
障害福祉サービスの介護給付費等の請求業務は、基本的に毎月発生するものであり、事業所の収益、つまり事業経営に直結するとても重要な業務です。
とはいえ、請求事務初心者からすれば複雑な業務に「どう進めればいいのか分からない…」と、戸惑う方が少なくありません。事業所が報酬の支払いを確実かつ円滑に受けるためには、正しい手順や仕組みをしっかりと把握しておく必要があります。
そこで今回は、居宅介護や重度訪問介護などの訪問系サービス事業所に向けて、障害福祉サービスの請求業務マニュアルを作成しました。本記事では、障害福祉サービスの請求事務に関する基本的な仕組みや流れ、具体的な方法までを初心者にも分かりやすく解説しています。
日々の事務作業をスムーズに進めるためのガイドとして、ぜひ本記事をお役立てください。

訪問系の障害福祉サービス事業所は、介護保険の訪問介護の指定も併せて受けているケースが多いはず。国保連への請求など大まかな流れは同じようなものなのですが、障害福祉サービスの請求業務は介護保険のそれとは勝手が違います。なので、このあたりも踏まえて読んでもらえるとより学びが深まると思います!
障害福祉サービスの請求業務とは|仕組みの基本

障害福祉サービスの請求業務は、サービスを提供した対価として、利用者負担額を「利用者」へ、利用者負担額を除いた介護給付費を「市町村」へ請求し、それぞれから支払いを受ける一連の手続きです。
事業所がサービスを提供した際、利用者からは原則として自己負担分(0~1割|負担上限月額あり)を受け取りますが、残りの費用(介護給付費9割~10割)は市町村へ請求する必要があります。
ただし、事業所が市町村へ直接請求書を送るわけではありません。月単位で請求情報をインターネットを介して「国保連(国民健康保険団体連合会)」に提出し、国保連を通じて市町村に請求する流れとなります。

国保連への請求は、介護保険の訪問介護の場合、インターネットでの伝送もしくは電子媒体(CD-R)による電子請求が原則とされています。一方、障害福祉サービスの場合はインターネットでの伝送のみで、CD-Rや紙での請求はできません。
関係機関等それぞれの役割を理解しておこう

請求の仕組みを正しく理解するためには、全体像と各機関の役割をしっておくことが大切です。
利用者を含めた関係機関がそれぞれどのような役割を担っているのかを整理しました。
| 利用者 |
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| サービス提供事業所 |
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| 都道府県等(指定権者) |
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| 市町村 |
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| 国保連(国民健康保険団体連合会) | 国保連は、サービス提供事業所と市町村の間に立ち、請求情報の受付や審査・支払事務を担う機関です。
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障害福祉サービスの請求業務の流れ|実務スケジュール

障害福祉サービスの請求業務は、サービスの提供から実際の給付費入金まで、おおむね2ヶ月越しで進行します。ここでは、日々の業務から国保連への請求・入金、そして返戻等があった場合の再請求までの流れを7つのステップに分けて解説します。

基本的にはステップ5までを毎月繰り返し、ステップ6・7は請求の状況によって行います。
Step1:契約、サービス提供

サービス利用の申し込みを受け付け、利用者と契約を行います。その後、個別支援計画(居宅介護計画や重度訪問介護計画)を作成し、当該計画に沿って日々のサービスを提供していきます。
障害福祉サービス受給者証の確認と記入

※受給者証の様式は市町村等によって異なります。
障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)は、介護保険で言うところの介護保険被保険者証のようなもので、支給決定を受けた内容を証するものとして市町村から交付される証票です。
受給者証には、受給者証番号や支給決定障害者等の氏名、居住地などの基本情報、支給決定内容、利用者負担に関する事項などが記載されています。
| 確認事項 | 障害者等から利用申し込みがあった際には、第一に受給者証により支給決定の有無や有効期間、支給量、負担上限月額、報酬の算定区分、対象となる加算項目等を確認します。また、その利用者が後術の上限額管理の対象者か否かの確認も必要です。受給者証内の「利用者負担に関する事項」欄に、該当の有無と上限額管理事務を行う事業所名が記載されています。
なお、支給決定の内容に変更があった場合は、市町村により受給者証への追記記入または新規の交付が行われますので、初回の確認以降も月次で受給資格が継続しているかどうかを確認しましょう。 |
| 記入事項 | 訪問系サービス事業所の場合は、「訪問系サービス事業者記入欄」に、契約内容をサービスの種類および区分ごとに次の事項を記入します。
|
市町村に契約内容を報告
つづいて、受給者証に記載した契約内容を市町村に報告します。(基準第10条)
報告は、契約内容報告書などの書面を用いて、契約完了後すみやかに市町村に提出してください。なお、契約内容の報告は、新規契約のほか、契約の終了または契約支給量の変更が生じた場合も必要です。
システムへの情報入力と更新
請求情報作成システム(簡易入力システムや市販のソフトウェア)に、事業所の情報や利用者の受給者証に記載されている情報を入力します。また、事業所情報・利用者情報に変更があった場合は、適宜更新します。
ここで情報の入力が間違えると、国保連への請求が通らず差し戻されてしまう場合がありますので注意が必要です。例えば、受給者証番号や市町村番号が間違えているなど、こうしたミスがないよう正確に入力してください。

障害福祉サービスは、後で解説していますが「電子請求受付システム」という全国標準のシステムで請求を行うことになります。
新規に指定を受けたサービス提供事業所など、電子請求受付システムをはじめて利用する場合は、以下の導入作業が必要です。
- 導入準備(利用申込書・口座情報の提出、テストユーザーIDの取得など)
- 電子証明書の発行申請・ダウンロード・インストール
- 基本ソフトウェアインストーラ・簡易入力システムまたは取込送信システム・サポートソフトウェアインストーラのダウンロードとセットアップ、
- 本番ユーザーIDの取得、仮パスワードの変更
などを経て本番運用となります。
難しそうに思うかもしれませんが、導入作業は、以下リンクの電子請求受付システムの「はじめての方」に掲載されている「電子請求をはじめる前に(PDF)」を確認し、手順に沿って進めれば問題ありません。
サービス提供記録の作成
サービス提供の都度、提供記録(実施記録や訪問記録など)とサービス提供実績記録票に記入し、利用者からサインや押印等により確認を受けます。
これらの記録は、後で作成する請求情報のもととなるものですので、漏れなく確実に作成しましょう。
■ サービス提供実績記録票の様式(訪問系のみ)
| 居宅介護 | 様式1 | ダウンロード(excel) |
| 重度訪問介護 | 様式3-1 | |
| 同行援護 | 様式19 | |
| 行動援護 | 様式2 | |
| 重度障害者等包括支援 | 様式4 |

サービス提供実績記録票は、月次で作成し、原則としてサービス提供の都度、利用者に対して記載内容を提示して確認を求めることとされています。基本的には一月分をまとめて確認してもらうといった方法は認められません。(指定権者によっては認められる場合もありますが…)
このため、「各様式を月初に利用者宅に置いておき、訪問の都度記入してサインか押印をもらう」→「その月のサービス終了時に回収、次月分を置いておく」というような運用が一般的です。
Step2:利用者負担の上限額管理業務

障害福祉サービスの利用者負担上限額管理(以下、上限額管理)とは、複数のサービス事業所を利用し、一月あたりの利用者負担額が設定された負担上限月額を超過する場合に、「どの事業所がいくら利用者から支払を受け、いくら国保連(市町村)に請求をするか」を管理、調整する事務のことです。
次の①~③すべてを満たす利用者がいる場合は、上限額管理事務が必要になります。
- 利用者負担上限額が0円でない方
- 一月に複数事業所を利用している方(※注1、2)
- 一月あたりの利用者負担額が設定された負担上限月額を超過することが予測される方
※注1)事業所番号が異なるものに限ります。
※注2)月の途中で利用するサービス事業所を変更した場合を含みます。
複数のサービス事業所のうち、いずれかが上限額管理事業所(上限額管理者)となり、負担上限月額を超えないよう管理、調整します。なお、1つの事業所のみを利用している場合は、負担上限月額を超えても上限額管理の必要はありません。
上限額管理業務フロー

上限額管理対象の利用者がいる場合、その月のサービス提供が終わったら、主に以下の業務を行います。
※下表「上」…上限額管理者|「関」…関係事業所
| 項目 | 対象 (上・関) |
行うこと |
| 負担額一覧表の作成/提出 | 関 | 事業所番号単位で利用者負担額を算出して「利用者負担額一覧表」を作成し、毎月3日(サービス提供月の翌月3日)までを目安に、障害福祉サービス受給者証に記載された上限額管理者に提出します。 |
| 負担額一覧表の受領 | 上 | 関係事業所から「利用者負担額一覧表」を受領します。 |
| 上限額の管理、調整 | 上 | 提出された「利用者負担額一覧表」に基づき、金額調整を行います。 |
| 上限額管理結果票の作成/送付 | 上 | 調整の内容に応じた「利用者負担上限額管理結果票」を作成し、毎月6日(サービス提供月の翌月6日)までを目安に関係事業所に送付します。 |
| 上限額管理結果票の受領 | 関 | 「利用者負担上限額管理結果票」を受領し、内容を確認します。 |
※上限額管理事務については、詳しく解説すると長くなってしまうためかなり省略しています。ヘルパー会議室より販売の「サ責白本」の購入特典で「障害福祉サービスの上限額管理マニュアル」を公開していますので、よければ購入をご検討ください。(複数児童や他の障害福祉サービスおよび障害児サービスについては取り上げていませんのでご注意ください)
Step3:請求情報の作成、国保連へ提出

その月のサービス提供が終わったら、日々のサービス提供で記入しているサービス実施記録とサービス提供実績記録票を回収し、これらの書類もとに、以下の請求情報を作成します。
- 介護給付費・訓練等給付費等請求書(様式1)
- 介護給付費・訓練等給付費等明細書(様式2)
- サービス提供実績記録票
- 利用者負担上限額管理結果票(※)
※)対象者がいる場合であって、自事業所が上限額管理者である場合のみ。
繰り返しになりますが、障害福祉サービスの場合、CD-Rや紙での請求情報作成および提出ができません。
請求情報は、国保中央会提供の「簡易入力システム」または「市販のソフト」を用いて作成し、サービス提供翌月の1日から10日までに国保連へ送信します。(市販のソフトウェアの場合は、後術の取り込み送信システムの介して送信)

請求の受付期間は、毎月「1日0:00」から「10日23:59」までになります。土日祝日も含み、10日が日曜日であっても変更はありません。11日以降は受け付けてもらえませんので注意してください。
ちなみに、介護保険の訪問介護では、ケアマネに実績を配布しますが、障害福祉サービスの場合は相談支援事業所に実績を渡す必要はありません。相談支援専門員はケアマネと違い給付管理をしないためです。
電子請求受付システムと作成ソフトウェアの関係

障害福祉サービスの請求は、大元となる「電子請求受付システム」と、実際の請求情報を作るための「ソフト」を組み合わせて使用します。
| 電子請求受付システム | 国保連とのやり取りの窓口となるシステム。すべてのサービス提供事業所が必ず使用することになります。
主な役割は、次のとおり。
このシステム自体で日々の請求情報を作るわけではなく、「作られた請求データを提出する窓口」であり、「国保連からの結果や連絡を受け取るポスト」のような役割を果たしています。 |
| 簡易入力システム | 国保中央会が提供しているシステム。このシステム1つで、請求情報の「作成」と、電子請求受付システムへの「送信」を一括で行うことができます。
※無償で利用可能。電子請求受付システムからダウンロードして、パソコンにインストールが必要。 |
| 市販のソフトウェア | 民間の各システム会社から販売されている介護・障害福祉業務用のソフトウェアです。(カイポケ、介舟、knowbe(ノウビー)など)
スケジュール管理や給与計算など、請求以外の便利な機能が備わっていることが多いですが、市販のソフトウェア自体には国保連へ請求情報を直接「送信」する機能が備わっていません。 |
| 取込送信システム | 国保連が提供しているデータ取込および送信専用のシステム。 簡易入力システム以外の「市販のソフトウェア」で請求情報を作成した場合に使用します。
市販ソフトで書き出した請求データをこのシステムに「取込」み、電子請求受付システムへと「送信」する役割を持ちます。 ※無償で利用可能。電子請求受付システムからダウンロードして、パソコンにインストールが必要。 |

介護保険であれば、市販ソフトから国保連に直接送信ができるのですが、障害福祉サービスの場合は、市販ソフトから直接送信ができません。ベンダー側に情報が公開されていないらしいです。
また、国保中央会提供の「簡易入力システム」は、無料で使えますし、かなり優秀なソフトウェアですが請求情報作成のみに特化しているため多機能ではありません。あと若干使いにくくミスが起きがちですので、基本的には市販のソフト+取込送信システムでの請求をおすすめしています。
個人的には、
- 安く済ませたい場合
⇒簡易入力システム - 訪問系障害福祉サービスと併せて介護保険の訪問介護を運営している場合
⇒カイポケまたは介舟+ケアウィング - 訪問系障害福祉サービスのみ、または併せて他の障害福祉サービスを運営している場合
⇒ノウビー(Knowbe)
が良いかなと思います!
国保連および市町村の審査
送信した請求情報は、まず国保連で「一次審査(事業所台帳(指定権者データ)や受給者台帳(支給決定、契約内容データ)の突合作業)」が行われ、その後、市町村等による「二次審査」へと進みます。
審査時に台帳情報との不整合や算定ルールの誤りがあると「エラー(返戻)」となり、給付費の支払いが差し戻されてしまいます。返戻となった場合は、サービス提供翌月末頃に審査結果の通知(返戻等一覧表と支払決定増減表)が来ますので、電子請求受付システムより確認し、次の請求期間に再請求ができるよう準備しましょう。
返戻等の原因が不明な場合は国保連へ問い合わせます。またエラーの内容によっては市町村や指定権者(都道府県等)への問い合わせも必要です。いずれにせよ余裕を持って再請求の準備を進めてください。
■ 国保連の一次審査結果の区分
| 正常 | 一次審査結果に問題がなく、市町村は結果を確認し介護給付費が支払われます。 |
| 警告 警告(重度) |
警告は、一次審査にて妥当性や適否を判断できないものを言い、市町村の二次審査にて返戻とするか介護給付費を支払うかの判定が行われます。警告(重度)は、市町村による確認が特に必要な区分になります。
なお、平成30年度下期以降、従来、「警告」とされていたコードのうち、事業所台帳や受給者台帳との不一致など、明らかにデータ間に不整合があるものについて、段階的に「エラー」への移行が進められています。 |
| エラー | エラーは、提出した請求情報に各種台帳情報との不整合や、報酬算定ルールに則していない場合の区分です。返戻(へんれい)となり、請求情報がサービス提供事業所に差し戻され、介護給付費の支払いは行われません。
返戻となった請求情報は、修正・再請求を行う必要があります。再請求後に改めて審査が行われ、問題がなければ「正常」にて介護給付費が支払われます。 |
■ 主な審査結果通知書類

これらの書類(PDFデータ)は、電子請求受付システム上でダウンロードして確認します。
その他、上記以外にも次の書類が通知されます。
- 福祉・介護職員処遇改善加算等総額のお知らせ
⇒福祉・介護職員処遇改善加算等の加算総額をサービス種類別に通知する帳票 - 事業所別支払明細書
⇒前年1年分の支払金額を通知するための帳票(年に1度のみ) - 過誤決定通知書
⇒過誤申立の決定状況等を市町村、受給者ごとに通知する帳票
月遅れ請求|請求権の消滅時効
月遅れ請求とは、サービス提供翌月の請求期間内になんらかの理由で請求を行わず、次月以降に請求を行うこでです。例えば、支給決定期間の更新時に市町村から受給者証の発行が遅れ、請求期間内に間に合わないといったことがあります。こうした場合は、当月分の請求情報を次月提供分の請求情報と併せて国保連へ送信(請求)します。
なお、障害福祉サービスに係る介護給付費の請求権の消滅時効の基本的な考え方としては、地方自治法第236条第1項に基づき「5年」が適用されます。(消滅時効が適用された請求情報に対する過誤申立の実施判断については、最終的には市町村の判断となります)
請求期間内であれば請求情報の差し替えが可能
国保連に送信した請求情報に誤りがあった場合は、期間内(サービス提供翌月1日~10日)であれば電子請求受付システムより請求情報の「取下げ」が可能です。
電子請求受付システムにログイン後、照会一覧ページより送信履歴(上記イメージ画像の②)が確認できます。該当の請求情報の「詳細」をクリックし、請求情報詳細ページより取下げボタンをクリックして請求情報の取下げを行います。(取下げボタンはサービス提供翌月1日~10日まで表示され、11日以降は表示されません)
請求情報の取下げ依頼後に、通常の手順で正しい請求情報を再送しましょう。

これは、毎月の受付期間内(1日~10日)に送信した請求情報の誤りがあった場合に、電子請求受付システムより請求取下げ依頼ができるというものです。前月以前に支払が確定した請求情報に誤りがあった場合は、Step6の過誤処理を行う必要があります。
Step4:利用者へ請求書・領収書を発行

国保連への請求完了後、利用者に対して負担額に応じた請求書を発行し、支払いを受けたら領収書を発行します。
支給対象と支給対象外を区分する
請求書・領収書は、法定の利用者負担額1割分とその他の費用(支給対象外サービスの費用)を区分し、明細を分けて作成します。
医療費控除について
利用者に対して提供したサービス内容が、医療費控除の対象となる障害福祉サービスの場合は、領収書に対象費用の額を記載する必要があります。
医療費控除の対象となるのは、医師との適切な連携をとって提供された「居宅介護(身体介護、通院等介助(身体介護を伴う)、通院等乗降介助)」、「重度訪問介護(身体介護部分)」、その他「介護福祉士等により喀痰吸引等が行われた場合」です。
※医療費控除の取り扱いの詳細や領収証の参考様式などについては、以下の事務連絡を参考にしてください。
⇒「障害者自立支援法制度下の在宅介護サービスに係る医療費控除の取扱いについて」
⇒「喀痰吸引等の対価に係る医療費控除の取扱いについて」
利用者負担を事業所判断で免除しては絶対にいけない
(利用者負担額等の受領)
第二十一条 指定居宅介護事業者は、指定居宅介護を提供した際は、支給決定障害者等から当該指定居宅介護に係る利用者負担額の支払を受けるものとする。(中略)
4 指定居宅介護事業者は、前三項の費用の額の支払を受けた場合は、当該費用に係る領収証を当該費用の額を支払った支給決定障害者等に対し交付しなければならない。
上記のとおり、障害福祉サービスの提供に係る利用者負担額は、必ず徴収しなければなりません。事業所の判断で免除するなどはできず、勝手に免除してしまえば重⼤な基準違反となります。

未収になっている利用者がいる場合は要注意です。
きちんと管理して、確実に回収しましょう。
Step5:国保連から介護給付費を受領

国保連および市町村の審査に問題がなければ、国保連よりサービス提供から翌々月第2週以降(大抵は15日~20日前後)にサービス事業所へ介護給付費が支払われます。
利用者に代理受領通知書を交付する

障害福祉サービスは、サービス事業所が利用者の代わりに市町村等へ請求事務を行って介護給付費を受領する「法定代理受領方式」を基本としています。ほぼすべての方が該当することになりますが、基準省令第23条に定められているとおり、法定代理受領により市町村から介護給付費の支払いを受けた場合、その額を利用者に通知しなければなりません。
この通知には「法定代理受領通知書」などの書面を用いて、毎月の介護給付費の受領後、利用者へ交付してお知らせします。なお、法定代理受領通知書に定められた様式はありません。市販のソフトを使っているのであれば、大抵の場合ソフト内で作成が可能です。
代理受領通知書は、請求書や領収書で代替できない
代理受領通知書は、請求書や領収書ではないため、これらの書類を交付しているからといって代替はできません。それぞれ発行・交付することになります。
また、この書類は、代理受領を行うと介護給付費の額を利用者が知る手段がないために通知する必要があるものですので、たとえ自己負担が0円の利用者であっても交付が必要です。
⇒障害福祉サービスの「法定代理受領通知書」ひな形テンプレート
⇒障害福祉サービスの法定代理受領とは?わかりやすく完全解説!

交付後は、通知を確実に行った証明として控えを保管しておきましょう。
Step6:過誤申立(支払済みの請求情報に誤りがあった場合)

前月以前に支払いが確定した請求に誤りが発覚したら、過誤処理を行う必要があります。
過誤処理とは、審査が通り支払いが確定した請求情報(明細書)を取り下げることです。過誤を行う場合、サービス提供事業所は、国保連ではなく「市町村」に過誤申立を依頼します。その後、必要に応じて修正した請求情報にて国保連に再請求を行います。
なお、過誤処理は前月以前に支払いが確定した請求が対象ですので、過誤の申立は、少なくともサービス提供から3ヶ月目以降でしか行えません。

市町村への過誤の申立は、市町村に過誤申立書などを書面で提出する場合や、オンラインで申請する場合などさまざまです。市町村のホームページを確認しておきましょう。
同月過誤と通常過誤
過誤申立は、再請求の提出時期によって、通常過誤と同月過誤に分かれます。
| 通常過誤 | 誤った請求の取り下げのみを行うもので、再請求が必要な場合は市町村による過誤申立の翌月以降に行います。 |
| 同月過誤 | 誤った請求の取り下げと再請求を市町村による過誤申立と「同月」に行うもの。 |

通常過誤か同月過誤かどちらで処理するかは市町村次第です。
同月過誤を原則としている場合もあり、市町村の運用により変わります。
過誤処理による金額調整
支払決定額=決定額-過誤調整額
※決定額は、当月の請求情報に対し確定した金額のことを指し、過誤処理と同一月に再請求情報の提出があった場合は、通常の請求情報と再請求情報(過誤処理に対する請求分)の決定額。
過誤調整がある場合のサービス提供事業所へ支払われる額は、その月の決定額と過誤処理による調整額とを相殺した額となります。
Step7:再請求(返戻分や過誤申立分の再請求)

返戻分や過誤申立分の請求情報を正しく修正し、請求期間内(毎月1日~10日)に再請求を行います。
ここで、返戻等一覧表の概要とよくある返戻パターンおよび対処法を紹介します。
返戻等一覧表の見方

返戻があった場合は、電子請求受付システム上に、サービス提供翌月末ごろに「返戻等一覧表」が通知されます。通知されたら、まずは返戻等一覧表に記載されている「種別」「サービス種類」「エラーコード」「エラー内容」から返戻の原因を確認してください。
そして、エラー内容に応じて介護給付費・訓練等給付費等請求書、明細書、サービス提供実績記録票などの請求書類を修正し、再請求を行います。
| 種別 | 審査でエラーとなった請求情報の種別が記載されています。
|
| サービス種類 | 返戻となった請求明細書等のサービス種類が記載されています。
※種別がサービス提供実績記録票の場合は、様式種別番号の先頭2桁が記載されます。(例:居宅介護であれば01) |
| エラーコード | 4文字のエラーコード(アルファベットと数字の組合せ)が記載されてます。 |
| エラー内容 | エラーの原因が記載されています。 |
よくある返戻一覧と対処法
■ 受給者証の番号や資格に関するエラー(EG02, EG20)
| エラーコード | エラーメッセージ |
| EG02 | 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の認定情報が登録されていません |
| EG20 | 資格:受給者台帳で受給資格を喪失している受給者です |
- 入力ミスや確認漏れ (EG02):請求明細書の「受給者証番号」や「市町村番号」が、実際の受給者証と異なっている場合に発生します。必ず受給者証を確認して正しく入力しましょう。
- 転居に伴う資格喪失 (EG20):利用者が他の市町村へ転出した場合、転出元の受給資格は喪失し、転出先で新たな受給者証が交付されます。古い受給者証番号のまま請求するとエラーになるため、新しい受給者証を確認して請求情報を修正してください。
■ 支給決定内容(サービス種別や期間)に関するエラー(EG03, EG13)
| エラーコード | エラーメッセージ |
| EG03 | 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の支給決定情報が登録されていません |
| EG13 | 資格:受給者台帳にサービス提供年月時点で有効な受給者の支給決定情報が登録されていません |
- サービスコードの不一致 (EG03):支給決定されていないサービス内容で請求した場合に発生します。例えば、「家事援助」しか支給決定されていない利用者に、「居宅における身体介護」のサービスコードで請求した場合などにエラーになります。受給者証の支給決定内容と対応したサービスコードを入力してください。
- 支給決定期間外・18歳到達 (EG13): サービス提供年月が、支給決定の有効期間外である場合に発生します。また、障害児が18歳に到達して「障害者」となった場合は受給者証番号異なる新たな受給者証が交付されますが、以前の番号のまま請求してエラーになるケースが多いため、18歳到達時は必ず新たな受給者証を確認しましょう。
■ 事業所の体制等(地域区分や加算など)の届出に関するエラー(EE01, EE20など)
| エラーコード | エラーメッセージ |
| EE01 | 受付:事業所台帳にサービス提供年月時点で有効な事業所情報が登録されていません |
| EE20 | 受付:「地域区分」が事業所台帳の登録内容と一致していません |
- 届出内容(事業所台帳)との不一致: 請求明細書に入力された地域区分や算定している加算が、都道府県等に提出した「体制等に関する届出」の内容と合致していない(届出がない、または内容が異なる)場合に発生します。
- 請求システム上で設定している事業所の地域区分や、算定項目(サービスコード)が、提出済みの届出内容と合致しているかを確認してください。特に、事業所の新規開設時や、報酬改定時に届出項目が変わった際、特定事業所加算や処遇改善加算を算定する場合などは設定漏れが起きやすいため注意が必要です。
■ 支給量の超過エラー(EG27, PP04)
| エラーコード | エラーメッセージ |
| EG27 | ※資格:請求明細書のサービス提供量が受給者台帳の「決定支給量」を超えています |
| PP04 | ▲支給量:請求明細書のサービス提供量の合計及び「契約支給量」の合計が受給者台帳の「決定支給量」を超えています |
- 単一事業所の請求明細書から算出した提供量が決定支給量を超過している(EG27)、あるいは複数事業所を利用しているケースで合計提供量や契約支給量が決定支給量を超えている(PP04)場合に検出されます。
- 訪問系障害福祉サービスは、その性質上、複数の事業者からの利用が想定されることから、利用者だけでなくサービス提供事業者も支給量の管理を行うこととされています。契約時や毎月の請求前に、決定支給量や契約支給量に対して実際のサービス提供量が超過していないか、必ず確認を行ってください。
■ 二重請求・重複に関するエラー(EC01, ED01)
| エラーコード | エラーメッセージ |
| EC01 | 受付:該当の請求情報は既に受付済、または請求情報内で重複する情報が存在しています |
| ED01 | 資格:該当の請求情報は既に支払確定済です |
- 同月内の重複送信 (EC01):同一月内で同じ請求情報を複数回送信した場合などに発生します。請求受付期間中であれば、電子請求受付システムから一度送信した請求情報の「取下げ」を行った上で、正しいデータを再送信してください。
- 支払確定後の再請求 (ED01):すでに国保連から支払いが確定している過去の請求に対して、そのまま再請求を行った場合に発生します。過去の誤りを修正して再請求する場合は、市町村等へ「過誤申立(取下げの依頼)」を行ってから再請求しましょう。
※参考|国民健康保険中央会「請求事務ハンドブック(令和6年5月版) 」

エラーの内容を見ても良くわからない場合や請求情報に誤りがないと思われる場合は、基本的に「受給者台帳」関連⇒市町村へ、「事業所台帳」関連⇒指定権者(都道府県等)へ問い合わせます。
大阪府の場合は「Oh!Shien」で10日を過ぎても請求情報を差し替えが可能

※大阪府国保連「事業所向けインターネット情報公開支援サービスOh!Shien」より
大阪府の事業所の場合は、大阪府国保連の独自システム「Oh!Shien(オーシエン)」にて『10日の翌営業日15:30ごろ~3営業日目16:00』までであれば請求情報の差し替えを行うことができます。
Oh!Shien(オーシエン)の利用に当たっては、初期設定を行う必要があります。詳細は、以下リンク先より導入マニュアルを確認してください。
⇒大阪府国保連「事業所向けインターネット情報公開支援サービス」

これは大阪府国保連の独自システムなので他の都道府県では使えません。
かなり便利なので大阪府の事業所さんはぜひ使ってみてください!(無料です)
さいごに
障害福祉サービスの請求業務マニュアルは以上となります。
本マニュアルでは、算定に関するルールや留意事項、請求明細の作成方法などには触れていませんので、こちらについては別途記事を書きます。その他、居宅介護や重度訪問介護などの訪問系サービス事業所の事務初心者にとって必要な基本情報はおおむね解説できてきるかと思いますので、ぜひ繰り返し読んでもらえればと思います。





