
訪問介護の「身体01」と「身体02」ってなに?
身体1と何が違うの?
それぞれの算定要件を分かりやすく教えてほしい。
こんな悩みを抱えている方は多いです。
訪問介護の身体01、02は身体介護の中でも特殊な立ち位置になるため理解が難しいですよね。
そこで今回は
- そもそも身体01、身体02とは?
- 身体1との違い
- 具体的な算定要件
- 算定する上で注意したい2つのポイント
について初心者の方にも分かりやすく解説してきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
訪問介護の身体01、身体02は「20分未満の身体介護」のこと
身体01、02は「20分未満の身体介護」のことを指します。
具体的には排泄介助や服薬介助、起床・就寝の介助など、定期的に必要な「短時間の身体介護」を想定し作られたサービスです。

なるほど。じゃあ01と02で何が変わるの?
身体01と身体02はざっくり言うと下記のような違いがあります。
- 2時間ルールが適用される20分未満の訪問介護
- 2時間ルールが適用されない20分未満の頻回の訪問介護
要は2時間ルールが適用されるかされないかの違いだと理解しておけばOKです。
算定要件の違いは後で詳しく解説します。
2時間ルールは前後2つの訪問介護サービスの間隔が2時間未満の場合、それぞれの所要時間を合算して算定する規定のことです。
例えば、下記を同日に提供する場合だと
- 利用者Aのサービス①…9:00~9:15
- 利用者Aのサービス②…10:00~10:15
所要時間を合算すると30分となるため、身体01×2ではなく「身体1」で算定となります。
より詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
身体1と身体01、02の違い
「身体01、02」と「身体1」は同じ身体介護の枠組みですが、算定時間に違いがあります。
身体01、02は20分未満の身体介護、身体1は30分未満の身体介護とされています。
また30分未満となっていますが、最低サービス時間が決まっていて、概ね20分以上のサービス提供で算定可能となっています。
なので20分未満は「身体01、02」、20分以上は「身体1」と理解しておけばOKです。
身体01、身体02の具体的な「算定要件」
ここでは身体01と身体02の具体的な算定要件を見ていきましょう。
「身体01」の算定要件
身体01は平成25年介護報酬改定から『要介護の利用者であれば、すべての訪問介護事業所で算定可能』となっています。
「身体02」の算定要件
身体02を算定するためには「事業所の体制要件」と「利用者要件」をクリアする必要があります。
事業所の体制要件
- 24時間体制で利用者、その家族からの電話等による連絡対応が常時できる
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の指定を受けている
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の受ける計画を立て、実施する予定がある(この場合、要介護3~5までの利用者のみサービス提供が可能)
- 「介護給付費算定に係る体制等状況」届を提出している
利用者要件
- 要介護1・2であり認知症高齢者の日常生活自立度がⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Mに該当している
- 要介護3~5であり障害高齢者の日常生活自立度がB~Cに該当している
- 3カ月に1回以上サービス担当者会議を開催し、かつサービス提供責任者が出席している
- サービス担当者会議で1週間のうち5回以上、頻回の訪問を含む20分未満の身体介護が必要だと判断されている
このように身体02は複雑かつ細かな算定要件が定められていますので、提供予定があるならしっかりチェックしておきましょう。
身体01、身体02を算定する上で注意したい2つポイント
訪問介護の身体01、身体02を算定する際には下記の2点に注意してください。
- 単なる安否確認などでは算定できない
- 引き続いて生活援助を行う場合の取り扱い
① 単なる安否確認などでは算定できない
前述のとおり、20分未満の身体介護は排泄、起床、服薬介助などの定期的に必要な短時間の身体介護を想定しています。
そのため単なる「安否確認」や「健康チェック」のみの若干の身体介護では算定ができませんので注意しておきましょう。
② 引き続いて生活援助を行う場合の取り扱い
基本的に20分未満の身体介護に引き続いて生活援助を行うことは認められていません。
たとえ身体01に引き続いて生活援助を行ったとしても身体01の介護報酬しか算定できないということです。
ただし、緊急時訪問介護加算を算定している場合のみ生活援助を算定できます。
考えられるケースとしては下記のとおり。
ケアプランに排泄介助が位置付けられていない利用者から排泄介助要請があり緊急訪問。排泄介助を行う。トイレが汚染されていたのでトイレ掃除も行ってサービスを終了した。
このような場合は身体01生活1として算定可能となります。
緊急時訪問介護加算は、利用者やその家族から緊急で介護要請があった場合に提供したサービスへの加算を指します。
詳しくは下記を参考にしてください。
>> 訪問介護の緊急時訪問介護加算とは?算定要件や注意したいポイント
20分未満の身体介護を実施するメリット
生活援助は一番短い時間だとしても、20分以上45分未満の「生活援助2」になりますが、身体介護に関しては20分未満の支援が認められ、訪問介護の中でも特殊な立ち位置になっています。
では、20分未満の身体介護はどのような支援を前提に創られ、どのようなメリットがあるのでしょうか。
身体介護=「重労働」「長時間の介助」とは限らない
身体介護と聞くと「重労働」や、「長時間の介助」のようなイメージが強いかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
確かに入浴介助などは時間もかかるし大変かもしれませんが、服薬の見守りなど短時間で終わるものも身体介護として算定されます。
そのような身体介護ではあるものの長時間はかからず、なおかつ利用者にとっては必要不可欠な支援を適切に行うために創られたという背景があります。
過去には無理やりサービスを追加せざるを得ない状況も
以前は20分未満という短時間の身体介護は存在していませんでしたが、現在と同じく短時間でも身体介護を必要とする利用者はいました。
そのような状況で、訪問介護事業所側としては支援に入るために他のサービスを組み合わせて無理やりサービスを追加せざるを得ない状況もありました。
例えば「本来は服薬介助のみで良いサービスに排泄介助を追加する」などです。
20分未満の枠組みができたことにより、無理にサービス内容を追加せずに適切な支援を行うことができるようになったと言うわけです。
利用者や家族にとってのメリットも大きい
20分未満で身体介護の支援を受けられることは、利用者にとっての利点も大きいと言えます。
厚生労働省では、下記のような情報を公表しています。
【20分未満の身体介護の利用者への効果】
利用者にとっての効果としては、持家の場合は「家族の負担軽減につながった」「本人・家族の安心感が高まった」が多く、サービス付き高齢者向け住宅等では「1日の生活リズムが整った」「本人・家族の安心感が高まった」が多く、住居形態による差がみられた。
持家の場合の「家族の負担軽減につながった」というのは、長時間かかって大変な介助だけが家族を悩ませているのではないというのが伝わるかと思います。
また、サービス付き高齢者向け住宅等の「1日の生活リズムが整った」は、利用者にとって必要なタイミングで適切な身体介護が入ることができるようになったからではないでしょうか。
このように、20分未満の身体介護は利用者や家族にとってメリットが大きいと言えます。
さいごに
今回は訪問介護の「身体01」「身体02」について解説しました。
(本記事の参考資料)
当サイトではヘルパー、サービス提供責任者の『初心者向け業務マニュアル』を無料公開しています。
この機会に下記からチェックしておきましょう。
※ホームヘルパーの仕事内容を知りたい方は下記をどうぞ。
※サービス提供責任者の仕事内容が知りたい方は下記をどうぞ。