訪問介護で働きだして間もない初心者ヘルパーです。
今度、はじめて食事介助をすることになったけど、一人でうまく介助できるか不安…
注意点やコツがあれば教えてほしい。
ヘルパー会議室では、こんな悩みを解決すべく訪問介護の「食事介助マニュアル」を作成しました。
本マニュアルは、初心者ヘルパー向けに食事介助の基礎知識や実践手順をわかりやすく解説した入門書です。
本マニュアルを読むことで、訪問介護における食事介助の進め方が理解でき、実際の現場で利用者それぞれに合わせた介助を行う際に役立ちます。
ぜひ本マニュアルを参考に日々の業務にご活用ください。
本マニュアルは、介護サービス情報公表により求められている食事介助マニュアルや事業所内で行う研修の資料としても使えます。管理者やサ責も参考にしてくださいね。
研修テーマ集:【研修資料つき】訪問介護のヘルパ-勉強会テーマ38案
訪問介護の食事介助とは?
訪問介護の食事介助とは、その名のとおり要介護状態にある利用者に対してヘルパーが食事に係る援助を提供する身体介護サービスです。
食事をのどに詰めずに飲み込めるか横に付いて見守る支援から、食べにくいところだけを手伝う一部介助、そしてヘルパーがすべて口に運ぶ全介助。など、利用者個々の状態に応じた方法で食事の介助を行います。
全介助となると在宅領域では比較的重度であると言え、ヘルパーが受け持つケースとしては少ないかもしれません。しかし、いずれの介助方法であるにせよ、食べ物がのどにつまることによる窒息や誤嚥など介護事故の発生リスクが潜んでいるのが食事介助の場面です。
そのため、介助を担うヘルパーには利用者の状態を的確に見極めるアセスメント力や適切な介助技術・知識を備えておくことを求められます。
食事介助の本質は食べる楽しみを味わってもらうこと
食事は、単に栄養を補給することだけが目的ではありません。
「おいしかった!」と食べる楽しみを味わい、満足してもらうことが大切です。そのためにヘルパーは、加齢や障害により一人での食事が難しくなっている利用者に対して、さまざまな工夫を凝らす必要があります。
人が「おいしい」と感じるのは“味”だけでなく、五感を使って感じるものです。
例えば
- 視覚…盛り付け、食器は食べ物の色が認識できるものを使う(食べ物と同色の食器を使わない)
- 味覚…食べたいものや好みのもの、旬のものを使用する
- 聴覚…「コトコト、トントン」など調理時の音、「ポリポリ」など噛む音を感じられる
- 臭覚…おいしそうな香り、ミキサー食などはシーズニングで香りづけする
- 触覚…噛みごたえ、舌触り、口当たりが良いものを提供する
など少しの工夫でおいしく食事を食べてもらうことができます。
加えて、危険がなければ食事中に会話が弾むような雰囲気づくりをすると、より楽しい食事になるでしょう。
満足感が得られれば生きる意欲も高まり、生活の質(QOL)の向上につながります。
栄養補助食品を活用することも
高齢になると身体が変化し、若い頃のように栄養バランスの良いものを時間どおりに摂取することが難しくなります。また味覚の変化、消化器官の衰えなどもあるでしょう。
とはいえ、実際の介護現場では、毎食きちんとした量をしっかり食べさせてほしいと望まれる家族もおり、ヘルパーとしては葛藤するケースもあるかと思います。
しかし、食事介助の本質とは先のとおり「食の楽しみを味わってもらうこと」であり、食べる量や嫌いなものを無理強いし押し付けてはいけません。
食事量にムラがあっても一日トータル1500㎉を目安とし、これが摂取できていれば良しとします。
食の細い方には医薬品として処方される高カロリーの栄養ドリンク(エンシュア、ラコールなど)や、メイバランスなど市販の栄養補助食品なども豊富にあります。
それらを上手に組み合わせて利用者に負担なく、おいしく楽しく食事を摂っていただけるよう支援をしていきましょう。
栄養補助食品を活用する場合は、医師やケアマネなどと連携しながら進めてくださいね。
訪問介護の食事介助9つの基本
訪問介護の食事介助は、以下9つの基本にもとづき実施します。
これらはひとつでも欠けると安心安全で適切な食事介助を行えません。必ず押さえておきましょう。
\ 食事介助9つの基本 /
- 食べ物の好き嫌いや味付けの好みの把握
- 既往歴や障がいの有無の確認
- 自立支援を取り入れた介助方法の実践
- 食事動作に関するフィジカルアセスメント
- 食事の基本姿勢
- 嚥下力に合わせた食形態の提供
- 寝食分離
- 声かけ
- 急かさない、焦らない
基本①:食べ物の好き嫌いや味付けの好みの把握
利用者各々にこれまで生きてきた歴史があり、食べ物の好き嫌いは“そのひとらしさ”の表現でもあります。
また同じ食材を使用しても味付けや調理方法の好みは人によって違います。生まれた地域、食事の習慣などによっても異なるでしょう。
一概には言えませんが、昭和の時代を生きてこられた利用者は、あんパンやまんじゅうなどあんこの入ったもの。寿司、ウナギ、漬物などは共通してお好きなようです。
疾患によっては塩分や食材に制限があることもありますが、利用者の好き嫌いを把握することで食欲の増進を図りましょう。
基本②:既往歴や障がいの有無の確認
利用者がもともと持っている病気やその治療経過、障害の有無を把握します。
先のとおり疾患による食事制限・水分制限があったり、脳梗塞後の後遺症によるマヒがあったり、認知症による見当識障害があったり、と利用者によってさまざまです。
これらの把握は、提供する食事内容や介助方法を決定する際に欠かせない情報となります。
たいていの利用者は何かしらの処方薬を服用しており、食事介助と服薬確認・介助をセットで行うケースがほとんどです。そのため、処方薬の内容と食前・食後などいつ服用するのかも把握しておく必要があります。
また、薬の中には食べ合わせの悪い食事もあり、誤って提供してしまうと体調の急変や疾患の悪化、最悪の場合、命にかかわるケースも少なくありません。
事前にその利用者の服薬状況を把握するとともに、食べ合わせについても主治医等に確認してください。
基本③:自立支援を取り入れた介助方法の実践
介護保険の基本理念は、「自立支援」。
利用者自らできることを減らさず、可能であれば増やしていけるよう支援するのがヘルパーの役割です。
ですからヘルパーは、本人ができることの手助けは基本行いません。手厚いサポートは、本人にとって楽ではありますが、残存機能の低下を招き、さらには自らの生活を主体的に生きる意欲も同時に失われてしまいます。
食事とは、排泄や更衣などの他の日常生活行為と同じように、できるだけ最期まで自力でとりたいものです。
その利用者に残存機能が少しでもあるのなら、その機能を活かした支援の方法を検討、実践しましょう。
基本④:食事動作に関するフィジカルアセスメント
自立支援を適切に実践するためには、利用者の身体機能をきちんと見極めるアセスメントが必要です。
アセスメントの実施にあたっては、まず食事という行為を以下7つに分解し、動作ごとに捉えます。
つづいて、分解した動作ごとに利用者の現有能力と照らし合わせて評価し、介助方法を決めていきます。
- STEP1①イスに座る
イスに座るために必要な身体機能は、座位保持が可能かどうかです。
可能であればイスに座ってもらう、困難であればベッドの背もたれを上げて座位保持が可能かを評価しましょう。
食事時の姿勢については次項「基本姿勢」を参考にしてください。
- STEP2②食べ物を視認する
食べものを視認するために必要な機能は、視力の衰えがないかです。
視覚障害のある利用者の場合、食べものの位置やメニュー、熱いか冷たいかが分からないためヘルパーが説明をする必要があります。食卓の上を時計に見立て、手前は6時・正面向こうは12時・右斜め向こうは2時、といった具体に食事の位置を説明する“クロックポジション”を用いると分かりやすいでしょう。
- STEP3③箸やスプーンを持つ、⑤食器をもつ、⑥食べ物をつかむ
箸やスプーンなどの食器を持つ、食べものをつかめるかどうかは、自力での摂取に必要な能力です。
それぞれの動作に問題がなければ自力で行ってもらうよう促します。
手の振戦があったり、指の関節に拘縮があったりするとうまく物を掴んだり握ることができません。この場合は、握りやすい形状の箸やスプーンの自助具、福祉用具を活用してできるだけ自力で食べていただけるように工夫をします。
また、手の振戦が強いと水分や汁物などをこぼしやすいため、すくいやすい皿や、持ちやすい取っ手のついたコップなどの自助具を使用すると良いでしょう。
- STEP5④食器まで手を伸ばす、⑦食べ物を口へ運ぶ
食器まで手を伸ばし、食べものを口に運ぶために必要な機能は、「腕の曲げ伸ばし」や「肩の上下・前後動作」、「首の前後・左右・回す動作」が可能かどうかです。
それぞれの動作に問題がなければ自力で行ってもらうよう促します。
片マヒがあり健側だけ動かせる場合は、介助者が食器を支えるなど、できないところを介助します。首が曲がりにくい場合は、前方がくびれている飲みやすいコップなどを使用するのも良いでしょう。
このようにアセスメントすることで、できる動作は利用者自ら行ってもらい、できない動作をヘルパーが介助または福祉用具を活用するなど、残存機能を活かした安全な食事介助を行えます。
また利用者の状態は、日々変化し、できること・できないこともその時々によってムラがあるものです。手の震え、関節拘縮、痛みがある場合は、決して無理をさせずに配慮して介助にあたってください。
参考:訪問介護の「自立支援」実践ガイド【考え方と展開方法を4ステップで解説】
基本⑤:食事の基本姿勢
食事時の姿勢は、食器まで手を伸ばしたり食べ物をつかんだりする動作や食べ物を咀嚼し飲み込むことに大きく影響します。食事介助にあたってヘルパーは、利用者の姿勢にも目を配らなければなりません。
イスに座って食事をとる際の基本姿勢
- 背筋はまっすぐ
- 首の角度は20度~30度(やや前かがみ)
- 足の裏はかかとまで床につける
- あごを引きすぎると食道が狭まり飲み込みづらくなるため注意
- 顔が上向き加減になると誤嚥の危険性があるため注意
ベッド上で食事をとる際の基本姿勢
- ベッドの背もたれは45度~60度
- 首の角度は枕やタオルで調整する
- あごを引きすぎると食道が狭まり飲み込みづらくなるため注意
- 顔が上向き加減になると誤嚥の危険性があるため注意
基本⑥:嚥下力に合わせた食形態の提供
誤嚥などの介護事故を防ぐためには、利用者の嚥下力に合わせた食形態の食事を提供する必要があります。
そのために重要なことは、嚥下のメカニズムを理解した上でしっかり観察することです。
嚥下のメカニズムと観察のポイント
嚥下(えんげ)とは、食べ物や飲み物を口から胃に向けて移動させるための過程を指し、嚥下のプロセスは先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5つの段階に分けられます。
- STEP1先行期
先行期は、食物が口に運ばれる直前の準備段階です。
その食べ物がどのようなものであるかを視覚や臭覚、以前の記憶などから認知し、どのようにして食べるのか、例えば一口の大きさや食べる速さ、噛む力を判断する過程になります。
先行期の段階では、
- 一口の量が多すぎないか
- 熱いものを冷ますなど、食べ物の温度を認識できているか
- 片側のみ食事を残すなどはないか(高次脳機能障害による反空間無視などによるもの)
などを観察しましょう。
- STEP2準備期
準備期は、食べ物を口へ入れ、咀嚼し飲み込みやすい形(食塊)をつくる飲み込み前の準備段階です。
準備期の段階では
- 十分に咀嚼できているか
- 口が閉じることができているか(口から食べ物がこぼれていないか)
- 義歯が合っているか
などを観察しましょう。
- STEP3口腔期
口腔期は、舌を使って上あごに食べ物を押しつけ、食塊をのどへ送り込む段階です。
口腔期の段階では
- 食塊をうまく飲み込めずいつまでたっても咀嚼していないか
などを観察しましょう。
- STEP4咽頭期
咽頭期は、食塊を嚥下反射によってのどから食道まで送る段階です。
嚥下反射とは、食塊を飲み込む際に鼻腔や気道を閉じ、食塊が気管に入らないようにするために無意識に起こる反射を指します。
咽頭期の段階では
- 飲み込もうとしても飲み込めないことがないか(何度も飲み込む動作を行っていないか)
- ムセはないか
を観察しましょう。
- STEP5食道期
食道期は、食塊を食道の蠕動運動により胃へ送りこむ段階です。
食道期の段階では
- のどに詰まったような感覚や異物感はないか
- 飲み込んだ食後に嘔吐することはないか
を観察しましょう。
嚥下機能を評価する際には、医師や管理栄養士、作業療法士、言語聴覚士など専門的な知識を要する専門職と連携を図りながら進めてください。
食形態の種類
嚥下機能が低下した利用者に提供する食形態は、以下の6種類に分けられます。
これらから利用者個々に適した食事形態を提供しましょう。
ゼリー食
- なめらか(均質性が高い)
- べたつかない
- まとまりが良い
- 柔らかい
- スプーンで簡単にスライス状にすくえる
咀嚼や食塊にまとめるといった口腔操作は必要なく、若干の送り込み能力が備わっている人に提供します。薄くスライス状にし、そのまま丸呑みできる食形態です。
ピューレ食
- 半液体状
- 水分が多い
- スプーンですくえる
咀嚼能力を要しない食形態です。送り込み能力が残存している人に提供します。
ピューレ食はペースト食やミキサー食と同等に説明されることが多いのですが、特徴として水分量の多さがあります。嚥下レベルに応じてとろみをつけて提供しましょう。
ペースト食
- ケチャップ状のとろみがある
- 食品の水分が少ない
- 食材の原型がない
- スプーンですくえる
煮詰める過程があるため、水分量は少なく粘度が高い食形態です。口腔内でまとまりやすいため、若干の送り込み能力があれば摂取できます。
ミキサー食
- ポタージュ状のとろみがある
- 水分が多い
- 食材の原型がない
- スプーンですくえる
ペースト食より水分が多く、粘度の低い食形態です。送り込み能力があれば摂取できます。
ソフト食
- 舌や歯槽間で容易に押しつぶせる
- 口腔内でまとまりやすい
- 離水が少ない
- スプーンで容易に切れる
- 食材の形がある
歯がなくても舌と口蓋間の押しつぶせる食形態です。食材をミキサーにかけ、とろみ剤等を使用し成形しています。そのため、見た目が良く食の楽しみを感じやすいのが特徴です。
きざみ食
- 5㎜~1㎝程度に刻む
- 食材の形がある
口が開きにくい人も食べやすい食形態です。
パラパラして口腔内でまとまりにくいため、唾液量が少ない人や送り込み能力が低い人には向きません。あんかけにする等して飲み込みやすく調整しましょう。
※嚥下食の作り方については、以下のコラムで詳しく解説していますのでこちらを参考にしてください。
参考:訪問介護の調理マニュアル
基本⑦:寝食分離
基本的に、寝る場所と食事の場所は別にするのが望ましいと言えます。
寝るときも食事のときも一日中ベッド上で過ごすとなると、生活にメリハリがなくなり意欲も低下してしまいます。
可能であれば食事のときだけでも食卓へ移動するなど寝食分離を心がけましょう。環境を変えることで「食事をしよう」という意識も自然と高まります。
また座位保持が難しくベッドで食事をとる場合であっても、光の加減を調整するなど、できるかぎり食事の場所らしく環境を整えることも大切です。
基本⑧:声かけ
声かけは食事介助に限らず、すべての介助の基本です。
「今日は○○さんのお好きな肉じゃがを用意しました。これから食べましょうか」などと利用者へ声をかけ、同意を得てから実施します。
開始時のみならず食事中も「味付けはいかがですか?」「しっかり噛んでくださいね」などと声をかけながら介助を進めましょう。
また認知症による見当識障害がある方の場合、時間の感覚がなくなることがあります。こうしたケースでは、「夕ごはんですよ」などと朝・昼・夕、いつの食事なのかを伝えるようにしてください。
それにより今が朝なのか昼なのか夜なのかを自覚でき、生活リズムを整える一助となります。
基本⑨:急かさない、焦らない
訪問介護は、限られた時間の中で食事介助だけでなく他の業務も行います。
そのため、時間に追われることも多く、つい食事を急かしてしまいたくなりがちです。しかし、焦って食事介助を行うと、のどに食べ物をつまらせたり誤嚥を引き起こす可能性があるため細心の注意が必要です。
原則として、きちんと食べ物を飲み込んだかを確認してから次の食べ物を口へ運ぶ、など利用者のペースに合わせて食事の介助にあたります。
食事介助の時間が十分にとれないのであれば、他の業務を短縮する、あるいはサービス提供責任者に相談し計画自体を見直すなどを検討してください。
訪問介護の食事介助の手順を12ステップで解説
では、ここからは訪問介護における食事介助の実践的な手順を12ステップで解説します。
わかりやすいように食前・食中・食後に分けて説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
食前の手順
- STEP1覚醒度のチェック
- きちんと目が覚めているか、ボーっとしていないかなど覚醒度を確認する。(とくに朝食前は眠剤の影響などで半覚醒になりやすい傾向あり)
- 半覚醒状態であれば、声かけし温かいおしぼりで手や顔を拭いてもらうなどを行う。
- STEP2食欲の確認
- これから食事をすることを説明して同意を得る。
- 「お腹は空いているか」「食欲がなければ、どんな物なら食べられそうかを訊ねる」など、利用者の状態と意向を確認する。
- STEP3準備、食事場所の環境整備
- 座位保持が可能な利用者なら寝室から食卓へ移動、高さの合ったテーブルと椅子に座ってもらう。
- 食事用タオルやティッシュペーパー、必要があればエプロン、食器や箸スプーン、自助具などの物品の準備。
- 手を洗い消毒をする、エプロンなどを身につけるなどヘルパー自身の身支度、清潔動作。
- 食事に集中できるよう利用者へ声かけし排せつを事前に済ませる。
口腔体操“あいうべ体操”や“パタカラ体操”などは、声を出してもらうことで唾液の分泌を促進し、嚥下をしやすくする効果があります。食事の前に促してみましょう。
(1)あいうべ体操
あいうべ体操は、上記図にとおり
①「あー」と口を大きく開ける
②「いー」と口を大きく横に広げる
③「うー」と口を前に突き出す
④「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
の①~④を1セットとして1日30セット行うと良いとされています。(※声を出す出さないはどちらでもOK)
(2)パタカラ体操
パタカラ体操は、上記図のように「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を1音ずつはっきり発音することを繰り返しす、あるいは「パパパパパ」「タタタタタ」「カカカカカ」「ラララララ」と3回程度繰り返し発音します。
- STEP4食事姿勢の確保
- 利用者の状態に応じて、基本姿勢を参考に適切な姿勢になってもらう。
- 片麻痺がある場合は、麻痺側にクッションを挟むなどで対応する。
- 片麻痺がありベッド上で介助を行う場合は、麻痺側の肩や背中に枕やクッションなどを挟み健側を下に、軽度側臥位になってもらう。
食事提供の手順
- STEP5配膳、メニューの説明
- 提供する食事を配膳し、メニューを説明。
ヘルパーのポジショニングイスに座っての介助姿勢
- 利用者の横あるいは斜め前に座り、目線を合わせます。立ったままの姿勢で介助しないようにしましょう。
べット上での介助姿勢
- 利用者の上半身のベット横あるいは斜め前に座り、目線を合わせます。
- 片麻痺がある場合は、軽度側臥位で上になっている麻痺側に座り、健側の口から食べものを運びます。
- STEP6摂食の介助
- 食べ物を口へ運ぶ前に、お茶や汁物などの水分でのどのとおりを良くして嚥下のウォーミングアップを図る。(嚥下機能に応じてとろみをつけるなどにて対応)
- 利用者の好みや食べるペースに合わせて、主菜、副菜とバランスよく口に運ぶ。
- のどぼとけが上下し、ゴックンと飲み込めたことを確認してから一口ずつ口に運ぶ。(一口の目安は小さじ一杯)
- 大きな固まりが飲み込めない場合、箸やスプーンで食べやすいよう皿の上で一口大に分ける(魚の身はほぐす、固いものはつぶして口に運ぶ)
- 箸やスプーンは必ず下から口へ運び、ややうつ向いた姿勢で食べてもらうよう介助する。(誤嚥防止のため)
摂食介助の時間摂食の介助は時間をかけすぎると利用者が疲れてしまいます。基本的には、30分~40分程度を目安としましょう。
食後の手順
- STEP8服薬介助
- 食後にお茶など水分摂取を促し、口腔内に食べものが残っていないかを確認する。(片麻痺がある場合、麻痺側に残渣物が残りやすいため念入りに確認が必要)
- 食後の薬があれば服薬介助・確認を行う。(食前薬がある場合はstep6にて服薬介助・確認)
- STEP9口腔ケア
- 歩行が可能であれば洗面台まで移動し、歯磨き、義歯洗浄、うがいを行う。
- 歩行が難しい場合はイスまたはベッド上にて実施する。
- STEP10安楽な姿勢の確保、気分の確認
- ベッドの場合は背もたれを30度~45度にギャッジアップする、あるいは頭部を上げ側臥位で休んでもらうよう対応する。
- 姿勢の確保を終えたら、気分不良などがないか確認する。
注意胃の内容物が消化されるまでには「2時間」程度かかるとされています。訪問介護の場合、食後に2時間見守ることができませんので、少なくとも20分〜30分は横にならないように注意してください。
- STEP11下膳、後片付け
- エプロンや食事用タオルなどの後片付けを行う。
- 下膳し、残滓の処理、食器洗いなどを行う。
- STEP12記録の記入
食事や水分の摂取量はケアを行う上で重要な情報です。
とくに食事内容や水分量に制限のある利用者には、医療的管理を行うためにも食事・水分量の記録は必須となります。各専門職で情報の共有を図りましょう。
また、残量が多い場合は「身体機能、嚥下機能の低下はないか?」「調理形態や味付けなどは状態や好みに合っているのか?」「介助の方法は適切か?」を再確認する必要があります。課題が見つかれば今後の対応について再検討してください。
記録作成のポイント- 主食(ご飯、パンなど)副食(おかず)全量を100%または10割として、摂取量を%や割合で記録する。
- 水分はコップ一杯150ml程度を目安に、摂取量をmlで記入する。
- その他、食欲の有無や心身の状態変化、会話の内容等を具体的に記入する。
さいごに
訪問介護の食事介助マニュアルは以上となります。
ヘルパーが理解しておくべき食事介助の基礎知識は、本マニュアル内で網羅していますので、ぜひ繰り返し読み日々の業務の参考にしてください。
また当サイト「ヘルパー会議室」では、ホームヘルパー・サービス提供責任者の初心者向けに業務マニュアルを無料で公開しています。
この機会にあわせてチェックしておきましょう。