所に対して今後、新規のサービス依頼をしようとも思わないでしょう。
またケアマネは、ケアプランと訪問介護計画書の整合性や連動性を確認する必要があります。
ですから、たとえケアマネから提出を求められなかったとしても、訪問介護計画書を作成したら速やかに渡すようにしましょう。
②自治体によっては訪問介護計画書の提出を義務化している
先に述べたとおり、訪問介護事業所にはケアマネに訪問介護計画書を渡す義務はありません。
しかし、これはあくまで厚生労働省が定めた指定基準(省令)に限られたことであって、自治体ごとに運用方法は異なります。
各自治体が、独自の規定を追加したり、省令の内容を変更したりすることが可能ですので、自治体によってはケアマネへの訪問介護計画書の提出を義務化している場合があります。(いわゆるローカルルールのこと)
例えば、大阪市ではケアマネへの訪問介護計画書の提出を義務化しており、加えて提出した証拠として記録を残すよう定めています。
このように地域差がありますので、指定基準だけでなく各自治体が独自に定めているローカルルールも確認が必要です。
私の訪問介護事業所は大阪市にあるのですが、数年前、実地指導が入った際に指摘されました・・・。かならず各自治体の運営指導課に確認してくださいね。
ケアマネに訪問介護計画書を渡した記録を残しておく
みなさんの訪問介護事業所が属する地域の自治体が、ケアマネへ訪問介護計画書の提出を義務化しているところなのであれば、きちんと提出した旨を記録しておきましょう。
例えば
- 訪問介護計画書の原本に「〇月〇日に●●ケアマネジャーへ提出済み」とメモ書きを追記する
- 支援経過記録に「〇月〇日に●●ケアマネジャーへ提出済み」と記載する
など、訪問介護計画書をケアマネに渡すたびに記録を残しておきます。
その他「訪問介護計画書の提出書兼受取書」を活用するのも方法のひとつです。
実地指導が入った際にも、この書類を見せればケアマネへ訪問介護計画を提出したと証明できるでしょう。
2部用意して、ケアマネ側と訪問介護側の双方で保管します。訪問介護計画書をケアマネに渡す際に、この書類を添付し、返送してもらってください。(※ケアプランの交付書兼受領書の訪問介護計画書バージョンです。)
※訪問介護計画書の提出書兼受取書のテンプレートを無料配布しています。
以下からダウンロードできますので、必要な方は使ってください。
訪問系障害福祉サービスの場合は?
訪問介護事業所の中には、居宅介護や重度訪問介護、同行援護などの訪問系障害福祉サービスもあわせて一体的に運営しているところも多いかと思います。
では訪問系障害福祉サービスの場合、介護保険の介護支援専門員(ケアマネ)的な立ち位置である相談支援専門員に対して個別支援計画を提出する必要があるのか?というと、サービス事業所側に個別支援計画を提出する義務はありません。
また、介護保険のケアマネは訪問介護事業所に訪問介護計画書を提出するよう求める義務があると説明しましたが、相談支援専門員については指定基準(省令)上、提出を求める義務すらありません。
もちろん相談支援専門員が作成するサービス等利用計画(ケアプラン)にもとづいて個別支援計画書を作成する必要はありますが、作成後に相談支援専門員への提出は基本不要です。
自治体によるローカルルールにより別途定められている可能性は否定できませんが、そのような自治体は極めて稀であると考えられます。
さいごに
今回は、訪問介護計画書をケアマネに渡す必要があるのか否かを解説しました。
指定基準(省令)上、訪問介護計画書を渡す義務はありませんが、基本的には作成したら速やかにケアマネへ提出するようにしましょう。
またローカルルール等の確認もかならず行い、必要に応じてケアマネへ訪問介護計画書を提出した記録を残すなどの対応を行ってくださいね。
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この機会に合わせてチェックしておきましょう。